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2021年03月31日

チェコ語の動詞と名詞の関係(三月廿八日)



 これまで、チェコ語について書いてきた文章を振り返ると、大部分がすでにチェコ語のことを知っている人向けというか、チェコ語を知らない人には呼んでもわかりにくいものだった。ということで、チェコ語を知らない人向けに、チェコ語はこんな言葉なんだという説明をしてみようと思い立った。うまく行くかどうかはわからないけどさ。

 チェコ語に限らず、最低限の短い文を作るために必要なのは動詞と名詞である。例外はあるけれどもとりあえずそういうことにしておく。そして大切なのは、動詞と名詞の関係、もしくは文中における名詞の役割をはっきりさせることである。動詞はひとつしかなければ、それが述語として使われることは明らかだが、名詞の場合は一つしかなくても、動詞に対する主語になるとは限らない。
 日本語では、文中の名詞の役割をはっきりさせるために、助詞を使う。どんな助詞を必要とするかは、文中での役割に基づいて動詞が決定することになる。大抵は、役割が同じなら同じ助詞を使うが、例えば場所を表す場合には、「で」と「に」、さらには「を」の中でどれを使うかは、動詞によって決定される。それは、ほぼ同じことを表した「この会社で働く」と「この会社に勤める」を比べれば、理解できるはずである。

 日本語の場合で、重要なのは、文中での役割と動詞が同じであれば、どんな名詞であっても同じ助詞を付けるという点である。例外として「は」があちこちに放り込めるというのはあるけれども、ここでは無視する。つまり、日本語では、どんな助詞を使うかに関して、名詞には決定権がないのである。格助詞ではあっても、格変化ではないから、などというと先走りすぎかな。
 一方、チェコ語の場合は、助詞の代りに格変化と前置詞があり、どの格、前置詞を使うかをきめるのは動詞である。たとえば、同じように「わかる/理解する」という意味の動詞でも、「rozumět」は理解する対象となる名詞は3格で表され、「pochopit」は4格を取る。これは動詞の意味そのものよりも、恐らくは語源にまでさかのぼって解釈する必要のあることだろうが、とにかく、動詞が決まれば必要な名詞の格も決まるのである。

 では、日本語の助詞と対応させたくなく名詞の語尾はというと、どの名詞でも同じなのではなく、名詞の格変化のタイプによって異なり、同じ名詞でも単数と複数でどんな語尾が使用されるかは違う。チェコ語には、男性、女性、中性という三つの性があり、それぞれの性の中でも、男性名詞は生きている活動体と、それ以外の不活動体に分けたうえで、硬変化、軟変化、特殊変化などいくつかの格変化のタイプに分類されるのである。
 さらに厄介なのは、すべての格変化で、1格から7格まですべて語尾が違うというものは存在せず、それぞれいくつかの格が共通の語尾を取ることがあり、その共通の語尾を取る格が、格変化の種類によって異なるという点である。だから、文中である名詞を使う場合には、動詞から何格が必要かを確認した上で、名詞の格変化のタイプに基づいて、必要な語尾をつけるという作業が求められる。少なくとも最初のうちは、入念にやらないと、自動的に使えるようにはならない。

 書かれたものを読む際、話されるのを耳で聞く際には、逆の手順で文中の名詞の格を確定した上でないと理解できないということになる。大抵は動詞や前置詞のおかげで細かいことは考えずに格が確定できるけれども、二つの名詞を別の格で伴える動詞の場合には、どちらが何格なのか正確に理解することが重要になる。
 別の言い方でこのことを説明すると、例えば語尾に母音「u」が現れている場合、真っ先に思い浮かぶのは、女性名詞硬変化単数4格だが、ほかにも男性名詞活動体単数3格と6格、不活動体2格と3格、6格、中性名詞硬変化単数3格と6格である可能性もある。語尾を見ただけでは、何格で使われているかは確定できないのである。知らない名詞の場合は、動詞から格を確定して、単数一格の形に戻してやらないと辞書も正確に引けないから困ったものである。
2021年3月29日10時30分。








タグ:名詞 動詞 基礎

2021年03月12日

六格の使い方(三月九日)



 チェコ語の格変化の6番目の格は、単独では使われることはなく、つねに前置詞と共に使われる。そのため前置格と呼ばれることもあるようだ。そんな説明を受けたら、前置詞はつねに6格に結びつくと思いたくなるのだが、全くそんなことはなく、前置格をとる前置詞の数も実はそれほど多くない。看板に偽りありだと感じたチェコ語学習者も少なくないのではないかと思う。

 六格をとる前置詞として絶対に覚えておかなければならないのは、場所を表す「v」と「na」である。どちらの前置詞をとるかは、後に来る名詞によって異なるが、細かいことはこちらの「場所を表す前置詞」をご覧頂きたい。チェコ人にとってはルールがあるようだが、学習して覚えるしかない外国人にとっては、ルールなんか存在しない迷宮のようなものである。個人的には、原則的に「v」を使って、「na」を取る名詞は頑張って覚えることを推奨している。
 また、「v」と六格の組み合わせは、時間を表す場合にも使用される。ただし、慣用的に使用できるものが決まっているので、覚えていくしかない。サマースクールで復習したときの記録は「チェコ語の時間を表す表現についてB」にまとめてある。一言で言えば、頑張って覚えるしかない。それに対して「na」と六格で時間を表すのは、「na jaře」しかないので、楽である。

