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2017年03月03日

慢性骨髄性白血病と類白血病反応

先日、当直中にDICも合併するようなかなり激しい尿路感染症のお年寄りが搬送されました。
血算では、白血球が4万を超えており、幼若な顆粒球が末梢血に出現していました。
技師さんに末梢血の塗抹標本を作ってもらい一緒に鏡検したところ好酸球や好塩基球の出現はなく、また尿路感染の治療経過で白血球数も低下したことからも類白血病反応という結論に至りました。
慢性骨髄性白血病かとヒヤヒヤしましたが、めでたしめでたし。ということで、
CMLと類白血病反応、またそれに関連して慢性好中球性白血病についてまとめてみました。
◎類白血病反応

○概念
白血病以外の基礎疾患により反応性に白血球が増加し、血液像が白血病と類似した状態になること。

○原因
1、感染症
2、悪性腫瘍に伴うもの
3、内因性、外因性中毒に伴うもの

○機序
1、細菌感染では細菌由来のエンドトキシンなどにより、単球やマクロファージが刺激され、G-CSF産生が促進される。またIL-1やTNFも産生されこれらが血管内皮細胞や線維芽細胞からのG-CSF産生を誘導する。
2、悪性腫瘍では、G-CSFやGM-CSFを自ら分泌するものがある。また、IL-6、TNFなどのサイトカインを介して、血管内皮細胞、線維芽細胞、単球などからのG-CSF産生を亢進させるものがある。
3、内因性として、糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、子癇、熱傷など。外因性としては、水銀、鉛、ヒ素、一酸化炭素、アルコール、有機溶剤など。これらの場合もIL-6やTNFなどの炎症性サイトカインが誘導され、G-CSF産生が促進される。

○類白血病反応とCMLの鑑別
 
       類白血病反応    CML
基礎疾患      +        −
WBC      <5万/μL   数万〜数十万
Ph染色体      −        +
NAP      正常〜増加     低下
好酸球増加     −        +
好塩基球増加    −        +
幼若顆粒球     +        −
好中球顆粒  中毒性顆粒出現    脱顆粒
血小板数    減少〜増加    正常〜増加
血小板形態     正常     大型〜巨大出現あり
赤芽球出現    時にあり      なし


○CMLと慢性好中球性白血病(CNL)の鑑別

・CML:顆粒球系全般に顆粒が少ない、好酸球や好塩基球の軽度増加、NAP染色低値、Ph染色体やBCR-ABLキメラ遺伝子の検出

・好中球増加(2万/μL)、NAP染色高値、Ph染色体やBCR-ABLキメラ遺伝子が検出されない

○慢性好中球性白血病
まれな骨髄増殖性腫瘍で生存期間は6ヶ月から20年。急性転化することもある。
WHO分類第4版で診断基準の記載はあるが、具体的に何項目当てはまると診断して良いかなどの記述はない。以下に診断基準の概要を抜粋。
1、末梢血での白血球数25,000/μL以上
2、生検で過形成骨髄
3、肝脾腫
4、生理的好中球増加の原因がないこと
5、Ph染色体あるいはBCR/ABL遺伝子融合を認めない
6、PDGFRA、PDGFRB、FGFR1の再構成を認めない
7、他の骨髄増殖性腫瘍を認めない
8、骨髄異形成症候群あるいは骨髄異形成症候群・骨髄増殖症を認めない


2016年12月07日

せん妄の対処

入院患者、特に高齢の患者で頻繁に発生するせん妄。夜間、看護師の少ない時間帯に起こりやすく、かなり手を煩わせてしまいます。どこの病院でも必ず入院時に指示簿に対処法を記載しているはずです。
今回は簡単な背景知識の整理と処方例をいくつかの本からとってきました。


せん妄とは、脳の機能不全に基づく軽度から中等度の意識混濁と意識変容、認知の変化を呈する症候群。


1、軽度から中等度の意識障害・・・注意の集中、維持、転導の障害(会話に集中できない、すぐにうとうとしてしまうなど)
2、認知の変化・・・記憶欠損(記憶がところどころ曖昧)、失見当識(入院して何日経った思い出せない)、言語の障害(発語がうまくできない)
3、知覚の変化・・・錯覚(布団のヒダが生き物のように見える)、幻覚(いないはずの人が見える)、妄想(幻覚から妄想を抱く)
これらが短期間のうちに出現し、変動する。

