2018年10月06日

ベスト8おめでとう!

中2の頃は、ヤンチャで先生たちを悩ませ続けたY君。中3になると大分落ち着いてきた。
数学の習熟度でも、私のクラスに上がり、急に勉強熱心になった。
先日彼のノートを見たが、
「なかなかやるじゃん。」
という感じだ。

もともとはバスケットボール部だったY君だが、総体が終わり引退すると、テニス部に移った。
テニスと言っても、ソフトテニスではない。硬式テニスだ。
だから、まだ中学3年生が出られる大会がある。

今日は、その初戦。入部一ヶ月して最初の大会だ。
本来試合は、先週だったのだが、台風21号の本州上陸のため、今日に延期になったのだ。
来週から中間考査なので、日程的にはちょっとキツい大会になった。

早速報告を聞く。
「大会はよ。」
「俺、勝ちましたよ。入部一ヶ月で…。」
「そりゃすごい。」
すかさず、一緒に大会言ったA君が言う。
「ベスト8ですよ。」

硬式テニスは中体連の大会ではないので、地区大会を飛ばしていきなり県大会。
一度勝てばベスト8なのだそうだ。しかも、対戦相手は、同じ学校の一年生。
「そりゃないぜ…。」
と思ったが、まずは勝利を祝福してあげよう。

以前は、授業を抜け出す常習で、ちょっと甘い先生の時は、いつの間にか教室からいなくなっていた。
そのたびに、学年の先生が探し回る…という訳だ。

よく、男子トイレに隠れていたので、私は彼らを、
「トイレ同好会」
と呼んでいた。

あるとき、彼らに、
「先生、俺らの顧問になってください。」
と、「トイレ同好会」の顧問を頼まれたこともある。

あの頃から思えば、見違えた。別人だ。人は、こうも変わるものか…。

今年の中3は、そういうタイプの生徒が多い。
文化祭でも最優秀賞を取ったし、いろいろな学校行事でも結構ポイントを上げている。

「うちの教室のロッカーぶち壊し、開かなくしたのは、今の中3なんだけどな…」
などと、時折ぼやきたくはなるが、そこは教員の甘いところ。

「終わりよければすべてよし」
的になり、かつての悪行は忘れてしまう。

教員の悪いクセだな。

とにかくY君。
「ベスト8おめでとう!」

職員室の『マスク』と『のど飴』

朝晩は涼しくなり、感染症のシーズンが近づいてきた。
そんな折、職員室に『マスク』と『のど飴』が置かれた。

『おつかれさまで。ご自由にお使い下さい。「マスク」と「のど飴」です。』
という張り紙がしてある。

養護の先生が気を利かせて置いてくれてたのだ。

正直、こういう心遣いには感動する。
何気ない、些細なことかも知れないが、こんな配慮一つで、職員室内がほっこりする。

この張り紙が、
『一枚20円、一個10円でお願いします。』
などと書かれたら、幻滅するだろうし、
「余計なことするな。」
と思う人も出るかも知れない。
同じ心遣いには違いないが、何か違う。
その違いは、金額云々というよりも、その思いだろう。

「よーし、のど飴がなくなっていたら、私が補給してあげよう。」
という気持ちにすらなる。

張り紙はカラフルに書かれており、そこにはイラストまである。
今は、ちょうど試験前なので、生徒が職員室に入室することはできないが、この張り紙を生徒が見たら、はやり『感動』するに違いない。

私は、自分のクラスにもマスクを置いてある。
咳をしている生徒を見つけると、さっとマスクを差し出す。
もちろん、私に断らずに、自由にマスクを使ってもよい。

保健室に行けば、マスクはもらえるのだが、保健室に行くことを面倒がって行かない生徒もいるわけで、それはそれなりに、効果はある。

ちなみに費用は私のポケットマネーだ。
「そんなことされると、全クラスに置かなきゃいけなくなるので迷惑です。」
ここは社会主義の学校ではないので、こんなことは絶対に言われない。この程度のことは担任の自由裁量に任されている。各クラスとも、工夫しながら学級運営がなされている。

私は、喉を痛めると、完全に治るまで一ヶ月近くかかるので、本当に『のど飴』はありがたい。
もちろん、自分の在庫が万一切れたときに、緊急時にいただくという訳だが、なんだか一日が楽しくなりそうな出来事だった。

H君の歌

久しぶりに顔を見た高3のある生徒に、
「やぁ、ミッキー」
と声をかけた。

「勉強、楽しいか?」
私は、教え子の高3と出会ったときは、必ずこう、声をかけることにしている。

「楽しいです。」
たいていは、こう返してくれる。
しかし、不覚にもそのとき名前を忘れていた。あれ、本名なんだっけ…。
そして歌を思い出す…。あぁ、H君だ。

彼ら高校3年生が中学3年生だったとき、私は担当の生徒一人ひとりに歌を作った。
オリジナルというより、替え歌である。おもに童謡にフルネームを当てて、授業中に指名するときは、歌を歌ったのだ。それぞれの歌が決まっており、私が何やら歌い始めたら、その歌の生徒が答える、という仕組みである。

H君の歌が、めずらしくミッキーマウスの歌だったので、私の授業中では、彼を『ミッキー』と読んだのだ。

「生徒にあだ名をつけるなんて、けしからん。」
と、お叱りを受けそうだが、あれもだめ、これだめでは、先生たちも『やってられない』と感じるだろう。もしかしたら、そのあたりが、昨今の「教員ブラック思想」につながっているのかも知れない。

「失敗したら謝ればいい。」

そういう気持ちがなければ、何もチャレンジはできないし、前例主義にそって行動するしかなくなる。

「失敗しないのは、チャレンジしてないから」
なので、自分のいい加減な行動で失敗したのではない限り、上司は、失敗には寛容であるべきだろう。

同じ失敗を重ねない、ということも、進歩の一つだ。

今でも、時折彼ら高3とすれ違うと、私は歌を歌う。

「先生、懐かしいですね…。」

「懐かしいのは、君だけではないんだよ。元気に活躍している君の姿を見て、私も懐かしんでいるんだよ。」
と心で思って、最大限の笑顔で応える。

教師にとっての、ささやかながらの幸福感を得られる一場面だ。
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