2020年11月09日

城用語 天端石・間石・飼石・裏込・根石

今回は石垣の石のそれぞれの呼び名についてです。

<浜松城の説明板>
shirononagori493d.JPG
出典は100%この説明板です!右側の『野面積み』については別途投稿させて頂きましたので、今回は左下の石の呼び名について。

<実物>
shirononagori494 (1).JPG
浜松城の石垣。石を加工しないで積み上げる野面積みです。適当に積んでるわけではなく、石それぞれに役割があります。

<説明板拡大>
shirononagori494 (2).JPG
分かりやすい!では説明板にそって微力ながら補足させて頂きます。

■天端石■てんばいし
絵図を見ての通りですね。石垣の最上部の石です。天面の端に置く石とも言えます。

■間 石■あいいし
石と石の隙間をうめるための小さな石のことです。

■積み石■
そのままですね

■飼 石■かいいし
積み石と積み石の間に入れ、安定させるための石です。ただ隙間をうめるというより、しかりと支える役割も担っています。介石と記される場合もあります。

■裏 込■うらこみ
石垣の裏側に積み込まれる小さな石を指します。裏込石、あるいは栗石(ぐりいし)とも呼ばれます。これは積み石を固定しながら、石垣内部の排水を促す効果があります。石垣には内部に水が溜まり過ぎると崩壊するリスクがあります。水はけをよくするための石垣の構造、そのための石とご理解下さい。

■根 石■ねいし
石垣の一番下の石です。最も下の段ですから、石垣の基礎となる部分です。地面を掘り下げて石が動かないように固定します。地盤が弱い場合(または単に強化したい場合)は、根石の更に下に木材(木杭や胴木)を用いて石を固定させたりします。

簡単ですが以上です。

私の説明は、城好きの間では一般的にそう言われているという程度に受け止めて下さい。よって、本格的な土木用語の定義とちょっと違っていたらお許し下さい。

shirononagori494 (3).JPG
お世話になりました

[出典元:浜松城説明板]


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2020年08月09日

城用語 堀障子(ほりしょうじ)

堀の底を細かい区画に仕切るために設ける障害物を堀障子といいます。障子にはもともと「隔てるもの」という意味があります。その「隔てるもの」を堀の底に設けるから堀障子。家庭にある障子のようだからというのは誤解です。

<発掘調査の写真>
shirononagori464a.jpg
[出典:岩槻城址公園説明板]

ここは岩槻城跡。発掘調査の結果、曲輪と曲輪の間の堀で、掘底に堀障子が確認されたようです。

<発掘調査の場所>
shirononagori464d.jpg
こちらで見つかったのですね。発掘調査が終わると埋め直してしまうので、残念ながら実物を見ることはできません。

<説明板>
shirononagori464b.jpg
この説明だと、堀障子は畝(うね)ともいうようですね。いずれにせよ、堀の内側の障害物を指して堀障子と呼びます。堀の内側に入った敵の動きを制限する。これが目的ですね。攻め手の動きを鈍くすることは守る側に有利。飛び道具の命中率も高くなります。

説明文に小田原城と並んで山中城も紹介されていますので、画像だけ貼っておきます。

<山中城跡>
shirononagori464v.jpeg
[静岡県三島市山中]
山中城跡の障子堀です。区画の仕切りの部分を堀障子といいます。調査後に埋めてしまわず、この状態で維持されている例は稀です。

ということで
堀障子のご紹介でした。実際には堀障子と障子堀は混合されて使われています。用語の説明をしておいてなんですが、あまり厳密に言い分けるより、この堀が果たす役割とか機能を感じとってもらう方が嬉しいです。

障子堀については、別途投稿していますので、良かったら覗いてみて下さい
→『記事へ進む

<岩槻城址公園>
shirononagori463c.jpg
説明板を引用させて頂きました城址公園です。お世話になりました。



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2020年07月11日

城用語 御前曲輪 御前とは(高天神城 御前曲輪)

