2016年12月25日

自転車同士の出会い頭衝突実験〜JAF動画から

YoutubeにあるJAFの公式チャンネル、「JAFチャンネル」で自転車に関する動画が更新された。記事タイトルにもあるように自転車の出合い頭衝突を実験した動画だ。

jaf_deai_gasira1.jpg

実験背景としては(動画内より)

自転車は免許も要らずに気軽に乗れるぶん、自分が事故に遭うことを創造する人は少ない。しかし、事故や転倒の際には頭部を地面などに強打して、致命的なケガを負う危険性が高い。そこで、自転車の事故類型で一番多い「出合い頭衝突」を想定した実験で検証した。

とのこと。出合い頭衝突事故は信号のある交差点や特に一時停止が設けられた交差点でおこりやすく、信号がある場合は赤信号を直進する信号無視。一時停止の交差点では一時停止を無視して直進したことによるもので、いずれも見通しの悪い交差点(住宅街の家や壁、ビルや店が死角となって)で起こりやすい。

この動画ではその万が一正面衝突事故が発生した場合、どのような衝撃が自転車や搭乗者にかかるのか。ヘルメットのありorなしの2パターンで実験が行われている。テスト方法は以下の通り

2台の自転車を各台車に設置し、時速20kmで牽引。衝突ポイントの直前で台車から切り離して衝突させる。後席子供ダミーと母親ダミーの頭部にセンサーを設置し、東武損傷基準値(HIC)を測定した。


jaf_deai_gasira5.jpg

対象自転車は子供2人と母親1人の3人乗りママチャリと、成人男性のシティサイクル。これを共に時速20kmで走らせ、共に角度90度で衝突させる。ちょうど見通しの悪い交差点で接触したようなシチュエーションである。

jaf_deai_gasira2.jpg

テスト結果はこのようになり、ヘルメットありでは子供のHIC値が949。ヘルメットなしでは15,951と17倍にもなることが判明。このHICは幼児で570以上。成人では700以上で頭蓋骨骨折となる可能性があり、HICが700〜2,500で死亡する可能性があるのとのこと。実験結果からヘルメットありでも死亡の可能性がある基準値を上回り、ヘルメットなしではそれが17倍にもなっている。よく、子供の自転車事故で「頭部を強くうち...死亡」というニュースを聞くことがあるが、この実験からもそれが納得できる結果となっている。

jaf_deai_gasira3.jpg

まとめとしては帝京大ちば総合医療センター 脳神経外科宮本伸哉医師によれば

・HIC15,951という数値は非常に高い。
→頭蓋骨骨折、急性硬膜外血腫、脳挫傷によって、重度の後遺症もしくは死亡する可能性が高くなる。
・子供2人を乗せた際の運転は、できるだけ避けるのが懸命。
→バランスが取りづらく、点灯しやすいため危険
→子供を乗せたまま自転車から離れている間に転倒する事故も多いので注意が必要。


とのこと。

jaf_deai_gasira4.jpg

最後にJAFのまとめとしては「ヘルメットを着用することで事故や転倒時の頭部の被害を軽減できる」と結論づけた。それに加えて

・速度が低めの自転車同士の衝突や停止時の転倒でさえ頭部が地面に叩きつけられる際の衝撃は大きく、ヘルメットを着用してない場合は、致命傷になる可能性が高い。
・ヘルメットは万能ではないが、最も重要な脳を守るための唯一の安全装備である。


と補足している。

よく「自転車はヘルメットをして乗りましょう!」的な呼びかけを見かけるのだが、こうやって衝撃の値を数値化し、可視化することでその重要性が納得できるような動画となっている。youtubeが見れる環境なら誰でも見れるので、家庭内での安全教育のほか、地域や学校でも使うと数値的な例としていいかもしれない。

ヘルメットの重要性は動画で理解できたが、それ以前に事故が起きないよう信号をきちんとまもったり、特に見通しの悪い交差点では一時停止をして左右確認することが事故にあわないための第1歩となる。住宅街では一時停止を無視したことによる衝撃事故が多発しやすく、最悪実験のように頭部にダメージを受けるかもしれない。ヘルメットの装着に加えてルールを守り安全確認と予測運転が安全への近見だ。