 次に重要な六格をとる前置詞は、「o」であろうか。日本語の「〜について」とほぼ対応するので、日本人には使いやすい前置詞である。ただし「興味を持つ」の場合には、前置詞は同じ「o」だが、後ろに来るのは四格なので注意しなければならない。また、週末、クリスマス、イースターなど特殊な名詞と組み合わせて時間を表す表現として使われることもあるが、これは数が少ないので覚えればいい。

 続いては「po」である。「後で/その後」を意味する「potom」を知っていれば、「tom」が「ten」の六格であることに気づけるだろう。一つ目の使い方は、時間の前後関係を表す「〜後」で、名詞に付けて、「po škole(学校が終わった後)」「po práci(仕事の後)」などのようにも使えるし、時間を表す順序数詞と組み合わせて、「po páté(五時過ぎ)」などと使うこともできる。
 また、「旅行する」など移動を伴う動詞の、移動する場所を表すのにも、「po」が六格とともに使われる。「チェコに旅行する」なら、方向を現す「do」を使うが、「チェコ(国内)を(あちこち)旅行する」の場合には「po」が必要になる。「道を歩く」などの日本語の助詞「を」の特殊な使い方に近いと考えてもいい。
 他にも動詞の中には、「po+六格」を必要とするものがあるけれども、それについては、上に書いたことも含めて、改めて一文物することにする。

 最後に取り上げる、六格を取る前置詞は「při」である。これも「po」と同様、一語化した「přitom(同時に)」という言葉が存在する。意味としては「〜の際に」と訳すことが一番多いだろうか。これが使えなくても、「když(〜時)」を使った節で代用できるので、あまり困らない。ただ、ややこしい長い文を作るときに、うまく使えるとわかりやすい文になるから、覚えて損はない言葉である。特別にこの前置詞を必要とする動詞は思いつかないけれども、これについても用例を挙げて一本書くことにしよう。
2021年3月10日23時。











タグ:六格 前置詞

2021年03月09日

チェコ語コーパス(三月六日)



 知り合いからチェコ語のコーパスってないのという質問が来た。自分では使ったことがないのだが、デジタル化が大好きなチェコのこと、存在していないはずはないということで探してみた。最初に見たチェコ語の正字法などを決めている国立チェコ語研究所(と訳しておく)のサイトには、コーパスはあったけれどもテレビやラジオの放送データを基にした話し言葉のコーパスしかなかった。

 それでさらに捜索を続けると、「チェコ国営コーパス」とでも訳せるようなものが出てきた。こちらは書き言葉中心のコーパスで、話し言葉のコーパスも含むいくつかの部分から成り立っているようである。日本語のコーパスなんか使う気にはならないけれども、チェコ語のものならちょっと遊べそうな気もする。どんな機能があるのか試してみた。
 とりあえず「Japonsko」を入れてみた。よくわからないのは、何もしてないのに英語表記になっていることで、しかも右上には英語表示に切り替えるボタンがある。念のために英語ボタンを押すと、チェコ語ボタンが現れたので、それを押したらチェコ語表示に切り替わった。うーん、何の意味があるのだろうか。

 「Japonsko」はチェコ語においては、100万語に約35回の割合で現れるとか、話し言葉と書き言葉、書き言葉の中でも専門書やフィクションに現れる割合なんて情報もあるのだが、一番目を引いたのはどの形でどのぐらい使われているかという情報だった。それによると、「Japonsko」が29.1パーセント、「Japonska」が27.4パーセント、「Japonsku」が39パーセント、「Japonskem」が4.5パーセントという結果になった。
 「Japonskem」が一番少ないのは、この形になるのが7格しかないからだろう。「Japonska」も2格だけだが、「do Japonska」「z Japonska」という移動の目的地、もしくは起点を表す表現がよく使われることを示している。1格と4格、5格の形である「Japonsko」よりも、3格と6格の「Japonsku」のほうが割合が高いのは意外だったが、場所を表す「v Japonsku」が使われる機会が一番多いからだと考えてよさそうである。
 他の地名も試してみれば、地名の場合には場所を表す6格の形が一番よく使われているなんて傾向が出てくるのかもしれないけれども、そこまでする気にはならない。それよりも重要なのは、我がチェコ語の名詞を格変化させるときのモットー、「困ったらU」が、少なくとも「Japonsko」に関しては有効であることが確認できたことである。

 またコロケーションのデータでは、中国や韓国などの他の国名と共によく使われていることがわかるが、津波と地震も頻繁に一緒に使われる言葉として上げられているのが注目に値する。しかも津波は、最近の「cunami」というチェコ化した表記ではなく、「tsunami」という日本式のローマ字表記が使われている。これはひょっとしてと、考えたらその通りだった。
 通時的な使用割合の変化を表すグラフも表示されるのだが、使用数が圧倒的に多いのが2011年だった。言わずと知れた東日本大震災の際に、津波と地震を伴って日本という言葉が例年よりもはるかに多く使われたのである。確かにあの頃は、地震に限らず日本に関する記事やニュースが多く、直接は関係のないものでも、枕、もしくは結語として地震に触れるものも少なくなかった。この手のデータから事情を推測するのはなかなか楽しい。

