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2020年11月02日

あなたが生まれて…

『あなたが生まれて世界は美しくなりましたか。世界はよくなりましたか』という歌詞で始まる歌を聴いた。

メロディよりも歌詞にドキッとした。

今月誕生日を迎える私は、還暦に近くなってきた。
いつの間にか、こんなに歳をとったのだろうか。

ただ。「あなたが生まれて世界は美しくなりましたか。よくなりましたか?」、問われれば「否」である。

これまでの人生、私は漫然と生きており、人や社会の役に立っているとは思えない。
ましてや、世界が美しくなったとも思えない。

世界が美しくなるとは、世の中から少しでも「悪」が消えるということだろうし、人々が幸福に生活して行ける社会や国家が形成されているということだろう。もっと、卑近なものでは、「家庭や、自分の周りの友人が幸せになり、ポジティブで明るく爽やかな人生を送れるようになったかどうか」、を問われているのだろう。

このような人生を生ききることができれば、人生は成功したと言えるらしい。

美しい世界になるためには、人々の心そのものが美しくなければいけないはずだ。

激しく感情がぶれたりする心の状態では、心の美しさは得られない。

平らかで、波打たず、凪の時の湖面のような穏やかな心の状態を維持し続けなければならないはずだ。

もちろん、こうした生き方をするのは難しい。
一人、山に籠もって、外界との交流を遮断したからといって、こうしたここの状態を作れるとは限らない。

ましてや、「それぞれの仕事で、多くの人と関わる中で、いかに心を磨くことができるかどうか」、は宗教家であっても難しい修行課題だろう。

私は、「まずは一人かな…」、とも考えた。
たった一人、私が生きていることによって、「あなたがいてよかった。あなたの生き方から学ぶことができた」、という人が出てくれば、まずは良しとするべきか…。

それとも、人知れず、誰かの役に立てる仕事をし続けようか…。

いずれにせよ、私自身の生き方すらも変えてしまいそうな、恐ろしい歌詞である。

およそ心の世界の探究をしている人であるならば、必ずやこの歌詞に心を揺さぶられるに違いない。

この言葉は、しばらく私の心から消えそうもない…。


悲しみから喜びへ


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