新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2016年07月09日
NSAIDs潰瘍の予防
アメリカ消化器秒学会が出したNSAIDs潰瘍合併症予防ガイドラインから引用
NSAIDs潰瘍のリスク分類
○highリスク
・出血潰瘍の既往
・3個以上のmoderateのリスクファクター
○moderateリスク(1〜2個)
・65歳以上
・高用量のNSAIDs
・出血をともなわない潰瘍の既往
・アスピリン・抗凝固薬・ステロイドを併用
○lowリスク
リスクファクターなし
このリスク分類とさらに心血管リスクがlowかhighかで薬剤を使い分ける
○心血管リスクlow
・low:NSAIDs単独
・moderate:NSAIDs+PPI/ミソプロストール
・high:代替療法を推奨 COX-2選択的阻害薬+PPI/ミソプロストール
○心血管リスクhigh
・low:ナプロキセン+PPI/ミソプロストール
・moderate:ナプロキセン+PPI/ミソプロストール
・代替療法:NSAIDs/COX-2選択的阻害薬を避ける
ミソプロストール:プロスタグランジン製剤 サイトテック
COX-2選択的阻害薬は非選択的阻害薬のNSAIDsと比較して心血管ベントが2.38倍に増加したとの報告があるようです。 N Engl J Med, 343 : 1520-1528, 2000
何気なく処方していた解熱鎮痛薬と胃薬ですがこれまた奥が深い!!
価格:5,400円 |
症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け改訂版 [ 藤村昭夫 ] 価格:3,888円 |
潰瘍と胃薬
まずはストレス潰瘍について
ストレス潰瘍予防ガイドラインより
胃薬の適応について
○絶対適応(1つ以上満たす場合)
・凝固障害(血小板5万以下、PT-INR 1.5以上、APTT 2秒以上の延長)
・挿管が48時間を超える
・1年以内の上部消化管潰瘍・出血既往
・外傷性脳挫傷、外傷性脊髄損傷、熱傷
○相対適応(2つ以上を満たす)
・敗血症
・1週間以上のICU入院
・潜在的な消化管出血が6日間以上
・ステロイド療法(1日250mg以上のヒドロコルチゾン)
○敗血症患者へのストレス潰瘍予防の推奨
・危険因子のない患者には予防投与は行うべきではない(2B)
・出血リスクの高い重症敗血症(性ショック)の患者にはストレス潰瘍の予防を推奨する(1B)
・予防にはH2受容体拮抗薬よりもPPIの方が望ましい(2C)
豆知識として
・PPI、H2受容体拮抗薬は誤嚥性肺炎のリスクを高める
・PPIでClostridium difficile腸炎のリスクが少し上がる
価格:8,640円 |
価格:1,296円 |
そうだったのか腹部診察:腹膜刺激症状
そもそも腹膜刺激症状って、なんで腹膜に炎症が及んだときにそのような診察をするのかを考えたことがありませんでした。
そもそも腹膜は前面は腹壁・腹筋で覆われており、後面は腸腰筋で覆われています。上面の位置するのは横隔膜、下面には骨盤腔・直腸があります。
これがわかると診察の意義がみえてくる。
前面への炎症の波及を見るのがtapping painや反跳痛
後面への波及を見るのがpsoas sign
下面は直腸診を行うことで炎症の波及を見ることができる
上面は胸式呼吸をすることで炎症の波及を見ることができる
そして腹部全体への波及を見るのがheel dropとspeed dump。
またposts signや胸式呼吸、heel drop、speed bumpは診察室以外でも歩いたら痛い、呼吸をしたら痛い、来院中の車の振動が辛かったなどといった問診からもうかがい知ることができます。
身体診察は奥が深い!!
