2018年10月26日

旅行業者に頼みたいけれど…

私の学校では、海外に行く時以外は、基本、旅行の手配を先生たちが行う。
つまり、旅行業者には様々な手配を頼まないのである。
そうしたカルチャーなので、確かに費用は多少(?)安くはなるが、その分その労力かなり大きい。

今回の遠足では、ベテランの先生に手配をお願いしたが、何度も何度も見学施設に連絡をして調整をしていただいた。食事のメニューから手配、アレルギー対応まで、なんだか旅行業者と同じくらいの仕事量だ。

当然、行程の中で、時刻の早まりや遅れも生じる訳で、その修正から、次の見学地への連絡はもちろん、臨機応変の対応。もちろん、入館料の支払いやら、事後処理やら、後日振り込みなどなど。
「ここまで教員にさせていいのだろうか…。」
とさえ思う。

遠足の予算は5000円。
「できるだけ、この予算内に抑えてくれ!」
と、事務長は言うのだが、数年前に貸し切りバスの最低料金が国によって決められて以降、バス代は大幅に値上がりした。
今回の遠足でも一人当たりのバス代は高速料金を加えると3500円を超える。そこに昼食代と入館料などを合わせて、ゆうに6000円を超えている。これでも、先生たちの昼食代は、生徒を指導しながら食べていても自腹である。

確かにこの金額に高くても数百円くらいだろうが、旅行者への費用がかかるなら、先生自身で、すべての手配をする方がいいのかも知れないが、それにしても負担は大きいと思うのだ。

海外への研修旅行が中3と高1で行われているので、大手旅行社との接点はある。
ただ、費用を限りなく低く抑えさせているので、旅行者にも大して利益をもたらしていないに違いない。

そんな中で、
「遠足も頼むよ…」
とは、言いにくい。

以前は、前任校やその前の学校から、旅行会社に電話一本でお願いできる知り合いの学校専門の担当者がいたが、今はもう疎遠になってしまった。

「旅行者に頼みたいんですが…。」
と、尋ねれば、
「いいですよ。予算内だったら…。」
と、言われるに決まっている。

どれだけの仕事量と、心労と、引率時の煩雑さがあるかを、全く理解していないのだ。
引率の生徒指導をしたことがないのだから、分からないのも当然だが、何とか説得したいな、と思う。

これだけの手配ができる先生は、私の学校には、ほんの何人かしかいないのだから…。












野口英世記念館

遠足で最初に尋ねたのは、猪苗代町にある、『野口英世記念館』だ。
野口英世が一度だけ日本に帰国してちょうど100年にあたる2015年にリニューアルされ、なかなか面白い展示内容になった。

夏に一度見てきたので、「遠足でも是非」と、先生方を説得し、見学地の一つに加えた。

私の学校では、中1の総合的な学習で『偉人研修』をさせているので、ほとんどの生徒が知っているが、ここまでわかりやすく、体験しながら学べる展示は他にないだろう。

販売されている書籍やマンガも、教材として使えるものばかりだ。
今回は購入してこなかったが、いずれもネットでも注文できる。

正面に磐梯山を望み、反対側には猪苗代を見る。天気も良かったので、その最高ロケーションの中で、野口英世の人物像から、功績、その生涯を学ぶことができた。

生徒たちはもちろん、先生たちにも、なかなか評判が良かった。
「次回も、野口英世記念館は外せませんね。」
という声は、やはり嬉しい。

引率者もきっちり入場料がかかるのだが、このリニューアルでかかった費用を創造すれば、仕方のないことだろう。

メモをしながら、展示内容をじっくり時間を掛けて見ている一般の方がいた。
何となく雰囲気が教員で、下見のように見えた。
「お行儀悪い生徒たちばかりで、すいません。」
と、心の中で謝る。

生徒たちは、展示を見ながら必死でワークシートを書いている生徒が多いので、傍目には頼もしく見えたかも知れないが、その動きは、中学2年生としてはちょっと幼い…。

退館時に、入館しようと整列している小学生とすれ違った。
5年生か6年生だと思うが、とても行儀良くきちんとしていた。
黄色の帽子をかぶっていなかったら、小学生なのか中学生なのか分からないだろう。

「先生、小学生に、『中学生だ!』って言われましたよ。」
と、小柄な生徒が私に報告する。

「そりゃ良かった。私服だったけど、中学生に見えたんだね。」

その言葉は、
「俺たち、真面目に見学しましたよ。」
と自慢しているようにも聞こえた。

彼らがそんな風に自覚しているのならよい。
こうやって一歩ずつ成長していくのだから…。

何だ、できるじゃないか…

今日は遠足。昼食は見学地併設の店で頂く。
店内の予約席まで、私が誘導。
私たちの席は小上がりになっていたので、靴を脱ぎ、「出船」にそろえて座席の指示。
そのとき、「私は靴を揃えなさい」とは言わなかった。
揃えた私の靴を見れば、同じよう脱いで並べると思ったからである。

学年生徒全員が上がったのちに、脱いだ靴を見ると、全員が「出船」にそろえてあった。
「指示しないでも、できたなぁ。」
と私はほくそ笑む。

せっかくの遠足なのだから、お子様向けのハンバーグだのカレーだのでは面白くないので、一般の旅行者が注文するような、少し高価な食事を選んでみた。

山菜のわっぱ飯に、野菜や茸の天ぷら、汁物はサトイモたっぷりの味噌仕立て、田楽味噌をつけた薄揚げ、などのメニューだったが、全員が完食してくれた。
片付けも、綺麗にできた。
「なかなかやるじゃん。」
と、心が躍る。

最期の見学地の講話では、全員が正座して、大きな返事をして、『什の掟』を唱和。

内心、
「返事が小さかったり、声を出さなかったら、どうしようか。」
と、思っていたのだが、きちんとこなしてくれた。

いろいろまだ指導すべきところは沢山あるが、とりあえず、遠足で出掛けた学校として恥をかかずに済んだ。

帰校後、学級委員になり立てのS君が、神妙な顔をして私の元にやってきた。
聞けば、バスの一番後ろに座っていた男子生徒のイタズラがひどかったそうだ。

「いろいろな人に迷惑を掛けていたにもかかわらず、自分は制止する力がありませんでした。すいません。」
と言う。

元気で明るいけれども、クラスで一番落ち着きがなく、すぐに流されてしまうS君。
学級委員になれば、本人の自覚と、その責任で、変わっていけるな、と思っていたのだが、遠足を通して、一歩成長したようだ。
「これからの精進だね。ありがとう。」
と、私は答えた。

思いも行いも幼く、周りからは、とても中学生には見られないだろうと思っていた遠足。
それでも、一定の収穫はあったようだ。

公園で、合唱コンクールのリハーサルをしていた地元の中学三年生の振る舞いには、遠く及ばないけれども、
「何だ、できるじゃないか…。」
と、感じた一日になった。












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