 ちなみに、形容詞の「japonský」は「japonské」という形で使われる割合が最も高く、福島という言葉と共によく使われているようだ。「japonské」は女性の単数2、3、6格、複数の1、4、5格、中性の単数1、4、5格、男性名詞の複数1(不活動体のみ)、4、5格と、この変化形になる格が多いことを考えると、当然だとも言えそうである。
 チェコ語を勉強していてちょっと飽きたときには、このコーパスで遊んでみると、勉強を続ける意欲がわくかもしれない。
2021年3月7日24時30分。



ちなみにコーパスはチェコ語では「korpus」となる。発音はもちろん「コルプス」である。






2021年02月13日

五格の使い方(二月十日)



 チェコ語の名詞、形容詞には7つの格があるわけだが、その中で最も使う機会が少なく、覚えていなくても問題ないものと言えば五格、言語学の専門用語的に言えば呼格である。文字通り呼びかけのときに使う格なのだが、1格で代用しても問題ないし、中性名詞や、複数形の場合には1格と共通の形をとるから、どちらを使っているのか気にする必要もない。
 チェコ語に一番似ているとされるスロバキア語には存在しない格だし、ポーランドやロシアなどの伝統的なスラブ語学の世界では、呼格は、五番目ではなく最後の七番目に置くことになっているらしい。使う機会が一番少ないから最後に持って行くというのはわからなくはない。ではチェコ語ではなぜ5番目なのかというと、明確な答えは返ってこない。これが伝統的なチェコ語の考え方であるらしい。

 とはいえ、まったく使わないというわけではないので、五格を使う際に絶対に覚えておくべきことは二つ。子音で終わる男性名詞の場合には、原則として語尾に「e」をつけることと、男性名詞であれ女性名詞であれ「a」で終わる名詞の五格の語尾は「o」になることぐらいである。軟子音で終わる男性名詞の中には、「i」が出てくるものもあるし、「k」で終わるものは語尾に「u」を付けるなんて例外もあるけれども、間違えても仕方がないし、慣れれば何となく使えるようになる。

 この五格がもっとも頻繁に使われるのは、実は人を呼ぶときではなく、「牛(vůl)」の五格である。以前「牛の話」に書いたように、意味のない間投詞的に、特に若い人たちの話し言葉の中に頻繁に登場するし、驚きを表すときには、人称代名詞のと組み合わせて「ty vole」という形で使われる。
 ほかにも怒りや驚きを表す感動詞的な言葉は、五格で使われることが多く、「ty Brďo(Brďaが何を指すかは知らない)」や、「Kristova noho(キリストの足)」、「pane Bože(神よ)」なんてのもよく使われる。ただし、この手の表現で最もよく使われる「Ježíš Mária」は、五格にはしない。しかし、これにイエス、マリアと来ればということで、ヨゼフを付け加えると、「Ježíš Mária Josefe」とヨゼフだけ五格になるのである。もちろん、五格にしないこの手のののしりの言葉は他にもあるのだけど、こういうところに書くのにふさわしい言葉ではないので省略する。

 さて、最近のチェコ語では、本来の五格とは違う呼びかけの形が使われている。特に女性の二音節からなる「a」で終わる名前によく見られるのだが、呼びかけの際に「o」ではなく、「i」(「y」かもしれないない)で終わる形を使うことが増えているのである。例えば「Jana」呼ぶときに、「Jano」ではなく、「Jani」と呼ぶのである。ちょっと長い名前でも、「Tereza」が「Teri」と呼ばれるのを聞いたことがある。
 師匠に質問したら、あだ名とも言える指小形を短縮したものだという答が返ってきた。つまり「Jana」なら、「Janička」の最初の部分だけを呼びかけに使っていると解釈するらしい。それは「maminka」を「mami」と呼んだり、「babička」を「babi」と呼んだりするのにつながるという。男性名詞でも「tatínek」を「tati」と呼ぶから、指小形の短縮形と考えるのも間違いではなさそうだけど、ここは、女性名詞に新たな五格の形が生まれつつあるといいたくなるなあ。すべての女性の名前に適用できるのかどうかはわからないのだけど。
 短いけれども、五格に関してたれられる薀蓄はこの程度しかないのである。
2021年2月11日23時。










タグ:五格

2021年01月20日

4格をとる前置詞最終回(正月十七日)



 ハンドボールの世界選手権の出場を辞退したのはチェコだけではなかったようだ。オーストリアとの試合を見たスイスが、アメリカが辞退したことで出場権が回ってきたらしい。解説の話では出場権が回ってくることを信じて、決まる前から選手を集めて合宿を組むなどしっかり準備をしていたようで、オーストリアにも勝ったし、ノルウェーともいい試合をしていた。
 そして今日、ドイツとカーボベルデの試合が中止となり没収試合扱いで、ドイツが10−0で勝利したことになっていた。恐らく感染者が大量に出てチーム編成ができない状態になったのだろう。チェコも無理に出場していたら、こんなことになっていた可能性もあるわけだ。


