アフィリエイト広告を利用しています

2021年11月05日

北条氏康初陣の軌跡(川崎市)小沢原の戦い

関東から山内・扇谷両上杉氏を追い払い、やがては武田信玄・上杉謙信といった戦国屈指の武将と対等にわたりあった北条氏康。その初陣となった古戦場跡を訪ねてみました。場所は神奈川県川崎市の北部になります。

<小沢城址碑>
Stone-Monument-Ozawa-Castle.jpg
まだ若武者だった氏康が拠点とした山城です

■小沢原の戦い■おざわはら
この戦は小田原北条氏と扇谷上杉氏の戦いです(1530年7月)。北条早雲の意思を継いで関東進出を果たした第2代当主北条氏綱により、扇谷上杉氏は既に江戸城や岩槻城を奪われている状態でした。当主の上杉朝興は状況打破のために兵を率いて南下。これを迎え撃つべく、氏綱より出陣を命じられた若き氏康が小沢城に布陣しました。

<小沢城>
Ozawa-jo.JPG
Ozawa-castle.JPG
小沢城は鎌倉時代初頭には既に存在していた古い城です。天然の要害を利用した山城ですが、縄張りは比較的シンプルです。


■小沢城に籠った北条軍■
両軍の最初の激突は小沢城の麓とされています。麓?といっても、正確な場所は分かっていません。北条軍は初戦で敗退し、一旦小沢城に立て籠もりました。

北条氏康といえば、大軍を奇襲で破った河越夜戦などの戦歴から、勇猛果敢な武将というイメージですよね。成長した氏康は実際にそうだったかもしれませんが、もともとはかなり慎重なタイプだったようで、幼少期に至っては臆病で気弱な性格だったそうです。

氏康の初陣となった小沢原の戦いには、小田原北条氏家臣の清水吉政が同行しています。吉政(通称・小太郎)は、当主の嫡男である氏康を少時代から補佐し、教育係のようなこともしてきた人物。気弱だった氏康に、数々の褒め言葉で自信を持たせたことで知られています。今ふうに言えば、コーチングによって自己肯定できる力を身につけさせたわけですね。敵に押し込まれたこの状況で、16歳の氏康にどんな言葉をかけたのでしょうか?

この戦にはいろんな説があり、北条軍は負けたのではなく、城に逃げ戻ったように見せかけたのだというお話もあります。城に相手の注意を引き付け、別動隊で襲撃する策だったとする説です。ちょっと出来すぎのような気もしますが、この戦の結末を見る限り、これはこれで説得力があります。

事実がどうだったのかはか分かりません


■夜営する上杉軍■
北条軍が小沢城に籠ったところで、上杉軍は南西(現在の新百合ヶ丘駅方面)へ兵を移し、陣営を設けて夜を過ごすことになりました。正確な場所は分かっていませんが、川崎市麻生区の金程1丁目付近と推定されています。

<麻生川>あさおがわ
Jingawa.JPG
麻生区金程で撮影いた麻生川です。戦にちなんで陣川と呼ばれています。

なぜこの地が野営場として利用されたかは分かりません。現地を歩いた感じでは、交戦中の敵の城とある程度の距離は保ちたいとしても、ちょっと遠すぎるような気もしました。

陣内はどんな雰囲気だったのでしょうか。戦勝に興奮した状態?あるいは、戦に加えて野営の準備にも手間はかかりますので、疲れ果てて静まり返っていたのでしょうか?

いずれにせよ
上杉軍の危機はすぐそこに迫っていました。

■谷戸に隠れて夜襲■
<上麻生隠れ谷公園>かくれやと
Kakure-Yato-Kawasaki.JPG
氏康が兵を隠した谷とされている場所です。

<上麻生隠れ谷公園石碑>
Kakure-Yato-Stone-Monument.JPG
石碑の奥は浸食によって形成された谷戸になっています。

北条軍は小沢城に籠城するのではなく、野営に対して奇襲を仕掛けました。負けで始まった戦いですが、その後の判断は前向きで、行動は機敏です。決して臆病者では真似できない戦いぶりです。氏康配下には、地形を良く知る地元武士も含まれています。夜の移動を苦としない条件が整っていたわけですね。あるいは、もともとそのつもりだったのでしょうか。

上杉軍は総崩れとなって敗走しました。

■つわものどもが夢の跡■
<勝坂>かちざか
Kachizaka-Kawasaki.JPG
こちらは氏康が「勝った!勝った!」と叫びながら駆け上ったと伝わる坂道です。当主であり父である北条氏綱の命で出陣した戦で大勝利。格別の思いが込み上げた瞬間だったのでしょう。この戦いが1530年、父の隠居により3代目当主となるのが1538年です。氏康の戦いはまだまだ続くわけですね。



お城巡りランキング
posted by Isuke at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 城跡[関東]
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/11077646
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
検索
記事ランキング
[アクセスランキング]
  1. 1. 上杉謙信の軍旗 毘沙門天と懸かり乱れ龍
  2. 2. 近世小田原城のなごり
  3. 3. 関東の連れ小便・政宗白装束の舞台 (石垣山城)
  4. 4. 刑場近くの橋のなごり 泪橋と思川
  5. 5. 金沢城のなごり
  6. 6. 火の玉不動 大宮宿の水路と刑場のなごり
  7. 7. 足柄城のなごり
  8. 8. 近藤勇ゆかりの地(米沢市)高国寺
  9. 9. 大石内蔵助 終焉の地 細川家下屋敷跡
  10. 10. 大多喜城のなごり
  11. 11. 高岡城のなごり
写真ギャラリー
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
Isukeさんの画像
Isuke
もともとは無趣味の仕事人間。土日は家でゴロゴロ。本ブログは、そんな男が急に城跡巡りに目覚め、てくてくと歩き始めた記録です。
プロフィール
X (Twitter) Twitter-Isuke.JPG Isuke@shirononagori
最新記事

お城巡りランキングに参加中 [参加させて頂いた雑誌]

アクティブライフ・シリーズ009 クルマで行く 山城さんぽ 100【電子書籍】[ 交通タイムス社 ]

[当サイトお勧め本]

小説 上杉鷹山 全一冊 (集英社文庫(日本)) [ 童門 冬二 ]


感想(39件)