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2016年06月07日

100分de名著 ルソー 『エミール』 第1回 「自然は教育の原点である」ダイジェスト



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今回の名著は「エミール」。

これは、ジャン=ジャック=ルソーが書いた教育論。

ルソーは、自由と平等を求めたフランス革命のきっかけとなる思想を広めたことでも有名。

「エミール」は教育論だが、「生きる意味」などルソーの思想全体がつまった本らしい。

「エミール」はルソーが49歳の時に書いた。


ルソーが発見した発達段階

第一編 乳児期(0~1歳)      快・不快(⇐発達段階)
第二編 児童・少年前期(1~12歳)  感覚・知覚
第三編 少年後期(12~15歳)    好奇心 有用性
第四編 思春期・青年期(15~20歳)  理性・道徳
第五編 青年期最後の時期(20~)  幸福・徳

指南役・西研(東京医科大学教授)
「子供に発達段階があるのは、私たちには当たり前だが、18世紀フランスでは新しい考え方だった。その都度、その都度の発達の中でふさわしい教育があるよ、という考え方を述べた」

伊集院光
「それが新しい考え方だったなんてピンと来ないですね」

西研
「ルソーの考え方が私たちの常識になったということですね」


朗読・要潤
「子どもについて
間違った概念をもっているので、
議論を進めれば進めるほど
迷路にはいりこむ。

このうえなく賢明な人々でさえ、
大人が知らなければならないことに熱中して、
子どもには
なにが学べるかを考えない。

かれらは子どものうちに大人をもとめ、
大人になるまえに子どもが
どういうものであるかを考えない」

ルソーが批判したのは、上流社会で行われた優れた教育。大人顔負けに古典を暗唱させるといったことが良い教育とされていた。しかし、子どもはあくまで子ども。発達段階に応じた教育をすべきと唱えた。

朗読・要潤
「万物をつくる者の手をはなれるとき
すべてはよいものであるが、
人間の手にうつるとすべてが悪くなる。

人間はみにくいもの、怪物を好む。
なにひとつ自然がつくったままにしておかない。
人間そのものさえそうだ。

庭木みたいに
好きなように
ねじまげなければならない。

しかし、そういうことがなければ、
すべてはもっと悪くなるのであって、
わたしたち人間は
中途半端にされることを好まない。

こんにちのような状態にあっては、
生まれたときから他の人々のなかに
ほうりだされている人間は、
だれよりも ゆがんだ人間になるだろう」


西研
「ルソーは文明に否定的なところがある。それで、ルソーの思想は『自然に帰れ』という標語で知られている。だが、ルソーはそう言っているんでない。いかに社会が身分などでがんじがらめにされていても、原始社会に戻ることはできないと言っている。(むしろ、)

教育や文明で人間をコントロールすべきと主張している」


「3種類の先生」による3つの教育

自然の教育…人間の内なる自然(先天性)による発展

人間の教育…親や教師などによる教育

事物の教育…経験から学ぶこと

西研
「自然の教育というのは、海や山ではなくて、体そのものが自然。人間の内なる「自然」が発展すると運動や知恵が身に着く。人間の体が自ずからたどるコースがある。

この先天性を踏まえて、いかに人間が教えるかというのが、人間の教育。

事物の教育というのは、経験から学ぶということ。

体(自然)の発達に沿って、大人が教え、経験で学ばせると人間として非常に良い完成形になる」


礒野佑子
「ルソーが掲げた教育の目標があります」

100.jpg
(▲西研)

西研
「一言でいうと、自然人と社会人の対立を克服すること。

『自然人』は、原始の人と言ってもよい。人間は、自分の欲求を満たすために生きている。

社会に適合した人になると、『自然人』としての自分が犠牲になる。

『自然人』と『社会人』の統合をルソーは目指した」


伊集院光
「これは誰しも悩むことだと思いますね」

礒野佑子
「ルソーは、発達段階の少年後期までは、自分のために生きる人間に育てる『自然人』教育を打ち出しているんですよね」


西研
「(15歳までは)ある意味、自己中に育てるわけですよね。15歳からは、他人に対する思いやりを持つように育てて、『自然人』かつ『社会人』に育つわけですね」


「一般意思」と『エミール』

礒野佑子
「エミールを読む上でキーワードになるものを紹介します。

(テロップを取り出して)

