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2018年12月04日

T君を『よしよし』

「丹澤先生、T君を『よしよし』してもらえますか?」
合唱練習をよく見てくれている副担任でもある音楽の先生が言う。

「たぶん、淋しいのだと思うんですよ…。」
彼女の勘は鋭い。

いつも私が注意ばかりしている、だらしないT君。
積極的に合唱練習を妨害して、一生懸命やろうとする他のクラスメイトの気持ちを逆なでするT君。
中1の時には野球部で活躍していたが、私を気に入らない母親の圧力で辞めてしまったT君。
マイペースで、全員が集合していても、いつものんびりと最後にやってくるT君。

「そう言えば最近は、マイナスの指摘ばかりだったなぁ…。」
と、反省。それでも、
「何を言っても、上手くいかなかったよなぁ…。」
などと、作戦を練る。

全体の場では、正しく話を聞けない。だから私の話の一部を切り取り、勝手に解釈して、それが伝言ゲームになって母親に届き、
「丹澤先生は自殺したいと思っているのですか。そんな人に担任をしてもらいたくありません…。」
と、母親から苦情が来たこともある。
また、
「やっぱり丹澤先生は信じられません。二年生では担任を変えて下さい。」
と、三月に学年主任に訴えたのだが、当時の学年主任は私に伝えることなくこれを突っぱねた。

ただ、野球部を休んでいる時に、勉強の習慣が身についているので、学力的には相応の実力となってきたことは間違いない。T君は、今日の数学の試験でも、まずまずの出来だった。

帰りの会の合唱練習のときに、早速作戦実行。

男子のパート練習。やっぱり一人離れて参加しようとしないT君を、パートリーダーが歌っている輪の中に押し込んだ。近くで、彼の歌を聴いてみると、なんと歌になっていないではないか。
低い声で、音程を一定にして歌詞を流しているのである。本来T君がきちんと歌えることは、私はよく知っている。
そこで、T君を輪から連れ出し、「音の高さを合わせなきゃ。もし音が取れないなら、個人レッスンするよ。」と警告。私はピアノが弾けるのだ。
すまなそうな顔をしたT君は、輪の中に戻ると、少し音を合わせるようになった。

その後帰宅時には、T君としばらく歩いた。
私がT君のリックをつかんで、引っ張ってもらう形である。
T君は、おどけて走る真似をしながらも、私を引っ張っている。
私はT君とちょっと遊んだのだ。

このところT君への注意が続いているので、説教はだめだ。この遊びも、
「あなたのこと見てますよ。関心を持っていますよ。」
というアピールのようなものだ。

気に入らない生徒だと、心底思ってしまうと、どんどん接点が薄くなる。
嫌だと思って距離を取っていると、生徒はどんどん荒れていく。
意図的に距離を置きつつ、見守るのとは、天地の差だ。

良いところはどんどん褒めてあげよう。
マイナスばかりが目についたとしても、意図してプラスを探そう。

生徒の可能性は無限なのだから…。








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