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2016年08月26日

新潮文庫20世紀の100冊

拝啓



「新潮文庫20世紀の100冊」
与謝野晶子、夏目漱石、森鴎外の古典から谷崎潤一郎、三島由紀夫などの昭和の文豪、現代の村上春樹と宮部みゆきまで1年1冊として合計100冊の「20世紀の名著」を厳選。司馬遼太郎賞受賞経歴のある本読み魔・関川夏央氏による解説付き。


私は、この本をとりあえず参考書扱いで読んでみました。どんな本を読もうか、どんな本がこの「20世紀の100冊」に選ばれているのか、その本を読んでみようかなどなどの感情を持っていました。そして読んでみましたら、まぁ私の知らない本が多いこと多いこと。結果私には参考になりましたし、ちょっとした各書物の知識もつけれた気がしています。ちなみに夏川氏は挙がった100冊を鑑賞せずに歴史を読み取ろうとしたとのことです。何となく言わんとしていることが分かるような分からないような・・・w


私が個人的に気になったものをちょっと紹介します。


@みだれ髪-与謝野晶子 1901
私は与謝野晶子は教科書上でしか知らない文筆家です。それだけの理由でとにかく読んでみたいですね。


A月と六ペンス-モーム 1919
数少ない知っていた作家。短編集は持ってはいるが未だに読破できずw。モーム作品の中で月と六ペンスは最も有名な作品なので是非読んでみたいと改めて思いました。


B火垂るの墓-野坂昭如 1967
とてもないてしまった作品。


Cスタンド・バイ・ミー-スティーブン・キング 1982
スティーブンキングはダークタワーだっただろうか?あれ以来読んでいない。なのでこの作品から再スタートを狙う。


他にはスタインベックの怒りの葡萄、川端康成の雪国、井上靖の孔子、吉本ばななのとかげなどが紹介されています。参考書としてぐっと( ..)φメモメモ。



敬具



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2016年08月21日

クラインの壺

拝啓



「クラインの壺」
200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。


今年、いよいよプレイステーションVRが発売されます。でっかいサングラスみたいなものを装着することで仮想空間に入り込んでゲームをするというもの。凄そうだ。しかし、クライン2は、もっと凄い。体全体を包み込んだ装置により、完全に人間が仮想空間の中に入り込んでゲームをするのだ。


ゲームの中で体感する感覚は、現実の世界と遜色なく、登場人物も建物も仮想とは思えない。そんなゲームの原本を提供することになった主人公。最初は、自分の作品がゲームになることを喜んでいたが、次第に様々な謎に巻き込まれていく。そんなミステリー。


一番の驚きは、この小説が20年前に発行されているということ。パソコンも全然普及しておらず、VRという考え方なんてそもそもあったのかも不明。そんな時代でVRをコンセプトに持ってくるって、どんな経緯でそうなったのだろうか。それが非常に気になる。


VRで体感できることをメリットだけではなくデメリットの部分でも描いている点も、物語の展開をスリリングなものにする上で不可欠になっているし、そもそもメリット、デメリットにおいても、今の時代でも取り上げられているものと近しいと思いますし、作家の実力がもろに出ていると思いました。最後の展開も、現実と仮想世界が区別つかなくなり、主人公は孤独に落ちていくというもの。VRの面白さだけではなく、怖さも如実に描いていて、ここら辺の発想って、どうやって出したんだろう。


ミステリーに属するとは思いますが、実はミステリーではない。そんな作品。岡崎二人の最高傑作と言われている理由はよくわかるなー。



敬具



posted by kansasyoshi at 19:54| Comment(0) | TrackBack(1) |

2016年08月16日

コンビニ人間

拝啓



「コンビニ人間」
普通とは何か。


普通とは何か。コンビニで働く古倉恵子を通じて考えさせる。そんな小説だとは思う。しかし、それだけではないところに凄みを感じる。この「コンビニ人間」は、現代社会から疎外された人間が、自己のコアな部分に目覚めていく様が、非常にうまく描かれているように思います。