※なお、記事作成時点での動画の再生回数は233回とかなり少なかった。公開日は2016年10月25日でおよそ2ヶ月経っているがかなり少なく感じる。小学校低学年だと数値的なものを理解できないと思うが、高学年〜中高生ではこれを理解できると思うので、安全教育に積極的に使ってほしいと思う。

2016年12月10日

自転車活用推進法案が衆議院本会議で可決

よく見る自転車サイト、「サイクリスト」でこんな記事を発見した。


参照元:サイクリスト
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「自転車活用推進法案」が成立 参議院本会議で可決

「自転車活用推進法案」が12月9日午後、参議院本会議で可決され成立した。自動車への過度な依存を軽減し、自転車の利用を促す内容で、超党派の「自転車活用推進議員連盟」(会長・谷垣禎一自民党幹事長)が議員立法として提出していた。今後さまざまな自転車のための施策を行う際の法的根拠となり、来年中に施行される。

 法案を当初から推進してきたNPO「自転車活用推進研究会」の小林成基理事長は、「すばらしい。自転車は公共の利益に資することが証明され、ようやく自転車が市民権を得る準備ができた」と語り、「法案成立はゴールでなくスタート」と、今後の活動がより重要であるという見方を示した。

 法案の内容は衆議院のウェブサイトで閲覧できるほか、自転車活用推進研究会が、法案の最終稿とその概要をウェブサイトで公開している。
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概要は参照元にもあるように自転車の利用を促進させるような法案のようで、自転車活用推進研究会(自活研)が推進してきた法案のようだ。そこで自活研のHPを確認してみると....

jikatuken.jpg

このようにTopics欄最上部に本法案の内容があった。参考として法案とその概要版がPDFとしてアップロードされていたので、概要版を確認してみた。1ページ目はこんな感じ

Bill2016Outline_01.jpg

この中の8条・基本方針を少しピックアップすると、

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@自転車専用道路、自転車専用通行帯の整備
....
E自転車安全に寄与する人材の育成および資質の向上
...
K観光旅客の来訪の推進その他の地域活性化の支援

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など自転車に関係する施策がフルに盛り込まれている。ただしその次の「自転車活用推進計画」では

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都道府県、市区町村は、区域の実情に応じた自転車活用推進計画を定めるよう務める

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となっているため、法案そのものは努力目標のようにも感じる。次に2ページ目は

Bill2016Outline_02.jpg

とこんな感じ。どうやら平成25年に成立した「交通政策基本法」とのからみが書かれており、特に自転車の部分を強化したような内容の模様。これに関係して個別法で百貨店やスーパーに駐輪場の設置義務を設けたり、道路管理者に自転車道路整備事業を実施する義務を設けるらしい。ただしこちらは義務となっていて、1ページめの「務める」よりはより強制力がある感じ。

とこのような内容のものが12月9日午後に参議院本会議で可決して法律として成立したようだ。今後は様々な自転車施策を行うための法的根拠となり、はやければ来年度の施工となる。

最後に自活研・理事長である小林さんのコラムではこの法案を提出した背景が書かれていた。かなりまっとうな内容なので転載しここにも載せようと思う。


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【自活研・小林理事長の自転車コラムその56】〜自転車議連には祈るような思いで期待している〜

この原稿は2013年に書いたものである。

■言うだけなら誰だってできる
 しばらく前、「言うだけ詐欺」などという不埒な政権批判がはびこった。
脱ダム宣言は最初、元気が良かったが、地元の迷惑が明らかになるに従って迷走、地球温暖化の主な原因と言われている二酸化炭素の排出はマイナス25%目標を世界に向けて公言したが、身内からも不可能とブレーキがかかった、大地震後は脱原発を打ち出したが、具体策を示すことすらできないまま終わり、増税と「近いうち解散」だけがかろうじて実現した。
言うだけでやらないままのほうが良かったと思われるものも少なくないが、政府が方針を示したにもかかわらずいっこうに実現しないことが多すぎはしないか。
そんなことをしたり顔で話していたら、海外生活が長い友人から「日本ではできることしか言わないという風潮が長く続いたが、ようやくやらなければならないことを言うようになっただけのことだ」と諭された。
確かに、欧州などの政治家たちは、とうていできないと思われるようなことを言う。
言わなければ変えていく方向が示せないからだ。
すぐに実現しないこと、任期中に成果が見えないことを言うのは、次の選挙で批判を浴びて政治生命が危機にさらされる可能性もある。
実現までに時間がかかる課題に真正面から取り組むのは、誰にとっても辛いことだ。
つい、目先の利益誘導に走る。
だが、国家百年の計、とは言わないまでもせめて10年くらいの先を想定して、やるぞ、と天下に公言するのは政治家の重要な使命だ。
不言実行を美徳とする傾向があるが、社会を変えるには有言実行が大切である。

