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2019年06月14日

父の遺産

四十九日をかえ終えて、何故だか父との思い出が浮かび上がってくる。

始終、祖母と喧嘩ばかり…。
夕食時にテーブルをひっくり返すのも珍しくなかった。

ある晩、父が祖母に手をあげたとき、私は、父と祖母の間に入ってその拳を止めた。
小学高学年の頃である。

大酒飲みで、飲むたびに暴れたので、父とは仲が悪くなった。

そして結局、一緒に杯を交わすことなく、父は逝去した。

ただし父と私の共通していることに、「犬好き」というものがある。
父は毎朝、暗いうちから散歩に出かけ、一時間以上戻ってこなかった。

奇跡的に病気が良くなり、退院すると間もなく、飼い犬が死んだ。
母は、「父の身代わりになった」、と言った。
その後は、父は犬の散歩ができなくなった。
ほどなく、痴呆が進み、父は施設に入ることになる。
施設に入って二年あまりで、父は逝去した。

よくよく考えれば、私が家を買ってまもなく父が逝去。
家の準備に、父の弔意金が役だったし、犬を飼い始めたのも、きっと父の影響だ。

おかげで運動不足の私は、毎日犬の散歩によって歩くことを余儀なくされている。
起床時間も4時半になった。

朝晩、私が出かけても、一部の生徒たちは、犬の散歩だと知っている。
まだまだ生徒には慣れないが、いずれ仲良くなるだろう。

「先生、犬の名前なんて言うんですか?」
「餌をあげるときは『ポン太』、生徒と遊ぶときは『たかひろ』、血統書上の正式目は『将門』だよ。」

三つの名前を持つことに、皆が目を丸くする。
『たかひろ』とは、野球部の生徒の名前でもある。

この犬のおかげで、毎日リフレッシュすることができている。

『ポン太』こそが、父の遺産なのだろう。

日中はなかなか遊んでやれないから、奴はたいてい寝ている。
私はいつでも、犬の様子をライブカメラで見ることができるようにしてあるのだ。

あまりに寂しそうにしていると、ネットを通して声をかける。その声がカメラから出るのだ。
すると、ちょっと落ち着く。

いつしか、多くの生徒が遊んでくれたらいい。









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