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2017年03月30日
予備的 相殺の抗弁について(訴訟上の相殺)
予備的 相殺の抗弁(訴訟上の相殺)
相殺の抗弁については,特別研修受講生の中でも誤解が多いのではないでしょうか。
例えば,貸金返還請求訴訟の原告の請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁を主張したとします。
この場合,裁判所がいずれの抗弁を先に判断するか,その順序は,裁判所の自由裁量です。
消滅時効の抗弁を先に判断して,請求を棄却しようが,弁済の抗弁を先に判断して,請求を棄却しようが,裁判所の判断は,自由裁量です。そして,弁済の抗弁を先に判断し,弁済が立証されておれば,消滅時効の抗弁については,裁判所はこれを判断せずに,弁済の抗弁のみを認めて原告の請求を棄却します。逆に,消滅時効の抗弁を先に判断し,消滅時効が立証されておれば,弁済の抗弁については,裁判所はこれを一切判断せずに,消滅時効の抗弁のみを認めて,原告の請求を棄却します。
この場合,仮に被告が,弁済の抗弁から先に判断してくれ,弁済の抗弁が認められなかったら,次に消滅時効の抗弁を判断してくれと,抗弁の判断順序を裁判所に対して主張したとしても,裁判所は,この被告の主張に拘束されません。裁判所は,被告の主張にも拘わらず,消滅時効の抗弁を先に判断して,消滅時効の抗弁が認められれば,そのまま,弁済の抗弁は一切判断せずに,原告の請求を棄却してもいいのです。
逆に被告が,消滅時効の抗弁から先に判断してくれ,消滅時効の抗弁が認められなかったら,次に弁済の抗弁を判断してくれと,抗弁の判断順序を裁判所に対して主張しても,裁判所は,この被告の主張に拘束されません。裁判所は,被告の主張にも拘わらず,弁済の抗弁を先に判断して,弁済の抗弁が認められれば,そのまま,消滅時効の抗弁は一切判断せずに,原告の請求を棄却してもいいのです。
それは,なぜでしょう?
被告としてみれば,いずれの抗弁によっても,請求が棄却されさえすれば,判決理由中の判断には既判力もなく、それで目的は達成され支障はないのですし,また,裁判所としても,審理の判断に柔軟性をもたせ,審理の錯綜,審理の硬直化を避け,審理の迅速化によって有限な司法資源の有効活用を図ることができるからです。
それでは,今度は,貸金返還請求訴訟の原告の請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁,さらには相殺の抗弁まで主張した場合はどうでしょうか?
この場合,裁判所は,いずれの抗弁でも先に判断することが,可能でしょうか?
答えは,相殺の抗弁を,一番最後に判断しなければならい,となります。
その理由は,なんだとお考えになりますか?
答えは,相殺の抗弁が認められると,被告の自働債権の失権効が実質上生じるからです。相殺の抗弁は,被告が自己の債権を失うという意味において,実質,敗訴に等しいからです。
それでは,裁判所に相殺の抗弁が認められた場合には,これに既判力が生じるでしょうか?
答えは,既判力が生じます。
既判力が認められた結果,被告は,後訴において自働債権の請求主張を裁判所に認めてもらえなくなります。まさに,これは,被告の自働債権が相殺の抗弁として認められたことにより,被告が自働債権を失ったことを意味します。
消滅時効や弁済の抗弁により,裁判所が請求棄却の判決をしてくれれば,被告は,自働債権を失わずに済んだものを,相殺の抗弁を先に判断されたがために,失わなくて済んだ自己の自働債権を失ったということになります。
そのため,このようなことにならないために,貸金返還請求訴訟の原告の貸金返還請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁,さらには相殺の抗弁まで主張した場合,裁判所は,消滅時効の抗弁,弁済の抗弁のいずれも排斥した場合に初めて,被告の相殺の抗弁の主張を最後に判断するのです。[注1]
訴訟上の相殺の抗弁は,裁判所に判断されない限り,被告の答弁書,準備書面において,その主張をしただけで,被告は自働債権を失うことにはなりませんので,ご注意を! この点を,誤解されている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そして,被告は,相殺の抗弁を主張する場合,わざわざ「予備的」にと断った上で相殺の抗弁を主張しなくとも,ただ単に「相殺の抗弁」を主張するだけでよいのです。裁判所は,弁済の抗弁,消滅時効の抗弁を立証なしとしてこれらを排斥した場合,最後に被告の相殺の抗弁の成否を判断してくれるのです。[注2]
この点,「予備的」に主張しなければ,裁判所は,相殺の抗弁を最後に判断してくれないものと誤解している方がいらっしゃるのではないでしょうか。そんなことはなく,当然に,裁判所は,相殺の抗弁の成否を最後に判断してくれるのです。
この点は,誤解の多いところかもしれません。
また,消滅時効の抗弁と,弁済の抗弁とでは,証拠関係,訴訟の経緯にもよりますが,裁判所は,通常,判断の容易な消滅時効の抗弁を先に判断し,これが認められれば,直ちに,請求棄却の判決を行うということが多いでしょう。弁済の抗弁まで,判断するに至らず,訴訟に決着がつくということです。
なお,上記の相殺の抗弁は,講学上,予備的相殺の抗弁と言われています。特別研修受講生の中には,「予備的相殺の抗弁」という言葉は思いつくものの,それ以上に上記のような相殺の抗弁の実質的判断については,これを理解していなかったという人も案外多く見受けられたのではないでしょうか。