〇準備因子:中枢神経系の脆弱性要因・・・認知症、高齢者、脳器質性疾患の既往歴、複数の合併症、慢性腎疾患、肝疾患、男性
〇直接因子:単独で意識障害をきたしうる要因・・・中枢神経系疾患、代謝異常、循環障害、呼吸障害、感染症、内分泌疾患、膠原病、栄養障害、手術侵襲、依存・乱用物質、医薬品
〇促進因子:意識変容をきたしうる主に環境的要因・・・環境変化、感覚障害、動けない状態、身体的ストレス、心理的ストレス、睡眠妨害要因


治療
まずは誘発要因を見極め、解消していくことが重要である。要因の除去が困難な場合には対症療法ではあるが、薬物による鎮静が必要となる。


処方例(いくつかのテキストを参考にしています)

〇緊急対応
・セレネース5mg+生食50mlを1時間で静脈内点滴:静脈内投与では錐体外路症状が出にくい。QTc延長があるバイは心電図検査、モニター装着を行う。
・リスパダール内用液:鎮静作用は弱いが飲料に混ぜて投与可能。錐体外路症状の出現を抑えるため2mg以下に留める。
・コントミン筋注25mgまたは生食50mlに溶かして1時間で静脈内点滴:セレネースと同等の効果、副作用。鎮静効果が強いが血圧低下、イレウスの可能性。筋注よりは静脈内投与が一般に用いられる。

〇経口摂取可能時
・セロクエル錠25mg 1回25-50mg:強めの鎮静効果。過活動型せん妄の第一選択の内服薬。糖尿病は禁忌。錐体外路症状は非常にまれ。パーキンソン病患者で第一選択。
・テトラミド(10) 1回 10-30mg:糖尿病、錐体外路症状を気にせず使用可能。口渇、前立腺肥大で尿閉に注意。



抗精神病薬の知識整理

研修も2年目の12月。指導医にかなりのことを任され、完全に外来(主に救急)対応から家族へのIC、入院手続き、書類の作成、治療法の決定から退院まで一人で任されることが増えてきました。

いろんな患者さんをみるたびに、今まで何となくやっていたことをもう少し深く掘り下げて考えるようになり大変勉強になります。

今回はせん妄患者に用いることのある抗精神病薬についてまとめてみました。内科医の目線で、自分の持ち患者にどう対応するかという視点で作ってありますので内容の薄っぺらいところもありますし、普段見かけない薬剤については省いてあります。

抗精神病薬
・睡眠には至らないものの、幻覚妄想、興奮を鎮静する薬剤
・ドパミンD2受容体遮断作用

初期の第一世代と新規の第二世代がある
・第二世代の方が穏やかにドパミンD2受容体を遮断するため、指摘投与量の幅が広く、錐体外路症状の副作用が生じにくい。ただし一部体重増加をきたしやすいものもある。

〇第一世代:
・ハロペリドール:セレネースレジスタードマーク・・・古くから使用される基本の抗精神病薬。唯一、静脈内投与できる。抗幻覚妄想作用は強いが錐体外路症状も出やすい。術後せん妄にも用いることがある。

・クロルプロマジン:ウインタミンレジスタードマークコントミンレジスタードマーク・・・適応症が幅広い。抗ヒスタミン作用があり、催眠効果を期待して使用することも。

その他、レボメプロマジン、ゾテピンなど


〇第二世代
・リスペリドン:リスパダールレジスタードマーク・・・第二世代の基本。液剤、持効性注射など剤型が豊富。第二世代の中では錐体外路症状、高プロラクチン血症の副作用を生じやすい。頓服薬として選択することも多く、せん妄患者にも用いることが多い。

・オランザピン:ジプレキサレジスタードマーク・・・糖尿病患者に禁忌。ステロイド使用中の場合にも注意。食欲増進、体重増加の副作用もあり、定期的に血液検査を。第二世代の中では鎮静作用に優れる。作用時間長く1日1回でも可能。ザイディスレジスタードマークなら飲み込まなくてもよい。

