癌と共に生きる　手術→放射線治療→化学治療

家族で話をしている時、
ひょんなことから「声」の話になった。

運動会の時、応援席には大勢の観客がいる。
それぞれの応援の声が交錯する。
競技中、あの大勢の声援の中から
母親の声を拾うことが出来る・・・いや、出来た・・・。

100ｍ走、リレー、玉入れ・・・
すべてではないが、母の声が届く範囲（圏内）に入れば
確実に拾えた母の声。
その瞬間、胸の奥底からこみあげる熱い気持ちを感じた記憶もある。
母の声の力だろうか。

精一杯の声援を、エールを私に送ってくれた母。
たっぷりの愛情を乗せて、私の心に届いた母の声。

あの声を忘れることはない。
母の声、独特の声質、聞き慣れた声、お腹の中にいる時から
聞き分けることが出来るという、母の声。

最後のあの日も・・・母は私の名を呼んでくれた。
母の声・・・できることなら、もう一度・・・
いや、何度でも何度でも聴きたい母の声。

もう二度と聴くことはないが、忘れることはない。
脳にではなく、身体全体に染みわたっている。
今でも、いつでも聴き分ける準備は出来ている。

そんな母の声を・・・今日も心の中で聴いている・・・。

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