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2018年04月01日

児山城 後世に残したい土の城

つわものどもが夢の跡
今回の訪問は『土の城』の遺構が良好な状態で残る栃木県下野市の城跡です。

<児山城>
sirononagori219 (4).JPG
当ブログで「感謝したくなる」という言葉を時々使っていますが、まさにそういう城跡です。現地に着くなり鳥肌がたちました。

■下野市■しもつけし
今回訪れた栃木県下野市は、県央の宇都宮市と県南の小山市の中間に位置します。目的地の最寄駅は石橋駅。かつては石橋町でしたが、2006年に南河内町・国分寺町と合併して下野市となりました。

■群雄割拠■ぐんゆうかっきょ
話を中世に移しますと、ここ栃木県(下野国)でも、他県に負けず地元豪族が群雄割拠する状態が続いていました。そのなかでも大きな勢力を誇った豪族といえば小山氏宇都宮氏、あと那須氏といったところですかね。よく〇〇の末裔という話を耳にしますが、この3氏も同様。今回は省略しますが、それぞれに名族です。この3勢力を大雑把にエリアで分けると、県北が那須氏、県央が宇都宮氏、県南が小山氏という勢力分布図になります。まぁ行政区のように境界線が固定されている訳ではないので、勢力圏はその時々で流動的に変化しますが・・・

今回訪問の児山城は宇都宮氏配下の城。同じく宇都宮氏配下の多功城・上三川城とともに、宇都宮城の南側を守備する役割を担いました。

■児山氏の城■こやま
児山氏は宇都宮氏の庶流。宇都宮氏の出で、下野国の河内郡を拠点としていた多功氏が更に枝分かれしたのが始まり。まぁ宇都宮氏・多功氏・児山氏は親戚と考えた方が分かりやすいですね。

<説明板>
sirononagori219 (1).JPG
児山城は『宇都宮頼綱の四男多功宗朝の次男(又は三男)朝定が築城した』と伝わります。本家と対立しているわけではないので、宇都宮城の支城的な拠点と考えて良いです。

sirononagori219 (2).JPG
ここも既にかつての城跡ですが、行く先にとんでもなく見事な遺構が見えているので、早足で小路を進みました。この日は旧友と二人で訪問。この付近から急に無口になって勝手な行動をとる私を、快く許してくれました。毎回ですが感謝してます。

さて、お目当ての本丸付近へ

<堀跡と本丸跡>
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見事な堀の遺構。そして右手が本丸(主郭)跡です。ここまでしっかり残っているとは・・・

<堀跡>
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結構な幅です。かつてはもっと深かったのでしょう。

<堀跡>
sirononagori219 (7).JPG
しばし見惚れました。草も刈ってもらって、立派です。

<土橋>
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土橋の跡ですね。ここから本丸の虎口へ進みます。

<本丸>
sirononagori219 (8).JPG
あれ・・・

外側から見た時に、本丸はもう少し高い位置にあるのかと思いました。つまりもっと高低差があるものだと。しかし高いのは本丸を取り囲む土塁だったわけですね。

<本丸から見た土塁>
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本丸は方形で、その4隅の土塁が高くなっていています。かつての櫓台の跡とのこと。ただ、特別に幅が広くなっている訳ではないので、建造物があったとしても、比較的簡易的なものだったと思われます。

<土塁の上から撮影>
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左側が本丸の区画で右側が堀。外との高低差は良いですね。ただ土塁が曲輪側(つまり本丸内部)からみても高く、平城の本丸としては視界の悪さが気になります。まぁ感覚の問題ですが。

もしかしたら、もともとこの本丸単体で、ひとつの砦のような感じだったのかもしれません。それなら理解できます。外に向かって拡張を続け、一定規模の城となった。などと考えさせられました(個人的な感想です)。

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何となく使い勝手が悪い気がしますが、建造物を工夫して補えば良い訳ですかね・・・