・クエチアピン:セロクエルレジスタードマーク・・・糖尿病患者に禁忌。ステロイド使用中の場合にも注意。食欲増進、体重増加の副作用もあり、定期的に血液検査を。鎮静作用に優れる。1日2.3回の内服の必要があるが用量の幅があり、少量で不眠症やせん妄に対する治療の用いることも多い。錐体外路症状、高プロラクチン血症の出現が少ない。

・アリピプラゾール:エビリファイレジスタードマーク・・・日本で開発された。用量調節が難しく、開始する際は専門医へのコンサルトが望ましい。

その他ベロスピロン、ブロナンセリン、クロザピンなど。



2016年11月21日

DOAC(プラザキサ)の中和薬の登場:イダルシズマブ(プリズバインド)

ワルファリンよりも固定用量でよく管理がしやすい、脳梗塞予防効果は同等かそれ以上、大出血は同等かそれ以下、頭蓋内出血を大幅に低下するというメリットがあるDOAC。

弱点としては確たるモニタリング指標がない、中和薬がないということが挙げられました。

が、ついにDOAC初の中和薬が販売開始となりました。

プラザキサに対する中和薬、イダルシズマブ(プリズバインドレジスタードマーク、日本ベーリンガーインゲルハイム社)です。

上記のメリットがあるDOACですら大出血は起こしうります。大出血時の対応として、まず休薬、止血操作、バイタルの安定化、脳出血であれば十分な降圧を行っておりました。
また、FFPを何となく投与することもありました。

プリズバインドはPRazaxaとIdaruciZumabが迅速にBINDして効果を発揮することに由来しています。

効能・効果としては
・生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時
・重大な出血が予測される緊急を要する手術または処置の施行時

国内第T相試験では
投与後1分以内に、希釈トロンビン時間が正常値上限を下回り、24時間持続することが証明されています。
第V相試験(RE-VERSE AD試験)でも同様の迅速、完全、持続性の中和効果が認められています。

今までワルファリンとDOACどちらを選択するか、切り替えを行うべきか否かで迷う症例が数多くありました。出血の合併症ではDOACに劣性であっても、ケイツーを入れればすぐに中和できるワルファリンをあえて選ぶという先生もおられるかと思います。

プラザキサの中和薬プリズバインドの登場によってDOACとワルファリンの勢力図にさらなる変化がみられるかもしれません。


2016年11月04日

新しくなった多発性骨髄腫の診断基準

2014年にIMWG(International myeloma working group)により、多発性骨髄腫の診断基準が改訂された。以前の診断基準と比べて変更になったのは

・以前、くすぶり型多発性骨髄腫と呼ばれていたものの中で2年以内に80%以上の頻度で臓器障害を持つ多発性骨髄腫に進行すると予想されるものは治療の適応とした。
・症候性骨髄腫、無症候性骨髄腫という病名は使用されなくなった。

点が挙げられる。

Lancet Oncol 15: e538-548, 2014. からの引用で、多発性骨髄腫とくすぶり型多発性骨髄腫の診断基準を記述します。

多発性骨髄腫の定義
以下の2項目を満たす。
1、骨髄のクローナルな形質細胞割合が10%以上、または生検で確認された骨もしくは髄外形質細胞を認める(クロナリティーはフローサイトメトリー、免疫組織化学ないし免疫蛍光法でκ/λ比の偏りを証明することが必要である)
2、以下に示す骨髄腫診断事象(myeloma defininf events)の1項目以上を満たす。

骨髄腫診断事象
◎形質細胞腫瘍に関連した臓器障害
・高カルシウム血症:血清カルシウム>11mg/dLもしくは基準値上限より>1mg/dL高い
・腎障害:クレアチニンクリアランス<40mL/min(実測するか、推定[MDRD][CKD-EPI]を用いる)もしくは血清クレアチニン>2mg/dL
・貧血:ヘモグロビン<10g/dLもしくは正常下限より>2g/dL低い
・骨病変:全身骨単純X線写真、CTもしくはPET-CTで溶骨性病変を1か所以上認める(骨髄中形質細胞比率が10%未満の場合は孤立性形質細胞腫との鑑別のために2つ以上の溶骨性病変が必要である)。