また,講師弁護士の先生の中には,講義中,予備的相殺の抗弁について触れない先生も,案外結構多くいらっしゃったのではないでしょうか。危険負担に関する債権者主義,債務者主義の概念説明についても,これを行わない講師弁護士の先生も案外結構多くいらっしゃったのではないでしょうか。民法534条は,強行規定ではなく,任意規定なのでありますから,是非とも,特約により契約当事者間で,債権者主義から債務主主義に変更したとも解釈できる契約条項については,「債務者主義」のコメントも行ってほしいとお考えになった特別研修受講生もいらっしゃったのではないでしょうか。
相殺の抗弁については,裁判所職員総合研修所監修,「民事訴訟法講義案」(三訂版)に掲載されています。ご参考までに。 以 上
[注 1、2]
訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする相殺の抗弁においては,裁判所は,当事者の付した順位に拘束され,又は当事者が順位を付さない場合であっても,まず,原告の請求権の成立を確定し,相殺以外の抗弁(例えば,当事者の主張した弁済の抗弁,消滅時効の抗弁)が成立しない場合に,初めてその判断に入ることが許されると解されています。[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会 p110 参照]
繰り返しますが,このように言えるのは,あくまで訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする場合です(訴訟上の相殺)。
要件事実の記載例(あくまで参考例です。念のため。自己責任でお願いします。)
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相殺の抗弁については,特別研修受講生の中でも誤解が多いのではないでしょうか。
例えば,貸金返還請求訴訟の原告の請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁を主張したとします。
この場合,裁判所がいずれの抗弁を先に判断するか,その順序は,裁判所の自由裁量です。
消滅時効の抗弁を先に判断して,請求を棄却しようが,弁済の抗弁を先に判断して,請求を棄却しようが,裁判所の判断は,自由裁量です。そして,弁済の抗弁を先に判断し,弁済が立証されておれば,消滅時効の抗弁については,裁判所はこれを判断せずに,弁済の抗弁のみを認めて原告の請求を棄却します。逆に,消滅時効の抗弁を先に判断し,消滅時効が立証されておれば,弁済の抗弁については,裁判所はこれを一切判断せずに,消滅時効の抗弁のみを認めて,原告の請求を棄却します。
この場合,仮に被告が,弁済の抗弁から先に判断してくれ,弁済の抗弁が認められなかったら,次に消滅時効の抗弁を判断してくれと,抗弁の判断順序を裁判所に対して主張したとしても,裁判所は,この被告の主張に拘束されません。裁判所は,被告の主張にも拘わらず,消滅時効の抗弁を先に判断して,消滅時効の抗弁が認められれば,そのまま,弁済の抗弁は一切判断せずに,原告の請求を棄却してもいいのです。
逆に被告が,消滅時効の抗弁から先に判断してくれ,消滅時効の抗弁が認められなかったら,次に弁済の抗弁を判断してくれと,抗弁の判断順序を裁判所に対して主張しても,裁判所は,この被告の主張に拘束されません。裁判所は,被告の主張にも拘わらず,弁済の抗弁を先に判断して,弁済の抗弁が認められれば,そのまま,消滅時効の抗弁は一切判断せずに,原告の請求を棄却してもいいのです。
それは,なぜでしょう?
被告としてみれば,いずれの抗弁によっても,請求が棄却されさえすれば,判決理由中の判断には既判力もなく、それで目的は達成され支障はないのですし,また,裁判所としても,審理の判断に柔軟性をもたせ,審理の錯綜,審理の硬直化を避け,審理の迅速化によって有限な司法資源の有効活用を図ることができるからです。
それでは,今度は,貸金返還請求訴訟の原告の請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁,さらには相殺の抗弁まで主張した場合はどうでしょうか?
(*これは訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする相殺の抗弁についてのお話です。⇒ あくまで「訴訟上の相殺」のことです。上記は口頭弁論期日において初めて訴訟上,相殺の意思表示を行う事例です。
訴訟外において,内容証明郵便をもって,相手方に相殺の意思表示を予め行っておいて,それを後日裁判になってから,同内容証明郵便などを書証として提出して,訴訟外において相殺の意思表示を行っていたことを主張,立証するところの「訴訟外の相殺」のことではありません。念のため。 )
訴訟外において,内容証明郵便をもって,相手方に相殺の意思表示を予め行っておいて,それを後日裁判になってから,同内容証明郵便などを書証として提出して,訴訟外において相殺の意思表示を行っていたことを主張,立証するところの「訴訟外の相殺」のことではありません。念のため。 )
この場合,裁判所は,いずれの抗弁でも先に判断することが,可能でしょうか?
答えは,相殺の抗弁を,一番最後に判断しなければならい,となります。
その理由は,なんだとお考えになりますか?
答えは,相殺の抗弁が認められると,被告の自働債権の失権効が実質上生じるからです。相殺の抗弁は,被告が自己の債権を失うという意味において,実質,敗訴に等しいからです。
それでは,裁判所に相殺の抗弁が認められた場合には,これに既判力が生じるでしょうか?