要害の地に築かれた高天神城の本丸付近に『御前曲輪』と呼ばれる曲輪があります。この御前は、身分の高い武将に対する敬称ではなく、神仏を指すと受け止める方が適切のようです。曲輪とは城の区画のことですので、それに御前がつくということは、何らかの祭祀の場と思われます。

<御前曲輪近くの鳥居>
shirononagori443 (3).JPG
こちらは高天神城の御前曲輪に隣接する天神社です。江戸時代に別の曲輪へ移されましたが、もともとはここ鎮座していました。

<元天神社>もとてんじんしゃ
shirononagori443 (2).JPG
いわゆる天神さまですね。城の守護を担う神社として創建されたことに始まりますが、廃城後も地元の人の信仰を集め現在に至ります。

<高天神社>たかてんじんじゃ
shirononagori443 b.JPG
こちらは現在の天神社で、西の丸付近に鎮座しています。

ちなみに、城も地名も『高天神』と呼んでいますが、「高い所にある天神様」という意味ですので、こちらの神社は高という呼び名の天神社ということですね(ちょっと理屈っぽいですかね)。

<御前曲輪>ごぜんくるわ
shirononagori443 (4).JPG
高天神城の御前曲輪はこの観光用の城主パネルが目印です。これを見てしまうと、「ご老公の御前である!」ではないですが、高位の武士やその側室の『御前』を連想してしまいませんかね。そうではなく、当時の天神社のすぐ目の前の曲輪だから御前曲輪ということですね。

<縄張り図>
sn443c.JPG
高天神城の御前曲輪は、城の中核である本丸とほぼ一体となった区画です。本丸付近の祭祀の場だったと受け止めるのが自然ですね。

ということで
『御前』の意味についてでした。全国の城すべてに共通かどうかまで調べていませんが、高天神城を訪れる方が、そんな目で御前曲輪と天神社を眺めてくれると嬉しいです。


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2020年06月15日

城用語 井戸曲輪 (いどくるわ)

城には本丸や二の丸といった主要な曲輪以外に、大小様々な区画が設けられています。ネーミングも様々ですが、今回は比較的よく耳にする『井戸曲輪』について触れさせて頂きます。

■井戸曲輪■いどくるわ
名前の通りで、井戸が設けられている曲輪ですが、溜池が確保されているとか、要するに城内の貴重な水を確保している区画という大きな意味で受け止めてもらった方が良いかもしれません。
<高天神城の井戸曲輪>
sn438 (2).JPG

<高天神城の絵図>
sn437b (1).JPG
[現地撮影:高天神城想像図]
中央に大きく「井戸曲輪」と記載されています。単なる水汲みの場ではなく、一定の区画を設けて曲輪としています。

<井戸>
sn438 (3).JPG
『かな井戸』と呼ばれる井戸があります。現地説明文によれば、『かな』は鉄分が含まれていることと関係がありそうです
sn438 (1).JPG
内部が石積された深い井戸です

籠城の際などは、飲み水などを供給できる井戸曲輪は生き残りをかけた生命線となります。防衛上重要な役割を担う場所ということですね。


別の城の井戸曲輪を見てみますかね

<石垣山城の井戸曲輪>
shirononagoriI437c.jpg
ここは山中の湧水地。そしてその四面を石垣で囲むという大掛かりな曲輪です。

<井戸跡と説明板>
sn438f (1).jpg
もともと沢のようになっていた地形を利用して造られたようです。井戸は『淀君化粧井戸』とも呼ばれているそうです。秀吉が呼び寄せた淀君もここを利用したのでしょうね。

<石垣>
sn438ad.jpg
野面積みのこの石垣は当時のまま。多少は崩れているものの、何度も大きな地震を経験しながら形を保っていることが驚きです。

重要な曲輪。頑丈に造られていたわけですね。

以上です。水手曲輪(みずのてくるわ)という言葉を耳にすることもありますが、同じ意味です。
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2020年06月11日

城用語 一城別郭 (いちじょうべっかく)

