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2020年05月31日
癌の予兆
あの日あの時の母の発言は
今でも脳裏にある。
頭から離れないのではなく
思い返せばあの時…という繰り返しが
過去の記憶を取り戻し
新たに上書きされて残る。
だから記憶が鮮明なものとなり誇張される。
母の発言一つ一つに重みがあり
それぞれをいちいち真に受けていれば
間違いなく母の身体の異変に
気づくことができたであろう。
いくつかのヒントはあり
お墓の準備をしたいという相談はその一つ
母の心境こそわからないが
母をそう動かせた何かがあったのは事実。
疲れがひどくて動けないという訴えも
十分なシグナルとなっていた。
いずれも、そこから癌へと結びつけることは
不可能だったと推測する。
少なくとも当時の私には…。
それでは私に何が出来たか?
例えば、お墓の準備を手伝うことは
容易にできた。
身体が疲れ易いと言った母を連れて
病院に何らかの検査に行くことも容易だった
あの時の私に足りなかったものは多い。
心の余裕
単純な優しさ
面倒臭がらないで行動する機動力
そして何よりも
耳を傾けるということ。
なぜ気付けなかったのか…ではなく
気づける準備がされていなかった。