答えは,既判力が生じます。
既判力が認められた結果,被告は,後訴において自働債権の請求主張を裁判所に認めてもらえなくなります。まさに,これは,被告の自働債権が相殺の抗弁として認められたことにより,被告が自働債権を失ったことを意味します。
消滅時効や弁済の抗弁により,裁判所が請求棄却の判決をしてくれれば,被告は,自働債権を失わずに済んだものを,相殺の抗弁を先に判断されたがために,失わなくて済んだ自己の自働債権を失ったということになります。
そのため,このようなことにならないために,貸金返還請求訴訟の原告の貸金返還請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁,さらには相殺の抗弁まで主張した場合,裁判所は,消滅時効の抗弁,弁済の抗弁のいずれも排斥した場合に初めて,被告の相殺の抗弁の主張を最後に判断するのです。[注1]
訴訟上の相殺の抗弁は,裁判所に判断されない限り,被告の答弁書,準備書面において,その主張をしただけで,被告は自働債権を失うことにはなりませんので,ご注意を! この点を,誤解されている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そして,被告は,相殺の抗弁を主張する場合,わざわざ「予備的」にと断った上で相殺の抗弁を主張しなくとも,ただ単に「相殺の抗弁」を主張するだけでよいのです。裁判所は,弁済の抗弁,消滅時効の抗弁を立証なしとしてこれらを排斥した場合,最後に被告の相殺の抗弁の成否を判断してくれるのです。[注2]
この点,「予備的」に主張しなければ,裁判所は,相殺の抗弁を最後に判断してくれないものと誤解している方がいらっしゃるのではないでしょうか。そんなことはなく,当然に,裁判所は,相殺の抗弁の成否を最後に判断してくれるのです。
この点は,誤解の多いところかもしれません。
また,消滅時効の抗弁と,弁済の抗弁とでは,証拠関係,訴訟の経緯にもよりますが,裁判所は,通常,判断の容易な消滅時効の抗弁を先に判断し,これが認められれば,直ちに,請求棄却の判決を行うということが多いでしょう。弁済の抗弁まで,判断するに至らず,訴訟に決着がつくということです。
なお,上記の相殺の抗弁は,講学上,予備的相殺の抗弁と言われています。特別研修受講生の中には,「予備的相殺の抗弁」という言葉は思いつくものの,それ以上に上記のような相殺の抗弁の実質的判断については,これを理解していなかったという人も案外多く見受けられたのではないでしょうか。
また,講師弁護士の先生の中には,講義中,予備的相殺の抗弁について触れない先生も,案外結構多くいらっしゃったのではないでしょうか。危険負担に関する債権者主義,債務者主義の概念説明についても,これを行わない講師弁護士の先生も案外結構多くいらっしゃったのではないでしょうか。民法534条は,強行規定ではなく,任意規定なのでありますから,是非とも,特約により契約当事者間で,債権者主義から債務主主義に変更したとも解釈できる契約条項については,「債務者主義」のコメントも行ってほしいとお考えになった特別研修受講生もいらっしゃったのではないでしょうか。
相殺の抗弁については,裁判所職員総合研修所監修,「民事訴訟法講義案」(三訂版)に掲載されています。ご参考までに。 以 上
[注 1、2]
訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする相殺の抗弁においては,裁判所は,当事者の付した順位に拘束され,又は当事者が順位を付さない場合であっても,まず,原告の請求権の成立を確定し,相殺以外の抗弁(例えば,当事者の主張した弁済の抗弁,消滅時効の抗弁)が成立しない場合に,初めてその判断に入ることが許されると解されています。[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会 p110 参照]
繰り返しますが,このように言えるのは,あくまで訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする場合です(訴訟上の相殺)。
訴訟外において相殺の意思表示をし,その結果,原告の請求権が実体的に消滅していると主張する場合とでは異なるとされています。
[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会 p110(注2)参照][民事訴訟法講義案(三訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会 p235参照]「訴訟上の相殺」と「訴訟外の相殺」とでは,概念上区別しなければなりません。
要件事実の記載例(あくまで参考例です。念のため。自己責任でお願いします。)
訴訟上の相殺(訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする場合)としての相殺の抗弁
1 被告は,原告に対し,平成 年 月 日,100万円を,返済期平成 年 月 日との約定で貸し付けた。
2 平成 年 月 日は到来した。[←民事実務講義案Tp110では記載がない。]
3 被告は,原告に対し,平成 年 月 日の本件口頭弁論期日において,1の貸金債権と本訴請求債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をする。
[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会p110参照]
[上記2の「平成 年 月 日は到来した。」については,民事実務講義案Tp110では記載がない。実務の答弁書・準備書面においては,当然のこととして記載しないことが事実上多いだけであって,しかし,要件事実としては必要なものです。
勿論,認定考査においても,記載する必要があります。
試験と実務ではこれを分けて考えるべき,といえる場面の一つです。]
[上記3の「平成 年 月 日の本件口頭弁論期日において」については,民事実務講義案Tp110では記載されていない。しかし,認定考査対策上は,訴訟上の相殺,即ち,期日において意思表示を行ったことを明確にするため記載しておくべきでしょう。]
[認定司法書士への道 要件事実攻略法 第3版 蛭町 浩 著 p184~185参照]
1 被告は,原告に対し,平成 年 月 日,100万円を,返済期平成 年 月 日との約定で貸し付けた。
