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昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2022年12月24日

Vale を使ってみる

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、英文校正ツール Vale についてです。


以前の記事で英文用の校正ツールとして Vale という名前だけ挙げていました。Vale はコマンドラインで実行する校正ツールです。マイクロソフトGoogle Developers などのスタイルガイドに沿ってチェックを行うことができます。Grammarly のような校正ツールにも似ていますが、それらとはまた違った観点でチェックが行われるので、役立つ場面もあるかと思い、今回使ってみることにしました。

Vale では、校正ルールの設定ファイルが「パッケージ」として提供されています。マイクロソフトや Google Developers を始めいくつかのスタイルガイド用にパッケージが用意されているので、これらをダウンロードして使えばそれぞれのスタイルガイドに合わせてチェックを行えます。

107_1.png


こうしたパッケージの操作も含めて、Vale はコマンドを打って操作する必要があります。コマンド操作は少し面倒ですが、慣れてしまえば大丈夫です。インストールも、Chocolatey を使うとか、Path を通すとか、いろいろ書いてありますが、すみません、今回その辺りのことはすべて省略します。普通にダウンロードして、プログラム本体、設定ファイル、チェック対象ファイルをすべて同じフォルダーに入れてしまえばひとまず動きます。この記事では「ひとまず動かす」ことを目標とします。

手順は、以下のとおりです。

  1. プログラムの zip ファイルをダウンロードして展開する

  2. 設定ファイルを作成する

  3. パッケージを設定する

  4. チェックを実行する


では、始めていきましょう。



1. プログラムの zip ファイルをダウンロードして展開する


Vale のプログラムをダウンロードします。GitHub ページの右側にある [Releases] から最新版をダウンロードできます。このリンクをクリックするとダウンロード ファイルの一覧が表示されるので、Windows だったら vale_2.21.3_Windows_64-bit.zip などをダウンロードします。

107_2.png


zip ファイルをダウンロードしたら、適当なフォルダーを作ってそこに展開します。プログラム本体 (vale.exe) を展開したフォルダーに、この後、設定ファイル (.ini ファイルと各種パッケージ) とチェック対象ファイル (テキスト ファイルなど) を入れ、プログラムを実行します。



2. 設定ファイルを作成する


プログラム本体 (vale.exe) を展開できたら、次に設定ファイル (.ini ファイル) を作成します。設定ファイルは Vale のサイト上にある Config Generator を使って簡単に作成できます。Vale.sh ページの上部にあるメニューから [Resource ] > [Config Generator] を選択すると、以下のようなページが表示されます。


107_3.png


上部の 3 つの項目をそれぞれ選択すると、下部に ini ファイル用のテキストが自動的に生成されて表示されます。vale.exe と同じ場所に「vale.ini」という名前のファイルを作成し、そこにこの表示されたテキストをコピペすれば設定ファイルは完成です。

3 つの項目は、ほぼ表示されている名前のとおりの意味です。[Base style] で、マイクロソフトか Google かなど基本となるスタイルを選択します。[Supplementary styles] は補助的なスタイルです。これは複数選択できます。[Static Site Generator] は特に必要なければ「None」のままで OK です。



3. パッケージを設定する


設定ファイルが完成したら、設定ファイルに指定したスタイルのパッケージをダウンロードして設定します。ここからの操作はコマンドで行います。

まず、コマンド操作用に Windows PowerShell ウィンドウを起動します。PowerShell ウィンドウの起動には Shift+右クリックを使うと便利です。vale.exe と vale.ini が格納されているフォルダーを Shift キーを押しながら右クリックし、表示されるメニューから [PowerShell ウィンドウをここで開く] を選択します。これで、PowerShell ウィンドウが起動します。

ウィンドウが起動したら、念のため vale.exe と vale.ini が格納されているフォルダーにいることを確認してください。そのフォルダーで以下のコマンドを実行します。

vale sync


これで、設定ファイルに指定したスタイルのパッケージが自動でダウンロードされ、設定されます。パッケージは styles というフォルダーに格納されます。以下のように SUCCESS と表示され、100% となれば準備完了です。これでチェックを実行できます。


107_4.png



4. チェックを実行する


設定ファイルとパッケージの準備ができたら、いよいよチェックの実行です。チェック対象のテキスト ファイルを同じフォルダー (vale.exe および vale.ini と同じ場所) に入れます。これで、コマンドを入力すればチェックが実行されます。以下は、test.txt というファイルのチェックを実行しています。

vale test.txt


コマンドを実行すると、チェックの結果が出力されます。これで完了です。出力が折り返されて見にくい場合は --no-wrap オプションを付けて実行します。

vale --no-wrap test.txt


このオプションを付けると以下のように出力されます。メッセージが折り返されずに表示されるので見やすくなります。


107_5.png


コマンドの詳細については CLI Manual を参照してください。また、設定ファイルでもいろいろと細かい設定ができます。


今回は以上です。本当に「ひとまず動かした」だけですが、けっこういろいろなエラーが検出されて驚きました。たとえば、技術英語としては「don’t などの省略形は使わない」というルールが一般的だと思いますが、マイクロソフトのスタイルガイドでは省略形を使ってよいことになっています。私は、今回のチェックで検出されて初めてこのルールに気付きました。

なお、今回は Windows PowerShell ウィンドウでコマンドを使用しましたが、Vale には VS Code 用の拡張機能も用意されています。VS Code 内で拡張機能を使った方が簡単に操作できるかもしれないです。その辺りのことは、また次の機会に調べてみたいと思います。







  


2022年12月23日

テキスト読み上げソフト

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、テキスト読み上げソフトについてです。


せっかくの Advent Calendar なので Trados 以外のことも書こうと思い、今回はテキスト読み上げソフトの SofTalk を紹介するつもりだったのですが、なんだか、ご紹介できなそうな状況になっていました。

