アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

2018年01月07日

6日ぶりの食事

父のイライラはピークを通り越していた。
ベッドの柵を激しく叩いたり
点滴のチューブを引っ張ったり、
粗暴を繰り返し始めていた父。

そんな父に待望の食事の瞬間が訪れた。
父が6日ぶりの食事を摂る瞬間を目にすることはできなかったが、
その事実を知ることが出来ただけで
ホッと胸をなでおろす気分だった。

良かった、良かった・・・とその旨の報告を聞きつつ、
父の所へ向った。

一日会わなかっただけなのに、
更に痩せこけた父の顔に衝撃を受けた。
長期間食べられなかったことで、劇的に痩せこけた父。
一日でも早く元の体型に戻してあげたい。

しかし、だからと言って焦る気持ちも抑えつつ、
ゆっくりと食べ始めてもらうことが先決だ。

朝食を食べ終えて2時間と経っていなかったにもかかわらず
父は食事が欲しいとねだり続けた。

まだ嚥下が思わしくない。
だから食事内容にも制限がある。
その制限の範囲で与えなければならない。

今までなら、バナナでも菓子類でも
パン類でも、制限なく与えることが出来た。
しかしそれが出来ない。

そして何よりも、歯痒いのは私ではなく父だ。
食べられないことに対するイライラが解消されたはずが
食べることの制限があることへのイライラへ移った。
それだけのことだった。

父としては、噛んで飲み込みたい。
そして何より、お腹いっぱいになりたいのだ。
5日間の空腹感を解消するには
空腹感を完全に満たすには
やはりお腹を一杯に膨らませることなのだろうか?

とにかく父のイライラはおさまらない。
少し激しさを増しているようにも感じる。
水を飲むにも、とろみをつけたものを与えなければならない。

しかし、父はごくごくと飲み干したいのだ。
ここにもイライラの原因は潜んでいる。

自宅から持参したバナナヨーグルトにも
とろみをつけてから、少量ずつ与えることが条件だった。

バクバクと食べたい父に対して
ゆっくりと間をおいてスプーンを運ぶ私。

早くよこせとベッドの柵を叩く父。
瞬間的にイラッとする自分の気持ちを抑え、
黙ってスプーンを父の口へ運び続けた。

食べることが許された父に安心した直後の
何とも複雑な心境。
それは父も感じていたことだろう。

そして、ごく普通の日常がどんなに幸せかを痛感した。


スポンサードリンク









この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/7169967
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
リンク集
カテゴリアーカイブ
AD
最新記事
にほんブログ村 病気ブログへ
にほんブログ村 にほんブログ村 病気ブログ 末期がんへ
にほんブログ村 病気ブログ がん 闘病記(永眠)へ
にほんブログ村 にほんブログ村 介護ブログ 親の介護へ
にほんブログ村
プロフィール
satorichさんの画像
satorich
緊急入院した母が,非小細胞肺がん(腺癌)「ステージ4」を宣告され、1年後に他界・・・母の闘病中の記録や、がんに関することを中心に記事にしているブログです。
プロフィール


がん・腫瘍 ブログランキングへ
最新コメント
陽子線治療の不可 by satorich (12/25)
陽子線治療の不可 by 弥生 (12/24)
父のいないボランティア活動 by satorich (11/20)
父のいないボランティア活動 by まりあ (11/19)
免疫力と体温と癌 by satorich (11/12)
ファン
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。