癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

母の部屋に行くと、必ずと言っていいほど母はお茶を淹れてくれた。

母が食事中、又は食事前後であれば

あれ食べる？これ食べる？と聞かれたものだ。

しつこいくらいに感じてしまい、鬱陶しいとも感じたこともある。

基本、母は誰かがいると何かを勧めてくる人だった。

まぁ・・・別にこれと言って特段変わった風な話でもない。

ごくごくありふれた話で、年配になればなるほど

そう言った行動は多いと思う。

母もその中の一人・・・だった・・・それだけの事。

だが、自分の息子だからこそ、特別な感情はあったはずだ。

特に母の闘病中、私は母からのそういった勧めをことごとく断っていた。

その時その時でいろんな感情や理由はあったと思うが

結果として、断った。

そんな私に対して、母はこう言った・・・

「可愛くない」・・・と、

その通りだ・・・本当に可愛くない。

「うん、もらうよ」　「ありがとう」　「ちょっとだけなら・・・」

なんでも言いようはあったはずだった。

率直に「いらない」の一言は、本当に可愛くない。

〜相手の気持ちになって考える〜

それが出来なかった・・・しかも、実の母に・・・。

大好きな大好きな母の好意を無下にした。

あれが・・・母の好きなように生かせてあげよう・・・あげたい・・・

と願っていた人間のすることだろうか？

赤の他人相手ならともかく、実の母親に・・・。

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