2017年06月20日

ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)

拝啓



「ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)」
これが、ファインマンさん。


R.P.ファインマンは、1965年にJ.S.シュウィンガー、朝永振一郎とともにノーベル物理学賞を授賞した天才的な物理学者であります。本書は、そんな天才物理学者の自伝という立ち位置ではなく、ファインマンの日常を綴った日記に近いものであり、奇想天外なエピソードがつまりにつまったものになっています。詰まり過ぎてはみだしてます。これを読んだら、きっとファインマンさんに会いたくなること間違いなしな仕上がりです。


「ファインマンと聞いたとたんに思い出してもらいたいのは、ノーベル賞をもらったことでもなければ、理論物理学者であったことでもなく、ボンゴドラムでもマンハッタン計画でもない。僕が好奇心でいっぱいの人間であったということ、それだけだ」


なんて凄い心に響きました。なぜだろう、違うだろう、僕はこう思う、そんな純粋な気持ちを表現してきたファインマン少年から、少年心そのままに学者になっていくファインマン青年。好奇心をひかれたらそれに夢中になり納得のいくまで追求するのです。


上巻では、彼の少年時代、物理学者としての修行時代、また駆け出しの物理学者として携わったマンハッタン計画から終戦を迎えるころまでのエピソードが収録されています。どれもこれもインパクト大なエピソード。個人的な、お気に入りやりとりはアイゼンハートとファインマンのもの。アイゼンはハートはA、ファインマンはRで表記します。


A)私はファインマンがこれを理論物理に関連させてどう考えるか、聞きたいもんだね(からかいながら)

R)はぁ、非常に密な関係があります。理論物理では・・・(と詩と理論物理を対比してみせる)

R)今、僕は、詩と物理の類似を示しましたが、詩についてどんなことを言われたとしても、物理だけでなくどんな分野とでも、同じようにこじつけて類推する方法をいくらでも見つけれますよ(どや)


ここまで信頼関係を築き、冗談を言える。こんな関係がすごく羨ましい。そんな関係の中、


A)催眠術の講演があるが、どうせならば催眠術の実験をした方が面白い!だれか実験台はいないか?

R)僕!僕!僕!僕がやります!

A)君が申し出るのはわかっていた。君以外に誰かいないかと聞いたんだ。


なんて最高ではないだろうか。



敬具



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2017年06月12日

サラバ!(上)

拝啓



「サラバ!(上)」
1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。


紳士的な父、チャーミングな母、変わり者の姉。歩は、イラン革命を体感後、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。


遂に手に取ったサラバ。図書館で予約して、半年は待ちました。そんなサラバだが、どうやら家族の物語がメインのようだ。目につくのは、ぶっ飛んだ個性を持つ登場人物である。父は、特段変わり種では無いのだが、母と姉が、ばちばちぶつかり合う。


特に姉の存在感は特大に思える。母似にならず父似になり、体もでかくご神木と呼ばれる姉・貴子。土食ったり、色々仕出かしたりするが、母にプレゼントをしようとしてそれが上手くいかなかったりと思う存分、動き回っている。歩が主人公なはずだが、序盤からインパクドばりばりなのは母と姉の女性陣なのである。父と歩は、肩身が狭い。と思っていたら、どうもこうも父に同情を禁じ得ないのだ。まだ、秘密が暴かれていないとはいえ、なんだ母親は!?となっている。と思っていたら、歩は歩で思春期をよくある感じで過ごして行く。よくある感じと感じれるほど、この年代の男子を上手く表現しているように思います。ここまで思春期真っ最中は、体験してないから知りませんが、西加奈子の思春期男子はこんなんだろうな。


家族が日本を離れ、崩壊する。その中で、姉と母と歩はばらばらに動いて行く。それぞれの論理で。分裂する中で歩は「サラバ!」を忘れて行く。


なんか家族がどういう風にばらばらになっていくのか。その中で、ひとりひとりの人生はあるというのがまざまざに見せつけられて、ちょっと悲しい。その点で読む前のイメージは裏切られましたね。