私は SofTalk をかなり前から使用していましたが、今回の記事を書くにあたって念のため最新版を確認したところ、SofTalk は今年の 7 月頃から音声合成エンジンが変わっていたことがわかりました。現在のバージョンでは AquesTalk (通称、ゆっくりボイス) が使用できなくなっています。うぅ、残念です。

今は手元にある古いバージョンが正常に動くのでそれを使っていますが、今後はどうしたらいいんでしょう。Word の読み上げ機能はあまり便利じゃないし、Edge の読み上げ (Ctrl+Shif+U) は流暢すぎて訳文のチェックには向かない気がしています。「ずんだもん」とか使ってみたらいいのかしら。


というわけで、すみません、今回はここまでです。最新版の SofTalk でも AquesTalk 以外のエンジンで一応読み上げはできるので、その辺りのことについて調べたらまた記事にしたいと思います。






  




2022年12月12日

Visual Studio Code を使ってみよう

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、プログラミングのためのエディター「Visual Studio Code」の紹介です。

Visual Studio Code (VS Code) はマイクロソフトが無償で提供しているテキスト エディターで、主にプログラムのソースコードを編集することを目的としたものです。一般的にはプログラミングに使用するものなので複雑な機能が搭載されてはいますが、私は「無料で使えるテキスト エディター」と考えてごくごく簡単な用途に使っています。

概要、ダウンロード、インストールなどについては、以下のようなサイトが参考になります。


 ・Visual Studio Code – コード エディター | Microsoft Azure
  公式サイトです。ここからダウンロードできます。

 ・【VSCode】インストール/日本語化/基本的な使い方 (senseshare.jp)

 ・開発の定番「VSCode」とは? インストールから使い方までを解説 (1/3)|CodeZine(コードジン)
  まだ、連載の第1回しかありませんが、今後追加されるようです。

 ・VSCode | Visual Studio Codeのダウンロードとインストール (javadrive.jp)



インストールと日本語化

VS Code は、上記にも挙げた公式サイトからダウンロードできます。インストーラーが用意されているので、それをダウンロードして、画面の指示に従ってなんとなく進めていけば OK です。特に難しい手順はありません。上記の 2 番目に挙げているサイトの説明がわかりやすいと思います (が、特に参照しなくても普通にインストールできます)。

ただ、単にインストールしただけでは UI が英語です。日本語表示にしたい場合は日本語用の拡張機能を別途インストールする必要があります。これの手順も上記のサイトに説明されていますが、おそらく読まなくても大丈夫です。英語のまま使っていると VS Code からしつこいくらい「日本語にしますか」というプロンプトが表示されてきます。プロンプトが表示されたら、それに従って操作すれば日本語表示にできます。



拡張機能

VS Code で何かしたいときは、たいてい「拡張機能」をインストールします。Trados の「アプリ」のようなものですが、Trados とは比較にならないくらい種類がたくさんあります。ただ、検索もインストールも簡単なので心配は無用です。


102_1.png


左側のメニューから、四角いパズルのようなアイコンをクリックすると拡張機能のパネルが表示されます。このパネルから、検索、インストールとアンインストール、設定など、いろいろな操作が行えます。

では、ここからは私が VS Code をどのように使っているのかを紹介していきます。最初に紹介する AutoHotkey のスクリプト以外は、特にプログラミングとは関係のない用途です。




AutoHotkey のスクリプトを書く


AutoHotkey のスクリプトは普通のテキスト エディターで書けますが、VS Code を使った方がコードの色分けやオートコンプリート機能などが使えるので便利です。


102_3.png


私は上記の拡張機能をインストールしていますが、拡張機能はこれ以外にもいくつかあります。拡張子が 「.ahk」のファイルを VS Code で開くと「AutoHotkey 用の拡張機能を入れますか」というようなプロンプトが表示されてきます。それに従って適当な拡張機能をインストールします。



Windows の仮想デスクトップを使う

AutoHotkey のスクリプトを書き換えたくなることはよくありますが、スクリプトを書くのはどうしても面倒なのでついつい後回しにしがちです。その対策として、私はよく使うスクリプト ファイルを常に VS Code で開きっぱなしにしています。いちいち開く手間がなくなり手軽に更新できるので、後回しにせず小まめに更新するようになります。

とはいえ、翻訳作業をしているときはウィンドウをたくさん開いていてデスクトップは常に一杯の状態です。そこに VS Code まで開くと切り替えの操作などが面倒になります。そこで使うのが Windows の仮想デスクトップ機能です。これは、仮想的にデスクトップ画面を追加して、複数のデスクトップを使えるようにする機能です (詳細については、こちらのサイトが参考になります)。私は、通常の翻訳作業に使っているデスクトップの他に、仮想デスクトップを 1 つ追加し、そこに VS Code を開いています。

デスクトップの追加は、ショートカットキー Windows+Ctrl+D で行います。追加した後の切り替えは、Windows+Ctrl+右矢印/左矢印 です。これで、スクリプトの変更が必要になったら、さっと画面を切り替えて編集できます。(といっても、スクリプトを書くのはやっぱりちょっと面倒です。)



Markdown ファイルをプレビューする


最近、Markdown の翻訳を依頼されることがたまにあります。Markdown ファイルは VS Code で開けば簡単にプレビューできます。拡張機能もいくつかありますが、何も入れなくても既定でプレビューできます。(詳しい方法については、@IT の VS CodeでMarkdownをプレビューするには?:Visual Studio Code TIPS が参考になります。)

拡張子が「.md」のファイルを開くと、エディターの右上に以下のようなアイコンが表示されます。これをクリックするとプレビューが表示されます。

102_4.png




日本語のチェックをする


チェック機能は CAT ツールにも付属していますし、いろいろなツールがあるのでわざわざ VS Code を使う必要はないのですが、たまに違うツールを使うと思わぬ指摘があったりします。私がたまに使っているのは「テキスト校正くん」という拡張機能です。