<本丸の土塁と説明板>
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遺構があるのは本丸とその周辺のみ。しかし実に良好な状態です。この説明だと、堀は『6〜9メートル巾の水濠』となっています。幅は納得ですが、水掘?ですか。まぁネット検索すると、児山城の堀に水が溜まっている画像もあったりしますが、周囲を見回しても、どこから水を引けるのか見当がつきません。もしかしたら、この辺りの地下水の水位によって左右されるのか?などと考えましたが確証はありません。


■周辺■
<華蔵寺入口>
sirononagori219ad (3).JPG
城跡は華蔵寺の西側一帯です。本丸以外は木々が多く、見渡してもどこまでが遺構なのかちょっと分りにくいですね。ただまぁ、実際に歩いてみると、何となく城を感じることができます。

<城のなごり>
sirononagori219 (12).JPG
本丸と堀だけで充分満足ですが、周辺にも「城のなごり」が。浅くなってしまった堀、途切れている土塁の痕跡。長年の風雪や、後の時代の人の手によって、城ならではの合理性は失われていますが、それでも嬉しいですね。遺構には変わりありません。

<城のなごり>
sirononagori219 (14).JPG
そもそも雰囲気が良い。

<二の丸と堀>
sirononagori219ad (1).JPG
本丸を囲むようにして造られた二の丸です。手前は二の丸の堀跡。そもそもこの一帯の地形は総じて平坦です。もともとの地形に由来する劇的な高低差といったものはありません。児山城の城としての分類は、西側を流れる姿川(すがたがわ)沿いの緩やかな台地の上に築かれた『平城』、そして縄張りは『輪郭式』ということになりますね。

<整備中>二の丸
sirononagori219ad (2).JPG
太い木が伐採された跡ですね。ここもちょっと前まで木々が生い茂っていたのでしょう。曲輪として見やすくための整備が進んでいるようです。この位置から見通し良く二の丸と本丸が連なって見えたら、きっと素晴らしいでしょうね。


■上杉謙信に攻め込まれる■
1558年、上杉謙信が多功城を攻撃した際に、児山城主である児山兼朝が加勢のために出陣して討死。こののちここ児山城は廃城になったようです。上杉軍はおとなり上野(群馬県)から下野に進軍し、小山氏の祇園城などを降伏させて、宇都宮氏の勢力圏へ迫りました。その前哨戦として、進軍ルートとなる多功城がまず戦場となったわけですね(多功ヶ原の戦い)。多功城と今回訪問の児山城はすぐ近く。身内の危機に援軍として駆け付けた児山兼朝は、上杉軍を相手に奮闘しましたが、そこで命尽きました。


■負けなかった■
上杉謙信(当時は長尾景虎)は、下野国の佐野氏に宇都宮攻めを指示し、連合軍となって攻め寄せました。また、謙信は事前に会津の蘆名盛氏とも連携していました。南側から上杉軍が迫り、北の蘆名氏も敵ではたまりませんね。宇都宮氏、窮地に立たされました。
しかし多功長朝(たこうながとも)ほか宇都宮勢は奮闘。上杉・佐野の連合軍を追い返しました。ただし代償も大きく、多くの名だたる武将が命を落としました。先述の児山兼朝もその一人です。


■つわものどもが夢の跡■

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児山兼朝の死後、この城は役割を終えました。

城跡には、当時の雰囲気を漂わせる素晴らしい遺構があります。整備が進んでいるようですが、あまり過度な復元はしないで、土の城のまま後世に残して欲しいですね。

廃城が醸し出す独特の美。
久しぶりに肌で感じることができました。ただただ感謝です。

<帰路>
sirononagori219 (18).JPG
去りがたく、何度も振り返りました。

-------■児山城■-------
築城者:児山朝定
築城年:1334〜37年
城 主: 児山氏
廃 城:1558年

[栃木県下野市下古山](旧石橋町)

 
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posted by Isuke at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 城跡[関東]
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