2017年04月14日

100分de名著「三木清 人生論ノート (2) 自分を苦しめるもの」を見てみた


100分de名著 三木清 人生論ノート.jpg



100分de名著「三木清 人生論ノート 第2回 自分を苦しめるもの」を見てみた。

どうやら、指南役の岸見一郎は安倍政権や報道機関に対して暗に批判しているようだ。

今回は、虚栄心、怒り、憎しみ、嫉妬のような自分を苦しめる感情について取り上げた。


虚栄心について


虚栄は人間的自然における最も普遍的な且つ最も固有な性質である。虚栄は人間の存在そのものである。人間は虚栄によつて生きてゐる。虚栄はあらゆる人間的なもののうち最も人間的なものである。

いかにして虚栄をなくすることができるか。虚無に帰することによつて。それとも虚無の実在性を証明することによつて。言ひ換へると、創造によつて。創造的な生活のみが虚栄を知らない。創造といふのはフィクションを作ることである、フィクションの実在性を証明することである。

人生論ノートより



虚栄心と付き合うためには


1.虚栄を徹底する 

岸見一郎「仮面をかぶり続けて虚像を演じきる。一生仮面を被り続ければ、それが本性になる。英語のパーソン(人間)はラテン語のペルソナ(仮面)を元にしている。これは、仮面が人そのものになることを暗示している」

2.虚栄心を小出しにする 

岸見一郎「日常生活で虚栄心を満足させるような、ちょっとした満足や贅沢をする」

3.想像によって虚栄を駆逐する

岸見一郎「三木清は「人生とはフィクションを作ることだ。」といった。人は一人ではいきていけないから、他人の評価や目を絶えず気にする。だが、そういう気持から作られる人生は虚栄。一方、自分の意思で人生を想像していけば虚栄を駆逐できる。今ある自分より上を目指し努力する。これは虚栄心というより向上心と言ってもよい」




嫉妬について


どのやうな情念でも、天眞爛漫に現はれる場合、つねに或る美しさをもつている。しかるに嫉妬には天眞爛漫といふことがない。愛と嫉妬とは、種々の点で似たところがあるが、先づこの一点で全く違つてゐる。即ち愛は純粹であり得るに反して、嫉妬はつねに陰険である。それは子供の嫉妬においてすらそうである。

愛と嫉妬とはあらゆる情念のうち最も術策的である。それらは他の情念に比して遙かに持続的な性質のものであり、従ってそこに理智の術策が入つてくることができる。また逆に理智の術策によつてそれらの情念は持続性を増すのである。如何なる情念も愛と嫉妬とほど人間を苦しめない、なぜなら他の情念はそれほど持続的でないから。この苦しみの中からあらゆる術策が生れてくる。しかも愛は嫉妬の混入によつて術策的になることが如何に多いか。だから術策的な愛によつてのほか樂しまない者は、相手に嫉妬を起させるやうな手段を用ゐる。

愛と嫉妬との強さは、それらが烈しく想像力を働かせることに基いている。想像力は魔術的なものである。ひとは自分の想像力で作り出したものに対して嫉妬する。

人生論ノートより

嫉妬の対象


1.自分より高い地位にある人

2.自分より幸福な状態にある人

3.特殊なものや個性的なものではなく量的なもの、一般的なもの

→嫉妬は平均化を求める感情

岸見一郎「努力して自分を高めればいいのに、相手を低めてしまう。日本の社会全体が平均化を求める傾向にある。

嫉妬から逃れるには、自分の個性を認めることから始めるしかない。他人のように自分を変える努力を止めたときに変われている。」




怒りについて


世界が人間的に、余りに人間的になったとき必要なのは怒であり神の怒を知ることである。今日、愛については誰も語っている。誰が怒について真剣に語ろうとするのであるか。切に義人を思ふ。義人とは何か、――怒ることを知れる者である。

今日、怒の倫理的意味ほど多く忘れられているものはない。怒はただ避くべきものであるかのように考へられている。しかしながら、もし何物かがあらゆる場合に避くべきであるとすれば、それは憎みであって怒ではない。

怒はより深いものである。

人生論ノートより



岸見一郎「(怒りを全面的に肯定しているわけではない)怒りは憎しみより比較的いい。内にこもって憎しみ続けるよりは、腹を立てたようがましだ。社会の利害関係の中で生まれる怒りは確かにあるし、この世にいろいろな不正が満ち満ちているでしょう。そのことに対して怒りを覚えることは必要だと思いますし、公憤のような正義感から怒ることは必要だと言ってますし、社会に怒ることもできない現実に憤りを感じていた」


怒りと憎しみの分類


怒りは突発的、憎しみは習慣的で永続的。

怒りは純粋性、単純性、精神性を持っている。憎しみは自然性(反知性的。理由がない)。

怒りは、目の前にいる人に向ける。憎しみは、目の前にいない人に対して向ける。


岸見一郎「”個人レベル”で相手を認めることができれば、憎しみという感情から逃れられる」




偽善について


偽善者が恐しいのは、彼が偽善的であるためであるといふよりも、彼が意識的な人間であるためである。

ナレーション「偽善者が意識しているのは、他人であり社会だ。彼は、他人の目や社会での評判を意識して、与えられた役割だけを果たそうとする。つまり、善悪の価値基準を他人にあずけて、自分では判断しない。これを三木は精神のオートマティズムと名付けた」

