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2018年02月09日
取材力は文末で判断できる
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本日も、新聞記事の文章の末尾の特徴について続けます。
昨日は、100%確実でない内容を書くときに訂正を出す事態を回避するために「〜の方針を固めた」などの表現が使われると書きました。
他にも似たような表現はいくつもあります。
例えば、「〜する方向で検討(調整)に入った」「〜するとの見方が強まっている」「〜するとみられる」「〜する見通しだ」などです。
本日の朝刊を見ると、日本経済新聞一面トップ記事の書き出しは「防衛省は米国基準の包括的なサイバー防衛策を取り引き企業に義務付ける調整に入った」です。
特ダネは、まだ内部で意思決定されていない段階で書かれる場合が多いので、「調整に入った」や「検討していることが分かった」といった表現がしばしば使われます。この記事がまさにそうですね。
防衛省内で正式決定したわけではないので、「調整に入った」と書いたのでしょうし、この記事が新聞に載ることによって、「そんな話は聞いていない」という声が上がり、白紙になることもありえます(本日の日経の記事の信ぴょう性を疑っているわけではありません。今日の午前中には真偽が明確になるのでしょう)。
特に、人事の記事はこの傾向が強いと言えます。「◎◎事務次官の後任に××局長を充てる方針を固めた」というパターンです。人事権は、組織のトップが持つ最大の権限ですから、自分が意思表明する前に新聞に書かれるとへそを曲げる人がたくさんいます。「新聞が書いたから」という理由で差し替えられる例は過去にたくさんありました。
その場合でも昨日も書いた通り「方針を固めた」ならば、「記事を書いた時点では方針が固まっていたけれど、その後の情勢の変化で見送られることになった」という言い訳ができます。
昨日、大きな山を越した自民党額賀派の内紛も、不確定な要素をはらむ中で記事が出ていました。
共同通信が一昨日深夜に配信した記事「額賀派、竹下会長に交代へ」の書き出しは以下の通りです。
自民党額賀派(平成研究会)は額賀福志郎会長が退任し、後任に副会長の竹下亘党総務会長を充てる方向で調整に入った。関係者が7日、明らかにした。
見出しだけを見ると、竹下氏に交代することが決まったようにも見えますが、本文はあくまで「竹下氏を充てる方向で調整に入った」です。そして、この共同の記事では「8日昼の派閥会合で進退に関する見解を示すとみられる」となっています。共同に限らず、他のメディアも似たような情勢分析でした。
額賀氏本人が各社の記者に対して前夜にはっきりと方針を説明していたら、もっと確定的な書き方になったのでしょう。しかし、額賀氏は口が堅いことで有名です。本人はほとんど取材拒否だったのではないかと私は想像します。だから、「みられる」だったのでしょう。
おそらく現場の記者の間では「退任不可避だけれども、本人があす続投宣言したらどうしよう」などと冗談で言い合っていたのではないでしょうか。
額賀氏は派閥会合の冒頭で退任表明しなかったそうなので、担当記者は悪夢のような思いに一瞬とらわれたのだろうと思います。あの速報を見たときにそう感じました。
しかし、結果的には、額賀氏が退任時期を明確にしたので各社の記事は大筋では間違っていなかったと言えます。
ここまでお伝えしたことで分かるように、「みられる」「もようだ」などの表現が多い記事は、取材が不十分だということを記者自身が認めたものだと言えます。
ですから、額賀派のお家騒動のような人事に関わるものや、北朝鮮、中国などメディア統制が厳しい国に関する記事も「みられる」「もようだ」は多発される傾向があります。
逆に言えば、皆さんがご自身について文章を書くときは「みられる」「もようだ」の類は使わない方が良いということです。これらの表現を使えば使うほど説得力が落ちてしまいます。
皆さん自身が自分について分かっていないことを認めるようなものだからです。
根拠を示し、断定した形で書くことが好ましいですね。
引き続き質問をお待ちしています。
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他にも似たような表現はいくつもあります。
例えば、「〜する方向で検討(調整)に入った」「〜するとの見方が強まっている」「〜するとみられる」「〜する見通しだ」などです。
本日の朝刊を見ると、日本経済新聞一面トップ記事の書き出しは「防衛省は米国基準の包括的なサイバー防衛策を取り引き企業に義務付ける調整に入った」です。
特ダネは、まだ内部で意思決定されていない段階で書かれる場合が多いので、「調整に入った」や「検討していることが分かった」といった表現がしばしば使われます。この記事がまさにそうですね。
防衛省内で正式決定したわけではないので、「調整に入った」と書いたのでしょうし、この記事が新聞に載ることによって、「そんな話は聞いていない」という声が上がり、白紙になることもありえます(本日の日経の記事の信ぴょう性を疑っているわけではありません。今日の午前中には真偽が明確になるのでしょう)。
特に、人事の記事はこの傾向が強いと言えます。「◎◎事務次官の後任に××局長を充てる方針を固めた」というパターンです。人事権は、組織のトップが持つ最大の権限ですから、自分が意思表明する前に新聞に書かれるとへそを曲げる人がたくさんいます。「新聞が書いたから」という理由で差し替えられる例は過去にたくさんありました。
その場合でも昨日も書いた通り「方針を固めた」ならば、「記事を書いた時点では方針が固まっていたけれど、その後の情勢の変化で見送られることになった」という言い訳ができます。
昨日、大きな山を越した自民党額賀派の内紛も、不確定な要素をはらむ中で記事が出ていました。
共同通信が一昨日深夜に配信した記事「額賀派、竹下会長に交代へ」の書き出しは以下の通りです。
自民党額賀派(平成研究会)は額賀福志郎会長が退任し、後任に副会長の竹下亘党総務会長を充てる方向で調整に入った。関係者が7日、明らかにした。
見出しだけを見ると、竹下氏に交代することが決まったようにも見えますが、本文はあくまで「竹下氏を充てる方向で調整に入った」です。そして、この共同の記事では「8日昼の派閥会合で進退に関する見解を示すとみられる」となっています。共同に限らず、他のメディアも似たような情勢分析でした。
額賀氏本人が各社の記者に対して前夜にはっきりと方針を説明していたら、もっと確定的な書き方になったのでしょう。しかし、額賀氏は口が堅いことで有名です。本人はほとんど取材拒否だったのではないかと私は想像します。だから、「みられる」だったのでしょう。
おそらく現場の記者の間では「退任不可避だけれども、本人があす続投宣言したらどうしよう」などと冗談で言い合っていたのではないでしょうか。
額賀氏は派閥会合の冒頭で退任表明しなかったそうなので、担当記者は悪夢のような思いに一瞬とらわれたのだろうと思います。あの速報を見たときにそう感じました。
しかし、結果的には、額賀氏が退任時期を明確にしたので各社の記事は大筋では間違っていなかったと言えます。
ここまでお伝えしたことで分かるように、「みられる」「もようだ」などの表現が多い記事は、取材が不十分だということを記者自身が認めたものだと言えます。
ですから、額賀派のお家騒動のような人事に関わるものや、北朝鮮、中国などメディア統制が厳しい国に関する記事も「みられる」「もようだ」は多発される傾向があります。
逆に言えば、皆さんがご自身について文章を書くときは「みられる」「もようだ」の類は使わない方が良いということです。これらの表現を使えば使うほど説得力が落ちてしまいます。
皆さん自身が自分について分かっていないことを認めるようなものだからです。
根拠を示し、断定した形で書くことが好ましいですね。
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