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2018年01月31日

新聞の本質とは

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 本日は、新聞の本質とは何かについて考えます。

 まずは昨日ツイートした毎日新聞夕刊のコラム「牧太郎の大きな声では言えないが… 『世襲』は貧乏人の敵?」を取り上げます。https://mainichi.jp/articles/20180130/dde/012/070/006000c

 ダメな文章の見本として要旨を紹介します。皆さんがこのような文章を試験で書くと評価が低くなる恐れがあるので、気を付けてください。
 牧氏は「『幸せ』って何だろう?」と冒頭で問い掛け、「『答え』は幾つもある」とつづります。経済協力開発機構(OECD)による47カ国・地域の15歳を対象にした調査で、ドミニカ共和国が最も多く「生活に十分、満足している」と答えたそうです。日本は「ワースト5位」だそうです。
 そして、「韓国、台湾など東アジアが下位に並んだのは、厳しい『受験戦争』の影響?彼らには受験勉強は『反幸福』なのだ。」と断定します。

 さらに、「『不幸せ』って、何だろう?」という問い、再び「『答え』は幾つもある」と答えた上で、「が、多くの人が『貧困=不幸せ』と考えているのも事実」とつなぎ、「貧しいことが『不幸せ』なのだ」と断定します。ここで「なのだ」が使われていることに要注意です。1月26日の「読みやすい文章を書くこつ」を参照してください
 牧氏は、安倍晋三内閣の貧困対策と防衛政策を批判した上で、「どうして、こんな『(義理人情の欠けた)あこぎな政治』がまかり通るのか? 『答え』は簡単である。閣僚の大半が2世、3世の世襲議員に占められているからである」と決め付けます。「(世襲議員は)『幸せと不幸せの格差』を知らない」と断定し、最後は「『貧乏人をなくす政治』を取り戻すためには、世襲組に『国政選挙への立候補』を遠慮してもらいたい気分だ」と締めくくります。

 いかがでしょうか。
 一つ一つを論証すると時間と文字数があまりにも膨大になります。だから、端的に言います。「『世襲』は貧乏人の敵」という前提は、論理性が全くありません。「世襲議員が多いこと」と「貧困」は本来、無関係です。
 関係があるなら、事実に基づいてその因果関係を示さないといけません。つまり、「世襲議員が一人増えるごとに、◎◎◎という問題が発生し、日本の貧困率が何%上がった」というデータが必要です。
 昨日ツイートしたように、世襲議員が少なかった旧民主党政権でどれだけ「義理人情にあふれた政治」が行われていたのでしょうか。
 私は、菅直人内閣だったから、東日本大震災の被災者に心温まる支援が行われたとは思えません。
 それに、「『世襲』が貧乏人の敵」であるなら、天皇陛下、皇太子殿下をはじめとする皇族の方々は「貧乏人の敵」なのでしょうか?酔っ払いのたわ言のようなことを新聞に書くな!ということです。

 牧氏が言うように「幸せ」「不幸せ」とは何を意味するのかを問えば、答えはいくつもあります
 だから、経済政策、金融政策、過去から現在に至る日本の財政状況、教育制度、国際情勢、精神的な満足、国情の違いなどのさまざまな要素を勘案しないといけません。
 牧氏は「『答え』は幾つもある」と言いながら、自分の都合の良いように一つの方向に向かって文をつないでいるだけです。
 牧氏が「?」を乱発しているのは、自分の論理に問題があることを自覚しているからかもしれません。
 新聞の見出しで「?」が付いている記事は、取材不足・確認不足を示していることが多いのです。
 最後も「遠慮してもらいたい気分だ」と少し腰が引けているのも、その表れのように思えます。

 いずれにせよ、有名な週刊誌編集長だった大物記者が書いたとは思えない情けない文章です。昔は事実を追って、現職首相を退任に追い込む報道をした方だったのに、こんなひどいものを書くようになったとは残念でなりません。

 もう一つ紹介したいのは、本日の朝日新聞オピニオン面の文化人類学者・伊藤亜人さんのインタビュー記事。こちらは非常に大事なことが書かれています。本文も興味深いのでぜひお読みください。新聞の将来にまだ可能性が残っていることを感じさせる記事です。
 伊藤さんは朝鮮半島でフィールドワークしてきた学者です。朝鮮半島取材が長い桜井泉記者に対して、伊藤さんは文化人類学の視点から北朝鮮の人々の生活や考え方を説明します。
 そして、次のように指摘します。

 マスメディアは人々の関心を集めて視聴率を上げ、売り上げを優先するのでしょう。断片的な情報をおもしろおかしく伝え、あの国の異常性を強調します。それによって実態とかけ離れたイメージが先行しています。

 伊藤さんは北朝鮮報道について分析していますが、日本の報道全般について通じることを言っています。
 最初の牧氏の世襲批判と重ね合わせて考えてみてください。
 牧氏は「政治家の世襲」という大衆が関心を持つ話題を政権批判に絡めて、自分に都合の良い情報だけを組み合わせて記事を書いていました。伊藤さんの言葉をまねすれば、「断片的な情報をおもしろおかしく伝え、安倍政権の異常性を強調した」ということになります。
 安倍政権の政策を批判しようとするなら、他に方法があるはずです。もっと合理的な説明があれば、私も牧氏を尊敬しても、批判などしません。できることなら批判精神にあふれた文章を読みたいと思っています。
 しかし、私には牧氏は、事実に頼らず読者の感情に訴える手法を選択したとしか思えません。

 伊藤さんの言葉をかみしめた上で、本日の産経新聞一面に目を向けると、まさに新聞の悪い癖が現れています

 産経一面左肩には「額賀会長『包囲網』じわり 参院平成研『分派』辞せず 衆院側は回答先送りへ」という記事が掲載されています。一面右下には「貴乃花親方、理事選出馬へ」があります。
 「額賀会長」とは、閣僚経験が豊富なベテラン衆院議員の額賀福志郎氏のことです。「平成研」とは竹下派、小渕派などの流れをくむ自民党内の派閥「平成研究会」のことです。額賀氏は竹下登元首相らにかわいがられ、かつては「平成研のプリンス」と呼ばれました。しかし、押しが弱く、もはや首相になることは不可能でしょう。今や派内の人望を失い、内紛が広がっているわけです。