2 平成 年 月 日は到来した。[←民事実務講義案Tp110では記載がない。]
3 被告は,原告に対し,平成 年 月 日の本件口頭弁論期日において,1の貸金債権と本訴請求債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をする。
[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会p110参照]
[上記2の「平成 年 月 日は到来した。」については,民事実務講義案Tp110では記載がない。実務の答弁書・準備書面においては,当然のこととして記載しないことが事実上多いだけであって,しかし,要件事実としては必要なものです。
勿論,認定考査においても,記載する必要があります。
試験と実務ではこれを分けて考えるべき,といえる場面の一つです。]
[上記3の「平成 年 月 日の本件口頭弁論期日において」については,民事実務講義案Tp110では記載されていない。しかし,認定考査対策上は,訴訟上の相殺,即ち,期日において意思表示を行ったことを明確にするため記載しておくべきでしょう。]
[認定司法書士への道 要件事実攻略法 第3版 蛭町 浩 著 p184~185参照]
訴訟外において相殺の意思表示をし,その結果,原告の請求権が実体的に消滅していると主張する場合の抗弁 → 訴訟外でなされた相殺の意思表示
1 被告は,原告に対し,平成 年 月 日,100万円を,返済期平成 年 月 日との約定で貸し付けた。
2 平成 年 月 日は到来した。[←民事実務講義案Tp111では記載がない。]
3 被告は,原告に対し,平成 年 月 日到達の書面で,1の貸金債権と本訴請求債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。
[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会p111参照]
[上記2の「平成 年 月 日は到来した。」については,民事実務講義案Tp111では記載がない。実務の答弁書・準備書面においては,当然のこととして記載しないことが事実上多いだけであって,しかし,要件事実としては必要なものです。
勿論,認定考査においても,記載する必要があります。
試験と実務ではこれを分けて考えるべき,といえる場面の一つです。]
1 被告は,原告に対し,平成 年 月 日,100万円を,返済期平成 年 月 日との約定で貸し付けた。
2 平成 年 月 日は到来した。[←民事実務講義案Tp111では記載がない。]
3 被告は,原告に対し,平成 年 月 日到達の書面で,1の貸金債権と本訴請求債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。
[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会p111参照]
[上記2の「平成 年 月 日は到来した。」については,民事実務講義案Tp111では記載がない。実務の答弁書・準備書面においては,当然のこととして記載しないことが事実上多いだけであって,しかし,要件事実としては必要なものです。
勿論,認定考査においても,記載する必要があります。
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| 簡裁訴訟代理等能力認定考査
簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格の仕方 その1
簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格する上で絶対に避けて通れないことは,何だと思いますか?
それは,要件事実を実際にペンをとって書くことです。
要件事実を頭の中で,いくら反芻してみても,実際,解答用紙に要件事実を落とし込もうとする段になると,皆さんは全く筆が進まないということを実感されることでしょう。司法書士試験の記述式試験を思い出してみてください。
記述式の解答をする段になると,本当に,筆が進まないという経験をして,初めて,これではいけないと思い直し,実際にペンをとって申請書を書く練習を開始されたという方が,合格者の大半なのではないでしょうか。
このことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査にも全く当て嵌まる事実です。記述式の受験勉強でのこの書式を実際にペンをとって自分の手で書かなかったという,この失敗を,もし,簡裁訴訟代理等能力認定考査の試験勉強においても,繰り返すならば,認定考査の当日,顔が真っ青になる事態を経験されることになるでしょう。
それでは,何を素材にして,実際に要件事実を書く練習をすればよいのでしょうか?
現在市販されている要件事実本の中で,基礎的な練習をするのに最も適した書籍は,伊藤塾講師の坂本先生の執筆された「要件事実ドリル」と言えましょう。
「要件事実ドリル」は,売買,賃貸借,消費貸借のいわゆる売・賃・消の要件事実だけでなく,債権譲渡,請負契約,不法行為,不当利得,登記請求,その他債務不存在確認訴訟まで網羅した要件事実の練習本であります。言い分形式に従って,訴訟物,請求の趣旨,請求原因を実際に書かせる基本問題で構成されています。
この問題を繰り返し解いていくことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格の基礎を固めるうえで,とても有効といえましょう。
問題が複雑ではなく,単純であることが重要なのです。基本の要件事実の型を習得するには,問題が複雑だとかえって効果が半減します。基本型をしっかり習得することが何よりも大切です。
実際の簡裁訴訟代理等能力認定考査は,この基本問題の複数組み合わせで構成された問題であります。簡裁訴訟代理等能力認定考査の問題は,多くの場合,この「要件事実ドリル」の一つ一つの問題に分解還元できるものでありまして,そういった問題が同試験には実際に出題されているのが現実なのです。
ところで,もしかしたら,この「要件事実ドリル」を手に取って,ページを開くと,無味乾燥な問題が掲載されていると思われる方がおられるかも知れません。
