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2021年10月04日

机の中の石ころ

職員室の私の机の中に、四個の小石が入っている。
この小石は、会津の鶴ヶ城内の小石であろう。

今から、三年前の中2の遠足で出掛けた際、Kがバスの中で訴えた。
「誰かに、これ入れられたんです。」
パーカーのフードの部分に、イタズラで入れられたものであった。

イタズラしたのは、Hらを中心とするメンバーであることは分かっていた。
だが、彼等は最後までシラを切った。

私はK君を励ましただけで、結局そのままになった。

当時の私は、すでに病んでいたのだ。
何だか分からぬが、焦りのような気持ちばかりが大きくなり、学年主任兼担任としての責務を、十分に果たせずにいたのだ。

私はその石ころを、机の中に入れた。

机の引き出しを開けるたびに、その石ころは自己主張をする。

「そんな指導でよかったのか?」、と…。

反抗期を過ぎたと思われるKたちは、今は高2である。

私はHの母親にも徹底的に責め続けられたので、何となくわだかまりが取れない。
高校を卒業し、私の記憶から忘れ去らなければ、気持ちを昇華させることができないようだ。

あれから3年。
今でも、「彼等の卒業式には出たくない」、とすら思う。

Kはその後、物静かながらもリーダーと活躍し、芯の強い男になっている。
そして、そのリーダーの仕事もいよいよ今週で終わる。

本格的な大学受験に向けて舵を切るのだ。

こうやって時が流れていく。

私は、ただただ、彼等が成長するのを横目で見ながら、小舟で懸命に竹竿を使いながら、川を行く。

転覆しないようにあがき続ける…。





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