2020年12月28日
ケムナ投手の今季の反省と来季への決意!
プロ3年目ケムナ誠。大量失点の翌日に4番からかけられた一言。
12/28(月) 12:01
配信
広島アスリートマガジン
150キロを超す直球を武器にリリーフとして頭角を現したケムナ誠投手。
佐々岡体制1年目となった2020年のカープは、投打の歯車が噛み合わず2年連続Bクラスに沈むこととなった。だが悔しい試合が続く中で、積極的な若手選手の起用など、来季への光が見えたシーズンでもあった。
ここではプロ3年目の今季41試合に登板するなどブレイクを果たしたケムナ誠に、フル回転した2020年シーズンの手応え、そして来季の目標を聞いた。
◆2021年こそキャンプからのスタートダッシュを目指す
― 秋季練習にはどのような意識を持って取り組まれていたのでしょうか?
「一球一球しっかり球を投げこんで、自分の球の質を高めることを狙いとしていました。特に対右打者への攻め方ですね。どうしても右打者に対して外角中心の攻めになり踏み込まれてきたので、もっと内角を攻め込んでいきたいです。現状では内角を狙った時に上体が突っ込んで、弱い球が行ってしまっているケースもたくさんあったので“狙ったところ”に“強い球”を投げることを意識しています」
― 打者に対する攻め方は昇格直後と終盤で変わってきていたのでしょうか?
「基本的に最初の方は直球とスライダーが投球の中心でしたね。それまではカーブも投げていたんですが、カーブは曲がり幅が大きくストライクに投げられる自信が当時はあまりなかったので。シーズン終盤になってカーブが安定してきてからは、直球とカーブのコンビネーションが活用できていましたね。打者の反応も良かったですし、それを序盤からできたらシーズンの数字が変わっていたかと思います」
― 結果を残すことで、徐々に任される役割も変わってきましたが、ご自身の意識に変化はありましたか?
「そこまで意識の差はなく、大量点差があるビハインドでも、僅差の場面でも同じ緊張感で投げていました。ただ、終盤にかけてセットアッパーという立場で投げさせてもらうこともありましたが、塹江(敦哉)のすごさを改めて感じました。緊迫した場面であれだけ投げ切っているのは尊敬しますし、後輩ですけど見習うところ、教わるところはたくさんあります。実際シーズン中に自分の考えを塹江に話してみて、いろいろ意見をもらうこともありました」
― 年齢関係なく良い部分は取り入れていくというスタンスなのですね。
「私生活になれば年齢によって上下関係があるかもしれませんが、野球においては年齢なんて関係ありませんから。自分より技術がある人、うまい人から何か取り込めないかといつも考えています」
― イニングによって投げにくさなどはありましたか?
「投げにくさという訳ではありませんが、7回と8回では雰囲気が全然違いましたね。7回はまだ中盤で動きがあるイニングなんですが、8回は終盤なんですよね。接戦時に8回に1点を失ったりすると、すごくダメージが大きい印象です」
― 結果が出なかった時の気持ちの切り替えについて意識した部分はありますか?
「8月1日の巨人戦(東京ドーム)で2回7失点した試合はさすがに次の日まで引きずりました。顔も暗かったようで(鈴木)誠也さんから『顔が死んでるぞ。切り替えていけ』と言われたんです。その一言で吹っ切れた部分はありましたし、ありがたい言葉でしたね。もちろん試合で打たれたら落ち込みますが、今は『それを引きずっていてもしょうがない』というのが僕の基本的な考え方です」
― 今季はご自身の中でも“ガムシャラ”に突き進んだ1年だったと思います。来季はどのようなシーズンにしたいかイメージはされていますか?
「2020年は初めて一軍に長い間帯同することができ、実質1年目のようなものだったと思います。来年は今年以上の成績を当然求められると思いますが、必死さ、ガムシャラさは変えずにやっていきたいです。ただ自分一人で背負いすぎて空回りしてしまうとダメだと思うので、ほどよくチームのために必死にやっていきます」
― 来季に向けて新たに変化させていきたい考えなどはあるのでしょうか?
「直球を狙ったところに投げ切りたいという思いはありますが、そもそもコントロールが良い投手ではないので、ベースは変えないつもりです。元々独特の投球フォームで、誰か現役の投手などで理想像があるわけではありませんしね。今は技術どうこうではなく、とにかく力強い球を投げることが求められていると思います。強い直球を投げ込んで流れを持ってくること、打者と勝負していくことが大事だと思うので、そこは継続していきたいです」
― 2020年はキャンプでつまづいてしまっただけに、このオフにかける思いは強いのではないでしょうか?
「そうですね。昨年とは全然違います。昨季はオフシーズンに入ってからは肩を休めようと思っていて球に触らなかったのですが、それも良くなかったのだと思います。自分は不器用なので、投げ続けていかないといけないということですね。正直今季の春先は後悔したことも多かったですが、自分を知るという意味では勉強になった部分もありました。当然同じ失敗は許されないと思っているので、しっかりキャンプからアピールしていきたいです」
― 最後に来季の目標をお願いします。
「今季は中継ぎでしたが、来季どこで投げるかはチームの事情で変わってくると思います。一つ言えるのは、先発でも、中継ぎでも、とにかくチームに貢献したいということです。チームに貢献したという自負をしっかりと持った上で優勝したいですね。とにかく自分が必要とされたところで、結果を残して信頼を得ていきたいです」
広島アスリートマガジン編集部
今季中継ぎにケムナ投手がいなかったら、カープのリリーフ陣はズタボロになっていたと思います。塹江投手と共に、今季中継ぎの功労者ですね。
ドリヨシはケムナ投手が今季ここまでやってくれるとは思っていませんでした。実際に1軍のマウンドに立つと、力強いストレートを中心に攻めのピッチングを展開し、相手打者を翻弄しました。シーズン終盤はカーブとのコンビネーションもバランスが良くなり、より安定した内容になりました。
インタビューの記事を読むと、ケムナ投手は冷静に自身を分析しているなと感じました。それだけに今季の登板は彼にとってはかなり貴重な経験になったと思います。来季も基本はリリーフとしての活躍が期待されますが、来季は即戦力の投手も入ってきますし、新外国人投手もやってきます。今村投手、一岡投手らの中堅のピッチャーの復活があれば、ブルペンピッチャーもし烈な争いになりそうです。なのでケムナ投手も来季のポジションが保証されている訳ではありません。さらなるレベルアップで、来季はリーグ優勝、日本一に貢献できるキーマンになって欲しいですね。
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