しかし,要件事実それ自体が,一見して無味乾燥に見えるものでありますから,これは致し方ないことなのです。要件事実は,私たちの法現象的日常生活の局面局面を,法律要件的事実群に分解・収斂し,これを法律の文言,証拠との距離,立正の難易,その他訴訟当事者の公平性等を考慮して,原・被告訴訟当事者間にその立証責任を分配して,事実の存否不明の場合においてもなお,国民の裁判を受ける権利保障の観点から,裁判を可能とすべく,形成されたものであり,要件事実それ自体が,そもそも,無味乾燥な生活事実群から生成形成されたものだからです。
したがって,要件事実を勉強をしたからといって,別段,人の教養を高めたという実感が湧かないのが現実です。ありふれた事実群を法律的観点,理由づけから分類したその結果を記憶する作業と言っても過言ではないでしょう。勿論,記憶するためには,法論理的な理由づけも理解する必要があります。
ただ,単調作業的な勉強であることは否めないでしょう。これが,要件事実を学術的に探究するのではなく,簡裁訴訟代理等能力認定考査の「試験勉強」をするという場合の実態なのです。どうしても,「試験勉強」という割り切り,覚悟が必要となります。
ですから,まずは,基本的な問題で要件事実の型を学び,これを正確に記述できるようになることが,簡裁訴訟代理等能力認定考査の最も効果的な試験勉強ということになります。
結論としては,要件事実をともかく書く。書いて書いて書きまくる。これを怠らないようにすることをお勧めします。
また,特別研修で使用したテキストは,とてもよく練られた良質のテキストです。
簡裁訴訟代理等能力認定考査の範囲には,当然,特別研修で使用したテキスト等がその範囲に含まれるので,当該テキスト等の範囲については,定評ある参考書や,予備校利用者であれば,その予備校で使用したテキストとも照らし合わせて,復習しておく必要があるでしょう。
法務省も確認していると思われます。 以 上
参考書籍 「要件事実ドリル」
[監修] 伊藤塾
[著者] 伊藤塾講師 坂本龍治先生
[出版社] 弘文堂
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簡裁訴訟代理等能力認定考査について,1回で絶対合格するには,どうすればよいか。
答えは,予備校を利用するのがベストです。
司法書士試験は,本当に難しい。世間一般の方々には,司法書士試験が超難関でることは余り知られていないのが現実です。出願者数に対する実際の受験者数の受験率ベースで見ると,100人受験して,約4人しか合格しない試験であります。200人の受験生が一つの教室で試験を受けたとしましょう。その中で,たったの8人くらいしか合格できないのです。
しかも,1年たったの1回しか行われない試験であります。その教室の残り192名の受験生は,また来年に受験しなければ,合格を手にできません。その来年もまた,合格率約4%の試験に挑まなければならないのです。出願者ベースで合格率を見ると,約3%となる,厳しい試験であります。それどころか3%未満の年度もあります。
それでは,かかる超難関試験を見事合格した者が,何故に,簡裁訴訟代理等能力認定考査に不合格となってしまうのか。
それは,超難関試験に合格したことからくる慢心が,第一の最大要因であります。簡裁訴訟代理等能力認定考査を極めて甘くみているのです。簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は高い時で7,8割,低い時で6割りくらい。これだったら,あの超難関司法書士試験に合格した自分が,落ちるわけがない,決してない,と勝手な思い込みをしてしまうことが,この不合格の最大要因なのです。
第二の要因は,前年不合格となった者が,次年度,再度,簡裁訴訟代理等能力認定考査に挑戦してくる現実を知らないことです。あるいは,前々年度,不合格となった者が受験してくる現実を知らないことです。自分の合格年度の同期しか受験していないと,勝手に思い込むことがまた更に,不合格の危険性を高めていくのです。
実際,ある年度の簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格者の顔ぶれを見ると,その約半数近くが,前年,前々年度の,あるいは数年前の不合格者がリベンジして合格しているのです。また,そもそも,司法書士試験合格後,数年して初めて簡裁訴訟代理等能力認定考査を受ける者も少なからずあります。このような受験状況が,司法書士試験直近合格者の約5割前後が,この試験に落ちることを裏付けているのです(注意:年度によって異なるので、直近の合格率を確認してください。)。
このような受験状況においては,予備校を利用してしっかりと試験対策を立てて勉強しなければ,簡裁訴訟代理等能力認定考査合格は,かなり危ういものとなってしまうでしょう。
簡裁訴訟代理等認定考査なんて,独学で合格して当たり前という空気は,特別研修受講生の中にも結構あります。独学で合格すれば,自慢になると思っている人も中にはいるかも知れません。つい数年前まで巷で簡単簡単と言われていた試験であるから,そう信じてしまうのも無理がないかもしれません。
しかし,直近司法書士試験合格者の約5割前後(注意:年度によって異なるので、直近の合格率を確認してください。)が落ちる試験であること,前年,前々数あるいは数年前の司法書士試験合格者が,直近合格者に交じって簡裁訴訟代理等能力認定考査を受験してくる現実は,しっかりと見据えなければ大変な事になるでしょう。
そこで,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率を法務省サイドで上げればいいではないかと言われるかもしれません。
しかし,正直申し上げます。特別研修の受講生のレベルを見ると,それは,危険です。合格率を上げれば,国民が弁護過誤によって被害を受けるかもしれません。
宣誓した証人が自己の記憶に反する事実を陳述することが,偽証罪の構成要件の「虚偽の陳述をした」に該当することを知らないで,模擬裁判の打ち合わせに臨み,分けのわからない質問をする特別研修受講生もいたようです。偽証罪の主観説,客観説は,司法書士試験の択一の過去問で穴埋め問題として問われているのに,これを全く理解していないらしいのです。
実際の事案の中で,判例・主観説を当てはめて事実を理解することができていないらしいのです。偽証罪の構成要件を理解できていない結果,本来ならば偽証罪の構成要件に該当しない,証人の訴訟の勝敗を決する重要証言ですら,これを差し控えさせ,これにより自己側申出証人から重要な証言を人証調べで顕出することを怠ることがあれば,それは重大な過ちをおかしたことになります。