主人公は、36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。結婚もせず、正社員にもならずにコンビニのバイトを続ける。そんな彼女に侮蔑の目を向ける新たなバイトと彼女の夫達。彼女にとってコンビニで働くことは普通であるのに、彼女の外はそう捉えない。彼女と彼らの”普通”は違う。


そこに1つひねりが加わる。彼女は、いわゆる普通のバイトではない。彼女には独特の感覚があり、その感覚故、コンビニを独特な視点で捉えている。その為、”普通とは何か”に加え”果たして彼女は何者か”という思いが出てくる。


「完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる」と思う恵子。彼女にとってコンビニは聖域であり、1つの閉じた世界であり、そこが普通の世界。恵子を取り囲む好奇の目、心配の目、侮蔑の目。それぞれをとても丁寧に描いており、ちょっと心が折れそうになる。そんな目を、彼女は彼女なりの論理で論破する。


恵子は、コンビニに居続けることに安らぎを感じながらも、これではだめだと思い、飛び出そうとする。しかし、最後は、また戻ってきてしまう。それが幸福なのか、そうでないのか、正直わからない。


どこかぞっとするリアリズムを含んだ小説。



敬具




posted by kansasyoshi at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) |

2016年08月14日

ちょっと今から仕事やめてくる

拝啓



「ちょっと今から仕事やめてくる」
ブラック企業に心身共に衰弱した隆。そこに現れたヤマモト。


☆あらすじ☆

ブラック企業。この日本にどれだけあるだろうか。日々の深夜労働、休日出勤、退職金もない、上司の人格否定。そんな企業で働く必要はない。しかし、そう簡単に辞められない。やる気はある、しかし、努力がついてこない。隆は、心身ともに衰弱してしまい、無意識に線路に飛び込もうとしたところをヤマモトと名乗る男に助けられた。同級生と名乗るヤマモトに次第に心を開き、変わっていく隆。しかし、本当のヤマモトは3年前に自殺した男だった。



「ちょっと今から仕事やめてくる」。これは、隆がヤマモトに「ちょっと今から仕事やめてくる」と話し、クソ上司に思う存分思いを言い放ち、自分と自分を大切に思ってくれる人のために生きることを決意するまでの物語。


隆は、不器用ながらも仕事に意欲を持っていてがんばっていたが、クソな上司、仕事を横取りする先輩、助けてくれない同僚という環境が最悪の中で、次第に衰弱してしまう。そんな隆を見て心が痛む。劣悪な環境にいては、人がいかに努力しても効果は半減する。そんな現実を描いている。ヤマモト。彼もよい。にかっと笑って人を元気づける人間になりたい。


裏表紙に、スカッとできて最後は泣けるとコメントが記載されているけど、その通り。個人的に、最後の締めがとても好きだ。隆の人柄の良さがとても生きていて、それにヤマモトの優しいが呼応する。とても良い。


何より、自分の人生は、自分を大切に思ってくれている人のためでもあるというところが染みると思います。自分も当然そうですが、子の時は、何もかもが当たり前のように感じるところがありました。しかし、その当たり前と思っていたことは、どんなに大変でありがたいことだったのか。それを仕事をすることで徐々に感じていく。


何十年も働き、家族を守ってくれた父親。何十年もご飯を作ってくれて、家族を守ってくれた母親。とても偉大だなーと実感し、感謝の念が大きくなる。その念を隆は、死のうとしたときに感じる。それは、とても大きな気づきで、たとえ小説であってもとても大切なことです。


個人的に想定していた面白さを超えてきた1冊です。読んでない人には、ぜひおすすめですね。



敬具



posted by kansasyoshi at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) |

2016年08月12日

無事これ貴人

拝啓



「無事これ貴人」
外に求めない。


臨済禅師が説くところの「無事」とは、馳求心(外に向かって求める心)をすっかり捨て切ったさわやかな境涯。「無事」とはいわば、求めなくてもよいことに気づいた安らぎの境地。「無事是貴人」とは、そういった安らぎの境地を心の底から実感した人。そんなタイトルが付いたこのショートストーリーに、馳求心をすっかり捨て切った人が、たくさん出てくるのだろうかと思いきやどうやらそうでもない気がする。