 とまれ、前置詞の続き。4格をとる前置詞。まずは「v」から。「v」というとどうしても場所をあらわすときに使う6格との組み合わせの印象が強いのだが、例外的に「na + 4格」を取る動詞がいくつか存在する。


・věřit(信じる)
 日本語では、「〜を信じる」なので、前置詞なしの4格を取ると思いがちなのだが、チェコ語では3格を取ることが多い。ここまではいいのだが、信じる対象が抽象的な名詞の場合に、「v + 4格」を取ることがあるのだ。「Věřím v Boha(神を信じている)」、「Věřím v budoucnost(未来を信じている)」なんて使い方を見たときには、正直やめてくれと思ったのだが、印象が強かったのか覚えてしまった。自分で使う機会はあまりないのだけど、うまく使えるとうれしい表現のひとつである。


・proměnit se(変身する)
 カフカの『変身』のチェコ語訳は「Proměna」だが、その動詞形が「proměnit se」となる。グレゴール・ザムザが変身したのは虫だったが、変身する対象を「v + 4格」で表して「Proměnil se v hmyz」と言う。チェコの童話ではしばしば魔法使いの呪いで、登場人物が変身させられるわけだけれども、その時は、「se」の代わりに変身させられる人物を4格にすることになる。

 動作の対象を表すといえそうな「v + 4格」についてはこのぐらいしか書くことがない。例外的な使用法なのである。

 この用法の最後は、「o + 4格」であるが、「o」も典型的な6格をとる前置詞で、4格を取るのは例外的である。ただその例外が重要なものというのが困りものである。


・zajímat se(興味がある)
 名詞として使った場合の、「Mám zájem o」は、使いやすい覚えやすいということからか、チェコ語の勉強の最初のほうで出てくる。初学のころなんて自己紹介をするにしても大したことは言えないから、お世話になったものだ。これを勉強したときに4格を取るというのも覚えたはずなのだが、まだ格変化を本格的に勉強し始めたところだったので完全には定着しなかったのだろう。その後、前置詞「o」は、6格を取り意味は「〜について」だということを勉強したときに、「Mám zájem o」の後も6格じゃないかと混同してしまった。「Mám zájem o Japonsko」という文は覚えていたけれども、6格を取るのとどちらが正しいのかで頭を抱えたことがある。
 それに対して、動詞として使う「zajímat se」のほうは、かなり勉強が進んでから覚えたので、格で混乱した記憶はない。ただ、以前も書いた「zajímá mě」のほうをよく使うようになったこともあるし、自分の言葉で言えることが増えたせいで、わざわざ「〜に興味があります」なんてことを言わなくてもよくなったこともあって、最近は「Mám zájem」も「Zajímám se」も全く使っていない。


 最後はまた覚えておいたほうがいい使い方を。形容詞、副詞の比較級を使う場合に、二つのものの間にある差を「o + 4格」で示すのである。一般的には数詞を使うことが多けれども、頭一つ分の差とか、指一本分の差なんてことをいうこともある。「Jsem o dva roky starší než on(私はあの人より2歳年上です)」とか、「Ten kůň doběhl do cíle o hlavu rychleji než druhý(その馬は2位の馬より頭一つ分先にゴールした)」などという具合である。
 形容詞、副詞を使わない場合にも使うことはあるけれども、使える動詞は、形容詞から作られた動詞や、「間に合わない」「届かない」など限定的である。以前サッカーの中継で、ボサーク師匠が動詞は忘れたけど、「o prsa korejské ženy」とか言っていた。国が国なら差別だとか叩かれまくるのだろうけど、チェコだしボサーク師匠だし特にそんなことはなかったと思う。

 以上で4格をとる前置詞の説明は終わりである。特に最後の動作の対象を示す使い方については、動詞との組み合わせで覚えておかなければならないことを改めて強調しておく。何らかのルールがあってそれに基づいて考えれば正しく使えるのであれば、学習者は誰も苦労しないのである。何と組み合わせるかわからない動詞が出てきたら、経験をもとに推測するしかないのだが、大抵は「mimo」になることが多い。語学の勉強なんてそんなもんである。
2021年1月18日24時30分。









2021年01月19日

4格を取る前置詞4(正月十六日)



 ハンドボールの世界選手権、開催国エジプトが強い。初戦のチリは相手が相手だったので勝っても、相手を圧倒してもそれほど驚かなかったけど、チェコでも苦戦することの多い、相手ホームではほぼ絶対に勝てない北マケドニアを粉砕していた。準々決勝を目標にしているというのは、本気だったようだ。

 とまれ、チェコ語の4格の話、前置詞を使って動作の対象を表す使い方の続きである。二つ目は、個人的にすべての前置詞の中で一番厄介だと思っている「za」をとる動詞である。


