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2019年06月24日

顔を上げてごらん

近隣の学校では、不登校生徒を学校の先生が迎えに行くそうだ。
車で迎えに行き、そのまま学校に連れてくるという。

本来、そうしたサービスはないのだが、「自分の学校の生徒」という思いが強ければ、学年、学校をあげて、自宅まで迎えに行くことになる。

都市部の強気の私立学校ならば、放っておかれて、一定期間後に、「出席日数が足りなくなりました」、と、退学なり転校を促すことになるのだろう。

私が最初に勤めた学校で、高校で初めて担任を持ったとき、オリエンテーション期間に行った遠足に行きそびれた生徒が、そのまま不登校になった。

現地集合だったが、集合時間に間に合わず、そのまま帰宅してしまったのだ。

初めて担任した私は、彼の家に何度も家庭訪問をした。
そのたびに、両親は快く迎えてくれたが、不登校になった理由は、彼らも分からなかったようだ。

生徒は、何かきっかけで不登校になることがある。
それは、ほんの些細な事なのだから、それが引き金になって、どーんと心境が落ちていく。
彼の場合、遠足がその引き金になった。

以来、彼は一度も登校することなく、学校を去って行った。
その間、私は週に一度程度、家庭を訪ね、彼のそばに寄り添った。

彼の名前は『ユースケ』と言う。
昼夜逆転してゲームをして過ごし、家族とは一切顔を合わせず、部屋には鍵を掛けて閉じこもる。
腹が減ると、冷蔵庫をあさって、何かを食べるが、それは家族が寝静まったあと。
彼がしているゲームの主人公名も『ユースケ』だった。

私は彼の部屋にも入れたが、大した会話はできなかった。
おそらく彼は、「自分は最初に躓いたのだから、もう学校に行く気はない」、と心に決めていたのだろう。

今から、もう三十年近く前のことだ。

昨日、ある担任が、不登校になった生徒の家庭を訪ねた。
本人を励ますため、友人3人を連れ、遠くの町に引きこもってしまった彼のもとを訪ねたと言う。
往復6時間の運転は、さぞかしお疲れだろうが、おそらくは、「やるべきことはやっている」、という自負はあるに違いない。

「先生、昨日○○君と卓球とテニスをしてきましたよ。」

嬉しそうに話す彼は、○○の友達だ。

結局、今日から登校することはなかったが、これが別の引き金になるといい。

人は、心境が落ちると、なかなか上がってくるのが難しいものだ。
かく言う私も、まだまだ浮上しきれていないかも知れない。

彼らに必要なのは、同情ではなく、信頼と承認だ。
自分の存在が認められ、承認されてこそ、帰属意識が芽生えてくるのだ。

こんなときに、「人は助け合って生きているのだな」、と改めて思う。

『そんなに頑張らなくてもいいけど、少し顔を上げてごらん。空には虹が見えているから…。』




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