2019年01月02日
新井貴浩氏と鈴木誠也選手が新春対談!
【新井氏&鈴木誠也対談1】誠也「40発100打点で4連覇を」
1/2(水) 14:03配信
新春対談で本音を語った新井氏(左)と鈴木誠也
2019年元旦。豪華な共演が実現した。今季から背番号1を背負う広島・鈴木誠也外野手(24)と、本紙評論家として第2の人生をスタートさせた新井貴浩氏(41)による新春吉例「新旧4番打者」対談。数々の仰天エピソードを交えながら4番道を熱く語り合う中で、鈴木はリーグ4連覇と悲願の日本一を目指す今季の目標として40本塁打、100打点を掲げた。(構成・江尾 卓也)
◇ ◇ ◇
新井 「誠也、明けましておめでとう」
誠也 「明けましておめでとうございます」
――新井さんは、この対談がスポニチ評論家としての初仕事です。
誠也 「お手柔らかにお願いします」(笑い)
新井 (笑い)「さっそくだけど、年を越すともう始まる…という感覚になるよな」
誠也 「なりますね。新井さんは引退されてどうなんですか?」
新井 「正直、今はそういうのが全くないから解放感があるよ。オフのメニューは順調に消化できている?」
誠也 「もう一度しっかり走れるようにしたいので、それを念頭に右足のリハビリをやっていますが、段階は早いと思います。トレーナーさんとは、1月の自主トレ前にある程度の動きを…と話していましたが、12月中旬にはできているので」
新井 「骨折前のいい状態を100%としたら今はどれくらい?」
誠也 「50〜60%にはなったかな…と」
新井 「それでもまだ50〜60%なんだ」
誠也 「でも、最悪に痛い時が100としたら、今はゼロに近いです。全く違います」
新井 「切り返しの動作はまだ痛いの?」
誠也 「痛くはないけど、力が入らない感じです。でも、シーズン中にできなかったことができているので、ステップとしてはすごくいいかな…と」
新井 「ま、2次的なケガにつながらなくて本当によかったよ。焦る必要はない。段階を追いながら、開幕に合わせてやればいい」
誠也 「そうですね」
新井 「今季は、丸が抜けた中で4連覇を目指すことになる」
誠也 「丸さんが居ないからといって、さほど変わることはないと思います。大きいのは新井さんです。ダメな時に言ってくれたり、ストップかけてくれた人が居ない。個が大事になるかな…と」
新井 「個人個人か」
誠也 「はい。個人個人がしっかり考えを持ってやれば勝てると思います。ただ、個がバラバラになってしまうと危ないかな…と」
――巨人、阪神が大補強しています。
誠也 「それより自分たち。まとまれば大丈夫です。個を抑えて、いかにチームとしてまとまっていくか」
新井 「個人的な数字でいえば、キャリアハイを目指してほしい。40発はどうだろう」
誠也 「やっぱり打ちたいですよ。昨季は30本打って安心したところがあったので、目標は高く持っておかないといけない…と痛感しました。丸さんが39本打ったので、それ以上を目指さないといけない…と思いますね」
新井 「結果4連覇」
誠也 「そうですね。ボクが40発打って100打点を挙げれば、その可能性は高くなってくると思うので」
新井 「カープの打線は前後のバランスがいい。今までは丸が居て分散されていたけど、今季は誠也へのマークがキツくなる。4番は大変だけど、ケガなくやれば、3割、40本、120打点は普通に達成できる。日本シリーズでライトに打った本塁打(10月30日の第3戦、1―4の6回にミランダからソロ)なんて、またちょっと違う感覚でね。外角高めの真っすぐをね」
誠也 「違う感覚というよりも、今まで打ったことのない打球でした。あの高さのアウトハイのボールを」
新井 「あの方向に」
誠也 「はい。どちらかと言うと、ボクは左中間に引っ張り込んで打つタイプ。思っていたスタイルとは違う打球が飛んだので…」
新井 「今もスゴいけど、誠也のポテンシャルならまだまだスゴい選手になれる。40本じゃなく50本すら目指せるし、3割3分の50発を打つ可能性を秘めているからね。まだ若いし、あんな感じの一発が出だしたら、数はもっと増えるよな」
誠也 「はい。逆方向の打球が増えれば普通に増えると思います」
【新井氏&誠也対談2】新井氏「阪神時代から見ていた。“いいスイング”って」ブレークに「来たな…と」
1/2(水) 14:06配信
――新井さんが広島に復帰した2015年、お二人にはお互いがどう見えていましたか?
