2018年10月05日

夢の中でも生徒指導

久しぶりに午後休みを取った。
今はちょうど、中間考査前なので、試験の作問のことは一時忘れることにして、のんびり自室で過ごした。クラスのことは、副担任の先生にお願いし、それでも気持ちだけは、完全に解放しないようにして、ベットに横になる。

完全にお休みモードになると、事件が起こるので、言って見れば、『意識の一部を学校に残したまま、家で過ごす』、というような感じである。

学校を出たのが、13時30分くらいで、遅い昼食を食べていたら、あっという間に夕方になった。
途中、携帯に電話がかかってきたが、急用ではなかった。
急用なら、スクランブル発進(緊急出勤)が必要になる。

「こんな状況じゃ、休めないじゃないか。」
と、思われるだろう。そのとおり。完全休養はできない。
できないけれども、かすかに身体を休ませることはできるし、少し眠ることもできる。

ところが、最近は夢見が悪い。
つまり、夢の中でも、生徒の相手をしているのである。
引率している夢であったり、今日のも、夢の中で生徒指導していた。
寝ぼけていると、夢なのか現実なのか、分からなくなることもある。

私は、24時間教師であることを苦痛には思っていないが、ちょっと身体を休めたい時に見る夢が、日中の延長のようなものだと、あまり休んだ気がしない。

私の学校では、「時間休」なるものが認められている。
「お疲れの時は、授業等に差し障りのない程度で、お休みされても構いません。」
ということである。

幸か不幸か、○時間労働という感覚はないのである。ひょっとしたら、
「教員たる者、24時間気を許すな。」
というわけだ。

当然のことながら、残業だの、超過時間勤務という発想もない。
「必要ならば仕事をしなさい。業務に差し障りのない範囲で休養をとり、健康も自己責任で管理しなさい。」
実は、管理された勤務体系より、こちらの方が難しい。

私の朝の出勤は早いが、夜は比較的早い。逆に、朝は打ち合わせギリギリだが、夜は遅くまで勤務している人もいる。
土曜日も授業。これに日曜日も仕事や出張が入れば、どこかで代休を取りたいところだが、そういうシステムはないので、自分で日程を決めて、一日休みにするか、時間休にする訳だ。

労働者としてみれば苦しいが、聖職者としてみれば当然の勤務体系だろう。

勤務スタイルについて、私は不満はない…。

「今夜の夢が、日中の続きだったらどうしよう」
と、いう一抹の不安を抱えつつ、間もなく就寝につく。

F君の「死ね」

人間は、人生の中で、「どん底に落ちたとき」か、「最高に調子の良いとき」にその人の本性がよく分かると言う。

中学生は、まだまだ短い人生だから、このどちらもなかなか経験できるないだろう。
しかし、運動などをして、ふと気持ちがリラックスしているときには、その人の本性が見えてくることが多い。

本性とは、本来持っている性格である。
普段は、教室で、先生の言うことを聞く(ふり)をして、それなりに指示に従っているが、いざスポーツとなると、白熱している間に、自制心が少なくなり、本音が出る。抑えていた思いが飛び出してくるという訳だ。

私の学年は、運動部に入部し発散する生徒が極めて少ない、異常値の状態なので、彼らにとっての本性が現れるのが「体育の授業」になっている。

人によっては、身体を動かすのは、週に3時間ある体育の授業だけ。
何キロも歩いたり、自転車に乗って通学することもないから、圧倒的に運動不足なのだろう。
小柄なF君は、いつも
「疲れた」
と、連絡ノートに書いてくる。

授業中も、だらっと手を伸ばし、その上に顔を載せ、起きているか起きていないんか分からない授業を受けていることも多い。

もともと地頭が良いので、おそらくどの授業も理解していると思うが、とにかく何事においても、
「めんどくさい。」
「疲れた。」
となる。

そんなF君だが、私には頭が上がらないようで、私の頼み事は、ほぼ責任をもってこなしてくれるのだ。

ところが、体育の時間は違った。

自分の気に入らないことが起こると、
「死ね」
と叫ぶ。

普段は、私から抑圧されているのか、この体育の時間ばかりは、本音というか、心に溜めたものがどんどん吐き出されるようである。

ここで、吐き出してバランスをとっているのかもしれないが、言われる方は、不快極まりない。

「F君、一緒に片付けようぜ。」
「死ね。」

「ちゃんと並ぼうよ。」
「死ね。」

矛先の相手は、同級生のみならず、先輩だろうが後輩だろうが、先生だろうが関係ない。
気に入らないことはすべて
「死ね。」
となる。

私も、陰で言われているのだと思うが、今のところ面と向かって言われたことはない。

おそらくは、孤独感と愛情不足だろう。

「寂しいんだろな…。」
と、一日も何度も声を掛ける。

そんなときのF君は、まんざら迷惑ではなさそうだ。
「結構、心優しい、イイ奴なんだけどな…。」

天真爛漫なS君

昨年入学してきたS君、天真爛漫な生徒だ。

入学早々、小柄なために、先輩から「チビ」と言われて、母親が烈火の如く抗議してきた。
その後、その先輩は、謝罪させられた。

「夜はきちんと寝ないと、成長しない。身長も伸びない。」
と、折に触れて警告しているにもかかわらず、毎日夜中まで起きている。
そのため、朝も昼も夕も、よく寝る。

「起こすと怒るんです。」
時折、担当の先生たちから報告を受ける。

時折、肩をぽんぽんと、起きることを促しても、邪険に手を払うこともあるのだから、けっこう重い。

補習で呼び出しても逃げ回るか、どこかに隠れる。だから、帰りの会が終わって、廊下で捕まえなければ、取り逃がしてしまう。

先日、出身小学校の校長と話をしたら、
「S君、どうですか。まだ逃げ回っていますか?」
と言われた。昔から逃げていたわけだ。

「親の言うことは聞きません。」
とも言われている。親の言うことを聞かないのに、先生の言うことを聞くとも思えない。事実、先生の指示はなかなか通らない。

それでも、私の言うことは、少しは聞いてくれるようで、しぶしぶながら、取り組もうとする。

だが、私と話をするときでも、決して私の方は見ない。
「おーい、S君」
と、声をかけても、振り返ることもしなければ、立ち止まることもない。淡々と自分のことをするのみである。聞いているのか、聞いていないのかも分からないが、その後の動きを見ると、どうやら聞いているようではある。

「ガンガン言っても、反発するだけなので、最近は、やさしく褒めながら接しているんです。」
親御さんも、かなり手を焼いているようだ。

自分とは関係ないところでは、結構気が利くところもある。

時期が過ぎれば安定すると思うので、それほど心配はしていないのだが、周りの先生は、校長の息子S君にヒヤヒヤするばかりである。
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