 額賀氏が産経新聞の記者出身だったせいか、この問題は産経が特に大きな扱いにしています。与党自民党内の混乱なので国民生活に全く影響がないとは言いませんが、結局のところ、単なる内輪もめです。
 多くの国民にとって、この騒動の登場人物は無名に近いのですが、額賀会長に辞任を迫る吉田博美参院幹事長の言葉遣いや態度が芝居がかっていて、テレビドラマや映画が現実になっているような気分にさせられます。

 貴乃花親方の件はどうでしょうか。
 国民の間での知名度は抜群で、額賀氏よりはるかに注目を集めています。
 一面に掲載するかどうかはともかく、他の新聞もそれなりに報道しているのは、「国技」の相撲に関する話題で知名度の高い個性的な元横綱が現体制に刃向かうという構図なので、否が応でも多くの人の興味を引きます
 しかし、こちらも相撲協会という一団体の内輪もめです。

 これらの事柄がなぜ大きく報道されるのかという理由を考えると、伊藤さんの「マスメディアは人々の関心を集めて視聴率を上げ、売り上げを優先する」という言葉に集約されます。
 その通りなのです。
 「対立」は人々の関心を集めます。だから、本質的にはそれほど重要ではなくても、対立がことさら際立つような書き方をします。新聞だけでなくテレビも報道合戦に加わり、対立がさらに加速して先鋭化していきます。
 日本だけに限らず、世界中の「対立」というのは、メディアがあおっている面が否めません。対立が深刻になればなるほど、新聞は売れます。実際に日本が戦争をしていた頃、戦争報道を速報することが売上に直結する新聞のビジネスモデルだったのです。

 私は、このブログを始めるにあたり、「疑うこと」が必要だと書きました
 「新聞に出ているからニュースだ」「テレビで話題になっているから、本当なのだろう」という考え方はやめてください。
 もちろん、私が書いていることも疑ってください
 昨日の毎日新聞夕刊、本日の産経新聞の記事を見ていると、改めて皆さんにそういう気持ちをお伝えしたくなりました。

 さて、本日で今年の最初の月が終わります。
 今年を迎えるにあたり、1月は毎日ブログを更新しようと決めていました。
 なんとか、目標を達成できました。
 多くの方々に読んでもらえるようになってきました。

 ありがとうございます。

 これからもできる限り、朝刊紙面を見た上でブログ更新を続けたいと思っています。
 今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。

 ご質問、ご感想は下のコメント欄にお書きください。


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2018年01月30日

田中角栄に学ぶ社会人の勉強法

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 本日は、社会人がどのように勉強するのかについて、田中角栄元首相に学びたいと思います。

 田中元首相とは、ロッキード事件で逮捕、起訴された人物です。「金権政治」「田中金脈問題」といったキーワードで語られると、悪徳政治家の代表のようになります。しかし、現役当時もその後も熱烈な田中ファンが存在し、再来を期待する声がブームのようにして沸き起こることがあります。
 最近も田中元首相に関する本がいくつも出版されたことがありました。

 毀誉褒貶が激しいのですが、大きな業績を残したことは間違いありません。
 高等小学校卒(昔の学校制度の学校で、今の中学1、2年に当たります)ながら、有力な政治家を束ね権力闘争に打ち勝ち、数多くの東大卒の官僚を掌握した人物です。
 そして、議員立法33本という記録を打ち立てました。日本の国会議員は基本的に政府が提案した法律案を審議することが仕事になっているので、自分で法律案を作成することはまれです。熱心な野党政治家なら法律案は作りますが、実際に運用できるものとなるとめったにありません。田中元首相は今の税制の根幹をなすような仕組みを考えたりしました。

 本日は、激務の大物政治家がどのようにして勉強していたのかを昨日の日本経済新聞電子版から紹介します。
 日経電子版の「毎晩3宴席 起床は朝2時(田中角栄のふろしき) 小長秘書官の証言(8)」は次のように書き出しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26152300V20C18A1X12000/

 午後6時、7時、8時――。1971年7月、田中角栄通産相の秘書官となった小長啓一の大事な仕事の1つは、毎日3軒の料亭を押さえることだった。

 「通産相」とはかつての通商産業省の大臣のことで、現在で言えば経済産業省の大臣(経産相)に当たります。小長啓一氏は、通産相秘書官の後に、田中氏の首相秘書官となり、通産省事務次官などを歴任しました。
 「秘書官」とは大臣や副大臣など中央省庁の幹部に就いた政治家を支えるために官僚が起用されます。あくまで省庁内の役職です。政治家が雇用する「秘書」とは異なり、「事務秘書官」と呼んで区別されます。これに対して、「政務秘書官」は、主にベテラン秘書が充てられる省庁内のポスト。仕事の内容は、基本的に「秘書」と変わりませんが、自らの親分たる政治家がトップにいる間、その省長の職員待遇となります。政治家が役所を去れば、元の「秘書」に戻ります。
 今では、事務と政務の秘書官の区別がはっきりしています。キャリア官僚である事務秘書官が夜の会食場所の予約をすることはほとんどないでしょう。

 そして、料亭とは、高級な日本料理店です。今回の記事では「懐石料理は1人前で5万円も6万円も取る」と出ていますが、田中元首相が通っていたようなところであれば安くても現在の感覚で言えば一人当たり数十万円でしょう。
 会食ですから1軒で100万円程度。その資金は、元をたどると企業などから出ていたわけです。
 1990年代に入るまでは、政治家同士、政治家と企業幹部や官僚が夜な夜な料亭に集まり、密談が行われていました。この状況は「料亭政治」と呼ばれ、政治とカネをめぐる問題の象徴のようになっていた時期もありました。

 この記事の冒頭部分だけを読めば、「やはり、田中は金権政治家だ。しかも、役人にまで料亭の予約を毎日3軒もさせていたとはけしからん」ということになります。
 しかし、当時は今のように政務と事務の区別が厳格だったわけではないので、小長氏が料亭の予約をしていたのは、それほど問題ではないでしょう。
 そして、この日経電子版の記事の中でも書かれている通り、田中元首相は料亭が好きで行っていたわけではなく、人心掌握のための手段として使っていたのです。

 さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
 田中元首相は料亭での会合を午後9時に終えて自宅に帰り、本来の自分の夕食を食べると午後10時過ぎに寝ていたそうです。
 ただし、田中元首相が常人と異なるのは次のくだりです。
 確かに午後10時過ぎには寝るが午前2時にさっと起きる。そして今度は勉強を始めるのだ。役所が用意した資料を徹底的に読み込み、事実関係を把握し、データを頭に入れていくのだった。
 小長氏は田中元首相について「天才たらしめる、ものすごい努力が陰にはあった」と証言しています。
 小長氏をはじめとする官僚が必死になって支えたとしても、本人が応えなくてはどうしようもありません。
 田中元首相は午前2時から起き、猛勉強を繰り返し、多くの人を魅了する政策、演説、著作を構想したわけです。

 さて、私が若い皆さんにこのエピソードを紹介したのは、「午後10時に寝て、午前2時に起き勉強しなさい」ということではありません。
 人によって体力、生活のリズムは異なります。
 単純にえらい人のまねをしても失敗します。

 まず考えるべきことは、自分の目標をしっかりと整理しましょう。その目標を実現するために、どのような手段が必要かしっかりと考えてください。自分で筋道を立てて、自分の頭で考えることが一番重要です。

 田中元首相の場合は郷里を豊かにすることが第一の目標でした。そして、日本を活性化させたかったのでしょう。さらに、自分自身が歴史に名を残す人物になりたいという思いもあったに違いありません。
 その目標を実現するために必要なことは、深夜から朝までの猛勉強、昼間と夜は権力基盤の拡大のための資金集めと料亭での会合だったわけです。

 皆さんの目標を達成するためには、当然勉強が必要だと思います。
 睡眠時間を削ったりすることができない人は日中の時間のやりくりをうまくやりましょう。
 勉強できる時間がどこかにあるはずです。電車の中、待ち時間など隙間の時間を無駄にしないようにしましょう。
 ただし、就職活動というのは受験勉強とは異なります。社会人になる第一歩です。昼間は人と会い、話をしましょう。私が前にもお伝えしたように、知らない人に声をかけましょう。そうやって知り合った人たちが、皆さんの社会人としてパワーの源になります。本や新聞、ネットの記事を読んでいるだけでは社会人としての力は身に付きません
 そう、私の文章を読んでいるだけではなく、行動に移してください。そして、必ずまた勉強に戻ってください。
 これが社会人の生活です
 「面接が難しい」という方は、1月6日に掲載した「面接で緊張しないために」を読んでください。

 「面倒だな」と思った人は、目標をもう一度見つめ直した方が良いと思います。
 あなたが「自分の目標だ」と思っていることは、自分が本来望むものではないから、「面倒だな」という気持ちが出てくるのです。
 自分が本当に望む目標であれば自然と情熱が湧き上がってきて、どのように努力すれば良いのか考えるだけで楽しくなってきます

 私は田中元首相に取材する機会はありませんでしたが、元側近の人たちとは親しくなりました。そういった人たちが田中元首相を絶賛するのは当然ですが、ライバルだった福田赳夫元首相の周辺にいた人たちも、田中元首相のバイタリティや能力は認めていました。

 過日亡くなった野中広務元官房長官もそうですが、意欲的に仕事に取り組んだ方々は皆、人が見ていないところですさまじい努力をしていました。私が記者をして良かったなと思っているのは、他の仕事をしていれば目にすることができなかった偉大な人の陰の努力を垣間見ることができたことでした。
 その気持ちが、今こうやって皆さんに向けて文章を書く原動力になっています。

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2018年01月29日

河野外相「首脳往来重視で一致」はニュースか

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 本日は、河野太郎外相が訪中した記事について。

 昨日は所用で早朝から深夜まで外出しておりました。
 出先でニュースをチェックしていると、どうも河野外相の訪中に関する伝え方に違和感がありました。
 念のため今日の紙面を見ても違和感のある見出しが並んでいます。

 前に「政治部記者が書く外国関連記事にはご注意を」の記事で書いた通りのことが繰り返されたようです。
 https://fanblogs.jp/sagamimuneo/archive/43/0

 例えば本日の朝日新聞。https://digital.asahi.com/articles/DA3S13335202.html

 見出しは、「日中、首脳往来重視で一致 尖閣潜水艦は平行線」となっています。
 今回、河野外相は李克強首相、楊潔篪国務委員、王毅外相と会談しました。この3人の階級については、「政治部記者が書く外国関連記事にはご注意を」の記事をお読みください。
 格上の李首相との会談が実現したのは、中国が今、日本との関係を重視していることの表れだと思います。

 しかし、「首脳往来重視で一致」は一面トップになるようなニュースではないのです。
 その証拠は、昨年11月12日の紙面に出ています。https://digital.asahi.com/articles/ASKCC7504KCCUTFK00J.html
 昨年11月11日に安倍晋三首相が習近平国家主席と会い、日中韓首脳会談の早期開催ですでに合意しています。
 今回の日中韓首脳会談は日本が議長国なので東京で開催することになります。そして、中国の出席者は李首相です。つまり、「日中韓首脳会談の早期開催」とは、「李首相が早期に日本を訪問すること」と全く同じ意味です。
 安倍首相は習主席と会った2日後に李首相とも会い、日中韓首脳会談の早期開催を確認しています

 今回の河野外相の訪中について各氏を見たところ、互いの企業駐在員の年金保険料の二重払いを解消するための協定締結の実質合意以外は、外交的な成果といえるものはありません。

 安倍政権が対中外交で目指す最大の懸案事項である「首脳の相互往来の実現」に関していえば、「昨年11月の段階よりも前進した」と言うためには、時期の明示が必要です。具体的な日程でなくとも、例えば「春頃までに」「今年前半」「年内」などの形で目標の設定がなければいけません。

 しかし、少なくとも日本の新聞記事の内容を見る限り、この点については大した変化はありません。

 外務省のサイトを見ても、「両外相は、日中韓サミットの際の李克強総理の訪日、安倍総理の訪中、習近平国家主席の訪日という日中首脳往来を着実に進めていくことの重要性を改めて確認した。河野大臣から、李総理の訪日を歓迎したい旨改めて述べたのに対し、中国側からも早期実現を目指したいとの反応があり、引き続き具体的に調整していくこととなった」とあるだけです。

 「改めて」が二つもありますね。「前から言っていることを今回も繰り返した」ということを外務省は認めているわけです。だから、「引き続き具体的に調整」しないといけないのです。

 ところが、他の新聞、テレビの記事をネットで見ると次のような見出しが並びます。
 日中、首脳相互訪問へ調整           東京新聞
 日中首脳往来を推進              日本経済新聞
 日中外相、首脳往来推進で一致         共同通信
 首脳往来、推進で一致             毎日新聞
 日中首脳往来「着実に推進」、李首相来日調整へ 読売新聞
 李首相、来日前向き              時事通信


