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2018年09月28日

魔法の言葉

新人戦一回戦。私が審判をした試合は、なかなか発熱したゲームとなった。

監督のY先生。これが、ピカイチの褒め上手。
どんなプレーが出ても、褒めて褒めて励まし続ける。

「いいよ。○○君。全然OKだ。」
「大丈夫大丈夫。全然大丈夫。次があるから。」
「すごい。すごいよ、今のプレー。最高!」

この声かけで、明らかに格下のはずのY先生率いる学校のチームが、相手校と互角に勝負をしている。

ミスが続いて、チームが沈滞ムードになっても、
「大丈夫か。先生の力なくても、自分たちで立ち直れるか。」
と、まさにプラス思考のオンパレードだ。

部員は12名。9名が守備につくと、ベンチに残っているのは3人だけ。
守備についた選手も、半分くらいは小柄な一年生のようだ。

こんな場面もあった。
サードの選手が、レフトの選手に
「△△、声だせ。」
と叫ぶ。レフトは、
「おーい。」
やや頼りない声。すると、
「もっと出せ。」
とサード。レフトは
「これで限界。」
と、うそぶく。

こんなやりとりをしているくらいだから、強豪チームというにはほど遠い。
それでも、度重なるピンチを抑えるなど、いい試合展開だった。
これも、Y先生のスーパーポジティブな声のおかげだろう。

終盤になって、ピッチャーがミスをした。
ゴロを捕り損ない、落としたボールを、崩した体勢で一塁に送球したため、そのボールも逸れてしまい、ピンチを広げてしまったのだ。

このとき、
「何してるんだよ。」
と、ショートの選手がピッチャーを責めた。
この一言で、Y先生の魔法の言葉は消えた。

その後のY先生の言葉は、ただただ虚しく響くだけになり、ミスを連発。これまで互角に戦っていたチームは、坂道を転がり落ちるかのように、崩れていった。

「野球の神様は、Y先生の学校ではなく、対戦校を応援し始めたのだな。」
と思いながら、審判を続けたが、程なく試合終了になった。

「Y先生の声かけ、すごいですね。」
私は、一緒に審判をしていた同僚の先生にも尋ねてみた。

「練習試合していても、保護者から相手チームまで、Y先生ファンが増え続けているですよ。」
納得である。最近の子供たちは、この方法でしか育てることができないのかも知れない。

「Y先生は、生まれつきの才能ですね。」
私には、とても真似することはできない。
「私も無理です。」
お互い、顔を見合わせる。

「素晴らしいバッティングをしても、走塁が不十分だと、まずかった走塁の方を責めてしまうんだよね。」
「『ナイスバッティング。でも、そのオーバーランじゃ駄目だ。打った価値が消えたわ。』という感じですね。」

言葉の後半にマイナスを入れると、全体にマイナス表現になる。

初戦敗退となったため、Y先生の魔法の言葉は、しばらくお預けになりそうだ。
今度、練習試合をお願いしてみよう。
posted by 丹澤三郎 at 16:45 | Comment(0) | 教育活動
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