2020年05月22日

トイレに隠れたS君

中学時代から不登校だったS君も、高2になった。

運動会の集団演技が苦手で、そのプレッシャーによって、練習にも参加できずにいる。
ただ、本人としては、自分に一緒にやりたいと、全体の練習には参加はできないものの、個別で練習し、本番に備えていたのだ。

だが、いよいよ本番が近づいてきた今、フォーメーションのために、S君が全体練習に参加する必要性が出てきたのだ。

だが、S君はそのプレッシャーからトイレの個室に閉じこもってしまったのだ。
なんとしても練習に参加させたいT君とR君が、S君を迎えに来た。

トイレでT君の必死の説得が始まるも、S君は反応なし。
生徒会役員でもあり、全員で体育祭を迎えたいT君は、それで語りかけ、とうとう泣きながら話し始めた。

さすがにその様子を感じ、S君は心を動かされたようで、個室のカギを開け、ドアを少し開けた。

そのとき皆でドアを開け、S君を個室から外へ誘導したのである。
S君もR君も泣いていた。

さながらアマテラスの岩戸隠れのようにして、S君を連れ、T君とR君は応援練習に向かった。

S君は、中学校時代から長く学校を休み、ほとんど投稿できなかったこともあった。
何とか、高校に進学したももの、不登校傾向は変わってはいない。
だが、得意な合唱では、だれよりも大きな美しい声で歌う。

中学だけしか見ていなければ、「不登校」として切り捨てられてしまいそうな生徒かもしれない。
中学を卒業させ、ほっと胸を撫でおろす、そんな先生もいるに違いない、と思われる生徒である。

その意味では6年間継続して指導できるのはいい。
中学と高校で、大きく化ける生徒も多い。

今回S君を説得したT君も、中学時代は、ありとあらゆるいたずらを繰り返し、また怠惰な生活を重ね、はたまた授業も抜け出すような、いわゆる不良といわれそうな生徒であった。
それが、中3あたりからガラッと変わり、今では生徒会で学校全体を引っ張っている。

子供時代のひと時は、本当にわからないものだ。
可能性を信じて、祈り、拝み続けるしかないのかもしれない…。

運動会当日、おそらくS君は、応援合戦に入るのだろう。
はたから見ても、目立たない、全体の中の一人にしか見えないが、そこには大きな光がある。

学校行事はこんな風にして、形作られるのだろう。

だからこそ、面白い…。




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