☆あらすじ☆

明らかに遺産目当てで見舞いに訪れた甥を、「金目のものは全部処分した」と告げて追い返した男は、目の前の病院の女性スタッフに、涙混じりで唐突に過去を語り出す。その男を検温するために病室に入ってきた看護師は、ピンチになると、どこからともなく現れては救ってくれる謎の男が、実は死んだはずの父なのではないかと疑っていた。すべてはどこかで繋がっているのか。



本作がどんな経緯で書き上げられたのだろう。昔の名作「無事これ貴人」をオマージュしたものなのか。伊坂幸太郎の書き下ろしなのか。どちらにしろ伊坂幸太郎の色はしっかり出ています。


遺産目当ての甥を追い返した叔父→叔父が入院している病院の清掃スタッフ→叔父の検温に来た看護婦→看護婦を助ける為119番に電話した男→男を拉致した悪役→悪役の車にぶつかりそうになった運転手→その運転手にぶつけられたバンドマン(のち、運転手の元彼女登場)→そこに黒澤登場・・・


と人と人の出来事が連鎖していく様は、伊坂幸太郎の色(黒澤が登場したので、他の人物も何かの作品の登場人物かと思ったんですが、ぱっと浮かびませんでした)。ショートストーリーな分、その連鎖は分かり易い仕上がりになっており、最後の顛末までさくっと繋がる。1日のいろんな人々の出来事はもしかしたらこんな風に繋がっているかも知れない。ちょっと怖い展開も混じっているから繋がっていてほしくは無いんだけど。


無事これ貴人。求めなくてもよいことに気づくことは、難しいってことを言っているのだろうか。なぜこのタイトルなのかを知りたい。



敬具



posted by kansasyoshi at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) |

2016年08月08日

アンフェアな月

拝啓



「アンフェアな月」
雪平の新たな捜査。


ドラマ「アンフェア」原作「推理小説」に続く第2弾。昨年?の映画で完結した女刑事もの。ドラマが良かったけど小説も良い。


小説は、映像を見据えた書き方をしている点は、第2弾でも同じ。今回は、雪平が生後わずか3ヶ月の乳児誘拐事件に挑む。相棒の安藤くんや山路課長、娘の美央など、お馴染みのメンバーも大活躍。


展開は、あっさり進む部分はあるが、そこは雪平のかっこよさでカバー。ミステリとしての緻密さでは、他の作品に負けるかも知れないですが、キャラクターとしての良さでゴリゴリ進めることで読者を引き込むのは強みかなと思います。ただ、ドラマから入った人は引き込まれ易いけど、純粋なミステリ好きな読者だと、ちょっと薄れるかなとも思ったり。


因みに、アンフェア完結の映画は、まだ見てないです。良かったのかイマイチだったのかどっちだろう。なんかのコメントだとドラマで十分と意見あったし(それがちょっと分かってしまったり、、、)。


雪平は、凄くカッコよくてセクシーなんだけど、ころっと騙されてしまう点が、凄く可愛そうで、既視感あったりで。



敬具



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2016年07月25日

黒い家

拝啓



「黒い家」
人はここまで悪になりきれるのか。


「新世界より」と並ぶ貴志祐介の代表作品。本作は、第4回(1997年) 日本ホラー小説大賞を受賞した、賞名通りのホラー。人間心理の恐ろしさを傍に感じさせる。あぁ、怖い。こういうの苦手ですね。



若槻慎二は、入社以来5年間、本社の外国債券投資課に配属され、昨年の春、京都支社に異動した。以前は、長期金利や為替相場を扱っていたが、今は死亡保険金の査定業務を行っている。ある日1本の電話がかかってきた。「自殺した際、保険金は出るのだろうか」と。若槻は、彼女に異変を感じ、自分の経験を基に自殺を止めようとするが・・・。この時から、若槻の背後に恐怖が迫っていた。