価格:6,480円 |
価格:6,480円 |
呼吸音の聴診
○wheezes
高音性連続性ラ音と呼ばれ、気道の病変を示唆する。
空気の通り道が狭くなっていることをあらわす。
気管支喘息、COPD、肺水腫、などの疾患を想起す。
喘息発作時には様々な程度に末梢気道が狭窄するので様々な高さの音が混じって聞こえる
○crackles
吸気の初めから最後まで聞こえるものをpan(holo)-inspiratory crackles。肺胞に病変が及んでいるときに聞こえる
吸気の週末にかけて増強するものをlate inspiratory crackles。間質に病変が及んでいるときに聞こえる
細菌性肺炎や心不全は本来panが聞こえる。
例外的に治療器や早期のものでlateとなることもある。
呼吸音の聴診についてかなりざっくりまとめました。もっと詳しく知りたいという人は↓の本で理論を勉強をしながら、いろんな患者さんの呼吸音を毎日聞くことをお勧めします。
価格:6,048円 |
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療
対象は経口ステロイドを3か月以上使用中あるいは使用予定の人
↓
個々の骨折危険因子をスコアで評価(評価法は下に記載)
↓
3点で対処法が変わる
○3点未満
経過観察、スコアを用いた定期的な骨折リスクの評価
○3点以上
薬物療法
・第1選択薬:アレンドロネート、リセドロネート
・代替治療薬:遺伝子組み換えテリパラチド、イバンドロネート、アルファカルシドール、カルシトリオール
スコアの付け方
○既存骨折・・・なし0点、あり7点
○年齢・・・50歳未満0点、50〜65歳未満2点、65歳以上4点
○ステロイド投与量(PSL換算mg/day)・・・5未満0点、5〜7.5未満1点、7.5以上4点
○腰椎骨密度(%YAM)・・・80以上0点、70〜80未満2点、70未満4点
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版) [ 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員 ] 価格:3,024円 |
【DHC直販サプリメント】カルシウムをしっかり定着させたい方や、もっと効率的にカルシウムを補給したい方に。カルシウム+CBP 徳用90日分【栄養機能食品(カルシウム)】 10P09Jul16 価格:1,274円 |
2016年07月08日
一日必要エネルギー量の計算
塩分や蛋白制限食については医者が指示を出すことに納得がいくのですが、1日のカロリーやら主食はごはんかおかゆかパンか、その量の決定も全部医者の仕事です。
以下の計算式は自分で使うことはあまりないですが、いざという時のためにどこかにメモしておいた方がいいです。
○ざっくりと
身長(m)×身長(m)×22×仕事量
・仕事量とは
軽労作:25〜30 kcal/kg
中等労作:30〜35 kcal/kg
重労作:35〜 kcal/kg
これなら暗記は可能かなと思います。
○Harris-Benedictの式
・基礎エネルギー消費量
男=66.47+13.75W+5.0H−6.76A
女=655.1+9.56W+1.85H−4.68A
W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢(歳)
・一日必要エネルギー量
=基礎エネルギー消費量×活動係数×ストレス係数
活動係数
1.0-1.1 寝たきり
1.2 ベッド上安静
1.3 ベッド以外での活動
1.5 やや低い活動
1.7 適度な活動
1.9 高い活動
ストレス係数
手術 軽度1.1 中等度1.2 高度1.8
外傷 骨折1.35 頭部損傷でステロイド使用1.6
感染症 軽度1.2 中等度1.5
熱傷 体表面積の40% 1.5 100% 1.95
癌 1.1-1.3
体温 36度から1度上昇ごとに0.2増加
これは暗記不可能。必要に応じてメモを見ながら計算です。
医学部の授業で「栄養学」をやっているところはほとんどないかもしれません。
各専門疾患での治療食の勉強も必要ですが、何気ない日常生活での栄養学も地味に重要ではないかと思います。
↓の本は、漫画で1時間足らずで読めてしまうので、軽く栄養学を勉強したい人におすすめです。
価格:2,160円 |
2016年07月05日
胃薬
ここでは機序別にまとめてみる。また例によって聞きなれた商品名のみ記載します。
○プロトンポンプ阻害薬(PPI)
オメプラール、オメプラゾン、タケプロン、パリエット、ネキシウム、タケキャブ
○ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)
ガスター、アシノン、プロテカジン、アルタット
○ピロリ菌除菌薬
・抗菌薬
アモキシシリン水和物(サワシリン、パセトシン)
クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)
メトロニダゾール(フラジール)
・プロトンポンプ阻害薬(PPI)
オメプラゾール(オメプラール、オメプラゾン)