 ここに挙げていない1社を除き、最初に取り上げた朝日も含め、李首相の早期訪日を目指すことを確認したことを見出しにしています。その1社については最後に書きます。

 さて、各社の見出しを見ると、強いて昨年11月と異なると言えるのは、「李首相の訪日」だけでなく、互いに行き交うという意味で「首脳往来」になっていることだということでしょうか。
 しかし、今回の会談の内容を新聞記事で見ても、安倍首相の訪中が具体的に話し合われたということは書かれていません。外務省の発表を見てもそうですね。
 李首相の訪日日程が来回らないわけですから、当然ですね。
 まして、習主席についてはさらにハードルが高そうです。

 それなのに、どうして「首脳往来推進」が一面トップになるのでしょうか。

 一つは、政治部記者が外務省の説明に丸め込まれやすいからです。
 外務省だけでなく、どの組織も大きなイベントをするからには華々しくマスコミに取り上げてもらいたいものです。
 成果をできるだけ大きくしようとします。その時に、担当者は「中国側もわれわれと同じ理解をしていると考えている」などと説明します。
 そして、中国側に日本の記者が確認できれば良いのですが、どの国も外国の記者に対して丁寧な説明はしません。
 まして中国です。日本の記者は事実上、日本政府の説明に頼るしかありません
 そして、外務省の担当記者はたいていは長くても1年程度で交代します。数年連続で担当を続けるというのはまれです。
 外務省の幹部に「今回の大臣訪中は素晴らしかった。中国と首脳往来で話し合い、中国もちゃんと合意してくれた」という説明で納得したのかもしれません。
 ただ、いくら何でもここまで単純な話ではないとは思います。

 そこで、もう一つ考えられるのは、一つ目と同じ話ではあるのですが、「丸め込まれた」のは、今回ではなく、昨年11月の段階だった可能性です。
 つまり、昨年11月の段階の「日中韓首脳会談の早期開催を目指す合意」が「合意」と呼べるほどの認識の共有がなく、今回初めてしっかりと中国側と確認できたということかもしれません。
 そうであれば、11月段階で記者が政府の宣伝に負けてしまっていたということになります。

 そして、結局、一番大きいのはマスコミ各社の事情が大きく作用したのかなということかと思います。
 今回、河野外相は北京に出張しました。記者も北京に同行しました。どんなに資金が潤沢にある新聞社でも、同行できるのは1人でしょう。
 現地の特派員も協力するでしょうが、東京での取材に比べると取材や記事執筆に当たる陣容は数の面で劣ります
 物理的、時間的な制約がある中で過去の検証をしている時間は限られます。
 しかも、ニュースの少ない日曜日に組まれた外交日程です。平日に週末の紙面構成に関する会議を開く段階で、どの新聞も河野外相の訪中はほぼ自動的に一面トップ候補になったのではないでしょうか。
 しかし、海外出張を伴うのでお金はかかります。

 そうなると、大して変化がなく、過去の合意を追認しただけでも、発表内容のまま次々と記事にせざるをえなくなるわけです。

 ところで、産経新聞は良い意味で、産経らしさを発揮しました。
 産経は、「尖閣潜水艦 中国に抗議」を見出しに取っています。
 これなら、昨年11月の時点とは異なる「変化」を捉えて記事にしたと言えるでしょう。
 私はこのブログで産経のことを批判することが多いのですが、本日についてはニュースを取り扱う基本、すなわち「新しいことを書く」という原則に則っていると思います。
 その点で良かったと思います。

 残念ながら、中国は自らの主張を繰り返しただけです。だから、河野外相の言いっぱなしだったわけですが。

 結局のところ、今回の河野外相の訪中は、少し前の互いにけんか腰のような日中関係に比べると、ムードが良くなっていることを確認したということなのでしょう。
 そうなると、河野外相を超える「真の実力者」が中国側と調整する必要があるのでしょう。
 そして、中国側は最初から河野外相と具体的な話し合いをするつもりはなく、その人物の登場を待っているということかもしれません。
 また、そのことについては、改めて書きましょう。


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共同通信は記事を改ざんしたのか

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 28日中に記事を載せるつもりでしたが、日付が変わってしまいました。申し訳ありません。

 本日は、ネット上で話題となった共同通信のネット差し替え記事問題の背景をご説明します。

 朝日新聞は次のように書いています。 https://digital.asahi.com/articles/ASL1V6J3ZL1VUTIL06P.html

 京都大iPS細胞研究所(CiRA〈サイラ〉、山中伸弥所長)の論文不正問題について、共同通信が、山中氏が論文を掲載した科学誌の創刊に関わったことを問題視するようにも読める内容の記事を配信後、同じアドレスでほぼ別の内容の記事に差し替えた。ただ、読者に経緯の説明がなかったことから、批判も出ている。

 朝日新聞によると、共同通信は「新たな要素を加えて記事を差し替えました。編集上、必要と判断しました。その他についてはお答えは控えさせていただきます」と回答したそうです。

 さて、この「差し替え」とはどういうことでしょうか。
 まず皆さんになじみの薄い通信社ではなく、新聞社の例から説明します。
 新聞社には締め切りがあります。朝刊の端をよく見ると「14版」「13版」「12版」などと書いています。これは締め切りの時間帯を表していて、14版は最も遅く、午前1時半から2時ごろ。版の数字が若いと、それだけ締め切り時間が早いということです。

 同じ日の同じ新聞でも面(ページ)が違うと、この「版」が異なるものがあります。文化面など早い時間帯に締め切りがくる面は若い版になっています。

 また、総合面や社会面といった夜中まで最新ニュースが飛び込んでくる面は東京や大阪であれば、「14版」になります。そして、東京や大阪といった本社に近い地域では14版が配られ、本社から離れるにつれて、13版、12版の新聞が配達されることになります。
 12版から13版、14版と変わるにつれて、見出しの大きさや記事の中身が変化することがあります。
 もちろん14版がその日の朝刊の最終形ということになります。

 別の言い方をすると、東京で配達される新聞には最新のニュースが載り、郊外では古い段階の記事が掲載されているということです。
 新聞は紙に印刷したものを配達するものなので、これは宿命とも言えます。