102_5.png



これは、テキスト ファイルの日本語をチェックしてくれる拡張機能です。Word ファイルなどをそのままチェックすることはできませんが、Word ファイルのテキストをコピーしてテキスト ファイル (.txt ファイル) に貼り付ければチェックできます。Trados ならエディターからすべてのテキストをコピーして貼り付ければ OK です。

テキスト ファイルを開くと、自動でチェックが実行され、エディターの左下にエラー数が表示されます。それをクリックすると [問題] パネルが開き、そこにエラーの詳細が表示されます。



102_6.png



本格的な校正は期待できませんが、「することができます」などの冗長表現のチェックは便利です。たまに使うと、びっくりするほど指摘されることがあり、自分の文章のクセがわかります。

校正ツールとしては、これ以外にも Vale (英語用)、textlint (日本語用) などがあります。が、すみません、記事にするほど理解できていないので、これらについてはまた今度にしたいと思います。もし「使っているよ」という方がいらしたら、ぜひ情報のご共有をお願い致します。



今回は以上です。VS Code のごくごく簡単な活用例を紹介しました。VS Code はプログラミングをまったくしたことのない人にとってはとっつきにくいかもしれませんが、単なる「テキスト エディター」と考えれば難しくありません。AutoHotkey のスクリプトも、VS Code で書くと、なんとなくすばらしいスクリプトが書けそうな気がしてきます。雰囲気だけでも気分を高めていきましょう!






  


2022年12月04日

AutoHotkey の簡単な使用例

Advent Calendar 「翻訳に役立ってくれそうなツール」の記事です。今回は、AutoHotkey の紹介です。

AutoHotkey は、スクリプトを書いてキーボードの操作を便利にカスタマイズしよう、というようなことを目的にしているツールです。既にいろいろなところで取り上げられているので、概要や設定方法などについては以下を参考にしてください。

AutoHotKeyを使ってみよう|翻訳者の引き出し (honyaku-hikidashi.net)

AutoHotkeyを導入して、翻訳作業の効率を上げる | Koujou Blog

AutoHotkeyのつぼの記事一覧 | つぼログ。 | シーブレインスタッフによる技術情報ブログ (c-brains.jp)


検索すると他にもたくさん情報が見つかりますが、私のこの記事では細かいことはすっ飛ばして、現在私が使っているごくごく簡単なスクリプトをそのままお見せしたいと思います。本当にかなり適当なスクリプトなので、もし改善案などありましたらぜひご連絡ください。


Phrase (Memsource) の訳語検索


最近、Memsource から名前が変わった Phrase は、全体的にとてもシンプルなのが特徴ですが、シンプルなだけに設定やオプションが少なく、少し使いにくく感じることもあります。その 1 つが訳語検索です。

訳語検索はショートカット キー Ctrl+k で実行できます。ただし、カーソルが原文側にあるときは原文を検索、訳文側にあるときは訳文を検索するという動作になっていて、これを変更することはできません。翻訳作業中、カーソルは編集をしている訳文側にたいていあるので、カーソルが訳文側にある状態で原文を検索するという操作が最も多くなりますが、これをキーボードだけで行おうとするとなかなか面倒です。


98_1.png


日英翻訳 (ja → en) をしている場合、訳文 (en) 側にカーソルがある状態で Ctrl+k を押すと、上記のように、選択していた語句を訳文 (en) から検索します。(この UI の [原文:][訳文:] は、あくまでどこを検索しているかを表しています。翻訳作業自体の原文と訳文ではありません。)

この状態で、原文 (ja) を検索したい場合は、入力フィールドの横にある [<->] をクリックして、再度 [検索] ボタンを押す必要があります。この [<->] を操作するショートカット キーが Phrase には用意されていないので、AutoHotkey の登場となります。

AutoHotkey で行っている操作は、以下のとおりです。

 1. タブを 2 回押して、フォーカスを入力フィールドから [<->] に移動
 2. スペースを押して、[<->] をクリックしたことにする
 3. Shift+タブを押して、フォーカスを [<->] から [検索] ボタンに移動
 4. スペースを押して、[検索] ボタンをクリックしたことにする


スクリプトは、こんな感じです。


SendInput, {Tab 2} ;タブ 2 回
SendInput, {Space} ;スペース
SendInput, +{Tab} ;Shift+タブ
SendInput, {Space} ;スペース

Return


スクリプトは、いたって単純です。私はこれを Ctrl+Alt+k に割り当てています。普通に Ctrl+k を押して訳語検索をした後、Ctrl+Alt+k を押すと、原文と訳文を入れ替えて再度検索ができます。

「キーボード操作じゃなくて、マウスでクリックすればいいんじゃない?」というご指摘はあるかと思いますが、私はマウスを使うと肩がこるので、できるだけキーボードを使いたいのです。ちなみに、Trados と memoQ はもう少し簡単に検索対象を切り替えられます (訳語検索の詳しい方法については、また別記事で取り上げたいと思います)。


URL の言語指定を切り替える


ウェブサイトで英語ページと日本語ページを切り替えたいことはよくあると思います。多言語対応のサイトなら、一般的に URL 内の特定の文字を変換することで切り替えられます。

 98_2.png

言語指定に使われることが多い文字列は「en-us」や「ja-jp」ですが、 これは各サイトによって異なります。すみません、私はその辺りはすべて手動対応で、必要になったものをその都度追加しています。そのため、下記のように、スクリプトが else if でどんどん長くなっていきます (が、ひとまず動いているので OK としています)。


Send, ^c
ClipWait 1

Sleep, 300

keyword = %clipboard%

; E to J
if InStr(keyword, "en-us") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, en-us, ja-jp, All
}
else if InStr(keyword, "hl=en") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, hl=en, hl=ja, All
}
; J to E
else if InStr(keyword, "ja-jp") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, ja-jp, en-us, All
}
else if InStr(keyword, "hl=ja") <> 0
{
StringReplace, keyword, keyword, hl=ja, hl=en, All
}

