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2017年07月24日

伊奈一族の城跡 赤山城 (川口市)

<赤山城址石碑>
sirononagori ina kawaguchi (5).jpg
関東郡代として関八州の幕領を管轄し、治水や新田開発で幕府を支えた伊奈氏。三代目伊奈忠治が築いた城跡(屋敷跡)を訪問しました。場所は現在の埼玉県川口市。かつての本丸・二の丸付近が公園として整備され、本丸虎口付近には石碑が建てられているほか、土塁や堀跡が確認できます。

■城?陣屋?屋敷?■
城址と呼ばれたり陣屋跡・屋敷跡とも呼ばれています。個人的な感覚としては、時代まで考慮すると「屋敷」でいいような気もしますが、城郭に相応しい構造で、更に家臣団の屋敷スペースも含めるとかなりの広さだったようなので、とりあえずここは「城」で通します。

■訪問■
高台の雑木林がそのまま城跡となっています。駅から大きな道をひたすら歩いてきましたが、目印を見つけて狭い道へ。本当にこの先に城跡があるのかな?などと思っていたら、突然ひっそりと目の前に現れました。とても静かな場所です。

<日枝神社>
sirononagori ina kawaguchi (2).jpg
江戸城鎮護の日枝神社から分社された赤山城の守護(「日枝」というのは明治以降の号)。この盛り土は空堀を掘ったときの廃土によって築かれました。

<堀跡 >
sirononagori ina kawaguchi (4).jpg

sirononagori ina kawaguchi (3).jpg
普通に堀と思えば良いのでしょうが、ここが治水事業の功労者である伊奈氏の城跡だと思うと、妙に意味深く感じてしまいます。現状の堀はやや浅いですが、当時はもっと深かったのでしょう。まぁ周辺の低湿地を実質外堀として活かしていることを考えると、内堀はこの程度でも良いのかもしれませんが…。それにしても良く整備してもらっています。遺構の管理に感謝です。

■縄張り■
縄張りは本丸と二の丸を基本として、周囲に曲輪を配置したシンプルな構造となっています。平城(ひらじろ)に分類できますが、周辺の低地との高低差を利用した城で、当時の推定図の多くには、二の丸や北側の曲輪に堀の役割を果たす湿地帯が描かれています。現地で確認する限り、西にも南にも明らかな谷(かつての低湿地)があり、地形の険しさにしっかりと守られた場所という印象。やはり構造だと、屋敷より城の方がしっくりきますね。

<二の丸>
sirononagori ina kawaguchi (8).jpg
城跡が良く整備されていることには感謝しますが、実はこの「凝ってない」景色が一番気に入りました。曲輪の向うは斜面になっています。

<北側の谷(堀)>
sirononagori ina kawaguchi (7).jpg
現地では高低差が実感できます。この竹林は伊奈氏のお姫様と龍の伝説が伝わる場所(立入禁止)。

■伊奈氏拠点として約160年■
三代目忠治以降も、伊奈氏は新田開発や治水事業で業績を残し、更に飢饉の際の貧民の救済や百姓一揆鎮圧など、長年にわたって世のため人のためとなる役割を担いました。ただ12代目の時に諸々の不祥事で関東郡代を罷免され、所領は没収となります(私は伊奈氏側にすべての原因があるとは思っていませんが、世間的には不祥事)。
@忠次⇒A忠政⇒B忠治⇒C忠克⇒・・・⇒J忠敬K忠尊(改易)
※二代目は忠次の長男・忠治の兄

163年間伊奈氏の拠点だったここ赤山城も廃城。城の役割も終わりました。
sirononagori ina kawaguchi (1).jpg


つわものどもが夢の跡
SotoborAnkyo Ina.jpg
帰り道、城跡の南側の低地でこんな光景を目にしました。かつては外敵の侵入を拒んだ低湿地が、いまでは広々としたグラウンド、そして緊急時には水を受け入れる場所として整備されています。金網状の通り道は水路です。伊奈忠治も感心するような現代の治水です。

■赤山城■
別 名:赤山陣屋
築城年:1629年(寛永6)
築城者:伊奈忠治(3代目)
屋敷主:伊奈氏3代〜12代
廃城年:1792年(寛政4)
最寄駅:新井宿駅(埼玉高速鉄道)
(徒歩20分程度)

[埼玉県川口市赤山]


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タグ:伊奈一族
posted by Isuke at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 城跡[埼玉]
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