道徳の社会性というが如(ごと)きことが力説されるようになって以来、いかに多くの偽善者が生じたであろうか。

ナレーション「これが発表されたのは、昭和16年8月。数ヶ月後の海戦に向けて、翼賛態勢の重苦しい空気が言論界には垂れ込めていた。

今日どれだけの著作家が表現の恐ろしさをほんとに理解しているか

ナレーション「偽善者は往々にして権力にこびへつらい、他人をも破滅させる。国策に迎合する言論人への警鐘だったのかも知れません」


岸見一郎「(”道徳の社会性”とは、)ひとつには、個人よりも社会が優先されるべきだということ。個人の幸福を唱えてはいけないという時代背景で、こういう言葉が使われています。もうひとつには、倫理が上から押し付けられる時勢を念頭において”道徳の社会性”という言葉が使われている。時には疑問を感じるし、時には否定していかなければいけないのに、道徳が押し付けられる時代というは非常に危険。不正に対して異を唱えない人のことを”偽善者”という。(三木清が生きた時代は、)こんなことが起こっていたらダメになると思っていても、敢えて異を唱えない人が現れ始めていた時代(だった)。自分の保身のためにはならないとしても、表現者としての責任を決して忘れてはいけない。

(三木清は獄中死したが、)表現することによって殺されることがあることを私達は忘れてはならないし、これから同じことが繰り返されないように、言うべきことは言う勇気を持っていかなければならない」



次回

第3回 「孤独」や「虚無」と向き合う



【放送時間】
2017年4月17日(月)午後10時25分〜10時50分/Eテレ
【再放送】
2017年4月19日(水)午前5時30分〜5時55分/Eテレ
2017年4月19日(水)午後0時00分〜0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります

三木清は、哲学者ならではの視点から人間が置かれた条件を厳しく見定める。そして人間の条件の一つを「虚無」だと喝破する。だがこれは厭世主義ではない。人間の条件が「虚無」だからこそ我々は様々な形で人生を形成できるというのだ。また、一人だから孤独なのではなく、周囲に大勢の人がいるからこそ「孤独」が生まれると説く。そして、その「孤独」こそが「内面の独立」を守る術だという。第三回は、人間の条件である「虚無」や「孤独」との本当のつきあい方に迫る。

番組ホームページへ


関連記事: 100分de名著 「三木清 人生論ノート(1)真の幸福とは何か」を見てみた

      100分de名著「三木清 人生論ノート (3) 「孤独」や「虚無」と向き合う」

      100分de名著「三木清 人生論ノート (4) 「死」を見つめて生きる」を見てみた



感想

岸見一郎は獄中死した三木清が生きた時代は『道徳が上から押し付けられている状況』だったと言っているが、文科省によって『道徳の教科化』が進められている今の状況と似ている。

文部科学省は、小学校では2018(平成30)年度、中学校では2019(平成31)年度から「道徳の時間」を「特別の教科 道徳」に変更し、より力を入れていくとしています。円滑な社会生活を営むためには、さまざまなルール・マナーを身につけ、善悪の判断を行う必要があります。
いじめなどの重大な問題も少なくない昨今、ますます高まる道徳教育の必要性は高まっています。今までの道徳教育の変遷をたどるとともに、今後教科化に期待したいことを考えてみましょう。

ベネッセ教育情報サイト > 学校における道徳教育の変遷、教科化が目指すものとは

一見もっともらしいことを書いているが、ベネッセにとっては商品が増えることになるから『道徳の教科化』に賛成しているのだ。”道徳を習った”生徒が偏った価値観をもった大人にならないか心配だ。

また、公憤に従って言わなければいけないことをいう必要性についても話している。これは、政権批判政権に批判的なキャスターを降板させる現在の報道機関のあり方を批判していると思われる。

中央日報 > 安倍首相、メディアに口封じ? 政権批判のキャスター3人が同時降板

砂川浩慶立教大教授は「(キャスターの)交代が重なったのは偶然の要素が大きく、それぞれの事情があるだろうが、視聴者が見るには政権に批判的なキャスターが降板したという印象を否めない」とし「権力監視はメディア本来の役割であり、正しいか間違っているか正確に問題を指摘するキャスターがいなければいけない」と強調した。

何らかの圧力があったのか、メディアが政権の気を使ったのか不明だが、支持率の高い安倍政権は国民にとって意外と厄介かもしれない。

メディアは言うべきことを言えというのは、最近話題の共謀罪のことを言っているのだと思う。治安維持法があったような時代に逆戻りしないように共謀罪のマズさをちゃんと報道しろと言いたいのだろう。

最近、岸見一郎が人生論ノートを読み直す趣旨の本を書いた。100分de名著でやってくれてる解説と似たようなことが書いてあると思うが、はっきり政権批判してたら面白いな。


希望について: 続・三木清『人生論ノート』を読む
by カエレバ



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