Clipboard := keyword

Sleep, 300

Send, ^v

Return



キーに割り当てるスクリプトを変更する


AutoHotkey の定番の使い方として、括弧で文字を囲む、読点とカンマを置換するといった操作がありますが、日英と英日の両方向で作業をする場合、全角半角の区別や、読点とカンマのどちらからどちらに置換するのかなどを考えると、わりと面倒なことになります。また、英日の単方向だとしてもスタイルガイドによって括弧が半角だったり全角だったりするので、作業のたびに切り替えが必要になります。

私は、同じショートカット キーに対して両方のスクリプトを書いておき、特定の作業を始めるときに、スタイルガイドを確認しながら、コメントを使ってどちらかのスクリプトを有効にするようにしています。


;Hotkey, vk1D & 8, InParentheses_HAN
Hotkey, vk1D & 8, InParentheses_ZEN

;Hotkey, vk1D & [, InSquare_HAN
Hotkey, vk1D & [, InSquare_ZEN

;Hotkey, ^!w, Replace_Ten
Hotkey, ^!w, Replace_Comma



この記事を書きながら考えてみたら、読点とカンマは、いちいち切り替えなくても自動処理できそうな気もしてきました。それは、今後の課題としたいと思います。


今回は以上です。AutoHotkey が初めてという方にはよくわからない内容だったかもしれません (すみません)。ただ、AutoHotkey は、少し時間をかけても習得して使ってみる価値があると思います。ぜひ挑戦してみてください。スクリプトはその辺からのコピペでもわりとちゃんと動きます。大丈夫です。





  


2022年07月05日

ブラウザーを便利に使おう

今回は、Trados をちょっと離れて、私が普段使っているブラウザーを紹介したいと思います。「ブラウザー」をご存じない方はいないと思いますが、IT に詳しい人に「インターネット見るやつ」とか、「検索するやつ」とか言って渋い顔をされた経験のある人はいるのではないでしょうか。私は、「へぇ。インターネット見れちゃうんだ、すごいね」などと返されたことがありますが、最近はいろいろと多機能なので、ただ「インターネットを見る」のも大変です。

私が最近使っているブラウザーは、Edge、Chrome、Vivaldi の 3 つです。仕事用アカウントを関連付けてメインに使っているのは Edge、プライベート用アカウントを関連付けて適当に使っているのが Chrome、そして Vivaldi は、つい先日になって使い始めました。Vivaldi は、だいぶ以前に翻訳者さんたちの間で辞書を並べて見るのに便利と紹介されていたのをちらっと見かけたことがあったのですが、最近になってそのことを思い出して使ってみました。この「並べて見る」機能は辞書の参照に限らず本当に便利なので、まずは Vivaldi から紹介します。


Vivaldi ― タイル表示がとても便利


Vivaldi をインストールして起動してみると、その機能の多さに圧倒されます。ただのブラウザーのはずなのにボタンがたくさんあって、正直、どこからどう操作したらよいのかよくわかりません。とりあえず、私が Vivaldi でしたかったことは、「並べて見る」機能を使って日本語ページと英語ページを同時に参照することだったので、まずはその方法を調べて使ってみました。今のところ、まだその機能を使ってみただけです。設定などもすべて既定のままです。

複数のページを並べて表示することを、各ページをタイルのように表示するという意味で「タイル表示」または「タイリング」といいます。たとえば、2 つのページを並べて表示するには、表示したい 2 つのページをそれぞれ普通に表示し、その 2 つのタブを選択して、右クリックのメニューから [2 個のタブをタイリング] を選択します。


94_1.png




これだけで、下図のように 2 つのページが並んで表示されます。左右の位置は、タブをドラッグすれば入れ替えられます。もちろん、タブを増やせば、同時にたくさんのページを日英のセットで開くことが可能です。


94_2.png




ウェブページだけでなく、ローカルにある PDF ファイルも並べて表示できます。これは、参考資料として日英のファイルが提供されているときなどにとても便利です。


94_3.png




同じファイルを 2 つずつ開いて 4 つのタブをタイリングしておけば、同じファイル内で別のページを見比べたいときなどに役立ちます。


94_5.png




さらに、たくさん開いたタブは「ウィンドウ」として履歴に残ります。左端の [ウィンドウ] アイコンをクリックするとメニューが開くので、そこから対象のウィンドウを右クリックして [再度開く] を選択すれば、そのウィンドウ内のすべてのタブを一気に再表示できます。タイリングした状態もそのまま維持されています。


94_6.png




ただ一つ問題なのは、同時スクロールができないことです。タイリングしたタブは「タイル」として個別に表示されているだけで、同時スクロールのような連携機能はないようです。日本語と英語でページの構造が大きく異なる場合もあるので、同時スクロールが毎回必ず便利に機能するとは限りませんが、それでも、同時スクロールができたらいいなあと思います。



Chrome ― 拡張機能を追加する


さて、次に Chrome です。といっても Chrome はあまりに定番すぎて、ここで改めて取り上げる機能は思い付かないので、私が使っている拡張機能を少しだけ紹介します。なお、構成の都合上「Chrome」の拡張機能として紹介しますが、今は Edge も Chromium ベースになっているので同じ拡張機能を Edge にも追加できます。実際、私も両方に追加して使っています。


Google 検索キーボード ショートカット

Google 検索の結果ページをキーボードで操作するための拡張機能です。この拡張機能を追加すると、下図のように青色の矢印アイコンが表示されるようになります。これを、キーボードの矢印キーなどで移動し、Enter キーを押してリンク先にジャンプします。この拡張機能はその名前のとおり、Google 検索の結果ページでしか機能しません。私は当初、何とかブラウザーをキーボードで操作したいと思って機能を探していたのですが、いろいろと複雑であまり良いものが見つからず、結局この拡張機能を使うようになりました。Google 検索以外のページは今のところマウス操作です。