敬具



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2017年06月04日

箱庭図書館

拝啓



「箱庭図書館」
読者のボツ作品をリメイク。


読者のボツネタを乙一がリメイクする。ヤクルトで野村監督が、やっていたことを、小説で乙一がするというスタンス。どうりで乙一作品は、怖い/どろどろ/忘れらせないぞっとさ、があるって言われていたけど、かなりマイルドな訳ですね。これくらいの緩さから入るのが、丁度良い。


□小説のつくり方
小説家になった男の理由で、オチをつける。
□コンビニ日和
コンビニからしたらたまったもんじゃない一日を描いたコメディ強め。店長も小悪党だから、コンビニからしたらたまったもんじゃない。
□青春絶縁体
名前は、気に入った。文芸部に入った僕(高校生)と文芸部先輩の物語。小学生の頃に書いた小説を起因とした青春風味あるほわっとした終わり方。
□ワンダーランド
ある事件を見た少年の物語。ワンダーに相応しいちょっと変わった雰囲気。
□王国の旗
登場した段階でいきなり恋人がいる主人公。乙一作品にはあんまり無い模様。
□ホワイトステップ
積雪メッセージをリメイク。自分の作風に似ている設定であり、リメイクへの欲求は最初は湧かなかった模様。


どれも強い印象は残らなかった。 かなり薄め。これで乙一に免疫がついたとは言えないなw



敬具




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2017年05月28日

下町ロケット2 ガウディ計画

拝啓



「下町ロケット2 ガウディ計画」
佃チームの挑戦第2弾。


ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年。 佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。


1.量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られる
2.ロケットエンジンのバルブシステム継続受注は、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペとなる


そんな中、佃航平の元にかつての部下・真野から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。バルブと編み物の異なる2つの技術が結びついた時、「ガウディ」と呼ばれる医療機器は、多くの心臓病患者を救うことが出来る。佃にとっては、自分たちの技術が多くの患者を救う、そんな仕事が出来ること喜びを感じていた。しかし、医療機器の参入には多くのビジネスリスクが付き纏う。佃製作所にとっては、もし訴訟が起きた場合、耐えるパワーが無いのだ。一時は、やもえず、真野からの依頼を断る佃だったが、あることから新規参入することを決意する。


一度断りを入れる佃に対して、真野が放つ言葉は、「正直、何言ってんですか!?」と腹が立つが、まあ一応許してやろう。とにかく腹が立つ野郎ばかりで、構ってられないのだ。日本クライン、アジア医科大学の貴船教授、サヤマ製鉄所、独立行政法人医薬品医療器具総合機構。どいつもこいつも腹立つ奴等ばかり。


そんな今回の敵に、果敢と立ち向かうガウディチーム。これは応援するしかないでしょう。そんな中、一番頑張ったのは立花とアキちゃんと、個人的に思ってます。自分たちの仕事が何のためにあるのか、それを病院で目の当たりにし、振り切ったように取り組む2人。立花は、滝川というくそったれに言い放つ処なんてとてもクールでしたね。


前作との違いとして面白いのは、強大な敵であった帝国重工を味方に取り込むところですね。佃は、古き良きものづくり職人でありながら経営者として成長してきましたが、今回、その経営者としての引き出しが増えていることを証明しました。最後に出てくる日本クラインへの返しもすっきりするもので、ガウディ計画では、立花やアキちゃんら若手の成長が目立つところ、実は、佃の経営者としての手腕もぐぐっと上がっていることが明らかに。やりますねー。


下町ロケット第3弾があるかわかりませんが、あるんであれば、AIとかだったら面白い。あと、今回、医療がらみだったもんで、白い巨塔を読みたくなりますねw



敬具



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ばらばら死体の夜

拝啓



「ばらばら死体の夜」
狂い始める男女の物語。



神保町を舞台にした極上サスペンスとの触れ込みだが、それよりもお金によって狂っていく人間の悲哀がメインに来ていると思います。軸は、翻訳家・吉野解(40代過ぎ。既婚・娘一人)と謎の美女・白井砂漠であり、そこに砂漠が下宿する古本屋の店主と最終章で登場する吉野の娘の視点が加わって展開されます。吉野の今後を暗示する意味合いが強い吉野の娘の章を除き、全体としてお金の怖さや人間の怖さが浮き彫りになるストーリーである為、読んでもハッピーにはなりません。