今回は一城別郭について説明します。
■一城別郭■いちじょうべっかく
これは字の如くで、ひとつの城でありながら、本丸が2つある城の構造を指す言葉です。
<高天神城絵図>たかてんじんじょう
shirononagori437b.JPG
[出典元:現地説明板]
静岡県の高天神城という山城を例に説明します。この城の場合、2つの峰に別々に本丸的な役割を担う曲輪を設けています。本丸・二の丸・三の丸といった曲輪が連続して儲けられている一般的な縄張りとは明らかに異なりますね。まぁ本丸が2つというのも紛らわしいので右手が『本丸』で左手は『西の丸』と呼んでいますが、実質は2つの城があるかの如き構造となっています。山頂の2つの曲輪はどちらも中核たる曲輪として機能し、攻め手に対して双方から攻撃を仕掛けたり、片方へ向かった敵に対して別角度から攻撃するといった、普通の城には無い戦い方が可能となります。また、仮にどちらかが攻め落とされても、戦いは終わりません。

高天神城に限らず、一城別郭の場合は二つの本丸(主郭)の間に谷や堀といった隔たりを確保した上で城全体を設計します。高低差のある山城が分かり易いですが、平城でも中核となる曲輪を意識して2つ設ける場合は、やはり一城別郭に該当します。

一城別郭の『郭』は単なる『くるわ』を指しているのではなく『主たるくるわ』とお考え下さい。

以上です。

<説明板>
sn438d.JPG
冒頭の画像は友人二人と赤丸の現在位置で撮影した説明板です。当日は大手門とは逆側、いわゆる搦手門から登城しました。

<高天神城の搦手門跡>
shirononagori428 (1).JPG

<高天神城跡>
shirononagori437.JPG
武田と徳川が激戦を繰り返した一城別郭の山城です
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2020年05月05日

城用語 大手門・追手門(おおてもん )

今回は城好きでなくても知っている大手門についてです。簡単に言うと、お城の表門ですね。

<笠間城の大手門跡>
shirononagori368 (3).JPG
[茨城県笠間市]

大手とは正面のこと。家に例えると玄関のような場所を大手口といい、そこに設けられる門を大手門と言います。城の顔ともなる門ですから、あまり貧そな造りという訳にはいきませんよね。
<掛川城の大手門>
shirononagori374 (7).JPG
[静岡県掛川市]
こちらは復元された掛川城の大手門。威風堂々!立派です。 庶民が暮らす城下町に通じる城の正面玄関ということですね。

威厳も大切ですが、やはり防衛施設の一部です。上の掛川城の大手門の奥には、番所が設けられていました。門そのものの防衛機能を極めた形といえば、やはり枡形門(ますがたもん)ということになりますかね。

<江戸城の大手門>
shirononagoriO.jpg
江戸城の玄関ですから流石に重厚で立派です。そして、江戸城の他の主要な門がそうであるように、ここ大手門も桝形門となっています。枡形門は比較的規模が大きな近世城郭で良く見かける門の構造で、簡単に言うと、手前の門・その奥の四角いスペース・さらにもう一つの門の3つがセットになっています。詳細については別途投稿していますので、良かったら参考にして下さい。
→『城用語 枡形・枡形虎口・枡形門

ところで
大手の代わりに追手と表記されているものもありますよね。これは同じ意味です。正確に言うと、「追手」がもともとの字です。追手には追撃するという意味が込められており、追手門は正面から攻めてくる敵を食い止め、更には城の外へ出て追い撃ちをかけるという戦術的な意味があったことが語源とされています(諸説あり)。

ということで
大手門(追手門)についてでした。東京に限らす、かつて城があった街では『大手町』という地名を見かることがありますよね。それはすなわち、城の正面玄関である大手門に由来しています。まぁ例外もあるのかもしれませんが、そう思ってほぼ間違いないですね。


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2020年05月04日

城用語 搦手門 (からめてもん)

