2019年05月19日

川越城南側の低湿地のなごり 浮島稲荷神社

今回は、川越城の南側に広がっていたとされる低湿地帯を確認しに行ったという内容です。ちょっとマニアックですが、よろしければお付き合いください。

<浮島稲荷神社>
shirononagori334.JPG
川越城本丸跡を訪問後、この神社を目標に歩いてきました。

■天然の要害■
<川越城の縄張り図>
shirononagori330 (3).JPG
[川越市役所で撮影]
川越城はいわゆる平城です。ほぼ平らな地形に築かれました。一概に言えませんが、平城は山城のような高低差が無い代わりに、河川や湿地に守られているケースが多いですね。川越城は武蔵野台地の北東端に位置し、北側には川が流れ、東側は台地に対して低地、南側は湿地帯だったと伝わります。川は今でも流れています。街がコンクリに覆われても、低地は現地を歩けば実感できます。しかし湿地はどうでしょうか?これは今となっては実感することが難しいね。ただ、ちょっとだけヒントを与えてくれたのが、城跡でみかけた「川越城の七不思議」の説明板でした。

<川越城の七不思議>
shirononagori334.JPG
[三芳野神社付近で撮影]
ここに登場する浮島稲荷神社に、湿地帯のなごりを予感し、現地を目指すことにしました。


■湿地の浮島■
<鳥居と参道>
shirononagori334.JPG
浮島稲荷神社の鳥居と参道。住所だと川越市久保町。川越城本丸跡から喜多院へ向かう途中にあると言った方が伝わりやすいですかね。「くぼ」の名は低地に由来し、浮島という呼び名からして、高台の周辺に湿地帯がひろがっていたことが連想されます。湿地そのものは実感できなくても、何となく気分が盛り上がります。

<石碑>
shirononagori334ad.JPG
光の関係で見にくいですが 「片葉の芦叢生の所」と刻まれています。先述の七不思議のひとつ「片葉の葦」の石碑です。これに関する解説は、川越市の説明をそのまま引用させて頂きます。
【片葉の葦】
『浮島稲荷神社の裏側一帯は、萱や葦が密生した湿地帯で、別名「七ッ釜」といわれていた。ここに生える葦は不思議なことに片葉であって、次のような話が伝わっている。
川越城が敵に攻められ落城寸前に、城中から姫が乳母と逃げのび、ようやくこの七ッ釜のところまでやって来たが、足を踏みはずしてしまった。姫は、川辺の葦にとりすがり岸にはい上がろうとしたところ、葦の葉がちぎれてしまい、姫は葦の葉をつかんだまま水底へ沈んでしまった。この辺の葦は、この姫の恨みによってどれも片葉であるといわれている。』
※出典元:三芳野神社付近の説明板(川越市)

悲しいお話ですね。そして葦が題材となっていることや、足を踏みはずしただけで命を落とすというあたりに、この付近の当時の姿が想像できます。浮島稲荷神社があるこのエリアは、葦が密生する湿地帯だった。七ッ釜という呼び名は、水が湧き出て地形も複雑だったことを暗示している。

ここまで情報が得られれば、あとは現地へ来たという満足感にも手伝ってもらいながら、勝手な思い込みで湿地帯を味わうのみです。

<境内>
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落ち着いた雰囲気です。ただ境内には桜の木が多いので、満開の時期にはたくさんの人で賑わうのかもしれませんね。あるいは、地元の人のみが知る桜の名所でしょうか?

<拝殿>
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<境内の池>
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参道の途中に池がありました。むかしの低湿地を訪ねているつもりなので、何となくそれらしい気分になれました。

<浮間公園>
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敷地内には遊具も備わった公園が設けられています。地元の人に開かれた神社のようですね。

<説明板>
shirononagori335 (2).JPG
ここにも、かつてこの辺りが湿地帯だったことが記されています。地元の人々から「うきしま様」と呼ばれて親しまれているとのこと。言い伝えとして『大昔、星野山(今の喜多院)にあったのを慈覚大師が喜多院を開いたときここに移した』とされているようです。別の言い伝えとして『太田道灌の父太田道真が川越城を築城した際に、城の守護神としてこの地に祀ったもの』という記載もあります。興味深いですね。

そして湿地帯に関する説明として『以前は「七つ釜」といって、清水の湧き出る穴が七つもあり、一面葦の生い茂った沼沢地であった』とあります。これにより、遠くから見ると神社が島のように浮かんで映ることから、浮島神社と呼ばれるようになったという内容の記載もあります。やはりそうでしたか。

川越城の南側には低湿地があった。

それを味わうためだけの訪問ですが、ある程度納得できた上に、浮島稲荷神社の雰囲気も素敵だったので、足を運んだ甲斐がありました。

ということで
こんな内容を最後までお読み頂きありがとうございました。

■訪問
浮島稲荷神社
[埼玉県川越市久保町]


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