2018年10月16日

新人先生の洗礼

新人の先生が、珍しく興奮している。
「全然しゃべるのをやめないんです。注意しても、すぐに話は始めるんです。だから、今日は15分くらい説教しました。」
と言うのだ。

説教、大いに結構。ただし、それが生徒たちの心に響かなければならない。
ただ、先生が怒っているだけならば、
「ああ、また先生キレてる…。」
と思われ、結局何の効果もないのだ。

「ちゃんと聞いているのは、数人なんです。」
彼の授業は、十数人の少人数授業だ。

確かに時々授業を覗くと、先生説明していても、あらこちで後ろを向いて話をしていたり、何人もの生徒が、伏せって寝ている。これまで『一人たりとも寝ている生徒を許さない』という姿勢がなかったために、生徒は寝ていても大丈夫だと思っている。その上、疲れたら寝る。
「だって、眠いんだもん。」
となる。

眠くなるのは、授業が分からないからだ。

だから授業を聞かせるには、分かる授業をする。分かる話をする。
生徒が聞いていて、興味のある、面白い話も織り交ぜる。
集中と弛緩を織り交ぜ、授業にメリハリをつける。

学校の授業は、進学塾のように、「分かるようになりたい」と思っている生徒ばかりではない。
そうした生徒をも、「何となく面白いじゃん。」、と思わせるような工夫が必要なのだ。

聞いていて分かる授業ならば、授業を聞かせるようにすればいいのだが、残念ながら、彼の授業は教えようとする内容が多すぎて、どこがポイントか分からず、聞いていてもよく分からない。
おまけに、ぼそぼそっと話をする。言葉に覇気がないのだ。

「中間テストの平均点30点台になってしまいました。点数が一ケタの生徒も5人いるんです。」

私は、いろいろとアドバイスをしながら、「いよいよ生徒たちの洗礼が始まったかな」、と思った。
政治のハネムーン期間のように、生徒たちは、はじめはおとなしくしている。先生の反応を見ながら、品定めをしているわけだ。

新人先生が、授業を担当して間もなく二ヶ月。
「これからが正念場だぞ。」
と、心の中で思いながら、一つひとつ授業のポイントをクリアさせなければ…と、計画を練っている

算数チャチャチャ

私の授業では、忘れものをした生徒は歌を歌うことにしている。
その歌の一つが『算数チャチャチャ』である。
山口和義作詞、作曲。かつてNHKの「みんなの歌」で、ペギー葉山が歌ったことが始まり。
その後何人かがカバーしているが、私は男性が歌っているものを、授業で流している。
忘れた人が主旋律を歌い、他の人が、チャチャチャを入れる。

『算数チャチャチャ』と言いつつ、歌詞は、
一番が、ルートの有理化(数学T)、
二番が、三角比(数学T)、
三番が、三角関数のグラフの平行移動(数学U)
と、内容は数学なので、とても小学生や中学生に理解できる内容ではない。
「みんなの歌」で放送されていた頃、小学生が歌詞も分からずこれを歌っていたとすれば、驚きだ。
ただ、歌っているうちに歌詞を覚える生徒もおり、ルートだのサインだのを覚えて、何となく背伸びをした気になったかも知れない。

一番の歌詞を式にすると、

chachacha-1



こうなるが、この方法は通常授業では習わない。
教科書では、

chachacha-2



と解く。

今朝の授業は、久しぶりに忘れものをする生徒が多かったので、
「先生、今日は『算数チャチャチャ』にしましょう。」
となった。

ルートの何たるかも分からないまま、歌っている中学一年生の姿は、ほのぼのする。
一学期に『算数チャチャチャ』を紹介したときに、ルートの話をしたので、何も違和感なく歌っている。

私の担当するクラスでは、中学生のうちに、三番までが理解できるようになることを目指しているのだが、それでも一番を学習するのは中2の一学期、二番を学習するのが中3の一学期、三番の解説を受けるのが、中3の二学期になる。

『算数チャチャチャ』は、算数(数学)に関する歌は、きわめて少ない中で、貴重な授業ツールでもある。

歌詞の一番も、通常の有理化とは違って、テクニカルな方法で解いているので、速算有理化の方法としても使えるのだ。

ちなみに、『算数チャチャチャ』一番の歌詞は、こんな感じ。

ルート2プラス1分の 2プラスルートの2 チャチャチャ
算数チャチャチャで解きましょう
それほーら もうできた チャチャチャ
分子をルートの2でくくり チャチャ
ルート2プラス1 チャチャチャ
そのルート2プラスの1で チャチャ
分母子を訳せば
答えは簡単たったわずかのルートの2となるよ
チャチャチャ

パッパッパーヤ パッパッパパーヤ
パッパッパーヤ パッパッパパーヤ
パッパッパーヤ パッパッパパーヤ
チャチャチャ
パッパッパーヤ パッパッパパーヤ
パッパッパーヤ パッパッパパーヤ
パッパッパーヤ パッパッパパーヤパ


パッパッパーヤの部分はノリがいいので、昨年の文化祭のクラス劇で振り付けをつけて踊りにしてみた。

忘れ物に対して、厳しく叱責することもあるが、時にはこんな方法で、忘れ物防止作戦を展開している。
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