94_7.png



私は、この拡張機能を使うようになって初めて [Tools] の [Verbatim] という機能を知りました (恥ずかしながら、今まで [Tools] の存在にも気付いていませんでした)。英語の Verbatim は「一言一句そのままに」というような意味ですので、このオプションを選択すると検索語と完全一致する結果を得られます。二重引用符と効果はほぼ同じように思えますが、Verbatim は、スペルミスの修正なども行われず、二重引用符よりさらに強力な完全一致のようです。複数の単語を検索する場合に、1 つ 1 つ二重引用符で囲むのが面倒なときは Verbatim を使うと便利です。

94_8.png




Pasty: クリップボード内の URL を新規タブで開く


94_9.png


Pasty は、クリップボードにコピーした URL を新しいタブで開いてくれる拡張機能です。複数の URL をコピーすると、一気に複数のタブが開かれます。アイコンのクリックでも機能するようですが、私はキーボード ショートカット キーを設定しています。ショートカット キーを設定するには、拡張機能をインストールした後、ブラウザー右上の設定アイコンから、[その他ツール] > [拡張機能] と選択し、右側のメニューで [キーボード ショートカット] を選択します。

ただ、Chrome にショートカット キーを設定するだけでは、毎回 Chrome のウィンドウをアクティブにしてからショートカット キーを入力する必要があり、少し面倒です。このため、私は Chrome に設定したショートカット キーをさらに AutoHotkey に設定して使用しています。もちろん、AutoHotkey だけでも「クリップボード内の URL をブラウザーで開く」操作は可能だと思いますが、それを実行するスクリプトは私にとっては少々高度なものになってしまいます。そこで、この拡張機能の力を借りて、AutoHotkey 側は「Chrome のウィンドウをアクティブにして、設定したショートカット キーを入力する」という操作だけで済むようにしています。これなら、スクリプトも難しくありません。(難しくはないですが、すみません、私は AutoHotkey のスクリプトについては人に説明するほど詳しくないので、具体的な方法はご自身で検索してみてください。詳しい解説がたくさん見つかるはずです。)



Edge ― 新しい機能もある


では、最後に Edge です。先日、IE がサポート切れになりましたが、私は IE からの流れでそのまま Edge を使っています。企業内では、IE のみという環境も珍しくなかったですし、今も Edge が主流の環境はあると思います。昔は、Chrome と Edge で表示が大きく異なることがたびたびありました。今はどちらも同じ Chromium ベースになり以前ほどではなくなったと思いますが、それでもブラウザーによる違いが生じる可能性はあるので、念のため両方のブラウザーを使うようにしています。


垂直タブ

Edge では、開いているタブをウィンドウの上部ではなく、左端に縦に並べることができます。私はたくさんのタブを開きっぱなしにすることが多いですが、垂直タブのほうが使いやすいような気がします。といっても、機能性に劇的な違いはないので、私の場合は単に、Chrome と Edge の両方を開いているときにどちらなのかをすぐに見分けるための目印となっています。垂直タブを表示するかどうかの設定は、[設定] > [外観] > [ツール バーのカスタマイズ] で行います。


94_10.png



コレクション

[設定] > [コレクション] と選択すると、下図のようなペインが右側に表示され、開いているタブをいくつかのコレクション (グループのようなもの) に分けて保存できます。案件ごとに関連するサイトをまとめて保存しておくと便利です。後から参照するために保存するという点ではブックマークと同じような機能ですが、コレクションのほうが、ページのサムネイルのようなものが表示され、一覧性もあるので見やすいかもしれません。(詳細については、Microsoft Edge「コレクション」機能の使い方。「お気に入り」との違いは? | できるネット の記事がわかりやすいです。)


94_11.png


私は、案件ごとに参考になるページをまとめたりしていましたが、Vivaldi を使い始めてからはあまり使わなくなっています。Vivaldi では、複数のタブが 1 つの「ウィンドウ」として履歴に残るので、いちいちコレクションに保存するのが面倒になってしまいました。まあ、Vivaldi の機能はあくまで履歴なので、きちんと残しておきたければ、やはりちゃんと保存しておく必要があるでしょう (ただ、そうなると今までのブックマークでよくない?と思わなくもないです)。


今回は以上です。ブラウザーはほぼ毎日使うとても重要なツールですが、あまりにもよく使うので、慣れきってしまっていて、実は非効率的になっているかもしれません。今回、Vivaldi という新しいブラウザーを使い始めたことからこの記事を書いてみましたが、これを機に少し見直してみようかと思っています。





  


2021年08月23日

ゲーミング マウスと REALFORCE キーボードを購入

先日、マウスが壊れてしまったので新しい物を買い、それならキーボードも欲しいなあと思い、キーボードも買ってしまいました。新しくなった現在は、こんな感じです。


83_4.jpg


これまで無線だったものをすべて有線にしたのでケーブルがまだちょっとごちゃごちゃしています。Razer のゲーミング マウス、東プレの REALFORCE、一番左は、以前から引き続き使っているサンワサプライのテンキーです。


マウス: Razer Basilisk V2


有線ゲーミング マウス Razer Basilisk V2 を買いました。以前に使っていた無線マウスに比べると、とにかく軽く動いて快適です。ゲーミング マウスだけあって DPI を変更する機能などがボタンに割り当てられているのですが、私は本当にゲームをするわけではないので DPI は固定して、そのボタンには別の機能を割り当てています。

ボタンにいろいろ割り当てができるのはとても便利です。私はどちらかといえばマウスよりキーボードのショートカット キーを使う方が好きですが、ブラウザーはどうしてもマウスを使うことが多くなるので、マウスのボタンにはブラウザーで使う機能を主に割り当てています。


キーボード: REALFORCE R2-JP4-BK (APC なし、キー荷重 45g、静音なし)


キーボードは、REALFORCE R2-JP4-BK (APC なし、キー荷重 45g、静音なし) です。私は、これまでキーボードにはあまりこだわりがなく、2,000 円程度のメンブレン式無線キーボードを使っていました。でも、REALFORCE はみんながいいって言ってるし、なんかすごそうだし、一度くらいは使ってみたいなあ、という感じで今回は思い切って購入してみました。