吉野は、幼少時代に母親に殺されそうになり、苦学生として古本屋で過ごした後、資産家の娘と結婚し、大学職も得てお金には不自由しない代わりに妻に対して大きな代償を払っている。砂漠は子供の頃に母を亡くし、その母の死に関わったとされる親戚(それが古本屋の店主)に頼ることになり、一方でお金に依存してどんどん泥沼にはまっていく。そして、整形を繰り返し、美人になっていく。


どちらも暗い過去を背負っており、その過去から逃れるのではなく引っ張り続けて今に至り、2人は出会ってしまう。出会ってしまうといったものの、吉野が古本屋の2階に勝手に上がり込み、寝ている砂漠を襲い、それに対して砂漠は特に嫌がるそぶりもなく、カメラを回している(偶然と言っているが)というものである。故に、2人の行き先に明るいものが見えてくると到底思えない訳で、結果、ばらばらとなる訳です。


なぜ、吉野は砂漠を殺害したのか。そこは明快な解はない。殺害に至る瞬間の場面は描かれていないのです。10年後も吉野は逮捕されることもなく、罪に対して苛まれることもない。結局、なんだったんだ。吉野は、ただのいかれた野郎だったのか。と思いかけたところ、夕の章でその思いは解消されました。


夕にとっては、父は、だれからも善人だと思われ、自慢の親。しかし、そんな父は、なぜか母に比べると異様に老けて見える。そして、鎖につながれているように歩いて見える。


この夕の視点から「罪は消えない。これから苦しみは始まる」ということが強烈に伝わってきます。古本屋の店主は、このまま黙っているとは思えないし、罪がバレた時、夕はどれだけショックを受けるのか。そして、怖いのは吉野の妻でしょう。唯一、視点で描かれない人物でありながらも、ちょっとやべー奴なオーラがダダ漏れなので、吉野の苦しみは倍増だろう。


最初から最後まで悲しい物語。救いも特になし。だからこそ、罪は罪というメッセージが強調されて伝わってきます。



敬具



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2017年05月22日

囲碁殺人事件

拝啓



「囲碁殺人事件」
ゲーム3部作。第1弾。


本作は、ゲーム3部作シリーズの第1弾に当たるものです。竹本健治によるシリーズで、天才囲碁棋士の牧場智久と大脳生理学者の須藤信一郎が難事件に立ち向かうミステリーであり、将棋殺人事件、トランプ殺人事件が続きますが、3部の中で最もミステリーちっくらしいとのこと。確かに、首なし死体、犯行予告、アリバイなど、ベーシックなスタンスで進んでいきます。


思春期にも達していない天才囲碁棋士が、探偵をするという今ではありがちな設定ですが、初版は、1980年7月となると約30年前で、当時だったら凄い斬新な主人公かなと思いました。IQ200超え故の推理をズバズバしていく感じでもなく、ピンチありで実直なところもミステリーて感じですね。そもそも囲碁ものって読んだこと無いんで囲碁を使った仕掛けは新鮮でした。死が絡む言葉が多いとか囲碁知らない人からしたら面白い。まして、私はヒカルの碁しか知らないですしw


個人的にツボなのが、智久少年が、服をあてがわれる際に言う「あはっ。スタイリスト」との台詞。2回出てくるんですけど、当時だったら普通?なのか分からないが、こんな言い方するのかなと。たまにこういうちょっとよく分からない表現が、出てくるとツボってしまうのですが、これは、筆者の癖なんだろうか。凄い不思議だw


短編のチェス殺人事件も収録されてます。こっちも囲碁に劣らずちゃんとしたミステリーになってます。



敬具



トランプ殺人事件 (講談社文庫)

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2017年05月19日

或るろくでなしの死

拝啓



「或るろくでなしの死」
震えながら、戦きながら、そうとは知らずに。七人の人間たちが迎えた決定的な死の瞬間。


やっちまった。調子に乗って読んでしまった。惹きつけるものはあるけど、自分に向いてるか否かだったら向いてないなと。「ダイナー」は、疾走感がある分後半は読み切れたけど、これは死を扱ってる+いつものグロテスクさがありありで疲れました。