◎進行するリスクが高いバイオマーカー
・骨髄のクローナルな形質細胞割合60%以上
・血清遊離軽鎖(FLC)比(M蛋白成分のFLCとM蛋白成分以外のFLCの比)100以上
(Binding Site社のserum Freelite assayを用いる、またFLC 100mg/L以上が必要である)
・MRIで局所性の骨病変(径5mm以上)>1個

くすぶり型多発性骨髄腫の定義
以下の2項目を満たす
1、血中M蛋白(IgGもしくはIgA)量 3g/dL以上もしくは尿中M蛋白量 500mg/24時間以上、または骨髄のクローナルナ形質細胞割合が10〜60%
2、骨髄腫診断事象およびアミロイドーシスの合併がない

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2016年10月03日

慢性骨髄増殖性腫瘍の知識整理:治療

・CMLの治療の基本はTKIであり、イマチニブ・ニロチニブ・ダサチニブが使用可能である。いずれのTKIも慢性期CMLに対して高い効果が示されているが、ニロチニブ・ダサチニブはそれぞれイマチニブとの比較試験で早期の奏効率が優れ、移行期または急性転化への移行が少ない。

・それぞれのTKIで有害事象の特徴が異なっており、合併症などの背景を考慮して初期治療薬を選択するが、抗腫瘍効果の高い第二世代TKIが選択される。

・治療効果判定やモニタリングはEuropean LeukemiaNet 2013に従い、末梢血検体でのPh染色体割合(FISH法)やBCR-ABL融合mRNA定量で行う。

・治療の問題点として薬剤耐性が挙げられ、特にT315Iには上記のすべてのTKIが無効となり治療困難となるが、T315Iにも有用なPonatinibの臨床開発がすすめられている。


・PV/ETの治療目的は血栓症の予防であり、60歳以上、血栓症の既往歴などのリスク因子を有するかにより治療方針がきまる。治療として、抗血小板薬やハイドロキシウレアの内服、またPVでは瀉血も行われる。


・PMFの治療方針はそのリスク分類に基づき行われる。予後予測のモデルとしていくつか報告あるが、年齢、血球数、症状、染色体異常などがリスク因子として挙げられる。

・低リスク群では経過観察。

・高リスク群では唯一の根治療法であるallo-HSCTが適応となるが、非適応例では輸血を主とした支持療法が行われる。

・脾腫による圧迫症状の改善のために、脾照射や脾摘が行われることもあるが、照射効果は一時的であり、髄外造血の抑制による血球減少の増悪がみられることがある。脾摘は5〜10%程度の手術関連死亡が報告されている。

・現在日本で使用可能なJAK阻害薬としてRuxolitinib(ジャガビレジスタードマーク)はPMFまたはPV/ETから移行した二次性骨髄線維症に対して支持療法と比較して、無増悪期間や全生存率では有意差を認めていないが、巨脾の改善や輸血頻度の改善をもたらすことが示唆されている。


慢性骨髄増殖性腫瘍の知識整理:診断

・MPNは造血幹細胞レベルでの以上により、クローナルナ骨髄系細胞の増殖をきたす「疾患群」のことをさす。

・MPNとしては慢性骨髄性白血病CML、真性多血症PV、本態性血小板血症ET、原発性骨髄線維症PMFが存在する。

・PVの90%以上、ET/PMFの約50%にJAK2遺伝子変異(JAK2V617F変異)がみられる。またこの遺伝子変異陰性ET/PV症例の多くにトロンボポエチン受容体遺伝子MPL変異またはcalreticulin(CALR)遺伝子変異がみられる。