新井 「もちろんチームの中心になると思ったし、いずれは4番を打つと思いました。阪神に在籍していた前年から、終盤に1軍に上がった誠也を見て“いいスイングをするな”と感じていたんです。一度、広島市内の飲食店で会ったよな?」
誠也 「はい。“いいスイングだな”と声を掛けてもらいました」
新井 「面構えもいいと思った。負けん気が強そうな。いい選手が出て来たな…と。
誠也 「ボクは新井さん、黒田(博樹)さんと一緒にプレーできていることがうれしかったです。単純に」
新井 「その頃はまだ自分のことで精いっぱいだろうからな」
誠也 「はい。周りを見る余裕も、考える余裕もなかったです」
――翌16年に鈴木選手は大ブレークした。
新井 「来たな…と。普通は1段だけど、いきなり2〜3段飛ばしで来たな…と感じました。オリックス戦の3試合連続決勝弾(6月17〜19日)を“神ってる”と言われたけど、マグレみたいで誠也には失礼な話。1年間通して素晴らしい成績を残したわけですから。確かな技術がないと、運だけで成績を残せる世界じゃないので」
――25年ぶりの優勝を決めた9月10日、東京ドームでの巨人戦でも2本塁打を放った。
新井 「優勝を決める試合で、2発はなかなか打てないからね」
誠也 「ボク、1年目に巨人の優勝(13年9月22日)を東京ドームで見ているんですよ。胴上げを見るのがスゴく嫌で、“いつか絶対にここで優勝してやろう”と思った。だから、あの日は“絶対にここで決める”と気持ちが高ぶっていて…」
新井 「素晴らしいですね。その時の記憶をエネルギーに変えられるわけだから」
誠也 「緊張して足が震えていたけど、あの年はそういう年でしたね。やることすべてが恐ろしいぐらいにハマるし、勢いだけで流れに乗っていける」
新井 「それも確かな技術があるからよ。マグレでは打てない」
――打者として鈴木選手がすぐれているところはどこでしょう。
新井 「すべてじゃないですか。長打が打てるし、勝負強い。賢いし、割り切れるし、割り切る勇気もある。技術を含めて全部がスゴい。しかも、3年間素晴らしい成績を残しているのに、まだ伸びしろがある。そう期待させる力を秘めているのがスゴい。誠也なら40本、40盗塁もあり得ると思いますよ」
誠也 「昨季は、盗塁を含めてもう少し走りたかったんです。もともとのプレースタイルなので。首脳陣はもっと走ってほしいと思っているだろうし、スピードがあるうちは…」
新井 「今は葛藤があるだろうけど、ケガが治ったら40、40を目指してほしい。足が速いんだし、走ることで打撃にも守備にもいい影響を及ぼすので」
――新井さんと鈴木選手の共通項はカープの4番。4番打者とはどんな存在でしょう。
新井 「誠也、どう思う?」
誠也 「昨季終盤に初めてわかりました。4番とはこういうことなんだ…と。マジック1(9月23日)になってからの期間、丸さんもボクも状態が落ち気味で勝てない時があり、そういう時に限ってチャンスで4番に打席が回ってくるんです」
新井 (笑)
誠也 「そう感じるんですよ。“こういう時に限って何でオレに回るんだよ”って」(笑い)
新井 「そうそう。“何でオレなんや”みたいなね」(笑い)
誠也 「それまで丸さんが打つと、“何で打つんだよ”って思ったのに、現金なもので、その時は“頼むから打ってくれ、回ってくるな”と考えるんです」
新井 「わかるよ」
誠也 「新井さんにもよく言われましたが、今はチームが強いから他の選手が打つし、自分が打てなくても軽減される。でも、Bクラスに落ちた時にこれが続くと、相当に苦しいと思うんですよ」
――新井さんの実体験でもありますね。
新井 「今となったらいい経験ですけどね」
誠也 「今はチームが弱くなった時の下準備というか、今じゃないと思うんですよ。本当の仕事は。弱くなり、Aクラスが懸かるという時に打つのが4番、一番大事な時に打つのが4番だ…と」
新井 「誠也は漢字が苦手だけど、賢いんです。この若さでいいことを考えているし、深い。感心する」(笑い)
誠也 (笑い)「現実的に(好調が)ずっと続くわけじゃない。新井さんに昔話を聞かせてもらうと、今じゃないと思いますね」
――苦しい時期は新井さんから助言も。
新井 「いや、そんなに声を掛けていないですよ。これは言わなきゃ…と思ったら言うけど、自分から言うことは基本あまりない。年に1、2回か…」
誠也 「昨季の終盤、ボクが変になった時にはあります」(笑い)
新井 「誠也はボクと違うんですよ。ボクは出たとこ勝負で単細胞だけど、誠也はいろんなことを深く考え、計画性がある。ポテンシャルもボクなんかより全然スゴい。ただ、あの時は目に余るというか“何やっとるんや”みたいな」(大笑い)
