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2018年01月08日

司法試験・国会の事後の不承認条約の効力

[ はじめに ]

条約については,憲法と条約の形式的効力関係についての憲法優位説と条約優位説,条約に対する違憲審査の可否,国会の事後の承認のない条約の効力,国会の条約の修正権の肯否等が,主な論点となっています。

司法試験においては,言うまでもなくこれらすべてが必須の論点となっています。
しかし,司法書士試験においても,今後は年度を重ねるごとに漸進的に出題論点となっていく可能性があります。

そこで,今回は国会の不承認条約についての国際法上の効力について,短答・択一式問題を作成しました。
新司法試験の従来からの短答式出題形式にはあまり適合しないかもしれませんが,短答が3科目となったことから,今後,旧司法試験の短答式の出題形式の利用も考えられます。
一方,司法書士試験の出題形式においては,今後可能な択一式出題形式であると言えます。
以上のことを考慮した上で問題を作成しました。

また,慎重に問題文を読めば,意外とあっさりと解答できるようにも問題を作ってあります。

知識の理解・整理を第一目標においたからです。

ところで,基本は絶対に外さないことを旨とする受験勉強においては,基本を学習し尽くすことがなによりも大切であると考えます。とりわけ,司法書士試験は基本です。ともかく,基本,基本,基本です。

司法試験では,今回の短答式の知識,理解は殆ど必須ですが,司法試験とは出題科目の異なる司法書士試験においては,憲法のここまでの理解・知識は過ぎたるものとの評価もありえます。なかなか難しいところです。

正解は,参考文献の下に記載してあります。



[ 問 題 ]

以下の記述は,国会の事後の承認のない条約の国際法上の効力に関して,見解を異にする学生A,B,C,Dの会話の一部である。各学生は,次のTからWまでのいずれかの異なる見解に立っている。学生と見解の組み合わせとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

【 『事後に』承認の得られなかった条約の効力についての見解 】
T 国内法的には無効であるが,国際法的には有効であるとする説
U 国内法的には無効であるが,条約法に関するウィーン条約に従って,条約の効力を判定し,国際法上の効力については原則として有効とする説
V 国内法的にも,国際法的にも無効とする説
W 国内法的には無効であるが,国会の承認権規定の具体的意味が諸外国にも「周知」の要件と解されている場合には,国際法的にも無効とする説。すなわち,原則無効の要件を緩和し一定条件に該当する場合に無効を限定する説

A 「条約の国会による『事前』不承認の場合,条約は成立しない。これに対して,『事後』不承認の場合には,確かに,条約の国内法的効力は有効には生じていないものの(つまり,無効ではあるものの),しかし,国際法的効力については争いがある。この国際法上の効力の有効・無効について論ずるのが,まさに『事後』不承認の条約の効力に関する論点だね。」

B 「この点,A君は,条約締結に国会承認の必要なことは当然相手国も承知すべきだし,また,承認につき『事前』と『事後』でその法的効力の有無につき区別を設けるのは,憲法の趣旨に反すると主張するんだね。」

C 「しかし,各国の条約締結手続を相手国が熟知しているとは限らない。そして,条約締結手続が不明確なこともある。だから,当事国は相互に相手国の条約締結権者の行為を信頼すれば足りる。さらに,法的安定性も考慮しなければならい。これがB君の主張だよね。」

D 「C君は,周知の憲法手続に違反した場合のみ国際法上の効力は無効であるとするね。」

A 「D君とC君の見解の趣旨は実質的には同じだね。しかし,C君が『事後』不承認の条約の国際法上の効力につき,これを原則無効とするのに対して,D君は原則有効とする。ところで,B君の見解によると,国会の意思の尊重に欠けるとの批判が予想されるけど,その点はどう対処するのかな?」

B 「そもそも事前の承認を本則とすべきだし,やむを得ない事情で署名のみで条約を成立させるときは,国会の承認を得られないときは,失効する旨の条件を予め附しておけば足りるよ。」