反応が速い

このキーボードは「静電容量無接点方式スイッチ」が採用されていて、これがものすごく良いものらしいのですが、実際に使った感想としては、正直にいってよくわかりません。ただ、以前の無線キーボードに比べると、反応がすごく速く感じられてとても快適なのは確かです。これが、無線と有線の違いなのか、REALFORCE の性能の違いなのかはよくわかりません。


キー荷重

私は、APC (スイッチの深さを自分で変更できる機能) なし、全キー 45g 固定のモデルにしました。自分のキーボードへのこだわりのなさからして、スイッチの深さを自分で変えるなんてことはしないだろうと思い、値段の高くなる APC は除外しました。

固定のキー荷重は 30g か 45g を選べますが、ネット上で少し検索したところ、「30g は軽すぎる」という意見がちらほらあったので 45g にしました。実際に使ってみると、今までのキーボードに比べて少し重く感じます。ただ、REALFORCE は個々のキーの高さが高く、以前のキーボードとは形状からしてまったく違います。「重い」と感じる原因が、荷重なのか、キーの形状なのか、そもそもこの打鍵感が「静電容量無接点方式スイッチ」の特徴なのか、REALFORCE 初心者の私にはよくわかりません。


静音

静音タイプもありましたが、自宅でひとり作業する私が音にこだわる必要はないだろうと思い、これも値段が高くなるので除外しました。が、実際に使ってみると、かなり音がします。もちろん、メカニカル キーボードなどに比べれば静かですが、ほぼ無音の部屋でひとりで作業をしているとわりと気になります。静音タイプにしておけばよかったかなあと思わなくもないです。


右クリック キーがない

REALFORCE にはなぜか右クリックのキーがありません。REALFORCE の購入で私が最も悩んだ点はこれでした。結局、右クリック用の標準ショートカット キー「Shift+F10」を使う覚悟で今回は購入しました。でも、実際にキーボードの箱を開けてみたら、キーの側面に右クリックのマークがありました。

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このキーを隣の Fn キーと同時押しすることで右クリックになります。「Shift+F10」よりは押しやすいので、これはちょっと嬉しかったです。


Fn キーの設定を変更できない

REALFORCE は右クリック キーをなくしてまで Fn キーが付いているのに、この Fn キーの使い勝手があまりよくありません。Fn キーはファンクション キーと同時押しすることによってブラウザーの起動、計算機の起動、再生/一時停止などを実行できますが、この機能は固定で、自分で変更することができません。以前に使っていたお手頃価格のキーボードでもキーの設定は自分で変更できたのに、REALFORCE はできません。付属のソフトウェアをダウンロードしてみましたが、変更できる設定はごくわずかでした。Fn キーを付けるなら、せめて設定を変更できるようにして欲しかったなあ。


今回は以上です。REALFORCE は、まだあまり慣れず、そのすばらしさを実感できていませんが、たぶん慣れてしまったら以前のキーボードには戻れないんだろうなあと思います。






  


REALFORCE はやっぱりすごかった

2021年05月14日

新型コロナウイルス関連の IT システム

連日、新型コロナウイルスのニュースが流れているので、関連する IT システムを英語名が存在するものを中心に挙げてみました。厳しい批判を受けている日本の IT ですが、いろいろなシステムが動いてはいるようです。

今回新しくできたシステム


COCOA (COVID-19 Contact-Confirming Application)
新型コロナウイルス接触確認アプリ

みなさんご存じの Android に冷たいアプリです。


HER-SYS (Health Center Real-time Information-sharing System on COVID-19)
新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム

新型コロナウイルス感染者の情報を医療機関、保健所、都道府県などで迅速に集約、共有、分析するためのシステム。新規感染者○○人というような情報の基になります。従来のファックスを置き換えた革新的なクラウドベース システムです!


V-SYS (Vaccination System)
ワクチン接種円滑化システム

ワクチンの配送や在庫管理のためのシステム。英語名がちょっと簡潔すぎませんかね。


VRS (Vaccination Record System)
ワクチン接種記録システム

こちらは個人の接種状況を記録するシステム。マイナンバーとともにこれから大いに活躍してくれることでしょう。略称は、HER-SYS、V-SYS とハイフン付きでしたが、このシステムではあきらめたようです。


G-MIS (Gathering Medical Information System on COVID-19)
新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム

医療機関の情報 (病床やスタッフ、人工呼吸器などの医療機器、マスクなどの医療資材) を一元的に管理するためのシステム。こちらはハイフン付きの略称ですが、-SYS ではありません (後述の EMIS に寄せたのかも)。


Key-Net
医療のお仕事 Key-Net

厚生労働省が開設している医療の求人情報サイト。正式な英語名は見つけられませんでした。


この他に、空港検疫業務支援システム、サーベイランス可視化システム (自治体発表の感染者数などの情報をグラフ化してわかりやすく提供) もあるらしいですが、すみません、英語名が見つからなかったので省略とします。


以前からあったシステム


NESID (National Epidemiological Surveillance of Infectious Diseases)
感染症発生動向調査事業 / 感染症サーベイランスシステム

HER-SYS の以前から存在していたシステム。今回、これでは間に合わないということで、HER-SYS が作られたようです。


EMIS (Emergency Medical Information System)
広域災害救急医療情報システム

災害時に医療情報を適切に収集、提供するためのシステム。新型コロナウイルスの情報も一部扱っています。


gBizID
GビズID、法人共通認証基盤 (a standard authentication service for businesses)

事業者が行政サービスにアクセスするための認証システム。この基盤を活用した補助金申請システム jGrants (Jグランツ) もあり、新型コロナウイルス関連の補助金にも使われています。新型コロナウイルス関連システムのほとんどは厚生労働省の管轄 (VRS は官邸の管轄) ですが、こちらは経済産業省の管轄です。


e-TUMO

NTT データ関西が自治体向けに提供するオンラインで行政手続きを行うためのシステム。このサービスに含まれる e-TUMO RESERVE (汎用予約サービス) を活用してワクチン接種の予約を受け付ける自治体もあるようです。