今回は城好きの方でないとなかなか馴染みにくい搦手門 (からめてもん)について。すごくおおざっぱに言うと、お城の裏門のことです。逆は大手門です。

<高天神城の搦手門跡>
shirononagori428 (1).JPG
[静岡県掛川市]

大きな城郭の場合はたくさんの門がありますね。このうち正面、つまり家の玄関のような重要な位置にある門を大手門と言います。大手(又は追手)は正面を指す言葉。これに対し、搦手(からめて)とは後方を指す言葉で、城の場合は正面とは逆側を指し、その位置に設けられた門を搦手門と呼んだりします。

裏門と聞くと地味なイメージですよね。実際に、門の造りそのものは大手門と比べれば簡素な造りの場合が多いです。ただ、この門を侮ってはいけません。城の縄張りを決める際に、結構戦略的な意味が込められていたりします。

例えば、劣勢の場合に城主らが逃げ出し易いよう配置するとか、あるいは城の正面である大手門側に攻め手を誘導しておいて、裏門から城外へ飛び出た兵が攻撃をしかけるなどなど。城の構造によって異なりますが、重要な役割を担っていたりします

<鮭延城の搦手門跡>
shirononagori428 (2).jpg
[山形県最上郡真室川町]

ということで
搦手門についてのお話でした。ちょっと補足すると、必ずしも大手門と真逆に位置しているとは限りません。また、搦手門と呼ばれる門が複数ある場合もあるので、大手門のような主たる門ではないくらいに受け取ってもらえれば幸いです。

最後に
もっとも有名な搦手門の画像を貼っておきます

<半蔵門>
sn225hanzomon (11).JPG
江戸城の西側。江戸城の搦手門です。


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2020年03月30日

城用語 矢穴(やあな)

今回はお城の石垣関連の話でときどき耳にする矢穴(やあな)についてです。簡単に言えば石を割る際に石の表面に刻んでおく穴のことです。クサビのこと。開けた穴にクサビを打込んで石を割ります。

■実物■
実物を見た方が分かり易いですね
<実物>
shirononagori420 (1).jpg
虎ノ門駅の『江戸城外堀跡地下展示室』から撮影した石垣です。矢穴、どこだかお分かりになりますでしょうか?

<矢穴と刻印の説明>
shirononagori306 (8).JPG
こちらは展示室内のパネルです。説明文には『石垣表面には石を割った矢穴や大名を示す刻印が見られます』となっています。石の中央の印は刻印。上部の四角い窪みが矢穴です。


<他の例>
shirononagori420 (2).jpg
こちらは石垣山城の駐車場に展示されていた石垣用の石です。矢穴、どこだかわかりますね。

<実際の石垣>
shirononagori420 (4).jpg
こちらは二本松城の石垣です。矢穴の場所、わかりますでしょうか?

shirononagori420 (3).jpg
で加筆させて頂きました。クサビを打込んだ跡がくっきり残っていますね。


石の割り方もいろいろですが、矢穴を使ったこの方法は主に江戸時代に用いられた技法だそうです。つまりお城の石垣に矢穴をみつけたら、江戸時代に積み上げられた可能性が高いということですね。確率が高いということであって、絶対とは言い切れませんので、その辺りはご了承下さい。


■石垣石の割り方■
さて
具体的な方法ですが、矢穴は石目(いしめ)と割りたい石のサイズを想定して彫り、そこに矢(クサビ)を打込みます。石目とは割れやすい状態になっている方向のことですね。
下の画像は仙台城で撮影しました。ちょっと引用させて頂きます。

<石垣石の割り方>
shirononagori420 (5).jpg
[撮影:仙台城]

ノミで矢穴をあける
   ↓
矢穴に矢をさしこむ
   ↓
矢と矢穴に水をかける
   ↓
矢の頭をかけやでたたく
   ↓
石、割れる

分かり易いですね。水をかけるというのは、木製の矢の膨張を促す効果があるのでしょう。

ということで
石垣に関連する城用語として矢穴を紹介させて頂きました。お役に立てれば幸いです。


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