 AV−CW         AT−DU         BW−CU 
 BT−DW         CT−DV        

( 参 考 )
(憲法)
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

(条約法に関するウィーン条約)
第四十六条
1 いずれの国も,条約に拘束されることについての同意が条約を締結する権能に関する国内法の規定に違反して表明されたという事実を,当該同意を無効にする根拠として援用することができない。ただし,違反が明白でありかつ基本的な重要性を有する国内法の規則に係るものである場合は,この限りでない。
2 違反は,条約の締結に関し通常の慣行に従いかつ誠実に行動するいずれの国にとつても客観的に明らかであるような場合には,明白であるとされる。





[ 解 説 ]

条約締結の国会の事前承認が得られなかった場合には,条約の国内法的効力,国際法的効力のいずれも生じません。

問題は条約締結について国会の事後承認が得られなかった場合です。
条約は,調印により成立する場合には調印により,あるいは批准により成立する場合は批准により,既に成立していることから,国会の事後承認が得られなかった場合の国際法上の効力が問題となります。
なお,国会の事後承認がなければ,条約の国内法的効力が認められないこと,このことは議論の当然の前提となっています(伊藤・憲法p686,内野・憲法解釈の論点p137,渋谷・憲法p568参照)。



[ 学 説 ]

(学説の名称の多くは,渋谷・憲法p568に依った)
[無効説,承認法定成立要件説]

問題文Vの説  国内法的にも,国際法的にも無効とする説

無効説は,@憲法条文上これを端的に見れば,条約成立の要件として,内閣の締結行為と国会の承認の二つが必要であることが明示されていること,及び政府の締結行為に対する国民の代表機関たる国会の民主的コントロールの重要性が認められること,これらを理由に国会による条約の承認は,条約が有効に成立するための「法定成立要件」であるとします。

また,無効説は,A国会の承認について「事前」と「事後」で,その法的効力につき違いを設けるのは,憲法の趣旨に反し根拠がないとします。
憲法条文上(憲法73条3号),国会による条約の承認が必要とされているにもかかわらず,有効説はそれを事前の承認がなければ,条約の効力が発生しない,つまり無効だが,事後の承認に欠ける場合には,今度は逆に条約を有効とする。これでは,事前,事後という時期によってのみ条約承認につきその法的効力の差異を設けるものであって,国政の重要事項に対する国会による民主的コントロール,すなわち国民代表機関たる国会の意思の尊重という憲法の趣旨からは,かかる区別になんらの合理性を見出し得ない,このように無効説は主張します。

さらに,無効説は,B条約締結に国会の承認が必要であることは,憲法上の重要な要請であって,このことは当然相手国においても容易に知り得ることであって,知っているとみなしうることを主張します。
(伊藤・憲法p686~,長尾・日本国憲法第3版p382~参照)


無効説に対しては,次の批判があります。
すなわち,無効説によれば,各国はほしいままに国内法を理由に条約上の義務を免れようとすることになってしまう。その結果,国際条約関係は不断に動揺し,法的安定性を害する。
(橋本・国政と人権p142参照)




[有効説]

問題文Tの説  国内法的には無効であるが,国際法的には有効であるとする説

無効説に対して,有効説は以下のように主張,反論を行います。
@条約は国際法上の法形式であるから,その国際法上の効力は国際法に従って決定されるべきであり,国内法的手続の瑕疵で国際法上の効力が失われるのは適当でない。(伊藤・憲法p687,長尾・日本国憲法第3版p382参照)

A国会承認という憲法の手続規定の履践がないことを以て,条約の国際法上の効力を無効とすることは,条約の法的安定性を害する。
(長尾・日本国憲法第3版p382参照)

B国会の承認について,事前と事後とで条約の法的効力につき区別を設けることは合理的でないとの無効説の主張に対しては,有効説から次の反論があります。
本来,条約は批准を必要としない条約は,署名,調印により,また,批准を必要とする条約は批准により,それぞれ確定的に条約の効力が生じているのだから,条約が確定的に成立する前と後で,承認の法的意味につき違いが生じてくるのは寧ろ当然である。
(橋本・国政と人権p142参照)

C条約締結に国会の承認の要することは,多くの国の憲法に規定されているところであり,相手国も当然に承知すべきものであるとの無効説からの主張に対しても,有効説から次のような反論がなされています。