・děkovat(感謝する)
 お礼を言うときに使う動詞で、感謝する相手は3格。確か千野栄一氏がチェコ語のお礼の言葉は「十九番」と言っておけばいいなってことを言っていたけれども、「Děkuju vám」まではお礼の言葉として、観光でチェコに来る人でも覚えている人が多いのではなかろうか。一歩進むと、その後に「za + 4格」で何に対してお礼を言うのか表現できるようになる。「za pomoc(手伝い)」「za pozvání(招待)」「za radu(助言)」なんかがよく使われる。さらに先に行くなら、名詞で済ませずに、「za to」の後ろに「že」で始まる節をつけて文で具体的な御礼の対象を表現することができる。去年は「Děkuji vám všem za to, že jste všichni dodržovali vládní opatření(みなさま、政府の規制をまもってくれてありがとうございます)」なんて、心にもなさそうな発言を何度も聞かされたものだ。


・omlouvat se(謝罪する)
 謝罪のための動詞も、感謝のときとまったく同じように使う。謝罪する相手は3格、謝罪の対象となることは「za + 4格」で、「za to, že」でより具体的にすることもできる。初めて聞いたときには、「Já se vám omlouvám」の、「vám」で韻を踏んでいるような最後の二語の響きが美しくて聞きほれたのを覚えている。
 謝罪するときには、もう一つ「prominout」という動詞を使うこともあるが、こちらの本来の意味は「許す」で、命令形の「promiň(te)」を謝罪の言葉として使うのである。ただし「omlouvat se」とはちがって、具体的な謝罪の対象については「za to」は使わずに、直接「že」でつなぐだけでいい。


・trestat(罰する)
 処罰の対象となる行為を「za + 4格」で表す。動詞ではなく名詞「trest」にも同様につけることができ、何に対する罰なのかを表現する。裁判での判決や、刑務所に入っているなんてことを説明する際に別の動詞が使われた場合も、処罰の対象となる行為は、「za + 4格」で表す。スポーツの反則も同様である。
 逆に表彰されるような行為についても、「za + 4格」で表すことが多い。一番有名なノーベル賞の中でもオリンピック度同様に役目を終えたものを例にとると、「Nobelova cena za mír(平和賞)」「Nobelova cena za literaturu(文学賞)」となる。


・považovat(みなす)
 これは対象と言っていいのかどうか微妙なのだけれども、「AをBとみなす」というときのBにあたる部分を「za + 4格」で表す。この言葉を覚えたばかりの頃は、なぜかすごく便利な言葉のように思えて、濫用していたのだが、最近はとんと使わなくなった。昔と違ってあえてややこしい言い回しを使わなくなったからかな。


 こちらも最後に、知っておくと便利な表現を紹介して終わりにしよう。一つ目は「stojí za to + 動詞」。この「stojí」は、「いくらですか」と聞くときの「stojí」だが、「値する」という意味だと理解できる。それに「za to + 動詞」を組み合わせると、「〜するに値する」とか「〜する甲斐がある」という意味になるのである。
 二つ目は可能を表す動詞「moct」と「za to」を組み合わせた表現で、「Za to můžeš ty(お前が悪い)」とか、「Za to můžu já(私のせいです)」などと使う。何でそんな意味になるのかはよくわからないけれども、便利なのでよく使う。よく使うのだけど、「za」はやっぱりよくわからんというのが正直なところである。
2021年1月17日23時。










2021年01月18日

4格を取る前置詞3(正月十五日)



 ハンドボールの世界選手権の話が長くなって、実は今日も日本がクロアチアに勝ったら、ハンドボールにしようかとも思ったのだけど、終了直前に追いつかれて引き分けに終わったので、当初の予定通りチェコ語に戻ることにする。前半の前半しか見られなかったから、大センザツェにはならない引き分けぐらいだとかけることも多くないのである。

 ということで、承前。

D動作の対象を表す前置詞
 この中には、個別に取り上げた「pro」も入ると思うのだが、いくつかある前置詞の個々の意味の違いは全く判然としない。どの前置詞を使うかは動詞によって決まるとしか言いようがなく、動詞を覚える際に組み合わせるべき前置詞も覚えなければならない。

 まずは「na + 4格」をとる動詞から。


・čekat(待つ)
 待つ対象を「na + 4格」で示すのだが、それを知らないと前置詞なしの4格にしてしまいそうである。ややこしいのは人間が主語で、誰かや何かを待つ場合には、前置詞の「na」が必要なのに、逆に、何か、特にイベントの類が人間を待つという場合には、前置詞なしの4格で済む点である。「Čeká mě těžká zkouška(難しい試験が私を待っている)」などと使うのだが、日本風の言い方をするなら、「私は難しい試験を控えている」とでもなるだろうか。


・dívat se(見る)
 これも4格でよさそうだが、前置詞「na」が必要になる。同じように「見る」と訳せる「vidět」のほうは前置詞なしの4格である。この二つの動詞の区別は、意識して見ようとして見るのが、「dívat se」で、自然と目に入ってくるのを見るのが「vidět」だという。人によっては「vidět」は日本語の「見える」に対応するともいうのだけど、「見える」に対応するのは「je vidět」という使い方で、「vidět」自体は「見る」と「見える」の中間的な存在だと考えている。


・zeptat se(質問する)
 質問する相手は2格で表すが、何を質問するのかは、「na + 4格」で示す。チェコに来たばかりのころは、これを使って、「Mohl bych se vás na něco zeptat?(ちょっと質問してもいいですか)」とあちこちで質問していた。もちろん「Mám otázku(質問があります)」なんて簡単な言い方も使ったけれども、見ず知らずの人に使うには直接的過ぎるので、師匠との授業中とか、知り合いに質問するのに使っていた。師匠に丁寧な言い方で質問を求めると、嫌がられたのでこんな言い方も使う必要があったのである。「Mám na tebe otázku」なんていうこともあったから、ここでも「na + 4格」がでてきた。


