2018年11月09日

遅刻一回500円

遅刻ばかり、授業中寝てばかり、宿題出さない常連のある女子生徒との三者面談。
父親は10分前からスタンバイしているのだが、娘は10分過ぎても教室に来ないので、探しに行ったら、のんびりご飯を食べていた。
一緒に食べていた友達に、「それはひどいよ…」と非難されて、あわてて教室にやってきた。
父親は、特に怒らなかった。
面談時間に余裕があってよかった…。

成績表を見ながら、父親が娘に問う。
「ところで、勉強しているの?」
「いやぁ…。」
「宿題は?」
「いやあ…。」
「授業は聞いているの?」
「いやあ…。」
「授業、分かる?」
「いやあ…。」
「勉強したいと思わない。」
「そんな気はないです…。」
「このままじゃ、赤点になっちゃうでしょ。」
「はあ…。」
「冬休みの宿題だって増えちゃうよね。」
「それは…。」

父親が何を言っても埒があかない。
ところが、娘が言う。
「自分でやる気にならなきゃ、できないから…。」

『やる気』が出ないのだから、親や担任があれこれアドバイスしても無駄であるという訳だ。
しかし、今は、その『やる気』が出ないらしい…。

「じゃあ、『やる気』を出すために、お小遣いと結びつけよう」
と父親。
「一回遅刻するたびに500円ずつお小遣いを減らそう…。」
となった。
「えっそれは…。でも、最近はしてないか…。」
といいながらも、渋々承諾。
二学期の約二ヶ月間での遅刻は16回。
「おいおい、だいじょうぶか…。」

「えっ、パパもう帰るの?」
レインコート着込んでバイクで来校した父親は、帰宅の準備を始めた。








デリシャス

「ホストファミリーで食べたパスタが、とてもまずかったんです。」
海外研修を経験した中3の男子生徒が、そう発表した。

「それで、どうしたの?」
「食べました…。」
「で? 何か言った?」
「deliciasって、言っちゃいました。」
「そりゃ、だめだろ。味が薄いとか、ちょっと苦手な味だとか、何か言わないと…。お代わりを勧められちゃうよ。」
「勧められました。」
「でしょ。で、食べたの?」
「思いっきり、断りました。」

日本人的な感覚では、なかなか『まずい』とは言えない。
だが、自分の意見はきちんと言わないと、欧米社会では、一人の人間として認めれない。
日本では心遣いとして、たとえ口に合わなくても、「おいしいです」、と言うこともあるかもしれないが、外国では自分の意思を伝えなくてはならない。

「グランドマザーが一生懸命作ってくれたみたいなんで…。」
確かにそうだろう。さすがに「まずい」」と言えない。
だが、「おいしい」とも、言ってはいけない。

「おいしいって言っちゃったたんで、また翌朝も出てきちゃったんです。」
「そうでしょ…。やっぱり何か言うべきだったね…。」

これは、皆の教訓になるだろう。
本当に口に合わないのであれば、「おいしい」と言ってはいけない。

オーストラリアは、他民族国家。だから、その国独特のスパイスや、習慣がある。彼らはそれが普通だと思っているが、日本人には異種のものであることも多い。

他にも、食べ物系での、貴重な経験はいろいろあった。

「何が食べたい?」
と、聞かれて、思わず
「日本食」
と答えてしまったら、寿司屋に連れて行かれて、自分の食べた分の食事代を払うことになった、という話も聞いた。

中学生だから、まだまだ英会話レベルが低いので、それに伴ういろいろな誤解も多い。
ただ、この時期に海外でホームステイすることは、代えがたい貴重な経験となっただろう。

「ホストファミリーの娘との別れが悲しかったんです。」
とある女子生徒。
最後の晩に一緒にトランプをして、「おやすみ」をした。
朝、出発の時には、起きてきてくれなくて、そのままの別れになってしまったのだという。
「これって、オーストラリアだからですかね…。」
と不満げに話す。

「単に寝坊しただけだと思うけどね…。」

面白い旅の話は、ずっと続いた…。








怒りだした母親

「あなた、なんでここにいるの?」
三者面談中、息子の余りの不甲斐なさに、いよいよ母親が怒り始めた。
「三者面談だから…。」
「だったら、ここで何か決意して、自分がどう変わるかを言うもんじゃないの?」
「いや…。」
「何のためにここにいるか分からないじゃないの。私だって、先生だって時間を作って、あなたのために面談してるんでしょ。」
「…やらなきゃいけないから。」
「だったら、やらなきゃいいじゃないの。」
「三者面談ってやらなきゃいけないんでしょ。」
「やりたくなければ、自分で先生を説得しなさい。」
「あなたが、何も変わろうとしなければ、何も意味がないじゃないの。」
息子はのらりくらりだったので、私から質問を一つ。

「君が、今一番関心を持っていることは何?」
「理科です。」
「おー、勉強なんだ。理科の何?」
「飛行原理とか…。」
授業では、『飛行原理』など勉強してない。

「そりゃ、すごいじゃないか…。」
何だか、照れながらも嬉しそうにしている。
「だったら、どんどん調べて、勉強して、ノートにまとめていくんだ。」
「ノートですか?」
「そうだよ、自分で知ったことや、分かったことを、どんどんノートに書いていくんだ。君は、中1の時の偉人研究は誰だったっけ?」
「トーマス・エジソンです。」
「エジソンは、研究ノートを作っていたよね。たとえ、たとえ実験が上手くいかなくても、上手くいかなかったという事実を記録し続けた。それだってものすごい研究成果だ。」
「…」
「だから、君も、どんどん勉強したことをノートに書いていったらいい。勉強して分からないことが出てきたら、その分野も勉強するんだ。そうやっているうちに、自分が勉強すべき内容が見えてくる。」
「…」
「別に、興味がなくなったら、途中でやめてしまったっていい。次に興味が出てきた分野で、また同じ事をすればいいんだ。」
「はい。」
「将来、君がどんな仕事につくか、どんな生き方をするかは分からないけど、今だったら、そんな研究ができる。理科部でやったっていい。それ以外の時間で調べたっていい。自分の時間を使って、いろいろ研究することができる。」
「…」
「その、自分の時間を作るために、宿題とかきちんとやって、居残りさせられないようにするんだ。居残りになると、自分の時間が減ってしまう。」

母親が怒り出しては埒があかないので、仕方なく私がしゃべりまくって、面談を終えた。

「先生が担任で本当に良かったです。ベテランの先生で、本当にありがたいです。」
そう言って、母親は帰っていった。

最初からもう少し褒めれば、母親も息子に怒り出さずに済んだかも知れないな、と反省。
この先、どうなっていくかは、要経過観察というところか。









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