保険業界の死亡保険金の査定業務という特殊な仕事をメインに書いている小説は、珍しいのではないでしょうか。少なくとも私は初めて読みました。毎日毎日、死亡者の保険金請求書と向き合い、時には事件の背景まで知るという業務って、どんだけ大変なんだろうか。そして、本当に居るのだろうか。保険金を出せと店にやってくる人間は。


感想としては、ホラーとして最も苦手なタイプの小説でした。死亡保険金を出すよう迫る人間が、サイコパス。いつになれば保険金が出るのかと、毎日店にやってくる。暴言は吐かず、淡々と繰り返す。若槻は、業務上何も言えないにも関わらず、奇妙な行動を繰り返すのだ。サイコパスの行動が徐々にエスカレートし、若槻の周りにまで恐怖が迫ってくる。その恐怖は、直接的になり、最後は、特大の恐怖。いかん、怖すぎますね。


サイコパスが2人いるという設定も、恐怖を煽っています。異常者が1人でも怖いのに、実はもう1人いて、そいつがもっと異常者。自分を犠牲にして保険金を出させるのではなく、自分以外を利用して大金を巻き取るという異常な行動が出来る人間の、からっぽの怖さを嫌という程、示すこの2人には、小説と言えど恐怖を感じざるを得ません。


徐々に迫る恐怖を、テンポの良い文調で描いているので非常に読みやすい。しかし、保険金査定業務の特徴も織り交ぜている為、非常に現実感を漂わせている。その為、非常に恐怖が現実感を纏ってしまうw。そこが、怖い。しかし、どうも警察は、毎回頼りにならないですね。嫌がらせの類は、警察が動かない為、大きな事件が発生している現実を織り込んでいる部分も、この小説の現実的な恐怖を強調していると思います。どうにかならないんだろうか。


最後の締めは、ちょっとユーモラスな展開だけど、どうしてもそれまでの恐怖を考えると、またサイコパスが若槻の目の前に来たのではないかと不安が尽きない。



敬具








posted by kansasyoshi at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) |

2016年07月24日

殺戮にいたる病

拝啓



「殺戮にいたる病」
永遠の愛をつかみたいと男は願った。


叙述トリックを駆使したミステリとして名高いと言う評を目にして読んでみました。叙述トリックなので、いつどのタイミングから犯人だと思っていたのが犯人ではなかったのかを気づくことが、醍醐味であり、それをさせない所に作家としての腕が試されるのですが、本作は、秀逸と呼ばれるだけあると思います。


1.東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねる蒲生稔
2.稔の日々の様子の異変から彼と猟奇的殺人を関係を疑い出す母雅子
3.稔逮捕の瞬間に居合わせた元刑事樋口


以上、3者の視点で構成されて話が進んでいきます。猟奇的殺人を行う為、その殺戮の描写は残酷。グロテスクを好まない人は読むのが辛いと思いますが、稔が初めて犯行を犯してから捕まる迄を遡るように設計されている為、その殺人シーンを読み飛ばすことはできません。


稔の素性など大まかな情報は小出しで出て来るのですが、最後のどんでん返しに繋がる(読者を誘導する)伏線は、至るところに散りばめられています。もちろん、その伏線は猟奇的殺人シーンにもあるので、最後読み終わった際に、一体何処で犯人を勘違いしたのかを探す意味も含めて読み飛ばせない。


全体として凄く良く出来ていると思うミステリーです。ただ、個人的にしっくりこない伏線もありました。以下、ぽちぽちネタバレ。


例えば、自分の大学では流石に顔が割れているのではないかという疑問。稔は助教授であり、自分の大学内で獲物を見つけています。サイコパスのような異常者というよりは変態殺人者であるので、自分の犯行が露呈することをより恐れ、さすがに大学内で生徒を獲物にすることに一定のリスクを感じそうなものなのですが、そんな素振りが全くありませんでした。対する被害者側も助教授くらいならば顔を知っているのではないかと思ったり、そもそも年齢も10は離れているのだから、ほいほいとホテルに行ったりはしないのではないかという疑問も沸きます。