今回は以上です。今日の極めて困難な状況を解決するため、高度な次世代技術を柔軟かつ革新的な方法で活用し、広範にわたるデジタル変革を飛躍的に加速させて欲しいと思います。




  

2020年12月27日

応用情報技術者試験に合格しました

Trados には関係ありませんが、とても嬉しかったので報告させてください。応用情報技術者試験に合格しました。

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この試験に挑戦してみようと思ったきっかけは、昨年、某翻訳会社の方のブログを読んだことです。私は、この試験がまだ第一種、第二種と呼ばれていた頃に第二種を取得していたのですが、それからずっとほったらかしでした。ブログを読んでから、改めて勉強してみようと思い、今回の受験となりました。ただ、本当にかなりの時間が経っていたので、情報技術は進歩したし、自分は年をとったし、最近は紙に字を書いていないし、というわけで試験勉強はなかなか大変でした。

この試験は、午後が筆記試験になっていて紙の解答用紙に字を書く必要があります。私は、あまりに字が書けず、ひらがなの五十音を書くことから始めたくらいです。試験対策に使った本は、上記のブログに紹介されているものとまったく同じです。まねさせてもらいました。「キタミ式」は、ちょっと字が小さいですが、とてもわかりやすくて助かりました。

今回の試験、本当は、4 月に受験予定でした。新型コロナウイルスの影響で 4 月の試験が中止され、10 月の受験となりました。勉強が間に合っていなかった私にとって中止は好都合でしたが、新型コロナウイルスの影響は試験問題にもありました。午後の試験の最初に問題の訂正表が配られ、ひと目見てずいぶんたくさんの訂正だなと驚いていたら、全部コロナウイルス関連でした。ストラテジー系の問題は最近の社会情勢を反映することもあるので、「2020 年 xx 月」のように具体的な日付を指定している問題や、2020 年にオリンピックが開催されることを前提としている問題があり、それらの訂正でした。今回の試験問題全体としては、新型コロナウイルスの影響はないものと想定する感じでしたが、今後はもちろん変わってきますよね。次回からの試験もいろいろ大変そうです。


実は固有名詞だったもの


私は IT 分野の日英翻訳をすることが多いのですが、一般名詞かと思っていたら、実は、固有名詞だったということがたまにあります。日本語には大文字小文字がないので、括弧書きでもされていない限り、よくわかりません。今回は、試験対策の勉強中に見つけた「実は固有名詞だったもの」を簡単に紹介します。


情報処理推進機構 Information-technology Promotion Agency (IPA)

サイバーレスキュー隊 Cyber Rescue and Advice Team against targeted attack of Japan (J-CRAT)
サイバー情報共有イニシアティブ Initiative for Cyber Security Information sharing Partnership of Japan (J-CSIP)
情報セキュリティ対策支援サイト Information Security Diagnosis
共通フレーム Software Life Cycle Process Japan Common Frame (SLCP-JCF)


日本セキュリティ監査協会 Japan Information Security Audit Association (JASA)

情報セキュリティ監査制度 Authorized Information Security Audit System (The System of IS Audit)
情報セキュリティ管理基準 Information Security Management Standard
情報セキュリティ監査基準 Information Security Audit Standard


首相官邸 Prime Minister's Office of Japan

オープンデータ基本指針 Basic Principles on Open Data


情報マネジメントシステム認定センター ISMS Accreditation Center (ISMS-AC)

情報セキュリティマネジメントシステム Information Security Management System (ISMS)


一般企業で普通に使われていてもおかしくない名詞ばかりなので、上記に該当する固有名詞なのか、そうでないのかの判断が必要になりそうです。



カタカナ語が難しい


IT 分野のカタカナ語が難しいことは今に始まったことではありませんが、試験勉強をしていて、本当に難しいなと思いました。試験問題の表記スタイルは、長音はわりと省略、連語の区切りには中黒もスペースも入れない、という感じです。連語が長くなると、読みにくさを感じます。


 トラッシング    trashing
 スカベンジング   scavenging
 ファジング     fuzzing
 レイトレーシング  ray tracing    (どこで切れるのかわからない)
 スラッシング    thrashing
 ディザリング    dithering
 ライティング    lighting、writing  (どちらかは、状況による)
 クラッシング    crashing     (class ではない)
 プライスライニング price lining


自分がわかりにくいと思ってメモしていたものは、上記のように、〜 ing が付くものばかりでした。〜 ing を付けると、語の最後の音がわからなくなるので、本来の英語をイメージしづらくなります。

あまり定着していない語は、〜 ing を付けたりして名詞っぽくしないと使いにくいものなんでしょうか。たとえば、動詞の provision は「プロビジョニングする」と訳すことが多いですが、install は「インストール」です (installation もすっかり「インストール」です)。最近は、deploy も「デプロイする」でしょうか。以前は「デプロイメントする」と訳していたような気がします。


今回は以上です。応用情報技術者試験の上にはさらに高度な資格がありますが、私はとりあえずここまでの予定です。この後は、しばらく英語の勉強をしたいと思います。




  



2020年06月15日

Google のテクニカル ライティング コース

最近、Google のテクニカル ライティング コースが良かったといろいろなところで紹介されていたので読んでみました。Google のライティングについては、以前の記事 公開されているスタイルガイド (日英翻訳向け) でスタイルガイドを取り上げました。このスタイルガイドもコースの中で参考資料として紹介されています。

この Technical Writing Courses は 2 つのコースで構成されています。



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One がテクニカル ライティングそのものの細かい事項で、Two はドキュメント全体についてや、テキスト以外の要素 (図やサンプルコード) についてなど、ライティングの補足事項のような感じです。

