2019年11月19日
これって「つみたてNISAの問題点」なんでしょうか?
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つみたてNISAについて
幻冬舎ONLINEの記事を読んでの感想です。
・「金融庁厳選」が弊害に…つみたてNISAが抱える問題点 (幻冬舎)
2018年から開始された「つみたてNISA」。
金融庁が定めた投資商品の中から、年40万円を上限に購入が可能となり税の優遇措置が受けられるもの。
記事では、このつみたてNISAの問題点について説明されています。
ただ最後でもまとめますが、私には問題点がなんなのか良く分かりませんでした。
つみたてNISAの制度は、「貯蓄から投資へ」を促すためにあります。そして、そもそも問題のない制度はあ
りません。ありとあらゆることには副作用がつきまとうからです。
そういう視点で読んでみるべき記事だと思いました。
メリットやデメリットの話は、水準を決めてから
まず記事は最初に、つみたてNISAのメリットと急拡大している現状を取り上げています。
問題点を主張したい場合はメリットから入り、メリットから入る場合は問題点から話題を始める。
主張や説得によく使われる「Yes, but...」論法の亜種みたいなものです。
そしてその後でデメリットを挙げていくわけですが、その部分を引用して私の感想を記事にします。
まずはこの部分。
@年間40万円という少額の非課税投資上限額
A損益通算できない
Bリバランス(ファンドにおける投資割合の見直し)が難しい
C非課税期間が期限付き
筆者がどう考えているのかは分かりませんが、もし邪推するのならこの部分については、「デメリットとい
う言葉の意味を少し曲解して使っている」と思います。
メリット、デメリットは絶対的ではなく相対的なもの。
「何に対してのメリット/デメリット」なのか、まずは基準を決めないと議論できません。
そしてこの場合、つみたてNISAのメリットやデメリットは「つみたてNISA(もしくは他の税優遇制度)が
なかった場合」と比べるべきではないか、と考えます。
この考えに基づけば、@、A、Cについては「もっとこうしたら制度は良くなる」という改善点ではあって
も、問題点やデメリットとして捉えるのは無理があると思います。
少なくとも「無いよりはマシ」な制度なのですから、@、A、Cのような特徴があるとわきまえた上で制度
を利用すればいいことでしょう。
Bについても、改善点の一種と言えるでしょう。
さらに言えば、つみたてNISAが想定している投資家は初心者がメイン。そういう人たちに始めからリバラン
スを問うのは少々難しくはないでしょうか。
まずは投資を始めてみて、リバランスが必要だと思えば例えばウェルスナビのようなロボアドで自動的に
リバランスを行うようにすればいいと思います。手動のリバランスができるのは初心者とは言えません。
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インデックス嫌いのようですが
さらに、残る問題点のD、Eは筆者の立場を浮き立たせるものになっています。
D「金融庁が厳選」の弊害
Eファンド選定の条件に「ESG」が考慮されていない
Dでは対象商品に同じような商品が少なく、さらにインデックスに偏っていると言われています。
「似通った戦略のインデックス投信が多く効果的な分散投資ができるか疑問」、「本数が多くても実質的な
選択肢は少ない」と言っていますが、国内株式3種、海外株式8種、バランス型で国内2種、海外8種もあれば
十分でしょう。
多すぎる選択肢は初心者のためになりません。
それはたやすく初心者を混乱させ、営業トークにはめ込むための手段として使われてしまいます。
そしてその後の内容、「アクティブ投信が少ない」「信託報酬で足きりしているが、インデックスより優秀
なアクティブ型もある」あたりで筆者の本当の意見が見えてきます。
元ヘッジファンドマネジャーとしては、高い信託報酬を取るアクティブファンドが金融庁にNISA対象外にさ
れたのがよほどご不満なのでしょうか。
Eについても、初心者にESG投資まで考えろというのは無理筋でしょう。
それよりも「貯蓄から投資」が優先だったから、ESGの記述を行わなかった。それが答えだと思います。
中途半端でいいと思います
筆者は以上の考えから、つみたてNISAに一定の価値を認めつつも中途半端と評価しています。
私は中途半端でいいと思います。ヘッジファンドの立場からすれば中途半端なくらいで、初心者向けの制度
にはちょうどいいのではないでしょうか。
それよりは元ヘッジファンドマネージャがつみたてNISAに一定の価値を認めた、というのが重要でしょう。
初心者・初級者であれば、何を選択すればよいかすらわからず、TOPIXインデックスやひふみプラスのみを選んでしまったらどうするのであろうか?
と筆者は書いていますが、なぜそこで疑問形で終わるのでしょうか。
それでは分散にならないから海外インデックスにも投資すべきである、という意見で結ぶのが、投資の専門
家としての立場ではないでしょうか。
インデックスファンドのみでも投資は可能。実際にそういう投資をしている人は多くいます。
アクティブファンドの高い手数料は、例えそれが必要経費でも何のためにあるのかを自問すべきです。
ファンドの存在価値は、金融機関を肥やすためではありません。
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posted by SALLOW at 12:50
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筆者の方の経歴から、まちがいなくアクティブファンドを売ることによって利益を得ている方(もしくは、それとつながりのある方)と推察します。
「過激な」アクティブ信奉派は、インデックス投資をフリーライダーと蔑視することもあるようなので、こういう表現になるのはしかたないのでしょう。それとおそらく、「信託報酬で足きりされてNISAに入れなかった」ことにかなりの恨みを抱えているようですし。
しかしおっしゃるように、アクティブファンドの運用戦略は誰にも理解できるものではありません。
だからこそ金融庁は、中途半端であってもNISAの対象はわかりやすさで選んだのだと思います。
そもそも、アクティブがインデックスより信託報酬が高くなければならない道理はないわけで、アクティブでありながら分かりやすい戦略とインデックス並の手数料の商品を作れば良く売れるのではないでしょうか、とも思います。
それが作れないなら、商売の原則(客が欲しいものを売る・・・客とは金融庁も含む)にもう一度立ち返るべきでしょう。
スイッチングが出来ると助かるので。
>初心者・初級者であれば、何を選択すればよいかすらわからず、TOPIXインデックスやひふみプラスのみを選んでしまったらどうするのであろうか?
に至っては意味不明です。TOPIX以外でも日経平均やS&P・先進国・新興国連動の、ニッセイやeMaxis Slimの低コストインデックスファンドが一通り揃っているのを知らないはずはあるまいに。これも一つのポジショントークに過ぎず、つみたてNISA利用に当たっての考え方や注意点のより親切な説明はネットの至る所にあるので、愚にも付かない記事だと思いました。
アクティブファンドの運用戦略が理解できたら、そっちこそもはや初心者・初級者じゃないですよ笑