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2018年02月05日
「首相」は法律違反？
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本日は、新聞休刊日です。
このブログも久しぶりに休もうかと思ったのですが、前回の続きを書くことにします。
前回、「五輪」とは、「オリンピック」を短く表記する必要に迫られた新聞記者が考えた新語だったということを書きました。
ネットで調べると、きちんと事実関係を整理して書いてくれている記事があります。ご参考にしてください。
https://style.nikkei.com/article/DGXNASDB18001_Y2A710C1000000
ところで、「五輪」と同様に「短いから」という理由で新聞に採用されていて、しかも極めて重要な役職名をご存じでしょうか。
答えをすぐに書くと、「首相」です。
安倍晋三さんの役職の正式名称は皆さんもよくご存じのように「内閣総理大臣」ですね。憲法にそう書かれています。
しかし、新聞で頻繁に使う言葉なのに６文字も費やすわけにはいきません。「総理大臣」に短縮しても４文字。たまに使われる単語ならいいですが、よく出てくる言葉にしては長すぎます。
そこで、「首」は「筆頭の」、「相」は「大臣」という意味ですから、意味を保ったまま２文字に短縮するために「首相」が使われているわけですね。
法令の名前を調べても、「首相」という言葉が使われているものはゼロですが、「総理大臣」は１２本出てきます。ひょっとするとどこかの法律の条文に「首相」という言葉が使われている例があるかもしれませんが、法律用語としては「内閣総理大臣」が適切だろうと思われます。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0100/search?searchType=2&searchLawName=%E7%B7%8F%E7%90%86%E5%A4%A7%E8%87%A3&abbreviationFlg=true
ところが、総理大臣官邸の公式ウェブサイトを見ると、一番上に「首相官邸」と書かれています。
https://www.kantei.go.jp/
法律的な根拠よりも、国民生活で一般的に使われる言葉を優先したということかもしれません。
ただ、永田町では、国会議員、秘書、政党職員、官僚などの大多数が「総理」と言います。例外的に共産党の国会議員に「首相」と呼ぶ人が目立ったような気がしますが、組織としての規則でもあるのでしょうか。今の状況は変わっているかもしれませんし、私には分かりません。
政治部記者も記事では「首相」と書きますが、取材している間は「総理」としか言いません。
記者で「しゅしょう」と呼ぶのは、社会部など政治部以外のように思います。
そもそも私のように発音がうまくない人は「しゅしょう」は難しいですね。「そうり」の方が簡単です。
テレビを見ていると、ＮＨＫのアナウンサーや記者はいつも「安倍総理大臣」と言っています。民放では「首相」と呼ぶこともあるようです。
正式名称を取るか、国民の間で定着した方を取るかという判断なのでしょう。
ところで、麻生太郎さんの肩書きは、新聞もテレビも永田町の話し言葉も「副総理」。「副首相」を使うのは、外国メディアの日本語訳ぐらいだと思います。「副総理」という役職が正式には存在せず、これ以上文字数を減らすことができないから、「首相」や「総理大臣」のように両方が使われるということがないのかもしれません。
この話はまだまだ続けることができますが、また別の機会に書くことにします。
明日は、また新聞記事の実例を使いながら、新聞の書き方を続けます。
引き続き質問をお待ちしています。
下のコメント欄にお書きください。
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ところで、「五輪」と同様に「短いから」という理由で新聞に採用されていて、しかも極めて重要な役職名をご存じでしょうか。
答えをすぐに書くと、「首相」です。
安倍晋三さんの役職の正式名称は皆さんもよくご存じのように「内閣総理大臣」ですね。憲法にそう書かれています。
しかし、新聞で頻繁に使う言葉なのに６文字も費やすわけにはいきません。「総理大臣」に短縮しても４文字。たまに使われる単語ならいいですが、よく出てくる言葉にしては長すぎます。
そこで、「首」は「筆頭の」、「相」は「大臣」という意味ですから、意味を保ったまま２文字に短縮するために「首相」が使われているわけですね。
法令の名前を調べても、「首相」という言葉が使われているものはゼロですが、「総理大臣」は１２本出てきます。ひょっとするとどこかの法律の条文に「首相」という言葉が使われている例があるかもしれませんが、法律用語としては「内閣総理大臣」が適切だろうと思われます。
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0100/search?searchType=2&searchLawName=%E7%B7%8F%E7%90%86%E5%A4%A7%E8%87%A3&abbreviationFlg=true
ところが、総理大臣官邸の公式ウェブサイトを見ると、一番上に「首相官邸」と書かれています。
https://www.kantei.go.jp/
法律的な根拠よりも、国民生活で一般的に使われる言葉を優先したということかもしれません。
ただ、永田町では、国会議員、秘書、政党職員、官僚などの大多数が「総理」と言います。例外的に共産党の国会議員に「首相」と呼ぶ人が目立ったような気がしますが、組織としての規則でもあるのでしょうか。今の状況は変わっているかもしれませんし、私には分かりません。
政治部記者も記事では「首相」と書きますが、取材している間は「総理」としか言いません。
記者で「しゅしょう」と呼ぶのは、社会部など政治部以外のように思います。
そもそも私のように発音がうまくない人は「しゅしょう」は難しいですね。「そうり」の方が簡単です。
テレビを見ていると、ＮＨＫのアナウンサーや記者はいつも「安倍総理大臣」と言っています。民放では「首相」と呼ぶこともあるようです。
正式名称を取るか、国民の間で定着した方を取るかという判断なのでしょう。
ところで、麻生太郎さんの肩書きは、新聞もテレビも永田町の話し言葉も「副総理」。「副首相」を使うのは、外国メディアの日本語訳ぐらいだと思います。「副総理」という役職が正式には存在せず、これ以上文字数を減らすことができないから、「首相」や「総理大臣」のように両方が使われるということがないのかもしれません。
この話はまだまだ続けることができますが、また別の機会に書くことにします。
明日は、また新聞記事の実例を使いながら、新聞の書き方を続けます。
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