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2015年07月03日

12. パトロール要請

5月24日、時間は夕方5時1分―−初めの荒々しい態度は消え、すっかり落ち着いていたその警官は、私の目の前で肘を机につき、手をあわせ、ただ聞いていました。
「あの慣れた様子、初犯ではありません。初めてで、あんなふてぶてしいことはできません。これまでに多くの女性に被害を及ぼしていると思いますよ。私は最近、ここでダンスを習い始めて、また来なくてはならないのです。帰りが遅くなります。また、被害に会いたくないのです。」
私は言いました。私の被害の受理をしない、その警官は漸く口を開きました。
「それでしたら、パトロール要請です。被害届というのは、被害に遭ったその時だけですから、その後の要請は、今後の予防のために警察にパトロールの要請をするということになります。」
「そうですか、、」
私は腑に落ちないものの、他に返す言葉もなく、ただ相槌を打ちました。そして、警官の出す、更紙のような茶色の紙に、聞かれたとおりに名前、生年月日、住所、電話番号を答えました。何のフォーマットもない、その紙の中央上にただ、メモ書きをしたかのような、絶対に正式に受理したなどとは思えない、ただ、被害届を要望する者を宥めて帰そうとだけするような書き記しの最後に、その警官は、
「職業は、」
と聞き、すぐに、そんなに難しく考えなくてもいい、お決まりの答えでいい、というかのように、
「会社員とか、、」
と付け足しました。私は、会社員だとか公務員だとか、その職業内容の不明な言い方ではなく、その警官の目を見て、
「教師です。」
と、自己の職業性格のわかりやすい表現で答えました。教師と答える私の意図を理解してくれたらいいのだが、その男は、そんなことはどうでもいいとばかりに、無感情な顔つきを変えませんでした。
話も終わりだ、私はそう感じ、身の周りのものを確認して立ち上がりました。
「ダンスは何時からですか。」
帰ろうとする私にその男は聞きました。
「5時半からです。今日は現場検証をするのだと思って早く来たのですが、、」
そのつもりだったのだが、すっかり遅くなってしまっていた。もう5時16分になっていたのだ。
「この間は携帯電話を忘れて電話ができなかったので今回は身に着けてきました。」
と、私は、ベルトにつけた携帯に手を置き、それをを示しました。その男はちらりとそちらに目を動かしました。
「サンダルのせいで走れなかったので、今日は運動靴で来たし、、」
と私は足元を見せ、その警官はまた、特に興味もなさそうに、下を見ました。
粘って何とか話をしていたが、これまでだ、私は交差点の信号の方向に顔を向け、行こうとしました。その時、
「終わりは何時ですか。」
男は聞きました。
「9時くらい、9時少しすぎになります。」
私は答え、その場を背にサルサ会場に向かいました。



posted by SINRO at 01:36| ダンス
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