今回の記事では、日英翻訳に役立ちそうなことで、私が知らなかったことを中心にごくごく一部だけを紹介したいと思います。このライティング コースには基本的なことも含めて多くのことが書かれています。全体の内容についてはコース自体の Summary (OneTwo) を参照してください。当然ながら、とてもよくまとまっています。

略語 Acronyms
 Technical Writing One > Words > Use acronyms properly

  • フルスペルを先に書き、「フルスペル (略語)」の形にする。
  • フルスペルと略語を混ぜて使わない。一度略語を使ったら、その後はずっと略語にする。

日本語では「略語 (フルスペル)」と略語が先になっていることが多いです。略語がどれくらい浸透しているかにもよりますが、たぶん、日本語を読む人は英語のフルスペルをあまり気にしないからかと思います。また、文章の中で略語が続いたからたまにフルスペルに戻そう、といった気遣いは不要なようです。

代名詞 Pronouns
 Technical Writing One > Words > Disambiguate pronouns

  • 本来の名詞よりも先に代名詞を使わない。
  • 本来の名詞との間の語数が 5 語を超える場合は代名詞を使わない。

代名詞の使い方については、Google のこのコースに限らずいろいろなところで説明されていると思います。代名詞を先に使わないというルールは、語順の入れ替えが発生する翻訳ならではの注意点かと思っていましたが、最初から英語を書く人も注意が必要なようです。また、5 語という基準は私は初めて知りました。

箇条書き Lists
 Technical Writing One > Lists and tables > Punctuate items appropriately

  • 文のときは、大文字で始め、ピリオドを付ける。
  • そうでないときは、小文字で始め、ピリオドは付けない。

箇条書きの各項目は、名詞句でも大文字で始めてしまっていたような ( ̄0 ̄) ピリオドは、翻訳の場合でも、原文に従うのではなく、このルールを適用することが多いと思います。

表 Tables
 Technical Writing One > Lists and tables > Create useful tables

  • 各列に、意味のある見出しを付ける。
  • 表の 1 マスには、2 文まで。それを超える場合は、構成を考え直す。

表が複数ある場合、それぞれ内容が違うのに列の見出しはどの表も同じということが多々あります。たとえば、日本語の原文では「項目」や「内容」といった見出しがすごく多い気がします。 で、その下に文字がびっしりと並んでいたりすると、もう読む気がなくなります。

段落 Paragraphs
 Technical Writing One > Paragraphs > Don't make paragraphs too long or too short

  • 1 段落は、長すぎても短すぎてもいけない。3 〜 5文程度。7 文を超えることは避ける。
  • 1 文のみの段落がたくさんあるのもよくない。

翻訳では、原文を切ったりつなげたりして、文の数が変わることがよくあります。日本語は 2 文だったのに、英訳したら 1 文になってしまった、なんてことは避けた方がいいんですかね。どうだろう。まあ、つなげることはあまりないので、細かく切りすぎて 7 文を超えないかを注意した方がよさそうです。

ソースコード内のコメント Comments
 Technical Writing Two > Creating sample code > Commented

  • 短い方がよいが、短さより、明確さを重視する。
  • わかりきっていることを書かない。

コメントが短すぎて暗号のようだったり、ソースコードとまったく同じだったり、そんなことがよくあります。また、英訳すると同じになってしまうケースもちょっと困ります。たとえば、Create という命令に「作成」というコメントが付いている場合、英語のコメントを付けても意味がないですが、訳者の判断でコメントを消すわけにもいかず、悩ましいです。

おすすめ作図ツール Illustration tools
 Technical Writing Two > Illustrating > Illustration tools


翻訳者として使うことはあまりありませんが、いつも Word と Excel ばかりなので、いろいろ試してみるのもよさそうです。

気になった英語表現

このライティング コースは主にソフトウェア開発者向けなので IT 分野の翻訳で頻出する表現がたくさんありました。例文もプログラミング関連のものが多いです。そんな中で私が気になった表現を 2 つだけ紹介します。


  • the curse of knowledge

「知識の呪い」と訳されることが多いです。自分がよくわかっている内容は、わからない人の気持ちがわからず、返ってうまく説明できない、というときに使われる言葉です。私は、最初、curse を course と見間違えてしまいました。curse なんて IT 分野ではめったに登場してこないです (;。;)


  • code (他動詞)
     If there is more than one way to code the task, code it in the manner ...

code はたいていは名詞で、動詞でも自動詞として使われることが多いと思います。他動詞では、implement と同じく「〜を実装する」という意味のようです。


今回は以上です。翻訳では原文があるので全部を適用するのはなかなか難しいですが、英語ネイティブでない英訳者は、こうしたちょっと名の通ったガイドラインを知っておくと何かのときの備えとしていいかもしれないです。ここにこう書いてありますよって、自分の主張の根拠に使えそうです。



2019年07月30日

なぜか Microsoft IME になってしまう

私は、普段は ATOK を使っているのですが、先日、Windows Update をした後からなぜか Micorosoft IME が表示されてくるようになりかなり困っていました。そして、さっき、いろいろ試した末にやっと解決できました!


まずは、JustSystems さんの FAQ に従って、

「キーボードレイアウトの切り替え」のキーの割り当てがない

ことを確認しました。といっても、そもそも割り当てていなかったので、まあ、これでは解決しませんでした。


次に「Microsoft IME を削除する」という記事 (@IT) を見つけたので、

「キーボード」から Microsoft IME を削除

してみようと思いました。が、見てみると「キーボード」に登録されているのは ATOK だけで、Microsoft IME は登録されていませんでした。そういえば、この登録は、ATOK を最初にインストールしたときに削除した記憶があります。


というわけで、登録されていないのに Microsoft IME が表示されてくるという状態でした。仕方ないので、

いったん Microsoft IME を追加して、その後、改めて削除

してみました。そうしたら、これが大成功でした!! 削除した後は、Microsoft IME が表示されてくることがなくなりました。

この数日、何をあれこれ悩んでいたのか、、という感じではありましたが、とにかく解決できて良かったです。