2021年09月06日
ドラフト5位行木投手のプロにかける思い
投手歴は4年。わずか10試合の登板でプロ入りを勝ち取った行木俊の1年目の誓い
9/6(月) 12:01
配信
広島アスリートマガジン
1年目の今季は、まずは体力強化を中心に調整を続けていく行木俊投手。
カープの未来を担う若手選手の声をお届けする蔵出しインタビュー企画。今回取り上げるのは、ドラフト5位で入団したルーキーの行木俊。2021年の開幕前に行った独占インタビューから、無限の可能性を秘めた伸び代だらけの本格派右腕の言葉をお届けする。
(広島アスリートマガジン2021年4月号で行ったインタビューをもとに編集)
◆ケガなくキャンプを完遂。1年目は体力強化に特化
―初めての自主トレと春季キャンプを終えての、率直な感想をお聞かせください。
「プロ野球選手になったという実感がなかったんですけど、ようやくプロに入ったという実感がわきました。初めてのプロのキャンプということで、ケガなく終われたことは良かったと思います」
―先輩投手に何かアドバイスを求めたりはされましたか?
「自分から聞くことはあまりなかったのですが、見て学ぶことができたので、そこは良かったと思います」
―一軍クラスの投手の生きた球を見て、やはり勉強になる部分が多かったですか?
「間近ではあまり見ることができなかったんですけど、コントロールがすごかったです。またブルペンではあるんですが、マウンド裁きとかそういうところも本当に一流だと感じましたし、プロの一軍で投げられている投手だなと思いました」
―行木投手はどのようなところを意識しながら練習をしていましたか?
「一番意識したのはケガをしないということです」
―確かに独立リーグ1年目は、右肩のケガで登板がありませんでした。
「そのときの経験がいま活きています。登板はできなかったんですが、その1年間はすごく勉強になった1年でした」
―本格的に投手を始めたのが高校3年で、独立リーグでの初登板が昨年の6月。投手としては実質4年目ですが、春季キャンプで伸びた実感はありますか?
「自分的には納得のいかないキャンプだったというか、あまり状態も良くなかったので、ここからなんとか状態を上げていきたいと思っています」
―どのあたりが良くなかったのですか?
「対バッターというところで全然結果を残せず、良いアピールができませんでした。ここから徐々に仕上げていって、しっかりアピールして一軍に上がれるように調整を重ねていきたいです」
◆選択肢はプロ入りのみ。覚悟を持って独立リーグへ
―行木投手が野球を始めたきっかけを教えてください。
「小学1年の時に野球をやっていた兄の影響で始めました。いろいろなポジションを守りましたけど、高学年のときは主にキャッチャーをやっていました。中学のときはシニアのクラブチームで、ショートやセカンドなどを守り内野手としてプレーしていました」
―どのような経緯で高校3年から投手に転向されたのですか?
「昔から肩には自信があって、小学生の頃に少しだけ投手をやっていた時期がありました。それで高校のときに遊びで投げてみたら一番球が速いということで、周囲から勧められて投手をやることになりました。高校2年のときも投げてはいたんですけど、本格的に始めたのは3年からですね。2年のときは先輩と入れ替えで、サードと投手をやっていました」
―徳島インディゴソックスに入団した経緯も教えてください。
「高校の先輩が徳島からNPB入りを2年連続で果たしていました。自分に近い存在の先輩だったので、自分もプロの世界でやりたいという思いで独立リーグに進みました」
―本格的に投手を始めたのが高校3年ですが、プロを目指すことに迷いはなかったですか?
「正直、自信はなかったです。高校野球も1回戦敗退ですし。でも負けたときの悔しさは人一倍強かったと思います。1回戦で負けたときは『まだ野球がやりたい、もっと上で野球をやりたい』という思いでいっぱいでした。自分は大学からの誘いはなくて、あったのは独立リーグからだけでした。その頃は『プロを目指す以外で野球はやらない』と決めていたので、覚悟を持って独立リーグに進みました」
―しかし1年目はケガで登板できませんでした。さまざまな葛藤があったのではないでしょうか?
「もちろんありました。肩が痛くて試合にも出られなくて、周りの先輩や同級生は試合に出てお金をもらっているのに、自分は給料ももらえなくて……。1年目は裏方で選手を支える側の立場だったので、何をするために独立リーグに来たんだろうと思い悩むこともありました。そのときは両親に支援してもらいながらやっていたので、すごく迷惑をかけているという気持ちがあって、本当に葛藤しかなかったです」
―それが昨年6月に初登板を果たすと、わずか10試合の登板でドラフト5位指名を受けました。
「誰も想像していなかったと思います。調査書は届いていましたが、自分もまさか指名されるとは思っていなかったのでびっくりしたというのが正直なところです。ただ、諦めかけたこともある中で、自分なりに考えてやるべきことはやってきたという気持ちもありました」
―ご家族も相当喜ばれたのではないですか?
「プロで活躍して両親には必ず恩返しをしたいと思っています。また、友人からは、ずっと『お前なら大丈夫』と励ましてもらっていました。ここまで辿り着けたのは、友人のおかげでもあるので本当に感謝しています」
―今年は体力強化がメインになるのでしょうか?
「強化選手として練習させてもらっているので、そこでしっかり一年間戦えるケガをしない体づくりを慌てずにやっていきたいと思います。そして投げられるようになったときに、必ず良いアピールをしたいと思います」
―若い選手の台頭が見られます。刺激になるのではないですか?
「もちろん励みになりますが、同時に悔しさもあります。同級生が試合に出ているのに、自分は何をしているんだという気持ちもあるので早く一軍の舞台に立ちたいという思いがあります」
―現時点で自信のある球種を教えてください。
「真っ直ぐとスライダーです。スライダーは昨年の夏に習得した球種ですけど、自信のある球になっています」
―入団会見で「まだ広島のことはよく分かっていない」とコメントされていましたが、あれから印象は変わりましたか?
「コロナ禍ですし、あまり外出もできていません。なので、まだ広島のことはよく分かってないですね(苦笑)。でもオープン戦が始まってテレビで試合を見る機会も増えたんですけど、声を出すことができないとはいえファンの方の応援がすごいなと思いました。それが現時点での広島の一番の印象です。映像を見ていて早くあの舞台で投げたいと思いました」
―では最後にカープファンにメッセージをお願いします。
「1日でも早く、1試合でも多く一軍のマウンドで投げて、チームに貢献できるように頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願い致します!」
◆プロフィール
行木 俊 68
■なみき・しゅん ■2001年1月8日生(20歳)■184cm/77kg
■右投右打/投手 ■千葉県出身 ■横芝敬愛高-四国IL徳島-広島(2020年ドラフト5位)
広島アスリートマガジン編集部
行木投手の武器は威力あるストレートとキレのあるスライダーです。
ドリヨシが感じた印象は、すごく素直で真面目な選手だなと感じました。しかし、それが故に積極性が今一つなのかなとも感じました。
実質投手になって4年しか経過していないという事で、ポジティブに考えれば、理想のピッチングフォームを確立することができる投手だと思います。投手経験がまだ浅いので、ピッチングフォームの悪い癖は修正しやすいかと考えます。
まずはピッチャーとしての体づくりに専念して、その後で行木投手のベストのピッチングスタイルを確立させて、対戦の場数を沢山こなして成長して欲しいと思います。そして数年後に1軍のマウンドで背番号68が躍動している姿が見たいですね。お世話になった家族や友人にしっかり恩返しが出来るように、必死に頑張って欲しいと思います。
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