誠也 「いろいろ打ち方を変えて」(笑い)
新井 「カーブを打ったのはいつだっけ?」
誠也 「クライマックスシリーズ(対巨人、10月17日の第1戦)です。変な打ち方で、入ってきたメルセデスのカーブを出合い頭に」
新井 「CSの時はこれ(バットを構えた時に小さな動きを入れる動作)でやっとったよな。それでカーブをホームランした」
誠也 「はい。1カ所バッティングでも結果が出ないままCSに入り、突破後にまた打ち方を戻した時、新井さんに“お前、変えたのか? 何であんなことをしとったん?”と言われたんです」(笑い)
新井 「そう。日本シリーズ前に」(笑い)
誠也 「“そっちの方がいい。ちょっと安心した”って」(笑い)
新井 「誠也はいろんなことをトライしようと思っているんです。それがボクにもわかるから、あまり言わないんですよ。でも、あの時はさすがに」(笑い)
誠也 「さっきも言いましたけど、終盤から状態が落ち気味で、そのままだと悪いイメージしかない。しっかり振れる打ち方に、取りあえずしたかったんですね。結果はダメで、高めの真っすぐが当たらない。でも、トライしたからこそ、高めの150〜160キロをしばければ、どの球も打てる…と改めて感じることができました」
新井 「うんうん」
誠也 「ボクの中では変えて良かったと思います。あの打ち方では高めに手が出ない。高めを打つ大事さに気付き、日本シリーズ前は元に戻して高めを打つ練習をしました。打ち方を変えずCSに入っていたら、あの日本シリーズ(敢闘賞)はなかったと思います」
【新井氏&誠也対談3】誠也「新井さん、黒田さんに残してもらったものを自覚して伝えたい」
1/2(水) 14:10配信
――きちんと分析できるのが素晴らしい。
新井 「だから、誠也はスゴいんですって。漢字は苦手だけど、野球の頭は偉い」(笑い)
誠也 (笑い)
新井 「ボク、打撃練習とかいろいろ見ているんですよ。打てなくなる原因はいろいろあって、技術的にダメな場合があれば、疲れからバットが出なくなっているケースもある。ヨシと思ってバットを振ったのに、差し込まれてファウルになったりしたら、アレッてなるんです」
誠也 「ありますね」
新井 「その場合はフォームに走りがちだけど、疲れで反応が鈍くなっているケースも結構多い。誠也がどう感じていたかはわからないけど、終盤は自分のスイングが思うようにできなくて、いろいろ考えた末にトライしたと思うんです」
誠也 「そうですね」
新井 「だから、言わなかった。誠也は誠也で必死に考えてやっているんだから。で、メルセデスのカーブをレフトに運んだのをベンチで見て“出た、たまたま”と思って。ゆる〜い、しかも入って来る球だから、たまたま(タイミングが)合ったみたいな(笑い)そこで聞いたよね。“こういう感じじゃなかったか?”って」
誠也 「はい。たまたまです」(笑い)
新井 「日本シリーズ前も同じ練習をやっていたら、言おうと思っていましたけどね」
――鈴木選手が初めて4番に座った17年は、精神的に苦しい時期がありました。経験者としての助言も…。
新井 「いやいや、大したことは言っていないです、ボク」
誠也 「助言をいただきましたよ。“自分が思っている以上に、周りは…”って」
新井 「“自分が思っている以上に、周りはみんなお前のことを見ているし、チームへの影響も大きいんだよ”ということは言った。あれ、17年だっけ?」
誠也 「はい。“ガマン、ガマン”と。確か夏前、6月か7月ぐらいでした」
新井 「確かにあの頃は、精神的にツラそうだった。“これは言った方が誠也のためになる。言わないとダメだな”って感じたので、伝えたんです」
誠也 「何もうれしくなかったんですよ。打点を挙げても、ヒットを打ってもうれしくない。いくらヒットを打とうが納得いかない…という状態が続いて。もうどうでもいい…みたいな、今までにない感覚だったんです。でも、どうしたらいいかわからない」
新井 「分かるよ」
誠也 「心の中ではずっと“こんなんじゃダメだ”って思っていたんですね。でも、どうしたらいいのか。その繰り返しです。試合で結果も出さないといけない。焦っていたし、いろんなものが重なって究極でしたね」
新井 「あの時の自分はダメだって気付けるのが素晴らしいよ」
――新井さんとプレーした4年間、鈴木選手にはどんな学びがあったんでしょう。
誠也 「黒田さんも含めてですが、レギュラー選手はやっぱりそうなんだ…と感じ取れたのが一番ですね。2軍の時から漠然と、レギュラーはこういうもの…と考えてはいたんですけど、新井さんと黒田さんの姿を見て、思いを強くしました。チームには、試合に出たくても出られない選手がたくさんいる。そういう人たちのことも背負い、私生活や練習態度、話す言葉、すべてができてレギュラーだと思うんです」