また、結局、稔は息子ではなく夫だったのだけど、息子がいつの間にか殺されてしまいます。雅子、樋口、稔の構成で小説が進むので、この息子が一体どこで稔の犯行に気付き、彼の後を追って殺されてしまったのか。うーーん、どこかに伏線があったのだろうけど、分からない。


他には、被害者の妹の謎の性質にもピンときませんでしたが、全体的には大変面白かったです。犯人を誤認させるような伏線全てを1回目で気づくのは難しいかも。



敬具




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2016年07月11日

塩の街

拝啓



「塩の街」
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。


塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。「電撃」に相応しい、というかライトノーベルの世界観にぴったしな設定。第10回電撃大賞受賞作にて有川浩のデビュー作でもある「塩の街」には、今の有川浩作品の原型があるように感じました。近未来と恋愛のミックスはここがスタートだったんですね。


塩害により街も人も塩になってしまう。そんな世界の主人公は2人。男の名は秋庭、少女の名は真奈。1人ぼっちでいた真奈を秋庭がほっとけず、2人で暮らし始める。そんな2人さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。


複数のエピソードが連なって長編となっている作品。行き倒れになりかけていた少年を真奈が救った際、この少年も主要キャラクターなのだろうと思っていた所を見事に裏切られました。そしてなんと切ないエピソード。んー、こういうテイストなのですね。


秋庭と真奈の2人の前に1人の男が現れたことで物語は、SF要素も徐々に生かされていく。なぜ自衛隊3部作と言われているのか序盤では良く分かりませんでしたが、ここで分かりました。


有川浩の特徴と個人的に思っているSFと恋愛模様の組み合わせの出発点を知れる作品だと思います。行き倒れ少年の話が一番良かったですね。



敬具








posted by kansasyoshi at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) |

2016年06月21日

図書館で暮らしたい

拝啓



「図書館で暮らしたい」
好きなものはたくさん。


ミステリー作家辻村深月のエッセイ集。作家になる前から、作家になってから、夢中で追いかけてきた小説、漫画、アニメ、音楽、映画、美味しいものなどなど、感じるままに書き綴っているエッセイで、彼女の人間性が垣間見える作品です。


色んな話題に触れているけれども、題名にある通り一番思い入れがあるのは、本であり図書館なんだと思います。一つ一つのエッセイも短くなく長くなく丁度いい。エッセイとしても作家としての面、主婦の面、女性の面など、描く側面がたくさんあり、様々なテーマを扱っている。読んでいても心地良い。個人的には、伊坂幸太郎のエッセイに並んで好きなタイプですね。


以下、ちょっと印象的なエッセイを紹介します。


☆ドッペルゲンガーの本棚
グアムのホテルでの体験。読みたいと思っていた本を持参し忘れていた悲劇に打ちひしがれていた彼女に起きた奇跡。まるで自分の本棚のようなそれが、まさかグアムにあるなんて。


☆図書館肝試し
自分になじみのないよその町の図書館に行くのが、妙に好きだという彼女。その気持ち、分かります。肝試しとは、中身を隠した本を一冊選んで貰って貸すということ。おしゃれな包み紙でプレゼントの様に貸し出される本。こんなイベントがある図書館に行きたい。


☆悩ましいレストラン
仕事場近くのレストランでの話。ある日訪れた時、客が私1人だけ。だからか、厨房ではおしゃべりが止まらない。心臓が痛い話題なのだ。料理は美味しいだけに通い続けるか悩んでしまう。このレストランの人が読んだらヒヤヒヤもんだろう。


☆インタビューの心情
知り合いのライターが取材を途中で打ち切られた。悪いインタビューとは何か?という深いエピソード。


☆なりたい大人
こんな大人って本当にいるの??と思わせる。いやー、こんな大人になりたいですね。


ちなみに、この本が面白い理由は、エッセイ以外にもあります。実は、第1部はエッセイで構成されているのですが、第2部は好きなものについて、第3部は育児生活、第4部は特別収録されたおじいちゃんとおひさまのかおり。第5部、6部は、自作解説と直木賞後の話が収められているんです。


ここまで種類が富んでいるものも珍しいですよね。



敬具





posted by kansasyoshi at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) |
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