@)多くの国家において,成文憲法の規定に反する慣習法が成立している。
A)諸国の憲法規定を的確に知ることは困難である。
B)憲法の条項について,学説の対立があり,どの説を以て正当とすべきか判断できない。
(橋本・国政と人権p141参照)

D 無効説によると,相手国が憲法所定の条約手続を遵守したかどうか,これを確認しなければならなくなるが,これでは相手国への内政干渉ともなりかねない。
(橋本・国政と人権p142参照)

ところで,有効説に対しては,国会の意思の尊重に欠けるとの批判が予想されます。その点についての手当ても有効説は主張しています。
すなわち,そもそも事前の承認を本則とすべきだし,やむを得ない事情で署名のみで条約を成立させるときは,国会の承認を得られないときは,失効する旨の条件を予め附しておけばよい,とされています(橋本・国政と人権p143,佐藤功・ポケット注釈全集 憲法(下)[新版]p892参照)。


[条件付無効説,原則無効説,停止条件付無効説]

問題文Wの説  国内法的には無効であるが,国会の承認権規定の具体的意味が諸外国にも「周知」の要件と解されている場合には,国際法的にも無効とする説。すなわち,原則無効の要件を緩和し一定条件に該当する場合に無効を限定する説(条件付無効説)。

かかる条件付無効説は,国民代表機関たる国会の意思の重要性とその尊重,及び内閣の条約締結行為に対する民主的コントロールの必要性,並びに国際条約関係の可及的な法的安定性の現実的要請,これら諸要素を勘案しているものと思われます。

ここにおいて,同説は事後不承認の条約につき原則無効の要件を緩和し,そして一定条件に該当する場合に無効を限定する説となります。
(樋口ほか・注釈日本国憲法 下巻 p1097参照)


[条件付有効説,原則有効説,解除条件付有効説]

問題文Uの説  国内法的には無効であるが,条約法に関するウィーン条約に従って,条約の効力を判定し,国際法上の効力については原則として有効とする説

条件付有効説は,以下のように自説を根拠付けます。


日本国は,条約法に関するウィーン条約(条約法条約)を批准しており,憲法のその拠って立つ国際協調主義(憲法98条2項)から,「条約を締結する権能に関する国内法の規定」について定める条約法条約46条の適用があります。
してみれば,国会の条約に対する事後の不承認は,条約法条約46条1項の定める「基本的な重要性を有する国内法(憲法)の規則」の違反であり,かつかかる違反は,同条項に定める「違反が明白であり」にも該当します。なぜなら,憲法上国会の承認が必要とされていることは,相手国にとっても容易に知り得る,条約締結に係る重要な憲法的手続規定であり,調印・批准により一旦は確定的に成立したとされる条約ではあっても,事後の不承認によって条約の効力が無効とされることがありうること,このことについては,相手国も十分に知り得る立場にあるからです(憲法73条3号)。

したがって,条約法条約によって,条約の国際法的効力を判定すれば,国会の事後の不承認条約に係る国際法上の効力については,同法46条の援用を以て相手国との同意が無効であることを主張できる。

これが条件付有効説からする一つの帰結です(渋谷・憲法p569参照)。

ただし,これに対しては異なる考え方もあります。
確かに,内閣以外の何らかの機関(条約法条約8条参照)が条約を締結したというような場合には,「基本的な重要性を有する国内法(憲法)の規則に係るもの」に「明白」に「違反」したことが「客観的に明らか(条約法条約46条2項)」であり,条約法条約46条1項の「違反が明白でありかつ基本的な重要性を有する国内法(憲法)の規則に係るものである場合」に該当し,相手国との同意を無効とする根拠として同条項を援用することができるであろう。

しかし,これに対して国会による事後の不承認条約については,事後の不承認に係る憲法の明文規定を欠き,その効力については憲法の解釈問題となるのであるから,憲法の手続規定に「明白に違反」したことがいずれの国とっても「客観的に明らか」(条約法条約46条2項)であるとまではいえない。

したがって,条約法条約によって,条約の国際法的効力を判定すれば,事後の不承認条約に係る国際法上の効力について,同法46条の援用を以て相手国との同意が無効であることを主張することはできない。
このように異なる考え方もあります(佐藤功・ポケット注釈全集 憲法(下)[新版]p895~参照)。