とはいえ、印象深い短編集ではあります。表題の死は、殺し屋の「俺」が、仕事の現場を小学生のサキに目撃されることから始まります。一見イカれたサキの話かと思いきや(だってハムスターを可愛がって殺すって...)、正当化できる訳ではないが、サキには辛いことが降りかかっていて、それによって殺し屋が変わる?ような話でなんというかどーんとくる。


「或る嫌われ者の死」も印象深いです。日本人がマイノリティになっている世界の話で、凄い差別が出て来てとても悲しい。最後なんか悲し過ぎる。この短編は、グロテスクではないが、差別の残酷性が出ている。辛い。


平山夢明の世界としては普通なのだろうが、こたえる人にはこたえました。ちょっと暫くは笑える小説に浸りたい。



敬具



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ダイナー

拝啓



「ダイナー」
表紙に騙されてはいけない。


これは、表紙に騙されてはいけないやつです。というか、書き手が平山夢明という一点だけでも危険信号が出ているわけで、さらによく見たら表紙の配色からもグルメ探検記やハンバーガーを絡めたユーモアな展開が繰り広げられる!なんて想像はできなく、黒が背景色でハンバーガーが強調された見せ方だけで意味深な印象を受け、案の定中身はぶっ飛んでいて、読了後ハンバーガーは暫く食べたくはない。そんな小説のはずだった。


オオバカナコが、奇妙なバイトに応募したことから全ては始まる。ただの運転手を数時間やるだけで数十万という絶対信じちゃダメなやつなのに、問い合わせ先の対応からそこまで疑わなかったオオバカナコ。いや、絶対ダメだって。。。最終的には、定食屋のオーナーに命を買われ、ウエイトレスとして働き始める彼女。当然、その定食屋じゃなく殺し屋専門のダイナーで、やってくるのはぶっとんだ殺し屋ばかり。一体彼女は、どうなるのか。。。


と、。。。を多用したくなるほどグロテスクでハイリスクなカナコの選択。序盤なんぞメルカトルの方がまだマシと感じたくらい、単純に覚えていないだけかも知れないが、グロテスクな描写や場面が多く、ツライ。


で、このまま進めば、グロテスク小説で終わるところなのだが、そうはならないところが救い。メルカトルとは明らかにテイストを変えており、あのイメージで止まっている読者からしたら、こういう落とし方もあるのね、となると思います。


オオバカナコは、序盤からどんどん逞しくなっていき、これだけボンベロ(ダイナーのコック)に噛み付けるならば、ヤバイバイトに応募しなくとも真っ当に生きれただろうにと思いながら、何とか逃げ切ってと思う。登場人物は、皆殺し屋ばかりでもちろんヤバイ奴らなのだけど、テイストを緩めて書いてくれているからか、ちょっと人間味も感じる。ボンベロが徐々に優しくなっていく。また、犬まで出てくる訳で、そいつはジョジョのあいつ並の存在感を放つ。濃いやつらでうじゃうじゃしていて、でも、単なるグロテスクな小説で終わらせない疾走感がある。


メルカトルの次に読んだからなのか、わりかし良い?読了感でした。万人ウケはしないだろうけど、グロテスクさは序盤で抑え、あとはカナコとボンベロ、その他殺し屋の間で繰り広げられる攻防にはアクション性がありますね。



敬具



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2017年05月10日

リバース

拝啓



「リバース」
抱えていた罪。


先週から始まりました。リバース。思っていた以上に面白かったので、継続して見ようかなと思います。ドラマが始まってしまったけど、原作の予約順番が回ってきたため、読んでしまった。とりあえず、ドラマ面白いですよと上司に言っときました。


ドラマで藤原竜也が見事に演じ切っているのが、主人公の深瀬和久。事務機会社に勤めるサラリーマンで、今までの人生でも、取り立てて目立つこともなく、平凡を絵に描いたような男。心が落ち着ける場は、就職してから通いだしたクローバー・コーヒー。そこでコーヒーを飲むこと。今のところドラマではそこまで焦点が当たっているわけではないですが、原作ではかなりの頻度でコーヒーが出てきます。ケニアやコロンビアなど色々な原産豆から作るコーヒー。そこにはちみつをトッピング。いやぁ旨そうだ。飲みたいな。


