平清盛 第48回「幻の都」
打倒平家の動きが強まり、京への都がえりを叫ぶ公卿の声を無視できなくなった棟梁・宗盛。
悲壮な決意で清盛に諫言(かんげん)する宗盛のあまりの勢いに、さすがの清盛もけおされて……。
「平家はもはや武門ではございませぬ」
忠清(藤本隆宏)の言葉に激高した清盛(松山ケンイチ)は、宋剣を振り上げた。しかし、振り下ろそうとしてふらつき、ぶざまに尻餅をつく。そんな清盛の衰えた姿に、一同はぼう然とする。
すでに、各地で源氏が蜂起。寺社勢力にも謀反の兆しが見えていた。藤原兼実(相島一之)は、彼らを鎮めるには、都を京に戻すほかないと強く主張する。その流れに便乗するように、ほかの公卿(くぎょう)たちも「重盛存命の折は、まだ秩序が保たれていた」と愚痴りだす始末。それを平家の棟梁(とうりょう)・宗盛(石黒英雄)はだまって耐えながら聞いていた。
後日宗盛は、清盛の別邸に待機し、父が帰宅するなり還都を申し出る。当然のごとく拒否する清盛だったが、いつになく宗盛も一歩も引かない。そして、ふがいない自らの半生を省みながら、自分の役目は、今父上をお諫(いさ)めすることだと涙ながらに訴える。さすがの清盛も返す言葉がなく、ついに京への還都を決めるのだった──。
五節の華やかな宴(うたげ)の中、さまざまな思いを胸にひとり涙する清盛。都としてはわずか半年、本拠としては10年あまりを過ごした福原を、清盛は後にする。
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富士川の戦いから無事帰還し、鎌倉に入った源頼朝(岡田将生)は、戦で手柄を立てた者に領地を与えるなどして、着々と東国武士を配下につけていた。
鎌倉で、初めて語り合う場を持った頼朝と義経(神木隆之介)兄弟。義経に、挙兵を決めた理由を問われた頼朝は、「亡き父上の武を証明するためだ」と答える。そして、ともに武士の世を目指しながらも、道を分かつことになった父・義朝と平清盛(松山ケンイチ)の物語を語り聞かせる。「今は武士の世とは名ばかりの平家の世じゃ」と嘆く頼朝は、「力で平家を倒し、その上にまことの武士の世をつくる」と宣言する。
一方、弁慶(青木崇高)が、清盛が若き日、故意に神輿(しんよ)に向けて矢を射た祇園闘乱事件の真相を語ると一同は驚がく。そして、清盛のすさまじい生きざまを知り、その志を理解した頼朝は、自らの進むべき道を改めて定めるのだった。
(2012年12月07日 NHKネットステラ)
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