・myslet(考える)
 普通に何活にいて考えるという場合には、「o + 6格」でいいのだが、誰かのことを考える場合には、「na + 4格」を取る。「na + 4格」は人じゃなくてもいいかもしれないし、人の場合でも「o + 6格」を使えるような気もする。つまり区別がよくわからないということなのだが、自分では最初に書いたように使い分けをしている。


 延々と動詞をいくつも並べていっても仕方がないので、これぐらいにしておくが、「jít + na + 4格」も、この動作の対象を表すものに入れてよさそうである。
 最後に「na + 4格」を使った覚えておくと便利な表現を紹介して、またまた無駄になったこの記事を終わらせよう。動詞「mít」と組み合わせて、その能力があるかどうかを表すことができる。普通は「Nemá na to」という形で、話題にされている仕事や課題を達成するだけの力がないことをいう。サッカーの試合の中継のときにボサーク師匠がある外国人選手について、「Na českou ligu nemá(チェコリーグでプレーするレベルにない)」とかなんとか言っていたのも覚えているが、この表現の意味を知らなかったときには、何のことやらさっぱりわからなかった。
 次は「za + 4格」の予定である。
2021年1月16日22時30分。









2021年01月14日

4格を取る前置詞2(正月十一日)



承前
Amimo
 二つ目の、同時に最後の4格しか取らない前置詞は「mimo」である。他にもあるかもしれないけれども、思いつかない。
 意味は簡単に言うと「外」。不思議なのだが、「外」を「そと」と読む場合でも、「ほか」と読無場合でも、「外す」と読む場合でも、「mimo」で表せてしまう。あまり使う言葉でもないのだけど、個人的に一番よく使うのは、「Byl jsem mimo Olomouc」という文である。具体的にどこにいたかは言いたくないときに「オロモウツの外にいた」で済ませてしまうのである。
 前の文を「オロモウツ以外の場所にいた」と訳せば、「ほか」につながるのだけど、「Je otevřen mimo sobotu」なんてのも例に挙げておこう。「土曜日のほかは開いています」という意味だが、この場合、「kromě soboty」を使うことのほうが多いかもしれない。というか自分では「kromě soboty」を使う。

 サッカーやハンドボールなどの試合の中継を見ていると、「Tato střela byla mimo」というのが聞こえてくることがあるが、これは「シュートは外れた」という意味である。もちろん、「mimo branku」が省略された形なのだが、「mimo」だけで「外れ」を表すこともできる。質問の答が、完全にずれているときや、話が本来のテーマと全く関係ないときなんかも、「mimo」で表現する。ずれが小さいときには「vedle(となり)」も使うかな。
 最後にもう一つ、よく目にするものを挙げておくと、自動ドアや駅の券売機、自動販売機なんかに注意書きとしてしばしば「mimo provoz」と書かれた紙が貼られている。「故障中」を意味するのだが、無理やり解釈すると「稼動状態の外にある」と言うことだろうか。


B時間を表す前置詞
 これについてはすでに時間を表す表現のところで詳しくまとめたので、簡単に復習しておく。
 先ず忘れてはいけないのは、曜日と共に使う「v + 4格」である。月曜日と火曜日は格がわかりにくいので、水曜日を使うと「ve středu」となる。ただし、形容詞や指示代名詞などが付くと、前置詞なしの4格だけで表現することが多い。
 それから、季節を表す言葉は、前置詞との組み合わせがめちゃくちゃなのだが、秋が「na podzim」と前置詞「na」に4格を付けた形で表される。

 最後に「za + 4格」を紹介しておく。4格となるのは時間の長さを表す名詞で、「za dva roky(二年後に)」などと、それだけの時間が経った後のことを指すのに使うのである。ただし、数字が5以上になると、数詞は4格だが、後ろに来る名詞は複数2格になるので注意が必要である。また「za」は場所を表わす場合の7格と共に使うという印象が強いためにしばしば混乱してしまうことがある。
 それから「za + 4格」は、後ではなく、その時間の間にという意味でも使われる。一番わかりやすいのは、時速をあらわすときに使う「100km za hodinu」などだろうか。これは別の表現では置き換えられないが、「Za tři roky jsem se naučil více než 1000 znaků(三年の間に1000個以上の漢字を覚えた)」の場合には、「během + 2格」を使いたくなる。


C方向を表わす前置詞
 これも一部は復習になるのだが、まずは「na + 4格」から。場所を表す名詞は、それぞれ「v」か「na」を取ることが決まっているのだが、場所で「na+ 6格」を取る名詞は、方向(向かう先)を表わす場合に自動的に「na + 4格」を取ることが決まっている。よく使うもので覚えておいた方がいいのは、駅(nádraží)、郵便局(pošta)、学校(škola)などだろうか。知らない人間には区別はつけられないので、覚えるしかない。また、動詞が場所を必要とするのか、方向を必要とするのかも気を付けたほうがいい。大抵は日本語と同じ感覚で行けるが、「置く」の場合には「položit」を使うと方向で、「nechat」は場所が必要になる。
 それから一部の動詞で、物を中に入れる場合と、表面に載せる場合で、「do」と「na」を使いわける。「dát」の場合に、「Dám ho do lednice」は冷蔵庫の中に入れることになるが、「na lednici」を使うと冷蔵庫の上に載せるか、外側に貼り付けることになる。