 昔は、かなりぎりぎりまで編集作業をして、締め切り直前に入ってきたニュースを盛り込んで印刷していました。
 しかし、最近は、大ニュースを別にすると、ぎりぎりの時間帯に突っ込む(紙面をこじ開けるようにして新しい記事を掲載する)ことは減りつつあるようです。
 締め切り直前で作業をすると、それだけ人員が必要で費用もかさむので、できるだけ手間をかけないようになっているのです。

 このため、国際ニュースなどは、日をまたいで掲載されることも珍しくなくなりました
 外国語が得意な人は感じると思いますが、海外メディアが1日早く、いや下手をするともっと前に報じていたことが日本の新聞に載ることがあります。
 これは必ずしも記者のレベルが低くなったというわけではなく、上に書いたような事情も影響しています。
 私が前に英語の勉強をするべきだと書いたのは、こういうことも関係しています。
 日本語の新聞(日本のニュースサイトも含む)だけを読んでいると、世界的に見ると遅れることになるわけです。

 さて、今回問題になっている通信社の場合はどうでしょうか。
 共同通信も競合社の時事通信も強みは速報性です。このため、通信社は時間帯にとらわれず、頻繁に差し替えという作業を行います。
 いわば、新聞でいう「版」が無数にあるようなものです。

 今回、共同通信が「新たな要素を加えて記事を差し替えました」と説明しているのは、ネット上での批判を受けて、「版」を変えて軌道修正したということなのでしょう。
 かつての同業者としては同情するところもありますが、やはり記事を撤回したり、何らかの形で読者向けに説明する必要はあったのかなと思います。

 私は今回の共同通信の記者がどのような人物か全く知りませんが、山中教授という有名人も関係する不祥事を受けて、「何か書かないといけない」という焦りがあったのではないかと想像します。
 ネット上では「勉強不足」と批判が噴出していますが、記者やデスクの功名心が先に立ち、関係者が熟考せず確認不足のまま記事を出したのでしょう。
 ネットが発達するにつれて、こういった例はますます増えると思います。

 経営的に苦しくなる中、読者の目が肥え、マスコミ業界は難しい時代を迎えていると改めて思いました。
 これも時代の流れですね。

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2018年01月28日

連絡

本日は所用により、更新は夜になります。
なにとぞご理解ください。

2018年01月27日

なぜソウル支局長が野中氏の評伝を書くのか

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 本日は、新聞各紙の一面に出ている野中広務元官房長官の訃報(ふほう)についてです。

 野中氏は私も取材したことのある政治家です。テレビで見る姿は鬼のように迫力がありますが、実際にお会いすると小柄で、誰に対しても気配りをする方でした。残念でなりません。謹んでお悔やみ申し上げます。

 野中氏が引退し、すでに15年の歳月が過ぎました。
 就活生の若い方には全く知らないという人も多いことでしょう。
 ぜひ今日の新聞に出ている野中氏の歩みを読んでください。57歳で中央政界に入っても、自分の能力で首相になる寸前まで上り詰めた人です。

 さて、このブログの目的は野中氏の業績をたたえることではありません。
 取り上げたいのは、日本経済新聞総合3面「野中氏死去 『反戦の闘士』貫く」という記事です。
 本文の上に「評伝」と小さく書かれ、末尾の執筆者名に「ソウル支局長 峯岸博」とあります。朝鮮半島情勢が緊張し、冬季五輪を控える中、ソウル支局長が、日本の政治家に関する記事を書いたのはどういうことでしょうか。

 「訃報(ふほう)」は、有名な方が死去した事実と経歴や業績について客観的に書きます。一方、「評伝」は特に著名で業績が大きな方について、その人物と交流のあった記者が個人的な思い出も含めて、情感を込めて書くものです。誰でも書ける記事ではありません。
 また、個人的な思い入れを出しても許されるので、昨日、禁句として扱った「なのだ。」「である。」も頻発する傾向があります。

 野中氏ほどの大物になると各紙に評伝が掲載されます。日経の峯岸さんは政治部出身でかつて野中氏の担当をしたことがあり、政界引退後も連絡を取り合っていたのでしょう。
 だから、多忙を極めるソウルから野中氏の評伝を書く役回りを得たということだと思います。

 それにしても、各紙を見ても野中氏に対するキーワードは共通しています。「狙撃手」「闘士」という物騒なものがあるかと思えば、「反戦」「弱者」「野党」といった「権力」とはほど遠い表現が並びます。
 懐の深い政治家でした。
 ただ、今の選挙制度では、こういう政治家が登場することはないと思います。
 小選挙区制度に関する批判は改めてしようと思っています。

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2018年01月26日

読みやすい文章を書くこつ

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 本日は、読みやすい文章を書くこつについてです。

 新聞記者と他の書き手とでは明らかに文体が異なります。
 新聞記者も実際はそれぞれに個性があります。しかし、新聞の記事を読んでいると、どれも似たような文体だと思いませんか。
 新聞社に入ると、個性のない文章を書くように訓練を受けるからです。
 とはいえ、読みやすいのも間違いありません。
 例外的に、朝日新聞の高橋純子さんのように個人名を前面に押し出したコラムの場合は、かなり独自色が出てきます。高橋さんについては、前に取り上げたことがありますが、やはり例外中の例外です。

 何を言いたいかというと、新聞社に入りたいのであれば、まずは「読みやすい文章」を目指してくださいということです。
 もちろん学生であっても、芥川賞を受賞する人がいますから、天才的な文才を持っている人はいます。そういう人は独自色を保ってください。
 しかし、大学の先生や職員の方に作文を読んでもらって、「分かりにくい」「ここを直した方が良い」と一度でも言われたことがある人は素直に「読みやすい文章」を心がけてください。

 さて、では具体的にどうすれば良いでしょうか。
 昨日の記事でお伝えした「が」をなくして、短い文章にすることが、まず第一。
 それから、文末に気を付けてください
 新聞以外の媒体の文章を見ると、文末が「である。」「なのだ。」となっていることがよくあります。
 しかし、ニュースを扱う一般紙の記事で、「である。」「なのだ。」が使われることはないと言って良いと思います。

 おそらく、小説、作家のエッセイ、雑誌やスポーツ新聞などでは「である。」「なのだ。」をよく見るし、違和感もないと思う人がいるでしょう。
 一般の人に作文指導を頼まれたときも、「である。」「なのだ。」をよく見かけます。
 でも、私はそのたびに「残念だな」と思います。

