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2015年10月21日
一足早く11月の誕生石をご紹介 〜シトリン(黄水晶)その1〜
10月ももう終わりですし、先んじて11月の誕生石をご紹介します。
誕生石は国によっても違うし、ひと月に複数ある場合もあります。
日本における11月の誕生石は一般的には2つ。
シトリン(黄水晶)とトパーズ(黄玉)です。
今回は親しみやすい黄色の天然石、シトリンをご紹介しますー!
【シトリンとは黄色い水晶】
使用石:シトリン、天然ダイヤモンド0.01ct 素材:K10PG 最大幅:縦12mmx横4.5mm 重さ:1.1g チェーン長さ:40cm(アジャスター3cm含む) |
センターにある黄色い石がシトリンです。和名の通り黄色い水晶のことですね。
名前の由来は柑橘系の樹木『シトロン』。
当時のシトリンはやや緑がかった黄色のものが多かったので、シトロンの実の色に似ている事から付けられたようです。
成分とか鉱物としての特徴は水晶そのままです。
水晶(石英)は色や結晶の特徴、インクルージョン(内包物)によって名前が変わります。
紫ならアメシスト。
ピンクはローズクォーツ。
灰色ならスモーキークォーツ。
黒はモリオン。
なかに山状の再結晶跡が残るとファントムクォーツ。
苔状のインクルージョンがあるとガーデンクォーツ。
針状のルチルが入るとルチルレイテッドクォーツ。
……その他にもストロベリーとかラベンダーとかアメトリンとかハーキマーダイアモンドとかアゼツライトとか、とにかく色々あって水晶だけで本1冊書けるほど幅が広い石です。
その内の一つ。黄色系統の色彩をした水晶がシトリンということになります。
【珍しいはずのシトリンが多く出回っているわけ】
シトリンは天然石ショップに行くと普通にあります。
定番のパワーストーンです。
宝石扱いされる高純度の石以外はむしろお安い値段だと思います。
でも、実は本当に天然もののシトリンはすごく珍しいことをご存知ですか?
シトリンはアメシストとほぼ同じ場所から産出します。
産地でいうとブラジル、インド、チリが有名です。
アメシストの鉱脈から極稀に黄色の水晶が見つかる。これが天然シトリンです。
黄色の色彩が美しいものはさらに稀。
鉱物コレクションをするならとても希少な天然石だと思います。
では、なぜこんなに数が多く安価で出回っているのか。
天然石や宝石市場で出回っているシトリンは、ほぼ間違いなく熱処理されたアメシストかスモーキークォーツです。
アメシストやスモーキークォーツに熱を加えると黄色に変色します。
これをシトリンとして販売している訳です。
そもそもアンティークジュエリーで使用されているシトリンすら熱処理された別色水晶の場合が多いのです。
つまりシトリンが宝石扱いされ始めた頃から、熱処理は当たり前に行われてきているのですね。
1800年代ビィクトリア王朝時代のイギリスでは、スモーキークォーツを熱処理して黄色くしさらにトパーズと偽って売られたシトリンがジュエリーの宝石として大流行したそうです。
ましてアメシストに熱を加えると、素晴らしく綺麗な黄色に変色します。
宝石としてみたら、天然シトリンより遥かに綺麗です。
……天然シトリンが宝石としてより鉱物コレクションでこそ重宝される理由がこれですね。
スクエアカットの可愛いアメシストリング。 4号しかないのでピンキーリングとして。 またはチェーンを通してペンダントとしてもお勧め。 |
【熱処理されたシトリンは天然石じゃないの?】
さて、こうなると誰もが思うはずです。
『じゃ、今出回っているのは熱処理されたアメシストであって、シトリンじゃないじゃん!』
『そもそも熱処理したら天然石じゃないんじゃない?』
その意見、ごもっともです。
処理を加えた石を天然石といっていいのかどうか。
人為的に変色させたアメシストをシトリンといっていいのかどうか。
この基準に対しては諸説あるでしょうし、人それぞれの感じ方考えた方もあると思います。
あくまでも私の捉え方として、読んで下さい。
私としては、言葉や認識のすれ違いや誤解が原因のほとんどのように思えます。
◎『天然石』という言葉のすれ違い
まず一番大きなすれ違いなんですが、『天然石』という言葉は『人間が手を加えていない石』という意味ではありません。
『自然の中で結晶し産出した石』なんですね。
『天然石』の反対語は『合成石』です。『人間の手で結晶させて作った石』という意味。
ちなみに『人工石・人造石』は『自然界には存在しない人間が造り出した石』です。
『天然石』といわれる石の大部分はその美しさを引き出したり強度を保つために何らかの処理をします。
有名なのはエメラルドです。
エメラルドは特殊な環境でしか結晶しない石なのですが、それがもうとても過酷な環境で、言ってみれば満身創痍の状態で産出します。