 次は一般には7格を取ると思われている前置詞の「před」「za」「nad」「pod」である。このよっつも、動詞が場所ではなく方向を必要とするときには、4格と共に使わなければならない。そしてこれがなかなかできるようにならない。「v」「do」「na」の場合には、最初から指摘されて、一生懸命覚えて、今でも間違えるけれども、意識して使い分けることはできるようになっている。
 それに対して、この四つの前置詞に4格を付ける形は、最初は7格を取ることしか勉強しなかったので、その思い込みが強すぎるのか、間違いを指摘されないとなかなか気づかない。それどころか正しく使っているのに何か変な感じがして無駄に修正してしまうことさえある。
 「Pošlete ho před sebe(後ろに送ってください)」「Půjdeme pěšky za hranice(国境の向こうまで歩いて行こう)」「Dejte pravou ruku nad sebe(右手を挙げてください)」「Schovejte se pod stůl(机の下に隠れてください)」なんてのは時間をかけてゆっくり考えたら、正しいことが理解できるし使えなくもないのだが、とっさの場合には、どれもこれも7格にしてしまいがちなのである。
 以下次回、じゃなくてその次。
2021年1月12日23時。










2021年01月13日

4格を取る前置詞1(正月十日)



 4格を取る前置詞は多いのだが、4格しか取らない前置詞はそれほど多くない。まずは4格しか取れないものを取り上げて、あとはすでに触れたものも含めて、分類した形で示そうと思う。

@pro
 日本語では「ため」と訳されることが多いけれども、動作の目的や対象、場合によっては理由、原因を表すことのできる前置詞である。別の表現で置き換えることができる場合も多いのだが、4格を取るということは、1格と同じ形になるものが多いと言うことである。つまりは格変化をあまり覚えていなくても何とか正しく使えるということなので、ついつい使ってしまうものである。

 いくつか例を挙げよう。

・Koupil jsem tuto knihu pro kamaráda.
(友達のためにこの本を買った)
≒Koupil jsem tuto knihu kamarádovi.

 この文は3格を使って表現しても意味はほとんど変わらないと思う。ただ誰かのために買った後に、それを渡すときに使う。「To je pro tebe」という表現は、3格にはできない。無理やり日本語に訳すと「これはお前のためのものだよ」とでもなるだろうか。日本人なら「はい、どうぞ」とか、「これ、あげる」とかいいそうだけど。これで思い出すのはチェコの童話映画「S čerty nejsou žerty」でいくらでもポケットから金貨を取り出せる魔法の外套を手に入れた主人公が、「To je pro nás(これは我々のためのもの)」「To je pro knížete(これは侯爵のためのもの)」と交互に言いながら一枚ずつ金貨を取り出すシーンである。

 これをもう少し進めると、映画「Tmavomodrý svět」で若きチェコ人飛行士が、イギリス軍で英語の授業の後に思わずこぼす「Angličtina není pro mě」(語順は微妙に違うかも)につながる。「英語は俺のためのものではない」、つまり「英語は俺には向いていない」ということである。チェコ語を勉強しているからには、「Čeština je pro mě」と言い続けたいものである。
 さらにこれに形容詞を付け加えると、「Čeština je pro mě těžká」などとなるわけだが、日本語に訳すと「チェコ語は私にとって難しい」となるのはわかるだろう。「pro mě」の代わりに「na mě」を使ってもほぼ同じ意味になると思うのだが、チェコの人たちがどう使い分けているのかはよくわからない。自分では、一般的にチェコ語全体を指すときには「pro mě」で、具体的な問題に関しては「na mě」を使っているような気がする。

 次の例である。

・Pro nemoc učitele se nebude konat dnešní výuka.
(先生の病気のために今日の授業は行われません)

 完全にこれと同じではないけれども、初めてこの手の文を見たときには、一瞬戸惑ったのを覚えている。「pro nemoc」の部分が問題で、病気が目的であるかのような印象、つまり病気になるために授業がないと理解してしまいそうだった。考えてみれば、日本語の「ために」にも原因を表す使い方があるのだからそれと同じだと思ってしまえばいいのだが、こういう場合にはどうしても「kvůli nemoci(病気のせいで)」を使ってしまう。

 もう一つ典型的な使い方を。

・Šel jsem do města pro pivo.
(街までコーヒーを買いに行った)

 これが、「na pivo」になると、「飲みに行った」ということになる。「na + 4格」の場合には、行った先で、するべきことをする、ビールの場合には飲むのである。だから「na film」だと、「映画を見に行った」になる。それに対して、「pro + 4格」の場合には、行った先で手に入れて戻ってくるのである。だから、街やお店に行った場合には、「買いに行った」になるし、自宅に戻るのなら「取りに行った」で、図書館に「pro knihu」だったら、「借りに行った」ということになる。

