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posted by fanblog

2021年04月03日

声聞のネタバレなし映画レビュー 韓国映画遍 F「オアシス」

映画のプロフィール

「オアシス」
監督 イ・チャンドン 出演 ソル・ギョング, ムン・ソリ, アン・ネサン
アマゾンのリンク

どこの国の映画か
韓国映画 2002年
映画のジャンル

露骨な描写、しかし後味の良いロマンス。当人たちが傷つかなければ、一寸でも希望があれば、ロマンスとして成り立つのだという真理。
最後までみたか?

 韓国映画で最も感動した映画のひとつです。最後までみました。
ビックリしたか?驚いたか?

 全く先入観なく、前情報なく、この映画を見れば、後で驚くことだらけでしょう。びっくりしました。
特筆すべき男優、女優はいたか?どのように?

 この映画を最初に見た時は、ソルギョングは只の朝鮮人の兄ちゃんだったし、ムン ソリは韓国の地味な脳性麻痺を持った女性でした。こうした先入観なく見た後で、色々と韓国映画を知るにつれ、じわじわと感動するのも一考です。韓国の俳優でソルギョングは、今一番好きな俳優です。
 この俳優はカメレオン俳優とよく紹介されているが、それは恐らく役作りにおいて潔癖な人なのだと思います。ですので、映画のタイトルのカバーの写真だけで、ああこれがソルギョングが出ているのか?とは分からない。それくらい映画毎に顔形、風体が違います。
もう一度みたいか?
2度見ました。
一緒に見て困る人はいるか?
一人で見た方が、気を使わなくていいと思います。あと、もしいい映画だと思っても人に激しく推奨しないことです。理解できない人もいるでしょう。障害を描く映画と言うのは、とにかくこちらが恐縮してしまうようなことばかりで、見終わった後に口では(元気をもらいました)とかいいながら、心の中では憂鬱になってしまう場合が多い。ところがこの映画の手法だとそれが起きない。むしろ、純粋に発達障害とか、脳性麻痺といった人とそれをとりまく環境を、ドライに描くことが出来たようです。
 ただ、人によっては、この手法に怒りを感じる人もあるかもしれない。
 
印象に残るシーン

@ソルギョングの鼻水。刑を終えて釈放され、夏服で寒い韓国の町中を徘徊する。この飄々として、物事にこだわらない、しかし、サービス精神旺盛で、目標をもったら、周りの目を気にせず突っ走る、だから周りに嫌がられるのでしょう。
Aムン ソリの障害。一体、障害をもった人が、人と同じことをするのにどれだけ苦労しているか?ソルギョングは内面に障害を抱えており、ムンソリは外面に障害を抱えているわけです。見たところ、ムンソリは内面的には正常に見えました。だから、正常者のように振る舞うことを常にイメージするのでしょう。またオアシスの絵にかかる枝は彼女の小さな日常に影を落としています。
B家族兄弟が障害者であるムンソリへの国からの支援で、いい家に住み、障害者のムンソリを古い汚いアパートに一人で住まわせて、本人の幸せなど顧みないが、どこか後ろめたく振る舞う事。
Cソルギョングの兄は、ムンソリの親を車で引いて死なせたが、前科のあるソルギョングが身代わりになって罪に服役し、ところが帰ってきても家族の誰からも歓迎されず、むしろ厄介者扱いされること。しかもそうして助けた兄に再三再四ダメ人間呼ばわりされ、説教されること。
D最初の出会いにおいては、恐らくソルギョングは五蘊の健全さからムンソリに懸想したと思われるが、ムンソリの内面が自分よりしっかりしていることに気が付き、尊敬の念から愛情を覚えるようになったこと。
E最後のシーン。

仏教的にはどうか?
ソルギョングの役には性格的なものか、葛藤はなく、どんな状況でものほほんと暮らせていけるようである。一方、ムンソリはかなり深い内面世界をもっており、その世界においてお姫様(コンジュ)なのだろう。
ソルギョングはすでに解脱、得心した状況にあるのではないか?それが周りにいる気の小さな罪人にはうっとうしくて仕方がないのかもしれません。
神父が何度か出てくるが、ソルギョング自体の宗教観は希薄であった。
点数(10点満点)

9点

合掌

posted by 声聞 at 13:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画 
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