一般意思

1762年出版の『社会契約論』で提示された概念なんですね」


西研
「『社会契約論』は民主的な社会を作るための制度論。

『エミール』は民主的な社会を担う人間を育てるための教育論。


一般意思は、

みんなが(一般) 欲すること(意思)

という意味。


何が大事かというと、

民主主義の社会では人々が徹底的に議論して法を決める。
最終的には多数決できめるが、『多数が賛成』という点に正当性はない。

本当の意味で全員が望むこと(一般意思)が法の正当性を作るとルソーは考えた」


伊集院光
「一般意思が、自然人と社会人を共存させるんですか」


西研
「(伊集院を指さして)伊集院さんすごいですね。会議の場で、自分のいいたいことを言えというんですよ。自分をおいて、みんなのためみんなのためというのはバツなんですよ。まさにおっしゃったように。

『自分のため』と『みんなのため』を矛盾させないことが大事。

だから、『エミール』と『社会契約論』はつながっている」


礒野佑子
「『社会契約論』は出版されたフランスはどんな社会でしたか」


西研
「当時のフランスは王家が支配する絶対王政の時代。皆で話し合って法をつくるが、法を執行するのは役人。王様は役人サイドなので、実質、王のなすまま。これは危ないこと」

独学の天才 ルソー

ルソーが生まれたのは、フランスではなく、独立した都市国家ジュネーヴ。

生後まもなく、母を失い、時計職人の父の下で暮らした。

10歳の時に、父親が決闘沙汰を起こして逃亡。孤児同然になる。

時計彫刻職人への弟子など入りを経て、15歳で放浪の旅に出る。

そんな中で出会ったのが、夫を亡くした貴族の娘・ヴァラン夫人。ルソーは彼女の家に転がり込む。

そこには図書館があって、本を読み漁り、様々な知識を得る。正式な学校教育を受けないまま、独学で教養を身につけた。

転機が訪れたのは、38歳の時。懸賞論文に応募して、一等に入選する。

ルソーが書いたのは、学問や芸術が人間をいかに堕落させたか。(『学問芸術論』)


朗読・要潤
「学問、文学、芸術は、
政府や法律ほど専制的ではありませんが、
おそらくいっそう強力に、
人間を縛っている鉄鎖を花環(はなわ)でかざり、

人生の目的と思われえる
人間の生まれながらの
自由の感情をおしころし、
人間に隷従状態を好ませるようにし、
いわゆる文化人を作り上げました。

学問芸術の光が
地平にのぼるにつれて、
徳が逃げていくのがみられます」


西研
「ルソーは屈折したところがあって、サロンに通う知識人と付き合わないことを誇りにしていた。

不遇時代にスキャンダルがあって、下宿先のお手伝いさん・テレーズとの間に5人の子供を作って、孤児院に入れた。

これを、ヴォルテールがすっぱ抜いて、『理想の教育を説く人は…』というので、大変な大スキャンダルになった」

伊集院光
「お前が他人のことを言っている場合か ということですよね」


西研
「ルソーは、音楽か文芸で身を立てたかったが、そうするためには孤児院に預けるしかなかったと思う。ルソー自身は、そのことへの負い目はあったと思う。『エミール』を書いたのは、こんな風に子どもを育てられたら良かったのになぁという思いもあっただろう」