新井 「自分さえ良ければいい…では、ダメということだよな?」
誠也 「はい」
新井 「プロ野球なんだけど、アマチュア精神でいうところの、メンバーに入れなかったヤツのために頑張るゾ…っていうね。プロ野球でも、そういう気持ちは大事。自分さえ結果を出して給料が上がっていけばいい…っていう考えじゃダメ。特にカープというチームは。そういうことを言いたいんだよな?」
誠也 「そうです。だから、試合に出られない人たちを、認めさせないといけないと思うんですよ。アイツが出るなら応援する…って思わせるのがレギュラー。練習態度や人との接し方、すべてができてこそ本当のレギュラーだと思うんです」
新井 「そうだな」
誠也 「新井さんが試合に出ても多分、誰も不満に思わない。“何でだよ”って思う人は絶対に居ない。そこが大事。周囲が眉をひそめる態度を取り、“オレが代わりに出たい”と控え選手に思わせているうちは、レギュラーじゃない。それは新井さん、黒田さんの姿を見て感じたので、見習いたい…とずっと思っていました」
――実際、若手選手にはいろんなアドバイスを送っていますね。
誠也 「ボクは見て感じることができましたけど、感じ取れない選手もいますから。それにボクも(1軍に定着した)16年や、17年にケガをして気付くことが多かったので、できるだけ早く伝えて何かを感じてくれれば。実際は自分で気付かないとわからないと思いますが、言っておくことで“そう言えばあの時に”って思い起こすこともありますから」
新井 「素晴らしい。誠也にはボク、言うことはないです」
――才能ある4番の後継者が“新井さん、黒田さんの姿を見て”と共感してくれる。冥利(みょうり)に尽きますね。
新井 「うれしいですね。やっぱり3連覇したのが大きいですよ。誠也は、黒田さんが復帰する前のカープも知っているでしょ。帰って来る前と、帰って来た後のチームは?」
誠也 「全然違いますね。2つのカープを経験しています」
新井 「その中に3連覇という実績が付いてきた。こうチームがまとまれば優勝争いに食い込める、優勝できる…ということが、雰囲気や何かでわかっている。これは大きい」
誠也 「自分のことだけやっていてはダメだと思うし、自分の結果が良くてもチームが勝てなかったらうれしくないですから」
新井 「そう。黒田さんとは若い時から一緒に“バラバラでは勝てない。投手と野手でコミュニケーションを取り、一丸となってやっていこう”とやってきた。でも、結果が出ないわけよ。最多勝や本塁打王を獲っても、チームが最下位だと誰も認めてくれない。だから勝たないとダメ。優勝しないと。誠也は、チーム一丸で戦うことがカープには最善だとわかっている」
――新井さんが故障離脱中の昨季序盤、故障明けの鈴木選手はベンチ待機している際、殊勲打の選手らを笑顔で真っ先に出迎えていました。
新井 「素晴らしい。そういう姿勢が周りを振り向かせ、チームを引っ張る力になる。来年は何年目かな?」
誠也 「7年目です。25歳になります」
新井 「大卒で言えば3年目か。仲間とふさげ合ったりするけど、頭は賢いからね」
誠也 「やっぱり楽しくやりたいので」(笑い)
新井 「いろんなことを見て感じ取れる。4番は大変だし、重荷になるほど背負わなくてもいいけど、少しずつ発信した方がいい…とオレは思うなぁ」
誠也 「そうですね。新井さん、黒田さんに残してもらったものを消してはいけない。そこは自覚して伝えていこうと思います」
新井 「素晴らしい考え方をしているし、言うことで責任感も芽生える。そのポジションにいると思うので、段階を追ってね」
誠也 「頑張ります」
新井 「今日はありがとう。4連覇と日本一を目指して頑張れ。応援しています」
誠也 「ありがとうございました」
この対談を読んで思ったのは、鈴木選手が間違いなく成長しているなと感じました。特にメンタル面やチームメイトの事、チームの為に何が必要かなど、入団当初とは全く違った人間性を醸し出しています。これならば広島東洋カープの中心選手として十分働いてくれると思います。いずれは「ミスター赤ヘル」の称号を手にすることになるでしょう。新井さんや黒田さんの影響を受けながら、進化してきた鈴木選手の心境の変化がよくわかりますね。今季から背番号1を背負います。レジェンドの前田さんの魂を引き継ぎつつ、素晴らしい選手になって欲しいと思います。
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8437094
いつの間にこんなこと話せるように…
嬉しいです。
カープの未来はまだまだ明るいです!