■目標を達成するための工程が見えない
 「冷めたピザ」と自らを茶化してみせた故小渕恵三総理が打ち出した政策に「歩いて暮らせる街づくり」がある。
閣議決定されたのは小渕政権が自自公連立に踏み切った直後の平成11年11月11日。
実に憶えやすい。きっと小渕総理は、この日が将来ずっと語り継がれることを想定したに違いないと思う。
この政府の方針を受けて、ほとんどの地方自治体が「歩いて暮らせる」を長期目標に掲げた。
しかし、既に14年を経て、なにか目に見える変化があったかというとなかなか思い当たるところがない。
この方針は世界一となった超高齢社会に対応することが主眼である。
歩いて暮らせるためには、居住地から500mくらいの範囲に病院や食料品店などが配置されていなければならない。
でなければ高齢者の暮らしは成り立たないし、寝たきりで余生を過ごす人が増え、勤労世代の負担が重くなりすぎて、早晩財政は破綻する。
 歩いて暮らせる環境という言葉には、ノーマライゼイションが徹底されコンパクト化された街という意味がある。
ノーマライゼーションとは、高齢者などの弱者を施設に隔離するのではなく、地域社会で普通に暮らせるようにしようという考え方だが、なにがなんでも家庭や地域で暮らさせようというものではない。
なんでも極端に走るのはわが国社会の変なところなのだが、介護を充実させるとなると、自立して生活できる高齢者までも隔離してケアしようとする。
対象者が増えれば施設は不足し、今度は家庭で面倒を見ろ、という方針を打ち出す。
本当の問題は、自立可能な社会環境を作っていくことのはずだが、高齢者でも安全快適に移動できる街を目標にしていながら、大きな道路をまたぐ歩道橋や地下通路を「変」だと思わない。
つまりはクルマの通行を最優先と考える「クルマ脳」症候群がネックなのである。

■言ったらやる、に期待したい
 高齢世代に突入しようとしている我が身を点検してみると、動体視力が低下し、難聴が進み、反射神経が衰えていることを実感する。
いまはなんとか自分でクルマを運転しているが、いつ事故を起こして、老後を交通刑務所で過ごすことになるかと不安になる。
幸い都内に住んでいるから、自転車で行ける範囲には自転車か公共交通機関を使える。
しかし、講演などで地方都市に出かけると、クルマで移動することが標準となっていて、自転車で安全快適に移動することが難しい環境ばかりだ。
そもそも歩くと不便で遠回りさせられるように、道が設計されている。
商店街や観光地などでは、クルマで来やすいよう駐車場が整備され、歩く方は広大な駐車場をとぼとぼと横切るしかない場合も少なくない。
自転車に至ってはどこをどう走ったら良いのか、どこに駐めればいいのかがわからない。
クルマはスピードオーバーでも、車線をまたいでも、停止線をはみ出しても、自転車には危険きわまりない路上駐車ですら、しかたがないと諦めるのに、自転車だとルール無視だ、マナーが悪い、モラルに欠ける、と散々である。
 これではいけない、と立ち上がってくれた政治家集団がある。
谷垣禎一法務大臣(当時)率いる超党派の自転車活用推進議員連盟である。
 環境・健康・経済・交通・観光などに貢献する自転車をもっとうまく活用できるようにするための「提言」をとりまとめ、国会、政府、地方自治体に示して実行を迫る活動を行っている。
提言内容はどれも、自転車利用者には頷けることばかりだが、課題はもちろん「実現!」である。
※自転車活用推進議員連盟は政府と東京都(オリンピック・パラリンピック関係)に提言書を提出し、その後、提言内容を条文化して「自転車活用推進法案」をまとめた。法案は国会上程の段階に入ったが、2016年11月現在提出されていない。

【季刊誌「PARKING TODAY(ライジング出版)」より改訂して掲載】

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