また,相手方原告の準備書面が5,6ページにも渡っているのに,原告の主張に対する被告による認否を行なっていない準備書面を起案してくる特別研修受講生もいたようです。さらに,被告の認否をしなければいけないと指摘されれば,今度は,原告主張に対する被告の認否は不要で,被告の主張をただ述べれば,それだけで十分だなどと言って胸を張る特別研修受講生もいたようです。相手方原告の準備書面が5,6ページにも渡っているのにもかかわらずです。主張に対する認否が,争点整理に直結する,このことに思いが至らないらしいのです。
簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は,6割でも多いほうかもしれないというのが,正直な感想です。
ともかく,簡裁訴訟代理等能力認定考査は,合格して当たり前の試験,不合格は不名誉なことと,認定司法書士,特別研修受講生の間での共通の認識となっているのではないでしょうか。しかしそれでも,実際のところ,簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格しただけでは,実力者とは言えません。そのまま実務に船出するようなことがあれば,手厳しい現実に遭遇することになるでしょう。
このことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査合格者が,己の胸に聞けば,自ずと答えは明らかです。
ですから,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は,6割でも多いほうかもしれないというのが正直な感想です。
しかし,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格者を見ると,およそ実務に出たら恐ろしい結末を招来するであろうと思われる特別研修受講生が合格し,この人こそ,実務にでたら相当な実力者になると思われる特別研修受講生が落ちていることもあります。なんとも皮肉な結果であります。受かって当たり前の簡裁訴訟代理等能力認定考査,落ちることは,不名誉なことと思われている現状があります。実力者でありながら不合格となった特別研修受講生の気持ちを察すると,気の毒でしようがありません。
しかし,現実を見れば,全く不名誉なことではないと強く感じます。少しでも気持ちが落ち込むことがあれば,それは,まったく無駄でしょう。不合格となった特別研修受講生の中には,書面作成能力においても,事案の法律構成力においても,対人能力においても,そのほかあらゆる点において,合格者よりも格段に優れ,且つ頭の回転の素晴らしかった人はたくさんいたと思われます。
ただ,簡裁訴訟代理等能力認定考査の「試験対策」を怠ってしまった。ただ,それだけで不合格になった特別研修受講生は結構な数いると思われます。
およそ実務に出たら恐ろしい結末を招来するであろうと思われる特別研修受講生は合格しても,その書面作成力,事案分析能力,法律構成能力において,その実力は,合格後も依然向上していないと思われます。ただ,認定考査に合格しただけです。
しっかりとした指導者の下,相当数の実務経験を積まなければ,危ういでしょう。
一方,先の実務能力に優れた不合格者は,不合格後においても,その実務能力は維持しているでしょう。あとは,今度こそ,試験対策をしっかりと行い合格を果たし,合格後は適切な指導者の下,飛躍的にその実務能力をさらに高めていくことでしょう。このような方こそ,実はかえって司法書士の実力,社会的地位を向上させていかれる方ではないかと思われます。
確かに,超難関な司法書士試験を合格したことは,本当に素晴らしいことです。誰にでも簡単にできることではありません。針の穴に糸を通すようにして合格した,その努力,試験におけるその実力は最高度の称賛に値します。この事実は,疑いようがありません。
しかし,司法書士試験に合格したことと,裁判実務を行うこととは,全くの別次元であります。裁判実務においては,殊に法律事務所の選りすぐりのパラリーガルしかり,訴訟案件を扱う会社の法務部しかり,司法書士試験合格者が足元にも及ばない実力者が,実務に出ればたくさんいるのです。
簡裁訴訟代理等能力認定考査は,合格してなんぼのものであります。合格は,実務家としての最低限の「けじめ」であって,それ以上のものでもなく,それ以下でもありません。
簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格するのには,気持ちを割り切って,司法書士試験の受験時代のように試験対策を入念に積み上げ,気持ちを引き締めて,しっかりと勉強することをお勧めします。予備校を利用するのもしないのもご自分の結果に対する責任です。ただ,予備校を利用するのが一番安全で,しかも,効率がよいことは,これもまた事実でしょう。
簡裁訴訟代理等能力認定考査を甘くみずに,司法書士試験の受験生時代のように本気で試験対策を練られることをお勧めします。そして,独学でも,予備校でも,必死に勉強されることをお勧めします。
以 上
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それは,要件事実を実際にペンをとって書くことです。
要件事実を頭の中で,いくら反芻してみても,実際,解答用紙に要件事実を落とし込もうとする段になると,皆さんは全く筆が進まないということを実感されることでしょう。司法書士試験の記述式試験を思い出してみてください。
記述式の解答をする段になると,本当に,筆が進まないという経験をして,初めて,これではいけないと思い直し,実際にペンをとって申請書を書く練習を開始されたという方が,合格者の大半なのではないでしょうか。
このことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査にも全く当て嵌まる事実です。記述式の受験勉強でのこの書式を実際にペンをとって自分の手で書かなかったという,この失敗を,もし,簡裁訴訟代理等能力認定考査の試験勉強においても,繰り返すならば,認定考査の当日,顔が真っ青になる事態を経験されることになるでしょう。
それでは,何を素材にして,実際に要件事実を書く練習をすればよいのでしょうか?
