(2018年投稿記事です。)
私ペンギンの勤務中で、印象的だったのが「自衛艦隊司令部後方幕僚部」での幕僚勤務です。
自衛艦隊統合演習の中で「増強幕僚」として、10日ほど勤務することになりました。
そこはまさに「司令部!」という、もう一つの「戦場」として貴重な体験でした。
そんな、「なんちゃって後方幕僚」になったお話を、ちょっと書き連ねていきます。
(後方幕僚の話は、1回の記事では書ききれない濃密さです)
(次記事):【幕僚編A】実動演習事前準備!任務「離島奪還」作戦!
(1)始まりの言葉「自衛艦隊後方幕僚部に行く気はあるか?」
事の始まりは、自衛隊統合演習が近づいた秋の日でした。
演習に向けての準備が進む中、武器部長から直属の班長と共に「呼び出し」がありました。
「自隊警備」に向けての計画が進んでいた中だったので、
『なんか不味いことでもやらかしたかな・・・』
武器部長から直接、名指しで呼び出しされると不安しかありません。
図1 部長の叱責かなあ・・・・
引用URL:https://www.pakutaso.com/shared/img/thumb/YUSEI_9V9A5290_TP_V.jpg
とりあえず、呼ばれた通りに「班長」と共に、部長室に出頭しました。
1.1『大事な話があるので、副処長室で話をする』
武器部長からの話と思ったら、なんと副処長からのお話だということです。
これはますます「なんかやらかしたか?!」と不安のまま、「副処長室」に行きました。
ただ、上司の班長からは、
『悪い話ではないよ!』
との言葉が出てきます。ますます何の話なんだろう?
1.2 副処長「自衛艦隊司令部後方幕僚部に行く気はあるか?」
副処長室にて、武器部長など上司に囲まれた中で切り出されたのが、
(副所長)
『今度の自衛隊演習で、艦補処から自衛艦隊司令部(SF)に「増強幕僚」を出す。』
『SF後方幕僚部の「幕僚」として10日ほど行く気はあるか?』
思ってもいない話が、副処長から切り出されました。
ここで、初めて聞かされた話として、
・『JTF(統合任務部隊)が編成されるとき、艦補処から幕僚派出がある』
・『自衛艦隊司令部は、平時は「幕僚」全員が配置されていない』
・「その他もろもろ』
という「1尉クラス」になって、初めてすることばかりでした。
『ぜひ希望します!行かせてください!』
幹部中級課程で幕僚業務を習う前に、貴重な体験になるのでその場で快諾しました。
こうして、自衛艦隊司令部後方幕僚部への派出が決まりました。
\気分はGF司令部!/
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(2)演習事前研究会は大変だぜええ!
その後、自衛艦隊司令部の「海上作戦指揮所」立入許可書などを取得して、自衛艦隊司令部に出向くことになりました。
『MOFシステム(海上作戦部隊指揮統制支援システム)(現在はMARS)』
海上自衛隊の作戦指揮を支えるシステムで、JTFなど作戦部隊の指揮管制を行います。
内部は公開されていないため、「作戦指揮所」のイメージをご紹介します。
図2 作戦指揮センタ―のイメージ(米空軍の指揮所)
引用URL:https://spacenews.com/wp-content/uploads/2017/11/040507-F-0000S-006-879x485.jpg
2.1 演習の事前教育と事前研究は大事だよ!
自衛隊統合演習の前に、「事前研究会」が行われます。
この事前研究会の前に、「増強幕僚」や「増強要員」として来た人員に対する勉強会が行われます。
私ペンギン1尉」のように、初めて「幕僚」となる人間に対しての教育が行われます。
演習が開始されてから、慌てることの無いようにじっくり勉強会が実施されます。
演習の場合、「演習部」と「統裁部(審判部)」に分かれて実施さっれます。
私は演習部の「後方幕僚部」に配置されることになりました。
『艦艇後方幕僚C(S-433)』
これが、演習中の担当幕僚となります。
後方幕僚部にて、演習の概要から後方幕僚の所掌業務、端末操作方法まで多岐にわたる教育です。
事前研究会では、今後の演習内容や、「後方の方針」などが示されます。
図3 日米共同訓練の光景
引用URL:http://www.mod.go.jp/msdf/operation/training/27g/img/photo01_05.jpg
このような、日米共同行動などでも「司令部」で調整を進めていく必要があります。
2.2 司令部業務もいっぱいあって大変だ!
司令部は、各部門によって所掌業務が分かれています。
※一般的に知られている司令部幕僚編成
J-1:人事・監理
J-2:情報
J-3:作戦
J-4:兵站(後方)
J-6:通信
こんなところでしょうか?
しかし、実際の幕僚編成はもっといっぱいあります。
私の配属された「後方幕僚部」は「S-4」と呼ばれますが、「S-0」から「S-●」までいっぱいあります。
この所掌分担をきちんと理解しないと、業務に支障が出ます。
色々な「幕僚」が入り乱れて大変です。
(3)用語が入り乱れて大変だ!
幕僚のお仕事で大変なのは、いろんな用語が必要になってくることです。
※演習で飛び交う用語
・TF,TG,TU,TE(部隊編成)
・DD,SS。SAG,TOT
・SAR,RAS,ACSA
・CTF70,TG71
・段列、EEI
もう何が何だか勉強していないと、まったくわからないものだらけです。
本来、「幹部中級課程」にて学習するものですが、派遣された以上はしっかりとやる必要があります。
図4 CTF70(米第7艦隊)
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/第7艦隊_(アメリカ軍)#/media/File:CTF-70_Battle_Force_Seventh_Fleet_logo.png
3.1 色々勉強しておいて良かった・・・
幕僚として派出されて、一番助かったのは「普段の知識吸収」が生かされたことです。
普通なら、あまりの用語の多さに混乱していたかもしれません。
しかし、普段から「海」以外にも、陸自や空自・米軍の資料を読んでいたのが助かりました。
各種の用語に、何とかついていける状態になっていました。
普段の「軍事への関心」が、自分の仕事を助ける要因となりました。
「事前勉強会」でも、「よく勉強している。大変よろしい。」と「後方主任幕僚」から頂けました。
図5 自衛艦隊司令部とされる写真
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/自衛艦隊#/media/File:JMSDF_Self_Defense_Fleet_HQ.JPG
(実は、この写真には「自衛艦隊司令部」が映っていない)
自分の仕事だけに没頭せず、周辺の情報を「知識」として入れておくことは有益ですよ!
なんだか、演習に入るまでに記事1回分を使用する状態になりました・・・
それだけ「自衛艦隊後方幕僚部」の仕事は、かなり濃密な経験でした。
何回の記事で完結できるか分かりませんが、知られざる「幕僚」の仕事を書いていきたいと思います。
(次記事):【幕僚編A】実動演習事前準備!任務「離島奪還」作戦!
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