 ところで、この「pro」と疑問詞の「co」を組み合わせて一語化したのが、疑問詞の「proč」である。「č」は「co」の短縮形で前置詞と合わせて一語化するときに現れるもので、「není zač」の「zač」も「za co」が一語化したものである。「proč」は「pro co」、つまり「何のために」から、「どうして/なぜ」という意味で使われることになったと考えられる。ちなみにスロバキア語も同様で「proč」に当たる言葉は、「prečo」で前置詞の「pre」に疑問詞の「čo」がそのままついたものになる。スロバキア語はあまり詳しくないから、一語化してない可能性もあるけれども。

 最後に疑問を、どうしてチェコでは乾杯のときに「na zdraví」というのだろう。健康のために乾杯だったら「pro」でもよくないか。こういうのに疑問を持っても答えは出ないものだけど、この文章を書いていたらそんな疑問がわいてしまった。
 以下次回である。
2021年1月11日24時。












タグ:4格 前置詞

2021年01月12日

4格の話(正月九日)



 ネタ切れ気味で、しばらく何について書こうか頭をなやなませていたのだが、特に書くべきことも思いつかない。ということで、以前に戻って、困ったときのチェコ語ネタである。以前、2格、7格、3格の使い方と、その格を取る前置詞について書いたのがそこで止まったままになっていた。ここはネタがない時には、残りの格について書いて格と前置詞について終わらせておくべきであろう。

 4格というと、昔々、師匠がアメリカから来ていた留学生について、「あいつら、もう一年もチェコ語を勉強しているのに、matkaとmatkuの区別ができない」とブーたれていたのを思い出す。確か「1格と4格の違いだと説明したら、4格って何とかいいやがった」と付け加えたのかな。「そんなものなんで必要なの」とか聞かれたとも言っていたような気もする。
 格変化のない英語を母語とする人にとっては、意味不明(勉強すれば大学生なら理解できるだろうけど、ヨーロッパやアメリカの大学から来る留学生は留学という名目で遊びに来るので勉強自体をほとんどしないというのはおいておく)かもしれないが、助詞を駆使して文章を作る日本人にとっては、格変化を覚えるという苦労はあっても、名詞を格変化させて使うこと自体にはあまり抵抗はないはずだ。その中でも一番わかりやすいのが4格だと思う。

 日本語の文法用語で何というかはよくわからないのだが、原則として日本語の動詞で名詞に助詞の「を」を付けるものが必要な場合には、チェコ語では名詞を4格にすると考えていい。例外的なのは移動する場所、空間を表す「を」ぐらいだろうか。「街を歩く」「空を飛ぶ」などの場合は、4格ではなく、7格、もしくは前置詞「po」と6格を組み合わせた形を使う。動詞「čekat」や「dívat se」などが、4格は取るけれどもその前に前置詞「na」を必要とするのも覚えておいたほうがいいだろう。
 逆に、チェコ語では4格を取るけれども、日本語では助詞「を」にならないものとしては、「〜が好きだ/嫌いだ」というときの、「mít rád + 4格」が先ず思い浮かぶ。「chtít + 4格」もそうだけれども、日本語で主格でもないのに助詞「が」を使うほうが例外的だと考えたほうがいいのかもしれない。動詞を使えば、「〜を好む」「〜を欲する」という形で言い換えることができるのだから。

 チェコ語で4格を取る動詞のなかでは、最初から使役の意味を持つ動詞の使い方に気をつける必要がある。日本語だと「私はそれに驚いた」と言うようなところを、「それが私を驚かせた」という言い方をすることも多い。受身を使った「Byl jsem překvapený」や「Překvapil jsem se」ではなく、「To mě překvapilo」という表現が使われることは多いし、自分で使えるようになるとチェコ語の幅が大きく広がるのである。
 他にも、「trápit mě(私を苦しませる)」「bavit mě(私を楽しませる)」なんてものがある。「Čeština mě baví」なんて言われると、チェコ語の勉強が楽しそうでうらやましくなる。それから普通は「Mám zájem o to」で済ませてしまう「それに興味がある」という文も、「To mě zajímá」なんて言えると、自分のチェコ語が上達したような気分になれてうれしい。「Co vás zajímá?」なんて質問もできるしね。

 最後に、これは復習になるのだけど、時間を表す表現の中に、4格を使えるものがある。ただし4格でなければならないものはそれほど多くなく、絶対に覚えておかなければならないのは、曜日の前に形容詞がついた場合、例えば「minulou neděli(先週の土曜日に)」ぐらいだろうか。形容詞などをつけて2語にした時間を表す表現は、たいてい4格で使えるのだけど、曜日以外は、前置詞と共に使ったり、2格を使ったりすることもできるものが多い。
 あとは、名詞なのか副詞なのか判然としない一語の言葉、「ráno(朝)」「dnes(今日)」「letos(今年)」なんかを、名詞として認識する場合には、4格で使われていると解釈するのは、覚えるよりも、副詞として認識したほうがわかりやすいような気もする。

 ということで、以上が4格について書けることである。分量が少ないのは、日本人にとって使いやすいことの反映だということにしておく。
2021年1月10日23時30分。











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