 「である。」「なのだ。」を使うべきでない理由の一つは、簡潔な表現ではないからです。単純に「だ。」と置きかえることができるのに、余計に2文字追加するのは無駄です。これを5つの文で繰り返せば、計10文字。新聞の一行は11字です。「である。」を使えば使うほど、情報量が減るということです。

 さらに、「である。」「なのだ。」は経験のある人が強調する時に使うべきなのであって、個人的な話題で使うとえらそうな印象を与えます。
 例えば、
 毎朝、散歩することが私の習慣である。
 朝の散歩が私の習慣だ。


 上の文を大学生が書くと、えらそうだと思いませんか。
 しかも、同じことを書いているのに、下より7文字も多いですね。下は、「である。」を「だ。」に変えた上で、「習慣」に「毎日のようにやること」という意味が含まれているので「毎」を取りました。さらに、「散歩すること」は「散歩」にしても意味は同じですから「すること」を削除しました。
 新聞記事は、このような感じで文字数をできるだけ減らすように文章を直してできています。

 もう一つの例を見ましょう。次はどうでしょうか。今度は逆のことを説明するために、あえて極端な例を持ち出します。

 わしはバカボンのパパなのだ。
 私はバカボンのパパだ。


 若い人には通じにくいかもしれませんが、赤塚不二夫さんの漫画「天才バカボン」に出てくるパパの言い回しです。
 バカボンのパパのセリフであれば、ほとんどの場合、「なのだ。」を使わないといけません。常に「えらそうな態度」を取ることがバカボンパパのイメージとなっているからです。
 バカボンパパのセリフは、簡潔さを目指すのではなく、「パパらしさ」の方が優先です。


 もう一例、本日の新聞から。
 朝日新聞の文化面に出ている「純文学 受賞作が決める賞の価値」にある一文です。

 これは発案者である菊池寛の先見の明などという話ではなく、芥川賞はその歴史の中で、単なる新人賞では済まない役割を担ってしまったということなのだ。

 本日の新聞に出ている文ですが、先ほど私が書いたことと矛盾しているわけではありません。これはニュースの記事ではなく、小説家の磯崎憲一郎さんによる評論です。磯崎さんという権威のある方が、知見に基づき判断したことを強調して語っているから、「なのだ。」で終わっているのです。

 一般の記事であれば、次のように変えることができます。

 発案者、菊池寛の先見の明ではない。芥川賞は長い歴史の中で単なる新人賞では済まない役割を担ってしまった。

 磯崎さんの71文字の文を51文字に短縮できました。新聞記事で約2行も短くなったわけです。ただし、磯崎さんの文章と異なり、メリハリがなくなり、格調も消えてしまいます。

 私がこのブログで毎朝書いている文章も、新聞記事のスタイルを取っていません。
 理由は、皆さんに語り掛けるような文体にした方がなじみやすいだろうということがあります。
 さらに、新聞記事の文体は書くのに意外と時間が掛かります
 書きたい内容を書くだけなら短時間で済みます。
 しかし、冗長な表現をなくして、表記の統一まで厳しくチェックしていると、大変です。
 まとまった分量の新聞記事を書くのは困難な作業を伴います。
 だから、新聞社や出版社には、文章表現や事実関係を厳しくチェックする校閲部というものが存在します

 私には校閲の経験がほとんどありません。さらに、ずぼらな性格だということもあって、ブログをアップロードした直後に「あれ、否定文にしたつもりが肯定になっている」とか「読み仮名が抜けている」という間違いが多発しています。そのたびに直すのですが、なかなかうまくできませんね。
 だから、皆さんも作文を書いたら、自分の書いた文章をきちんと直すことも練習してください。

 最後は言い訳になってしまいました。
 本日言いたかったことは、以下に要約されます。
 簡潔な文章を心がけましょう
 簡単に見える文章を完璧に書くのは難しい


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2018年01月25日

分かりやすい文を書くこつ

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 本日は、わかりやすい文を書くこつについて書きます。

 結局は、毎日書く練習をして少しずつ身につけていくしかありません。

 ただ、急にすべてのことをお伝えしても吸収できないでしょうから、折に触れて少しずつご紹介します。

 今回は、一つのポイントに絞ります。

 文を短くしてみましょう。

 これを心がけるだけでかなり作文が上達すると思います。

 例として、次の文章を読んでください。2004年3月に発行された金沢星稜大学論集第37巻第3号の藤則雄さんによる「縄文時代における自然環境」という論文です。たまたまネットで検索したら出てきた論文です。http://www.seiryo-u.ac.jp/u/education/gakkai/e_ronsyu_pdf/No96/p001-026_fuji.pdf


 この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定されるが、主要花粉がCryptomeria(スギ)であり、この種は湿地性環境に多産することを勘案すると、この帯の気候が冷涼であったことの理由によってCryptomeria(スギ)が多産したというよりは、むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。


 私は縄文時代の自然について素人です。この論文は、先ほども書いたように、さっき偶然見つけました。「大学 論文集」と検索したら一番上に金沢星稜大学の論文集がヒットしました。
 専門家の文章にしては分かりやすいとは思います。後でも書きますが、学術論文としては問題ありません。しかし、新聞記事の基準で考えれば長すぎます一文で約190文字。こんな長い文を入社試験で書くと評価が下がるでしょう。

 まず、注意していただきたいのは「」。「が」は、逆接(「しかし」など)の意味でも使えるし、前置きを書く場合も使えるので、頭を悩ませずに文と文をつなげられます。特に話し言葉ではよく使うので、文章でも多用しがちです。

 例に挙げた文章でいえば、「冷涼帯的気候のように推定されるが、」の部分です。ここはいったん、「推定される」で切ると分かりやすくなります。
 すると、次のようになります。


 この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定される。しかし、主要花粉がCryptomeria(スギ)であり、この種は湿地性環境に多産することを勘案すると、この帯の気候が冷涼であったことの理由によってCryptomeria(スギ)が多産したというよりは、むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。


 それでも、まだ二つ目の文が長いですね。それでは、どうすれば良いでしょうか。自分で考えた上で、次の例を見てください



 この花粉帯は、その花粉組成からみて、一見冷涼帯的気候のように推定される。しかし、主要花粉Cryptomeria(スギ)だ。この種は湿地性環境に多産する。このことを勘案すると、この帯の気候が冷涼だからCryptomeria(スギ)が多産したと推測するのは適切ではない。むしろ湿地性環境であったためにこのCryptomeria(スギ)が多産していると考えた方がより妥当と思われる。