・CMLの診断はt(9;22)(q34;q11.2)またはBCR-ABL融合遺伝子の存在を確認することが必須である。

・CMLは慢性期、移行期、急性転化の3病期に分けられ、病期により予後や治療方針が異なる。

・NAP scoreの上昇やblastの増加、貧血・血小板減少の進行は急性転化を示唆する。

・WHO分類の診断基準では、診断に必須ではないもののPV/ET/MFにJAK2変異が組み込まれた

・PMFでは髄外造血のためにleukoerythroblastosisがみられ、巨大脾腫がみられることもある。


2016年10月02日

骨髄異形成症候群の知識整理

・MDSは後天的に獲得した遺伝子変異を持つ造血幹細胞に由来する疾患であり、形態学的異形成をもつ血球が増加し無効造血をきたす。またAMLへ進展する可能性がある。

○MDSの定義(検査データ)
Hb 10 g/dL未満、好中球数 1,800 /μL未満、血小板数 10万 /μL未満

○MDSに特異性が高い異形成
環状鉄芽球、顆粒球系の脱顆粒や低分葉・微小巨核球

・末梢血の血球減少の系統数、骨髄で異形成の見られる系統数、末梢・骨髄のが球割合によって核病系に分類される。

○MDSの予後予測
International Prognostic Scoring System(IPSS)
・・・骨髄芽球比率、染色体核型、血球減少の系統数により予後を4つに分類する。

改訂IPSS
・・・骨髄芽球比率、染色体核型、ヘモグロビン値、血小板数、好中球数により予後を5つに分類する。2012年に発表された。 Blood 120 : 2454-2465, 2012

○治療方針
疾患側因子・・・予後予測ツールを用いる
患者側因子・・・年齢、合併症、ドナーの有無
これらを総合的に判断して決定。


予後分類で
低リスク群:長期予後が期待できるため、治療関連毒性の高い治療は選択されず、輸血・抗菌薬・鉄キレート剤などによる指示療法。

高リスク群:MDSを唯一治療可能であるallo-HSCTが選択肢にあげられる。

各分類の中でも芽球割合の高いRAEB(refractory anemia with excess blasts)では移植前にAMLに準じた化学療法やアザシチジンを用いることもある。


Allo-HSCT非適応例ではOS延長効果のあるアザシチジンが第一選択となる。

赤血球輸血依存を伴う5q-症候群ではレナリドミドが有効であることが示されており、治療選択肢にあげられる。

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2016年09月30日

急性リンパ性白血病の知識整理

・急性リンパ性白血病はAMLと比較して貧血・血小板減少の程度は軽く、LDH
が高いことが多い。

・ALLの中でもt(9;22):BCR-ABL1融合遺伝子を持つB細胞性ALLを、Ph+ALLと呼び、TKIを用いタ治療戦略が採られることからその他のALLと区別される。


○治療選択について

・Ph-ALL
標準治療は決まっていないが、Inductionでシクロホスファミド、アントラサイクリン、ビンクリスチン、L-アスパラギナーゼ、ステロイドが頻用され、Consolidationでは大量メソトレキセートや大量シタラビンを含むレジメンが大き見られる。

維持療法の有用性が認められており、6-メルカプトプリン、メソトレキセート、VCR、ステロイドが使用されることが多い。JALSG ALL97 studyではCR率81%、5年生存率39%である。

近年AYA(Adolescent and Young Adult)世代に対して小児科領域で用いられるステロイドとL-ASPを高容量で使用する小児レジメンでの治療成績が、成人レジメンでの治療成績と比較して良好であると報告されタ。JALSG ALL202-Uでの15歳から25歳未満でのCR率94%、5年生存率73%であり、JALSG ALL97の年齢を一致させた群のCR率84%、5年生存率45%に比較して良好である。現在15歳から64歳における、小児レジメンでの臨床試験が行われている。

Allo-HSCTは第二寛解期以降で基本的に推奨される。第一寛解期の移植適応については議論があるが、JALSG ALL93によるリスク分類なども用いながら個別に考慮する。

JALSG ALL93によるALLリスク分類
Low:30歳未満かつ初診時白血球3万未満・・・6年OS 53%
Intermediate:30歳以上または初診時白血球3万以上・・・6年OS 33%
High:30歳以上かつ初診時白血球3万以上、またはPh染色体陽性・・・6年OS 15%