条件付有効説(明白説)に対しては,次のような批判があります。
@明白な違反と明白でない違反との区別が困難であること,A条約上の義務を免れようと各国は,ほしいままに明白な憲法違反を主張して,争いが絶えないこと,その結果,B国際条約関係の法的安定性が害されること,さらに,C条件付有効説(明白説)を貫くと,条約締結機関の説明を信頼した相手国に無理を強いる結果となること,等これら批判があります。
(橋本・国政と人権p142,143参照)




→ところで,条件付有効説も,条件付無効説もその趣旨とするところはほぼ同じであり,結論的には実質的に異ならい,と言えると思います,

条件付無効説の諸説の論旨を読むと,実際の適用において,逆に原則として有効,例外として無効になるのではないか,このように思われるとの評価もあります(橋本・国政と人権p136参照)。


(条約法に関するウィーン条約)
第46条(条約を締結する権能に関する国内法の規定)
1 いずれの国も,条約に拘束されることについての同意が条約を締結する権能に関する国内法の規定に違反して表明されたという事実を,当該同意を無効にする根拠として援用することができない。ただし,違反が明白でありかつ基本的な重要性を有する国内法の規則に係るものである場合は,この限りでない。
2 違反は,条約の締結に関し通常の慣行に従いかつ誠実に行動するいずれの国にとつても客観的に明らかであるような場合には,明白であるとされる。


第7条(全権委任状)
1 いずれの者も、次の場合には、条約文の採択若しくは確定又は条約に拘束されることについての国の同意の表明の目的のために国を代表するものと認められる。
(a)当該者から適切な全権委任状の提示がある場合
(b)当該者につきこの1に規定する目的のために国を代表するものと認めかつ全権委任状の提示を要求しないことを関係国が意図していたことが関係国の慣行又はその他の状況から明らかである場合
2 次の者は、職務の性質により、全権委任状の提示を要求されることなく、自国を代表するものと認められる。
(a)条約の締結に関するあらゆる行為について、元首、政府の長及び外務大臣
(b)派遣国と接受国との間の条約の条約文の採択については、外交使節団の長
(c)国際会議又は国際機関若しくはその内部機関における条約文の採択については、当該国際会議又は国際機関若しくはその内部機関に対し国の派遣した代表者


第8条(権限が与えられることなく行われた行為の追認) 
条約の締結に関する行為について国を代表する権限を有するとは前条の規定により認められない者の行つたこれらの行為は、当該国の追認がない限り、法的効果を伴わない。




以上から,問題文の各学生のとる学説をまとめると次のようになります。*

学生A [無効説]                               →V説
学生B [有効説]                               →T説
学生C [条件付無効説,原則無効説,停止条件付無効説]             →W説
学生D [条件付有効説,原則有効説,解除条件付有効説]             →U説
(*学説の名称の多くは,渋谷・憲法p568に依った)


[参考文献]
日本国憲法 橋本公亘 著 有斐閣
国政と人権 橋本公亘 著 有斐閣
ポケット注釈全集 憲法(下)[新版] 佐藤功 著 有斐閣
憲法 第三版 伊藤正巳 著 弘文堂
憲法 第六版 芦部信喜 著 高橋和之 補訂 岩波書店
注釈 日本国憲法 下巻 樋口陽一・佐藤幸治・中村睦男・浦部法穂 著 青林書院
日本国憲法 [第3版][全訂第4版] 長尾一紘 著 世界思想社
憲法解釈の論点 [第4版] 内野正幸 著 日本評論社
憲法 第3版 渋谷秀樹 著 有斐閣
新・コンメンタール憲法 木下智史・只野雅人 [編] 日本評論社
など
正解 1 AV−CW
 

学説及び判例あるいは判決事例の解読・理解・説明には,非常に微妙な点が多数現出します。
説明の過程において,どうしても私見となる部分が出てきます。
従いまして,以上の記述の正誤につきましては,是非ご自身の基本書,テキスト等によりご検証,ご確認ください。
                                以 上












posted by 略して鬼トラ at 06:15 | 司法試験
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