2018年03月09日

「クルマを捨ててこそ地方は甦る」の感想

少し前に購入した藤井聡教授の「クルマを捨ててこそ地方は甦る」をようやく読み終えた。「地方はクルマが無いと生活できない」という一般常識はこの本を読み終えるころには非常識となり、「クルマこそが地方を衰退&疲弊させた張本人」という新事実が頭にインプットされた。

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ちなみにここでいう「地方」とは人口が数千人とか数万人の村や町レベルの自治体ではなく、人口が30万人〜50万人程度の中核都市的な街のこと。北海道でいえば旭川市や函館市が該当する。ある程度の都市規模を持ちながら通勤手段のメインが自家用車となっていて、交通渋滞が発生する街が対象だ。数千人や数万人レベルではそこまで渋滞は発生しないし、渋滞による時間やガソリンの無駄も考慮するまでもない。公共交通機関が極端に貧弱だからむしろ積極的に自家用車を使ったほうが合理的だ。

全体的な感想としてはクルマをよく使う人や上述のような「地方はクルマが必須」と考えている人に是非とも読んでほしい内容だった。クルマは確かに便利だが、賢く使わないとダメだよという新常識をデータを元に客観的に述べられており、納得のできる中身となっていた。そして一般人のほか自治体の交通担当の役人にも見てほしい内容、いや必読といって良いくらいの中身が書かれていて「地方再生」のヒントともなりえそうな部分もあった。このままクルマ中心の街づくりを行っていくと確実に地方衰退&人口減はストップあるいは低減できないと思う。魅力のない地方、クルマ必須の街づくりが大都市部への人口流入を助長していて、旭川市もその例外ではないはずだ。

クルマ以外の交通手段としては徒歩、自転車、公共交通機関(バス)となるが、とりわけ旭川では地形が平坦なのと比較的安全な河川敷があるのを踏まえ、自転車の活用も然るべきかと思う。本年度から自転車の走行空間に関わる整備が本格始動されるはずだが、可能な範囲(天候や季節も考慮しつつ)で企業側も自転車通勤を推進するあるいは市レベルで助成するなどクルマに依存しない環境づくりが求められる。

最後に日刊ゲンダイの著者インタビューを転載。簡単だが本書の地方衰退のメカニズムを説明している。

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地方都市の衰退が問題視されて久しい。商店街はシャッター街と化し、地元にいるのは高齢者ばかり。若者の流出が原因というのが“定説”だが、著者はその説に待ったをかける。

「人口の減少が地方衰退の原因と考えがちですが、そうではありません。地方都市といえば、駅前はガランとしていて店もレストランも住宅も郊外に集まっていますよね。これが成り立つには、地方の社会はクルマが前提になっているからです。実際、クルマなしでは生活できないと思っている人は多いでしょう。しかし、このクルマに依存しきった状態こそが、地方疲弊の重大な原因なんです」

 著者の専門は都市社会工学。本書では、便利さの陰に隠れて着目されてこなかったクルマ依存がもたらす弊害を理論的に明らかにしながら、“脱クルマ”による地方活性化を指南する。

 クルマが地方衰退の重要原因……。にわかには信じがたいが、そのメカニズムはこうだ。

「クルマ社会化が進展することで、公共交通の衰退と街の郊外化が同時に進行していきます。すると郊外にショッピングセンターが誕生し、地元商店街には人は訪れなくなります。これまで鉄道の駅や城などを中心にコンパクトにまとまっていた街が、このようにして薄く広く郊外へ溶けていくわけですが、ここに問題が隠れているんです。そのひとつが、大型ショッピングセンターの存在。どんなに買い物をしようとも、地元は潤わないんですね」

 大型ショッピングセンターは、いずれも地域外の資本でつくられた店だ。つまり、利益の大半は本社のある都心へ吸い上げられる。このことを問題視した著者が徹底的に調査したところ、ざっくりした計算で「地元への還元率は1、2割」というから驚きだ。

「クルマ社会化が進むほど、住民が一生懸命働いて稼いだお金が地域外に流出し、地域経済はどんどん疲弊していくんです。地域産業が衰退すれば、地元に納める税金も少なくなり、行政サービスも劣化。魅力が失われた地域からは人口が流出、事業も撤退と、悪循環なんですね。でも逆に言えば、クルマ社会化の進展に歯止めをかけられれば、街は甦る。決して理想論ではありません。実は『クルマ利用による地方衰退』論は学者の間では常識ですし、科学的分析データも各国の成功例もたくさんあるんです。でも日本ではいざ都市計画となると、忖度が働くのか、合意に至らないんですね(笑い)」

 とはいえ、最近では、脱クルマに舵を切る都市も出てきた。

「たとえば富山市は道路の容量を削ってLRTを導入、クルマ依存率の半減に成功しています。また中心地に建設された広場・グランドプラザはクルマ不可ですが、訪れる人が増え、接続する商店街にも賑わいが戻りました。京都市の四条通りでは、片側2車線を1車線に削り、3・5メートルだった歩道を6・5メートルに拡張。すると、毎月の歩行者数は拡張前より2割程度アップ、沿道の商店での消費額も増加しました。なんと、地価も上がったんですよ。バス利用する人が増え、渋滞もありません」

 クルマは利便性と同時に不幸ももたらす。だから依存するのではなく、上手に付き合うことが大切だという。

「歩いて地元の商店に行けば運動不足も解消、コミュニティーも復活してくるでしょう。私は自家用車を手放してライフスタイルが一変しました。お金は浮くし、外食の際、酒が飲めるし、メリットを享受していますよ。街中へは電車やバス、都市間の移動や物流などはクルマといった具合に徒歩と公共交通とクルマを上手に使い分け、ベストミックスの社会を実現したいですね」

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もう一つ、Youtubeにあった藤井聡教授の動画を。本書を書く前にアップロードされたものだが、少し関連のある中身となっている。「クルマ利用は、ほどほどに」

この記事へのコメント
トンサン、こんばんは。コメントありがとうございます。

そうなのです。シャッター街はマイカーの普及(モーターリゼーション)が原因だったのです。マイカーが普及したことで買い物は郊外へ郊外へと流れていったせいで中心部は賑わいが消滅しました。クルマがなくなれば安心して街中を歩ける。そして歩く人が増えればその軒先にある店も客が入る(クルマの利用者は一瞬で通り過ぎるし駐車場を探さないといけない)などいい事づくしなのですが、日本ではクルマ産業が主体でありかつ地方もそういった大転換の行政をなかなか行えないため、脱クルマ的な街づくりはあまり例が少ないみたいです。
Posted by さすらいのクラ吹き at 2018年03月10日 22:24
なるほど。シャッター街は車が原因か。
言われてみればそうだなぁ。
厚木市も商店街はシャッター街になり、今や町の中心はマンションが林立するようになった。
だから買い物は車で郊外へ行くが、街の中をぶらぶらするのは、よその町へ行ってしまう。
厚木市はベッドタウンになってしまい、面白くない街になった。
Posted by トンサン at 2018年03月10日 01:32
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