・Ph(+)ALL
TKIであるイマチニブが用いられるようになり、寛解率は向上した。イマチニブ併用化学療法では寛解率90%以上と報告されている。
海外ではBCR-ABLタンパク抑制能力のダサチニブをInductionに用いたレジメンの良好な成績が海外から報告されており、日本でも初発患者に対する臨床試験が行われている。
しかしTKI併用化学療法のみでは再発が多く、可能な限り第一寛解期にallo-HSCTを行うことが推奨される。


2016年09月17日

急性骨髄性白血病の知識整理:治療

・急性骨髄性白血病に対する治療はアントラサイクリンとシタラビンの併用が主体であり、CBF白血病では大量シタラビン療法によるconsolidationが標準である。

・化学療法のみで長期予後が期待できない予後不良群やCR2以降の若年者では同種造血幹細胞移植が適応となる。

・APLではATRA、Tamibarotene(アムノレイクレジスタードマーク)、ATO(亜砒酸)が化学療法と併用または単独で用いられる。



○APLを除くAMLについて
JALSG AML201 studyにおいて検討。
Inductionにおいて、従来標準量DNR(45〜60 mg/uを3日間)はIDRに対して治療成績が劣るとされてきた。
IDRと増量DNR(50 mg/uを5日間)にそれぞれシタラビンを併用した治療法の比較によりCRは78.2% vs 77.5%、5年生存率48% vs 48%と有意差を認めなかった。
よってIDR + Ara-CもDNR + Ara-Cも標準療法として用いられる

Consolidationとしては公差耐性のないアントラサイクリン+シタラビン(多剤併用化学療法)または大量シタラビン療法がある。
大量シタラビン療法は、予後良好群のうち
t(8;21)(q22;2qq)
inv(16)(p13.1;q22)
t(16;16)(p13.1;q22)
をもつCBF-AMLに対して有効性が高いことが示されている。
よってCBF-AMLでは大量シタラビン療法が標準である

一方で大量シタラビン療法は血球減少の期間が長く感染リスクが高くなることから、治療成績に有意差がないことから
CBF-AML以外のAMLでは多剤併用化学療法が標準である。

またJALSG AML97 studyによるとアントラサイクリン系+シタラビンによる多剤併用化学療法を実施した際には維持療法の有用性は認められなかったため、行われない。


再発例や非寛解例ではサルベージ療法が行われる。標準療法はないが、非公差耐性薬剤や大量シタラビン療法を組み込んだ治療法が選択されることが多い。


同種造血幹細胞移植は化学療法のみで長期予後が期待できない症例に適応となる。
予後良好群、特にt(15;17),t(8:21),inv(16)を伴うAMLでは1st CRにallo-HSCTは考慮されない。
一方、サルベージ療法による2nd CR以降や予後不良群(複雑核型、治療関連AMLなど)では1st CRでのallo-HSCTが考慮されることが多い。
実際には病気側の因子だけでなく、全身状態、年齢、合併症や移植ソースによるところも大きい。


○APLについて
日本ではATRAと化学療法の併用が標準的な寛解導入療法である。
JALSG APL204 studyによると
・InductionとしてATRA±(IDR + シタラビン)療法は寛解率93%。
・Consolidationとしてアントラサイクリンとシタラビンの併用療法3コース、その後分子生物学的寛解に至ればATRAまたはTamibaroteneによる維持療法が行われた場合、4年PFSはATRA群で84%、Tamibarotene群で91%であり有意差なし。
・初診時白血球数1万/μL異常の高リスク群では4年PFSはATRA群で58%、Tamibarotene群で87%と優位に後者で良好であった。

・再発時の治療としてはATRAと異なる機序でPML-RARAキメラタンパクに作用する亜砒酸(ATO)が使用されその際寛解導入率は80 ~90%である。
・PML-RARA融合遺伝子が陰性となった場合、地固療法として自家造血幹細胞移植が考慮される
            持続的に陽性例、非寛解例ではallo-HSCTが適応となる。
・移植非適応例では亜砒酸(ATO)の継続やゲムツズマブ オゾガマイシン(GO)が考慮される。
 (GOは抗CD33抗体に抗がん剤のカリケアマイシンを結合させたものである。またAPLはAMLの中でとりわけCD33の発現が高い。)


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