2017年05月29日

NHKスペシャル「変貌するPKO 現場からの報告」を見てみた



NHKスペシャル「変貌するPKO 現場からの報告」.jpg




自衛隊は、2012年1月から南スーダンでPKO活動をしていおり、今月27日に撤退を完了しましたが、その活動期間中に、近くのビルで銃撃戦が起こるなど危険な目にあってきました。

今回のNHKスペシャルは、PKO活動の知られざる実態を現場から報告し、PKOとの関わり方を変えてきた中国やオランダの例を紹介していました。


南スーダンは6年前に生れたばかりの世界で最も若い国です。

国造りの支援や治安の維持のために国連は南スーダンでPKOをすることを決定しました。

PKO活動に参加した自衛隊は、道路などの公共施設の整備など派遣先の住民のためにきめ細かい活動をしていました。

ところが2013年12月から反政府勢力が政府側に武力攻撃するようになりました。

そして、2016年7月8日〜11日に、自衛隊は危険で判断が難しい局面を迎えたのです。



自衛隊が活動している区域で政府軍が反政府勢力から銃撃され、死傷者が出ました。政府軍からの報復攻撃がある懸念があったので、予定していた活動を中止しました。実際、心配していたとおりの事態になり、予定を変更したことで危険を避けることができましたが、ますます事態は悪化しました。


7月10日に、自衛隊の宿営地の近くのビルで銃撃戦がありました。そのビルには反政府勢力が立てこもっていて、それを政府軍が攻撃したのです。宿営地の敷地内にある監視塔や倉庫、給水塔が流れ弾を受けました。


政府軍の戦車がビルに向けて砲撃した際、駐屯地まで爆風が届いたので、隊員は恐怖感を感じたそうです。


避難してきた住民が近くまでやってきましたが、その中に反政府勢力の幹部も紛れ込んでおり、政府軍の攻撃に巻き込まれる危険性が生じました。

自衛隊は武器を使って住民を守る任務にはついていないため、住民が攻撃された際何もしないでいられるのかという悩ましい状況でした。

また、隊員の生命を守るために武器を使用することは認められていましたが、隊員たちはできるだけスーダン人を殺傷したくない思いや、銃撃することで状況が悪化する危険性があったので、いっそう武器使用に関して緊張感を感じていました。


幸い、自衛隊は銃撃を受けることも銃撃することもなく、数日後に事態は沈静化しました。しかし、このような危険な状況だったにも拘らず、このことは公にされず、後に政府は「法的な意味での戦闘行為はなかった」という見解を示しました。


中国から来たPKO部隊は政府軍と反政府勢力の戦闘に巻き込まれ、装甲車にロケット弾を直撃され2人の死者を出していました。



PKOはその様相を変えてきました。

PKOは、かつて停戦監視や復興支援を主に行い、軍事的な活動を避けてきましたが、ルワンダ虐殺などの虐殺行為を止めることが出来ず、そのあり方が問題視されていました。


そこで、国連特別顧問のラフダール・ブラヒミは「実力行使を行う強靭なPKOにより、文民保護をしていく」という方針を提唱しました。


ラフダール・ブラヒミ
「『文民保護』をするには、悪と対抗できる『強靭なPKO』が必要となる。時には危険や犠牲も覚悟する必要がある」


また、先進国の存在感が弱まった一方、途上国からの派遣が増えました。特に中国は8,000人規模のPKO専門部隊を創設するなど存在感を強めました。


オランダは70年間PKO活動をしてきました。

(日本と違って?)積極的な情報公開をし、議論して決めています。

PKO活動先のマリでも、政府と反政府勢力が争っていました。ある時、住民を守るために反政府勢力に攻撃しました。しかし、それはどちら側にも偏らないという国連軍に求められる理想に反すると非難されました。

一方、住民が攻撃される危険性が高い状況で、住民を守るための先制攻撃をすべきか判断を迫られた時に、介入しない決断をした時、心配した通り住民が銃撃を受けてしまうということもありました。


オランダはPKO活動で苦労していますが、どうして続けているのか。

1995年に、PKO活動中住民とともに包囲されてしまった時、住民を放って撤退したところ、8000人が虐殺され、国際的に非難される事件がありました。スレブレニツァの虐殺です。

その苦い過去を反省する気持から、PKO活動からひくことができないようです。


オランダでは、現場に留まるか撤収すべきか事実を知らせた上で、議論し、世論の動向を踏まえながら決定しています。

オランダ政治家は情報公開の大切さを強調します。「現実や困難を直視しなければ、正しい判断ができません」とのこと。


PKO活動の際に、息子を亡くした女性がインタビューに応えて、「(PKOを)国民の付託を受けた大切な任務だと自らに言い聞かせています。意義ある死だと思わなければ、息子は何のために死んだのでしょう」