そんな深瀬は、越智美穂子という女性と知り合う。良い感じになり、いよいよ新たな幸せが見つかるかと思われた矢先に、美穂子の下に「深瀬和久は人殺し」という告発文が届く。その告発文は、大学時代のゼミ仲間にも届けられていて、深瀬は1つの罪を告白し、告発文を届けた犯人を捜し始める。Nのためにに近い過去の罪を遡るタイプのミステリー。


深瀬は、平凡を絵に描いたような男であるが、良い男でもあります。「雨が強くなっているのを見て思ったことと同じことを浅見も雨を見て思った。だから、浅見は、たった1年だけ同じゼミでそれまで話したことすら無かったけど友達だろう」なんて普通は思えない。一方で、暗い部分を抱えているところもある。その暗い部分が、告発文をきっかけに徐々に明らかになり、それは、ゼミ仲間にも同様で考えていたことが透けて見えてきます。


ただ、そこまでゼミ仲間は出てこないです。ドラマでは逆にたくさん出てきそうな感じ。というか、大して仲が良くないのに、旅行にいくのがまず信じられん。


そして最後に、深瀬は自分はなんだったのだろうとなるわけですが、これはそこまで嫌な展開ではない。深瀬は自分が知らなかった親友を知っていく中で、綺麗に言えば心が洗われる様なそんな展開。しかし、そうはいかない。コーヒーはこのための伏線だったのですねと。


何故、こんな終わり方にしちゃうのだろうと。ちょっと湊かなえさんに直撃アポを取りたいところです。



敬具



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2017年05月02日

マイ国家・ひとにぎりの未来

拝啓



「マイ国家・ひとにぎりの未来」
星新一作品集10。


「マイ国家」が読みたくて図書館で探したところ、これだと思ったら作品集でした。作品集なので50くらいのショートショートが収められています。ショートショートと言えば、星新一。SF、ホラー、ユーモア、風刺、童話アレンジなど多種多様。短い分量でバシッと決める。どれも面白いですね。


噂に聞いていた「マイ国家」は、“小住宅に住む真井国三が営業に来た銀行外勤係を捕虜として捕まえる。聞けば、外勤係を独立国家に不法侵入した為、捕虜とすると言う。外勤係は、国三がどうかしてると思うが、国三は本気で自分の家は独立宣言をした国であり、他国の政府や役人が如何にダメかを主張する。”と言う国を個人単位に落とし込んだもの。アイデアもさることながら、国三が悠然に語る政策や他国(日本?)の役人を皮肉るシーン、そして最後のオチまで印象深い。


抜群の運を持つ男の秘密を描く「特賞の男」、ロボットの売り込みに負けた男の話「うるさい相手」、悲しき刑事の話「子分たち」、帰って来た夫への違和感を感じた妻「ちがい」、うさぎとかめを見事にアレンジした「ねむりウサギ」、ただ切ないショートショートよりショートな「語らい」とどれも面白いですが、マイ国家よりも良かったのは「いいわけ幸兵衛」です!久々に面白いと感じました。


これは、凄い好きなショートショートですね。毎日遅刻する幸兵衛は、上司に怒られるよりも遅刻していくことを選ぶ潔さを持ち、上司にはいつも異なるいいわけを話します。そのいいわけに、上司は最初は怒っているものの次第に幸兵衛のいいわけが聞きたくてというか、それが本当の話であってくれと望むようになる。幸兵衛のいいわけには不思議な力があるのです。そんな幸兵衛にある日、依頼が舞い込んで、、、。という話。オチにも人間のさがを盛り込んでいてたまらん。


奇妙な話であるけど、昔話とかでもありそうな、ユーモア溢れるショートショートで、そのまま世にも奇妙な物語に使えますね。映像でこの凄さを出せるかは、制作部の腕次第ですが、、、。


この「いいわけ幸兵衛」がさぞ良かったのでしょう。借りた本の目次の「いいわけ幸兵衛」には◯がついてました。子供に読み聞かせるショートショートに選んだのだろうか。確かに面白いですから、これ。


星新一は、凄いというけど、ほんとそうだなと感じた一作。どれもよくアイデアをここまで広げれるなと、しかも分量は限られる中で。ぜひご一読を。文庫版もあります。



敬具







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