 どうでしょうか。元は一つだった文が、五つになりました。表現も少しだけ手直ししました。特に、注目していただきたいのは、「(スギ)であり」を「(スギ)」に変えた点です。この部分で句点(。)を打つことで、文が短くなります。

 専門性の高い内容なので、すぐに頭に入るわけではないでしょう。それでも、五つの文に区切れば、句点が出てくるたびに読み手は頭を整理できます

 また、原文には、一文の比較的近い場所に「こと」という言葉があります。これも便利な言葉ですね。でも、使いすぎると分かりにくくなります。特に、「冷涼であったことの理由によって」はぎこちない印象を与えます。

 皆さんが大学などで目にする専門書には、今回の例文のような理解しづらい文章が多く見られます。皆さんの頭脳が悪いから分からないのではなく、たいていは一般の読者を想定せずに書いているので理解できないのです。

 専門家の文章は、同じ分野を研究する人を対象に書かれています。分かりやすさよりも、厳密であることが優先されます。だから、一般人に理解しづらくても当然かもしれません。私はたまたま「長い文」を探して、この論文の該当箇所に目が行っただけです。素人の私が改変したことによって、筆者の藤さんから「主旨が違う」というお叱りを受けるかもしれません。その場合は、謝罪します。

 実は、科学記事でよく新聞が間違うのは、こういうことなのです。記者の多くは大学で文系分野を専攻していました。たまたま配属された科学部で一生懸命勉強しても理解には限界があったり、最先端分野なのでそもそも理解することが困難な場合があったりします。そういう中で、理解しづらい内容(記者が理解できていない内容)を分かりやすく表現しようとすると、専門家が見ると「明らかな事実誤認」となることがよくあります。

 1月23日の朝日新聞デジタルには「21日配信の『地球に磁場、まだまだ謎』の記事で、地磁気反転のきっかけが『外核の流れの一部が逆流』とあるのは、『外核を流れる電流の一部が逆流』の誤りでした」とあります。私もこれと同じような間違いは過去にしていただろうなという気がします。
https://digital.asahi.com/articles/ASL1Q65TWL1QUEHF01V.html


 さて、話を元に戻します。
 少なくとも新聞は一般の読者を対象にしています。しかも、入社試験の担当者は大量の課題作文を短時間で読んで採点しなければいけません。いくら真剣に皆さんが書いたものを理解しようとしても、人間ですから一文が長過ぎると読む気をなくしてしまいます。必然的に点数は下がります。

 自分が試験を突破するために一文を短くしましょう。
 今回のおさらいです。
 要点は「が」と「であり」。この二つを書きそうになったら、そこで句点を打ってください。ぐっと分かりやすくなります。

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2018年01月24日

平昌行き決定、安倍首相は「リスク」を取ったのか

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 どうやら私の推測が正しかったようです。安倍晋三首相は平昌冬季五輪に出席する考えを表明しました。本日の産経新聞の一面トップ記事に「首相、平昌開会式に出席 日韓合意新方針 文氏に『拒否伝える』」と出ています。http://www.sankei.com/politics/news/180124/plt1801240003-n1.html

 私がどうして安倍首相が平昌に行くと考えていたかということについては、「安倍さん、実は平昌行きの準備中?」の記事をご覧ください。安倍首相は東京五輪への思い入れが強いはずですし、「日本として大人の対応をするべきだ。韓国と同レベルの子供の対応はしたくない」という判断もあったのでしょう。

 産経の記事を読むと、「安倍晋三首相は23日、首相官邸で産経新聞のインタビューに応じ、韓国で2月9日に行われる平昌五輪の開会式出席のため訪韓する考えを明らかにした」となっています。産経新聞は「安倍首相、平昌五輪の開会式欠席へ」という記事を最初に書きました。1月11日のこの記事の情報源は、「複数の政府関係者」となっています。

 安倍首相の周辺や支持勢力は、韓国の慰安婦合意をめぐる対応に強い不満を持ち、「何らかの報復措置を取るべきだ」という強硬論に傾いていました。しかし、安倍首相はそういう単純な発想にとらわれたせいで支持率を下げ政権を失う経験をしています。私の見立てでは、意図的に産経に「欠席へ」という情報をいったん流し、いったん支持勢力に「よし、総理はいい判断をしている」と思わせることが目的だったと思います。ただし、この段階ですでに出席を見送る理由は「国会日程」ということにしていました。

 そして、状況を少し見た上で、自民党の二階俊博幹事長が16日の記者会見で、安倍首相が平昌に行くために国会日程を調整する考えを表明します。さらに二階氏は公明党の井上義久幹事長と17日にこの方針を確認しました。また、自民党の竹下亘総務会長も首相の平昌行きを支持する考えを明らかにするなど、感情的な出席見送り論を抑えようとする流れがはっきりしました。

 加えて、ペンス米副大統領が出席することになったことも大きな要因でしょう。北朝鮮情勢について副大統領と意見交換する必要性も出てきました。

 このようにして、「国会日程のせいで行けない」という口実が封じられたふりをすることができるようになったわけです。これは、安倍首相を支持する人たちに向けた言い訳だけではありません。韓国に対しても、「本当は来たくないけれど、来てやったんだ」というメッセージを送ることもできます。ただし、国家間の合意を何度も反故にしてきた国ですから、相手には伝わらないと思いますが。

 さて、最後の仕上げが本日のインタビューです。過去、現職首相の単独インタビューは事実上禁止されていました。内閣記者会(首相官邸記者クラブ、永田クラブとも言います)が単独インタビューをしないように申し合わせていたからです。
 これは「抜け駆けは許さない」ということでしたから、「記者クラブの弊害」の例として取り上げられることがあります。ただ、こうした申し合わせには理由がありました。最大の権力者である首相が自分に都合の良いメディアを選別し、自分が好きな時だけ取材に応じるようになるという懸念があったからです。このため、首相に対しては、幹事社が持ち回り(首相の選挙区の地元メディアも含む)で取材し、他のメディアは記者クラブでその取材状況を聞くなどして共有していました。だから、同じ内容の記事が同じ日に出ていたわけです。