礒野佑子
「それでは、『エミール』の第一編をご紹介しましょう。

主人公はエミールという架空の男の子。

孤児なので、ルソーが家庭教師として、事実上の親代わりとして育てることになります。

その他にエミールにお乳をあげる乳母がいます。

育てる環境は、田舎で育てることになるんですよね」


西研
「身分や財産で差別される社会から隔離するために田舎で育てる」


礒野佑子
「エミール君、どのように育っていくんでしょうか」


『エミール』 第一編

第一編は、0歳から1歳までの乳幼児の育て方だ。発達段階に応じて、相応しい育て方があるはずだというルソーは、乳幼児期に大切なのは、運動能力を十分に発揮させることだと言う

当時のフランスでは、裕福な母親は社交界を優先し、子育ては乳母に任せっきりだった。楽をしたい乳母は、赤ん坊が動き回らないように産着で体を締め付け、その上、壁にひっかけたりしていた。

そうして赤ん坊をほったらかしにし、泣いたら仕方なくお乳をやる。そんな子育てにルソーは異議を唱えた。


朗読・要潤
「子どもの手足を動けないようにしばりつけておくことは、
血液や体液の循環を悪くし、
子どもが強くなり大きくなるのをさまたげ、
体質をそこなうだけのことだ。

こういう残酷な拘束が気質や体質に影響せずにすむだろうか。
子どもたちが感じる最初の感情は苦痛の感情である。

子どもは求めているあらゆる運動にたいして、
それを妨げるものを見出すに過ぎない」


家庭教師・ルソーは都会を離れ、自然豊かな田舎でエミールを育てる。窮屈な産着から解き放ち、自然な成長を促す。乳児のエミールは泣くことで、自分の欲求を伝える。乳母は泣き声の大きさや抑揚を聞き分け、お乳やおしめの交換をする。

しかし、その泣き声に無制限に取り合っていると、子どもをわがままな暴君の育てかねないと警告する。


朗読・要潤
「子どもの最初の鳴き声は願いである。
気をつけていないと、それはやがて命令になる。

はじめは助けてもらっているが、
しまいには自分に仕えさせることになる。

こうしてかれら自身の弱さから、
はじめは自分はほかのものに依存しているという
感情が生まれるのだが、
つづいて権力と支配の観念が生まれてくる」

礒野佑子
「(子育ての経験談)泣き声でお乳だ、おしめだ、というは分かるようになるんですね。

だけど、それが命令に変わるというのは怖いですね」


西研
「自由を求めたルソーは『暴君』に育てたくないという思いが強いから、一切の子どもにそういう無理なことを言っているのかなと思いますね。

子どもを見つめて思いを感じ取り、適切に対応するのが一番大事」


感情と感覚を育てる

西研
「子どもの発達に関わっているお医者さんから聞いた話なんですけども、泣いている原因がおむつなのか、ミルクなのか、適切に子どもに対応すると、快や不快の感覚が区別できるようになる。

逆に、寒くて泣いている時に、機械的に哺乳瓶を口に入れるような虐待めいたことをしていると、感覚が異常になる。寒い時に、Tシャツ一枚で過したりするようになる。

子どもの感覚を育てるためには、親が子どもを思いを感じ取って、適切に対応しなければいけない。

感覚、感情、欲求を自分のものとして自覚できることが自然人教育(の段階)では非常に大切」


礒野佑子
「次回は、『エミール』の第二編と第三編です。少年期へと進みます。西さん、次回もよろしくお願いします」


西研
「よろしくお願いします」


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【再放送】
2016年6月8日(水)午前5:30〜5:55/Eテレ(教育)
2016年6月8日(水)午後0:00〜0:25/Eテレ(教育)


次回

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第2回 「好奇心」と「有用性」が人を育てる

【放送時間】
2016年6月13日(月)午後10:25〜10:50/Eテレ(教育)

【再放送】
2016年6月15日(水)午前5:30〜5:55/Eテレ(教育)
2016年6月15日(水)午後0:00〜0:25/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります

【指南役】
西研(東京医科大学教授)
…「大人のための哲学授業」等の著作で知られる哲学研究者
【朗読】
要潤
…ドラマ「新・愛の嵐」「夜王」、歴史番組「タイムスクープ・ハンター」等に出演
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