傷もヒビもあるし、なかに水が入っている事も多いです。
このままでカットしたり研磨すると、割れてしまったり、中の水がでて空洞になったせいで色が変わります。
だからほとんどのエメラルドは透明のオイルを浸透させて、中の空洞や傷を埋めて本来の色を保つようにします。
これも伝統的な技法で昔から行われてきた処理法です。
宝石研磨技術者や宝飾工芸職人は、昔からなんらかの処理を加えていてもその宝石が『自然の中で育って産出した石』なら『天然石』として扱ってきたんです。
宝石の鑑定書にはこれら処理についてきちんと掲載しているものもありますし、エメラルドの事例のように当然の処理として定着していると記載がない場合もあります。
前述したように、シトリンも少なくとも1800年代から加熱処理が普通に行われてきています。
確認した訳ではありませんが、このようなシトリンの鑑定書に『アメシスト(加熱処理)』とは記載しないと思います。
多いのは『天然クォーツ 宝石名:シトリン』ではないでしょうか。
加熱処理されていても天然水晶は天然水晶なんですね。
なかにはごく稀に何の処理も加えなくてもよい、始めっから宝石品質で産出する天然石もあります。
こういうナチュラルな宝石を『天然宝石』といっています。
◎熱処理は自然界でもある現象。
上記した通り、シトリンはアメシストと同じ場所から産出します。
思うに何らかの地質現象で、アメシストに熱なり放射線なりが加わって変色したものがシトリンになるのではないでしょうか。
だからアメシストの原石に混じってシトリンが見つかるのです。
もっというと、アメシストの結晶の中にシトリンが混ざったアメトリンもおそらく同じようにできるのだと思います。
つまり、自然界で起こった加熱や放射線の影響でアメシストがシトリンに変化しているとしたら、人がする加熱処理は自然の代わりにしているだけ、とも解釈できるわけで。
それなら加熱処理=
このような処理を昔はエンハンスメント(改良)といっていました。
ちなみに自然界にはあり得ない処理、例えば染料を使った着色などはトリートメント(改変)といい、区別していました。
今では処理はまとめてトリートメントというようになりましたが、この『自然界にあり得るか否か』という基準があると処理に対してイメージが随分違う、と個人的には思えます。
◎そもそもアメシストもスモーキークォーツもシトリンも色が違うだけで同じ水晶
鉱物的成分的に見ると、この3種類って全部SiO2。名前が違うのは色の違いだけです。
もとがアメシストだから『黄色いアメシスト』っていうべきか、どうか。
いやいや、黄色かったらもうアメシストじゃないのでは?
もとアメシストのシトリンです。→アメシストシトリンっていうべき?
でもそもそも名前の違いは色の違いだけなのに、アメシストであることを強調する意味は?
……ややこしいですね。
あくまでも色が基準で黄色の水晶をシトリンというなら、変色して黄色くなった水晶もやっぱりシトリンと呼ぶべきではないかと思うのですが、どうでしょう。
【過熱処理されていてもシトリンは美しい宝石です】
いろいろ書いてきましたが、この天然石か否か、シトリンかアメシストかは解釈次第の面もあります。
私の意見としては上記した通りですが、これが正しいかというとはっきり断言はできないです。
シトリンそのものはとても美しい石ですからあまり気にせずに、『気に入ったらそれでいい!』というのが結局勝ち組なのかもしれません。
今回はなんだか小難しい話になってしまいましたが、次はただシトリンを愛でる記事にしたいですねー!
書きたいように書けると思うと、歯止めがなくて乱雑になってしまいます。
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2015年10月15日
はじめまして!
はじめまして。「宝石大好き!ジュエリーの豆知識」管理人です。
このブログでは私の好きな天然石やパワーストーン、宝石、ジュエリーをご紹介していきたいと思います。
天然石や宝石って本当に美しいですよね。
昔は宝石っていうとジュエリーが中心で、ちょっと高価で手を出しにくいイメージがありました。
今では宝石の他に天然石やパワーストーンというカテゴリーが市民権を得て、女性はもちろん男性でも身に着ける人も多くなってきています。
スピリチュアル的な意味で、お守りや縁起物として使う人。
ファッションとしてコーディネートを楽しむ人。
単純に宝石や鉱物が好きな人。
いろいろなアプローチで楽しめるようになりました。
初めて天然石やパワーストーン、宝石に興味を持った人にも、分かりやすく魅力を伝えていきたいと思います。
ディープなマニアの方も大歓迎。むしろいろいろ教わりたいです。
どうぞよろしくお願いいたします!