ランソプラゾール(タケプロン)
ラベプラゾールナトリウム(パリエット)
エソメプラゾールマグネシウム水和物(ネキシウム)
ボノプラザンフマル酸塩(タケキャブ)
○防護因子増強薬
アルサルミン、セルベックス、ムコスタ、ガストローム、プロマック
○消化管機能改善薬
ガスモチン、プリンペラン、ナウゼリン、セレキノン
機序別の使い分け
・胃薬は「消化性潰瘍治療薬」と「消化管機能改善薬」に分類される
・消化性潰瘍治療の主体はプロトンポンプ阻害薬である
・ピロリ菌要請の消化性潰瘍には除菌療法を行う
・胃食道逆流症(GERD)の治療の主体はプロトンポンプ阻害薬である
・機能性ディスペプシアの治療には主に酸抑制薬と消化管機能改善薬を用いる
症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け改訂版 [ 藤村昭夫 ] 価格:3,888円 |
睡眠障害に対する生活習慣改善へのアドバイス
入院患者の不眠の原因として、治療によるもの、環境の変化、心理的なもの、生活スタイルの変化などが挙げられます。
睡眠薬を上手く使いこなすことも重要ですが、まずは薬に頼らなくていいように生活習慣の改善が必要です。
これは入院中も自宅にいるときにも使えます。
@ 睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ、睡眠時間は十分である。
A 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法を行う。
B 眠たくなってから床に就く。就寝時刻にこだわる必要はない。
C 同じ時刻に毎日起床する。
D 光を利用する。目が覚めたら二校を取り入れ、夜は明るすぎないような照明を。
E 規則正しい3度の食事と、適度な運動習慣を。
F 昼寝をするなら、15時前20分〜30分ぐらいがベスト。
G 眠りが浅いなあと感じる時は、遅寝・早起きにして、むしろ積極的に睡眠時間を削ること。
H 睡眠中の激しいイビキや呼吸停止、足のぴくつき・むずむず感には、注意する。
I 十分眠っても眠いことが続くのあれば、専門医に相談すること。
J 睡眠薬代わりの寝酒は不眠の原因になる。
K 睡眠薬は、医師の指示で正しく使えば安全。
睡眠障害対処12の指針:厚生労働省より引用・改変
価格:972円 |
睡眠薬の分類
ここでは主に用いられる睡眠薬の分類をします。
例によって、院内で採用のある使い慣れた商品名を記載します。
○ベンゾジアゼピン受容体作動薬
・超短時間作用型
ベンゾジアゼピン系:ハルシオン
非ベンゾシアゼピン系:マイスリー、アモバン
・短時間作用型
ベンゾジアゼピン系:デパス、レンドルミン、グッドミン
・中間作用型
ベンゾジアゼピン系:ユーロジン、サイレース、ワイパックス
・長時間作用型
ソメリン、ドラール、ダルメート
○メラトニン受容体作動薬
ロゼレム
注意点
・不眠に対して、睡眠薬の安易な投与は避けて、原因の同定とその治療が優先。
・睡眠薬は上記のように分類される。
・不眠症状のタイプ(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠感欠如)に合わせた薬物を使用する。
入眠障害には超短時間や短時間作用型
中途覚醒や早朝覚醒には中間や長時間作用型の投与が一般的。
・メラトニン受容体作動薬はほかの睡眠薬に比べて、効果が強くないため、強い不眠には向かない。
症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け改訂版 [ 藤村昭夫 ] 価格:3,888円 |
2016年07月04日
浮腫と利尿薬 作用機序による分類
まずは作用機序による分類。
1ループ利尿薬・・・ラシックス、ダイアート、ルプラック、ルネトロン、アレリックス
2サイアザイド系利尿薬・・・フルイトラン、ヒドロクロロチアジド「トーワ」、ベハイド、ナトリックス、バイカロン
3カリウム保持性利尿薬・抗アルドステロン薬・・・アルダクトンA、セララ、ソルダクトン、トリテレン
4ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド・・・ハンプ
5バソプレシンV2受容体拮抗薬・・・サムスカ
○ループ利尿薬は利尿効果が強く、浮腫やうっ血による呼吸困難などの症状を早急に改善したい時に使う
○サイアザイド系利尿薬の利尿効果は緩徐だが、ループ利尿薬との併用でより強力に利尿できる
○カリウム保持性利尿薬は、ほかの利尿薬による低カリウム血症の予防に併用される。また抗アルドステロン薬は、心臓や腎臓などの臓器保護効果も期待して使用されることがある
○ハンプは急性心不全において多用され、利尿作用により体液貯留を改善するとともに血管拡張作用により心負荷を軽減する
○サムスカは、バソプレシンを阻害することで水利尿を引き起こし、心不全や肝硬変による体液貯留に用いられる
症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け改訂版 [ 藤村昭夫 ] 価格:3,888円 |