癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

一体、父に何が起きたのだろう。
病室に到着してからの約2時間、
父はずっと寝ていた。

目を開けて、私と目が合ってもすぐに目を閉じる父。
施設でも、このようなことは一度も無い。
環境の変化が父に与える影響は強いということなのだろうか？
嚥下検査が始まる直前、看護師さん達に起こされるまで
ずっと寝ていた。

検査に向かう途中も、検査室の入った後も、
私の顔を見ても表情一つ変えない父。
昨日、入院前に私の顔を見て笑った父とは別人。

検査直後、話しかけても反応は薄かった。
わずかだが、一度だけ首を縦に振ったくらいだ。
後は目も合わせない。

病室に着くと、すぐに寝に入る父。
テレビのチャンネルを相撲に合せて
イヤホンを耳に持っていくと
一瞬だけ笑みがこぼれた。
父は昔から相撲が大好きなのだ。

病院側と明日の退院時間などについて話した後、
父に退院の事を告げ、施設にもどることを告げた時も
一瞬笑みを浮かべた父。

笑みはその二回だけ・・・今日の父は無表情だった。
一夜にして豹変したといっても過言ではない父の表情。

早く明日になってくれと願う自分がいる。
明日の退院時に、元の父の表情に戻ってることを願う。


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