 過去の首相も「単独インタビューに応じたい」としばしば言っていましたが、記者会はなかなか応じませんでした。「権力者の都合」が見え見えだったからです。
 安倍首相は5年前に再登板して以来、慣例を覆し、全国紙やテレビだけでなく、さまざまなメディアの取材に応じています。「1社だけをひいきにするのではなく、まんべんなく取材に応じる」という大義名分を立てているわけです。
 でも、実際は今回の例のように、「ここぞ」というタイミングで「自分に都合の良いメディア」の選別が行われていることは明らかでしょう。産経は安倍首相の支持勢力が購読層ですし、今回の記事の署名欄には田北真樹子さんと阿比留瑠比さんの名前が出ています。阿比留さんは言わずと知れた「安倍側近記者」の代表格です。下の画像で添付したような本を出しています。なかなかここまで最高権力者を持ち上げる本は書けません。

 田北さんは、紙面に出ている署名記事を見るだけで判断すれば海外特派員経験のあるベテラン記者です。時には辛辣な記事を書いていますが、基本的には「産経路線」から外れることはありません。安倍首相は、支持者を説得するために自分にとって追い風となる記事を書いてくれることは間違いないという判断をしたのでしょう
 実際、阿比留さんの記事は「リスクを取ったぎりぎりの決断」「批判を覚悟して為すべき事を為そうとする『政権を担う者の責任』(安倍首相)だった」という、アンチ安倍が読めば、「歯の浮くような表現」と批判しそうな文言を多く使っています。阿比留さんの記事はたいていそうですが。
http://www.sankei.com/politics/news/180124/plt1801240004-n1.html

 産経以外の現場の記者はしらけた反応をするかもしれませんが、後追いしないわけにはいきません。首相の五輪出席は大きなニュースです。
 結局、世論の流れは安倍首相にとって都合の良い方向に動くでしょう。安倍さんにとっては「リスクを取った」というよりも、現時点では「当初の思惑通りうまくいった」ということでしょう。
 このように、安倍首相はしたたかに行動しています。支持率がなかなか下がらず、下がっても回復するのは、こういう手練手管にあるのでしょう。第1次安倍政権や民主党政権と違うのはこういう辺りにあると思います。

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2018年01月23日

安倍首相の演説はなぜ夕刊に載るのか

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 昨日は、安倍晋三首相の施政方針演説が国会で行われました。首相動静によると、演説の開始時刻は午後2時2分です。新聞の夕刊の締め切りは地域によって多少異なりますが、午後1時半から2時。昨日の夕刊各紙に「演説する」「明言する」などという形で安倍首相の演説内容が詳細に出ているのはなぜでしょうか。
 本日はこれについて説明します。

 種明かしをすれば、首相官邸側と記者クラブの間で事前に報道に関する取り決めが結ばれるからです。証拠は20日の新聞各紙に出ています。ご自分で探してみてください。首相の演説全文を事前に報道各社に提供して説明する代わりに、各社は「新聞は当日夕刊から未来形で報じる。テレビやラジオ、インターネットは生中継もしくは内容確認後に報道する」などと約束するわけです。

 このような当局とメディアによる合意を「しばり」と言います。日本だけにある制度ではなく、外国でも「エンバーゴ」と呼び一般的に行われています。
 「記事」「エンバーゴ」をグーグルで検索すると、神戸大学が次のようにきっちりと説明してくれています。
http://www.kobe-u.ac.jp/info/public-relations/press/index.html

 科学記事など難しい事案になればなるほど、記者に余裕を持ってもらわなければなりません。これは一体一面トップ記事なのか、それとも3面3段の記事なのか、それともボツか。記者は会見に駆けつけるまでにある程度の目安をつけて、書く気のある記者だけが参加しますが、研究者への取材の後もその分野の大御所にコメントをもらって判断基準にすることが多いです

 「しばり」がないと、重要な事案でもきちんとした取材をすることができない恐れがあります。関係者に取材したり、専門家の意見を聞いたりするためには、事前に準備する必要があります。
 首相の施政方針演説や所信表明演説は国民生活に関わる大事なものです。このため、夕刊に演説内容を伝えた上で、翌朝刊に解説や関連記事が掲載されることになります。

 しばりが成立するまでは、報道しても構いません。だから、日本経済新聞は19日朝刊で「施政方針演説の概要が明らかになった」と書いています。ところが、関係者の口が堅かったのか、日経の記者が取材した後に状況が変わったのかは分かりませんが、19日の記事では「中国の広域経済圏構想『一帯一路』について個別事業ごとに協力の是非を判断する考えを表明」と書かれていますが、実際の演説はそういう表現ではありませんでしたね。だから、昨日の紙面では「『一帯一路』には直接的には触れない」と修正しています

 「しばり」は、日本国内の場合、記者クラブ加盟社が対象となることが多く、外国や中小のメディアはこの約束に加わることができないことがよくあります。こう言うと、「日本の記者クラブは閉鎖的だ!」と怒り出す人がいますが、米国はもっと差別的でひどいかもしれません。
 日本の記者クラブは加入しようとすれば、きちんと手続きや基準が示されています。記者クラブを運営する上での業務を行うことが可能な組織が入ることができます。
 一方で米国はどうでしょうか。米国には明文規定による記者クラブは存在しませんが、見えない壁に隔てられた超閉鎖的な非公式サークルがあります。私が本社でデスク業務をしていたときも、ロイターやAP通信などが米政府の新たな方針を一斉に速報した場面が何度もありました。記事を見ると詳細に内容が書き込まれています。しかし、私が属していた会社の特派員はその段階では内容を全く知らされていません。資料を入手できるのは後になってからです。

 話を「しばり」に戻します。「しばり」というのは紳士協定であって、みんなが守るから成立します。抜け駆けするメディアが出ると、成り立ちません。神戸大学のサイトは、それについてもきちんと書いてくれています。

 エンバーゴは通常守られますが、大変な発表のケースではどこかが協定破りをすることもあります。STAP細胞の際に、英国の新聞が協定破りをしてその影響で新聞掲載などが早まったのはその代表例です。


 「少しでも早く重要なニュースを知らせるのが報道の使命だ」という観点に立てば、抜け駆けが正当化されるのかもしれません。しばりを破っても、記者クラブや取材先への出入り禁止といった業界内の制裁を受けるだけで、読者からは「他の新聞に出ていないことが出ている」という反応があるでしょう。

 しかし、約束は約束で、本来は読者に分かりやすく内容の濃い記事を書くために設けられた制度です。
 
 私はしばりを破ったことはありません。だから、凡庸な記者として終わったのかもしれません。

 今日はここまでにします。
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