現在市販されている要件事実本の中で,基礎的な練習をするのに最も適した書籍は,伊藤塾講師の坂本先生の執筆された「要件事実ドリル」と言えましょう。
「要件事実ドリル」は,売買,賃貸借,消費貸借のいわゆる売・賃・消の要件事実だけでなく,債権譲渡,請負契約,不法行為,不当利得,登記請求,その他債務不存在確認訴訟まで網羅した要件事実の練習本であります。言い分形式に従って,訴訟物,請求の趣旨,請求原因を実際に書かせる基本問題で構成されています。
この問題を繰り返し解いていくことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格の基礎を固めるうえで,とても有効といえましょう。
問題が複雑ではなく,単純であることが重要なのです。基本の要件事実の型を習得するには,問題が複雑だとかえって効果が半減します。基本型をしっかり習得することが何よりも大切です。
実際の簡裁訴訟代理等能力認定考査は,この基本問題の複数組み合わせで構成された問題であります。簡裁訴訟代理等能力認定考査の問題は,多くの場合,この「要件事実ドリル」の一つ一つの問題に分解還元できるものでありまして,そういった問題が同試験には実際に出題されているのが現実なのです。
ところで,もしかしたら,この「要件事実ドリル」を手に取って,ページを開くと,無味乾燥な問題が掲載されていると思われる方がおられるかも知れません。
しかし,要件事実それ自体が,一見して無味乾燥に見えるものでありますから,これは致し方ないことなのです。要件事実は,私たちの法現象的日常生活の局面局面を,法律要件的事実群に分解・収斂し,これを法律の文言,証拠との距離,立正の難易,その他訴訟当事者の公平性等を考慮して,原・被告訴訟当事者間にその立証責任を分配して,事実の存否不明の場合においてもなお,国民の裁判を受ける権利保障の観点から,裁判を可能とすべく,形成されたものであり,要件事実それ自体が,そもそも,無味乾燥な生活事実群から生成形成されたものだからです。
したがって,要件事実を勉強をしたからといって,別段,人の教養を高めたという実感が湧かないのが現実です。ありふれた事実群を法律的観点,理由づけから分類したその結果を記憶する作業と言っても過言ではないでしょう。勿論,記憶するためには,法論理的な理由づけも理解する必要があります。
ただ,単調作業的な勉強であることは否めないでしょう。これが,要件事実を学術的に探究するのではなく,簡裁訴訟代理等能力認定考査の「試験勉強」をするという場合の実態なのです。どうしても,「試験勉強」という割り切り,覚悟が必要となります。
ですから,まずは,基本的な問題で要件事実の型を学び,これを正確に記述できるようになることが,簡裁訴訟代理等能力認定考査の最も効果的な試験勉強ということになります。
結論としては,要件事実をともかく書く。書いて書いて書きまくる。これを怠らないようにすることをお勧めします。
また,特別研修で使用したテキストは,とてもよく練られた良質のテキストです。
簡裁訴訟代理等能力認定考査の範囲には,当然,特別研修で使用したテキスト等がその範囲に含まれるので,当該テキスト等の範囲については,定評ある参考書や,予備校利用者であれば,その予備校で使用したテキストとも照らし合わせて,復習しておく必要があるでしょう。
法務省も確認していると思われます。 以 上
参考書籍 「要件事実ドリル」
[監修] 伊藤塾
[著者] 伊藤塾講師 坂本龍治先生
[出版社] 弘文堂
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簡裁訴訟代理等能力認定考査 絶対合格!!
簡裁訴訟代理等能力認定考査について,1回で絶対合格するには,どうすればよいか。
答えは,予備校を利用するのがベストです。
司法書士試験は,本当に難しい。世間一般の方々には,司法書士試験が超難関でることは余り知られていないのが現実です。出願者数に対する実際の受験者数の受験率ベースで見ると,100人受験して,約4人しか合格しない試験であります。200人の受験生が一つの教室で試験を受けたとしましょう。その中で,たったの8人くらいしか合格できないのです。
しかも,1年たったの1回しか行われない試験であります。その教室の残り192名の受験生は,また来年に受験しなければ,合格を手にできません。その来年もまた,合格率約4%の試験に挑まなければならないのです。出願者ベースで合格率を見ると,約3%となる,厳しい試験であります。それどころか3%未満の年度もあります。
それでは,かかる超難関試験を見事合格した者が,何故に,簡裁訴訟代理等能力認定考査に不合格となってしまうのか。
それは,超難関試験に合格したことからくる慢心が,第一の最大要因であります。簡裁訴訟代理等能力認定考査を極めて甘くみているのです。簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は高い時で7,8割,低い時で6割りくらい。これだったら,あの超難関司法書士試験に合格した自分が,落ちるわけがない,決してない,と勝手な思い込みをしてしまうことが,この不合格の最大要因なのです。
第二の要因は,前年不合格となった者が,次年度,再度,簡裁訴訟代理等能力認定考査に挑戦してくる現実を知らないことです。あるいは,前々年度,不合格となった者が受験してくる現実を知らないことです。自分の合格年度の同期しか受験していないと,勝手に思い込むことがまた更に,不合格の危険性を高めていくのです。
実際,ある年度の簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格者の顔ぶれを見ると,その約半数近くが,前年,前々年度の,あるいは数年前の不合格者がリベンジして合格しているのです。また,そもそも,司法書士試験合格後,数年して初めて簡裁訴訟代理等能力認定考査を受ける者も少なからずあります。このような受験状況が,司法書士試験直近合格者の約5割前後が,この試験に落ちることを裏付けているのです(注意:年度によって異なるので、直近の合格率を確認してください。)。
このような受験状況においては,予備校を利用してしっかりと試験対策を立てて勉強しなければ,簡裁訴訟代理等能力認定考査合格は,かなり危ういものとなってしまうでしょう。
簡裁訴訟代理等認定考査なんて,独学で合格して当たり前という空気は,特別研修受講生の中にも結構あります。独学で合格すれば,自慢になると思っている人も中にはいるかも知れません。つい数年前まで巷で簡単簡単と言われていた試験であるから,そう信じてしまうのも無理がないかもしれません。