(↑↑多分、事前に議論した上で、決定したことだから、悲劇が起きてもある程度納得がいくということでしょう。つまり、ここでも情報公開は大事だぞとNHKは言いたそう)


オランダでは、PKOとの関わり方をどうするべきか、これからも議論が続きます。


オランダ ベルト・クーンデルス外相
「なぜ遠く離れた国のために自国の兵士を危険にさらすのか。その意義が問われています。国際社会でのオランダの役割とは何か、どんなリスクがあるのか国の利益につなげられるのか、議論することこそが健全な姿です」


日本がPKOを始めて25年になります。国連は今どのような役割を求めているのでしょうか。


国連PKO局 ジャンピエール・ラクロワ 局長(PKOを統括する国連の責任者)

「現在のPKOは犠牲者が増え、非常に苛烈になっています。日本がPKOに貢献し続けようとする姿勢を歓迎しています。どのような貢献をしていくかは日本自身が決めることです」


日本政府は、2016年12月、派遣部隊に対して武器使用の範囲を広げた「駆け付け警護」の任務を付与しました。

政府は、「今後とも積極的平和主義の旗の下、これまでのPKO活動の実績の上に立ち、より一層積極的に貢献していく」としています。


南スーダンに派遣された隊員達は、任務を終えて、自分たちの役割について考えていました。

南スーダンに派遣された自衛隊員
「生がけで警備任務をするかというと、我々に求められているものではないと思います。日本という国を防衛するのが、専守防衛が我々の任務。それを越えてまでやるべきかというとそれは違いますよね」

「国内で求められている自衛隊の任務と、海外で求められる日本と相違があります。海外からの目線に合わせた考え方に寄り添ってもらいたい。日本を代表しているという意識で生きますので」

「真実を残せばそこから新しいことができます。そしてそれを国民にも言う。本当の真実を討議して投げかけて判断するのは国民ですから。だめだったら だめ。それでも準備して行くなら行けと」

「撃つことがないことが一番大事。一発の重みを考えずに現地に行っているなら、自衛隊の意義は私はないと思います。一発撃たれない限りは、一発を撃たない。そういう国だと思う日本の国は」


隊員の一人は、派遣中に書いた遺書をいまでも持ち続けていました。PKOの現場で死を覚悟した事実を忘れないようにするためです。

「妻へ
あとは、よろしく頼みます

息子へ
お母さんを助けて、お父さんの代りに
家の事を守ってください
勉強もガンバレ

              お父さんより」


ナレーション
「大きな犠牲と責任を伴うPKO 取材から見えた来たのは、苦悩する各国の姿でした。日本はこれから、国際貢献をどう担っていくのか。現場の実態と向き合い、徹底的に議論することが今求められています」


NHKスペシャル「変貌するPKO 現場からの報告」

再放送予定:2017年5月31日(水)午前0時10分〜0時59分(30日深夜)





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感想

自衛隊が危険な状況にあったことを公開しなかったのは、南スーダンでのPKO活動が行われている最中に国内でPKOに反対する世論が盛り上がるのを予防し、当初の方針通りにPKOを続け、喫緊の行政課題の集中するという目的を果たすのには良い判断だったでしょう。

ですが、そうだったことが明らかになった今、改めてPKO活動に疑問符がつき、国民の理解を得られなければ、再びPKOに派遣することに大きな抵抗を受けると思います。

「なぜ他の国のために、自国の兵士を犠牲にするのか」という問いは難問です。PKO活動が直接的に国益に適うと言えません。また、国のメンツや国際貢献のためと言っても、どれほど多くの人の心に響くか疑問に思います。

仮に、日本でオランダのように情報公開を徹底したら、「撤退させろ」という意見が世論の大半になるでしょう。

政府としてはノラリクラリと批判を避け、PKOの意義を強調して部隊を派遣し、情報公開は制限するというやり方を続けたいと思います。

そういう楽な政権運営の手法を捨てて、政府や自民党の方から国民的議論を始めるのはあまり期待できません。

情報公開と徹底した議論を求めるなら、情報公開をしないと後で政治責任を取る羽目になるということを政府分からせないといけません。しかし、そのためには、情報公開がなかったという事実が分かり次第、指示率がガタ落ちするくらい、世論が敏感に反応してでないといけないでしょう。

でも、いつまでものんぽりでいたい。
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