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posted by fanblog

2015年05月03日

そう言えば『7SEEDS』田村由美(part1)



 そう言えば、田村由美の『7SEEDS』というマンガを読んでいます。
 少女マンガなんですが、SFでいわゆる少女マンガっぽくないマンガです。

7SEEDS コミック 1-28巻セット (フラワーコミックスアルファ)






 話は、地球上に巨大隕石が落ちてくると予測した日本政府が、7人×5チームを冷凍保存してシェルターに匿い、地球の環境が比較的穏やかになった時点で解凍するというプロジェクトが土台になっています。
 解凍された人々は、人も文明も流された遥か未来の日本列島で自活してゆかねばならないというわけです。

 SFの設定としてはベタなものでしょうが、そこで描かれる人間描写が繊細かつ機微に富んでいて、陰鬱な気分にさせられること受けあいです。

 少女マンガには昔から、神経衰弱になりそうな人物の心理を描写するのに長けている作品がよく見られます。『7SEEDS』も、その点かなり文学的で、「自分」というものを世界にどう配置するかに悩む登場人物の姿が、しばしば描かれる。むしろ、こうした人間像を描く為の、SF設定なのでしょう。
 また、こうしたSF設定も、現実にあり得ることではある……ないとは言えないという最低限のラインを保っているから、作品世界が現実からまったく浮遊している風にはならない。読者としては実感を持って、作中のギリギリな状況にある登場人物たちへ感情移入できるというわけです。

 こうした文学的というか、世界における「私」の自問と現実の矛盾みたいなものを描く少女マンガは、俗に言う進歩派でリベラルな左翼的傾向に走ることがままあります。たとえば、テーマが偏屈なジェンダー論に集約していくといったような。そういうのって度が過ぎると鼻につくじゃあないですか。
 しかし、『7SEEDS』はその辺りバランスを注意深く取ろうという姿勢があります。つまり、「私」というのは確かにあるんだけれど、世界や人間との関わり、はたまた生まれ育った環境を含めて「私」というものがあるという結論に、登場人物それぞれが達してゆくんです。
 そういう、個に閉じこもらず、周りに迎合しすぎず――という人間の微細な平衡感覚を描写する作品が、私は好きなんです。



7SEEDS 29 (フラワーコミックスアルファ)



posted by 荒川瑞樹 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 7SEEDS
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