しかし,直近司法書士試験合格者の約5割前後(注意:年度によって異なるので、直近の合格率を確認してください。)が落ちる試験であること,前年,前々数あるいは数年前の司法書士試験合格者が,直近合格者に交じって簡裁訴訟代理等能力認定考査を受験してくる現実は,しっかりと見据えなければ大変な事になるでしょう。
そこで,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率を法務省サイドで上げればいいではないかと言われるかもしれません。
しかし,正直申し上げます。特別研修の受講生のレベルを見ると,それは,危険です。合格率を上げれば,国民が弁護過誤によって被害を受けるかもしれません。
宣誓した証人が自己の記憶に反する事実を陳述することが,偽証罪の構成要件の「虚偽の陳述をした」に該当することを知らないで,模擬裁判の打ち合わせに臨み,分けのわからない質問をする特別研修受講生もいたようです。偽証罪の主観説,客観説は,司法書士試験の択一の過去問で穴埋め問題として問われているのに,これを全く理解していないらしいのです。
実際の事案の中で,判例・主観説を当てはめて事実を理解することができていないらしいのです。偽証罪の構成要件を理解できていない結果,本来ならば偽証罪の構成要件に該当しない,証人の訴訟の勝敗を決する重要証言ですら,これを差し控えさせ,これにより自己側申出証人から重要な証言を人証調べで顕出することを怠ることがあれば,それは重大な過ちをおかしたことになります。
また,相手方原告の準備書面が5,6ページにも渡っているのに,原告の主張に対する被告による認否を行なっていない準備書面を起案してくる特別研修受講生もいたようです。さらに,被告の認否をしなければいけないと指摘されれば,今度は,原告主張に対する被告の認否は不要で,被告の主張をただ述べれば,それだけで十分だなどと言って胸を張る特別研修受講生もいたようです。相手方原告の準備書面が5,6ページにも渡っているのにもかかわらずです。主張に対する認否が,争点整理に直結する,このことに思いが至らないらしいのです。
簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は,6割でも多いほうかもしれないというのが,正直な感想です。
ともかく,簡裁訴訟代理等能力認定考査は,合格して当たり前の試験,不合格は不名誉なことと,認定司法書士,特別研修受講生の間での共通の認識となっているのではないでしょうか。しかしそれでも,実際のところ,簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格しただけでは,実力者とは言えません。そのまま実務に船出するようなことがあれば,手厳しい現実に遭遇することになるでしょう。
このことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査合格者が,己の胸に聞けば,自ずと答えは明らかです。
ですから,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は,6割でも多いほうかもしれないというのが正直な感想です。
しかし,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格者を見ると,およそ実務に出たら恐ろしい結末を招来するであろうと思われる特別研修受講生が合格し,この人こそ,実務にでたら相当な実力者になると思われる特別研修受講生が落ちていることもあります。なんとも皮肉な結果であります。受かって当たり前の簡裁訴訟代理等能力認定考査,落ちることは,不名誉なことと思われている現状があります。実力者でありながら不合格となった特別研修受講生の気持ちを察すると,気の毒でしようがありません。
しかし,現実を見れば,全く不名誉なことではないと強く感じます。少しでも気持ちが落ち込むことがあれば,それは,まったく無駄でしょう。不合格となった特別研修受講生の中には,書面作成能力においても,事案の法律構成力においても,対人能力においても,そのほかあらゆる点において,合格者よりも格段に優れ,且つ頭の回転の素晴らしかった人はたくさんいたと思われます。
ただ,簡裁訴訟代理等能力認定考査の「試験対策」を怠ってしまった。ただ,それだけで不合格になった特別研修受講生は結構な数いると思われます。
およそ実務に出たら恐ろしい結末を招来するであろうと思われる特別研修受講生は合格しても,その書面作成力,事案分析能力,法律構成能力において,その実力は,合格後も依然向上していないと思われます。ただ,認定考査に合格しただけです。
しっかりとした指導者の下,相当数の実務経験を積まなければ,危ういでしょう。
一方,先の実務能力に優れた不合格者は,不合格後においても,その実務能力は維持しているでしょう。あとは,今度こそ,試験対策をしっかりと行い合格を果たし,合格後は適切な指導者の下,飛躍的にその実務能力をさらに高めていくことでしょう。このような方こそ,実はかえって司法書士の実力,社会的地位を向上させていかれる方ではないかと思われます。
確かに,超難関な司法書士試験を合格したことは,本当に素晴らしいことです。誰にでも簡単にできることではありません。針の穴に糸を通すようにして合格した,その努力,試験におけるその実力は最高度の称賛に値します。この事実は,疑いようがありません。
しかし,司法書士試験に合格したことと,裁判実務を行うこととは,全くの別次元であります。裁判実務においては,殊に法律事務所の選りすぐりのパラリーガルしかり,訴訟案件を扱う会社の法務部しかり,司法書士試験合格者が足元にも及ばない実力者が,実務に出ればたくさんいるのです。
簡裁訴訟代理等能力認定考査は,合格してなんぼのものであります。合格は,実務家としての最低限の「けじめ」であって,それ以上のものでもなく,それ以下でもありません。
簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格するのには,気持ちを割り切って,司法書士試験の受験時代のように試験対策を入念に積み上げ,気持ちを引き締めて,しっかりと勉強することをお勧めします。予備校を利用するのもしないのもご自分の結果に対する責任です。ただ,予備校を利用するのが一番安全で,しかも,効率がよいことは,これもまた事実でしょう。
簡裁訴訟代理等能力認定考査を甘くみずに,司法書士試験の受験生時代のように本気で試験対策を練られることをお勧めします。そして,独学でも,予備校でも,必死に勉強されることをお勧めします。
以 上
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posted by 略して鬼トラ at 13:14
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