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白き部屋の記録31

付添さん3

にこやかに入って来たのは品のいい美人の付添さん、あっという思いである。

元看護婦であるという、五十才そこそこ、昔映画で見た愛染カツラの場面をなんとなく思い出す。

「もう死ぬんだから何でも食べさせろ」

患者さんが突然怒鳴る。

「ハイハイ只今」美人は白衣をつけてベッドへ。

白き部屋の記録30

付添さん2

「家庭に40日居たので気疲れしました。」と入って来たのは四十位の田舎風の人、そのやつれた顔、雇主の子供を抱いて四十日子供に添寝して看病したのだと云う、「今日からよろしくお願い致します」と昨日手術したばかりの老人のベッドへ、気を使った家族というのは医者の一家であると。
子供の祖父、祖母、父母、伯父、伯母、皆同居していて皆医者だという。

一月七日暗色にくっきりと富士山が暮れて行く。

白き部屋の記録29

付添さん

待っていたのはスラリとスタイルのいい御婦人。

まるで応接間にでも客を迎へるように「どうぞどうぞ」とドアを開ける。

白衣は付けず、しゃれたエプロンをかけている。

大学卒の付添さんであると云う。

ご主人は学者、白衣をつけて廊下を歩くと外来の患者さんがお辞儀をするのだと云う。

女医さんと間違へるらしい。十二月の末、赤電話の前「パパ毛皮のコート見つけたの、買ってもいいでしょ。」

白き部屋の記録28

付き添さん達

夜勤の元栄師士さん

「一時間毎に廻って来るなんてひどい看護婦。」

体格抜群の看護婦さんは、何だ彼だとその度に文句をつけると云う。

「まるで眠れやしない、私の居た病院の看護婦だったら怒鳴りつけてやるんだけど。」

亡きご主人の看病の為職をやめ、亡くなった後復職できなかったのだと云う。

白き部屋の記録27

誕生

ポプラ ポプラ ポプラの並木だ。

ポプラ並木の向こうに葱坊主。

葱坊主のような銀の塔。

嬰兒誕生、今回初めて産院の仕事。

二千五百グラムの人形さんのような女児。

人生門出の朝、桃色の朝。永い間人力糞取器のようであった日日。

今見る赤ちゃんの何とピンクのお尻。

白き部屋の記録26

オムツを縫う人

二人部屋である。入って行くと縫物をしている付添さんが居て、「どうぞどうぞ」と云いながらお茶を入れてくれる。「あんた若いんでしょ、何才なの、御主人はいるの、何してる人、子供さんは、アパートに居るの、家賃はいくら。」矢つぎ早やに小母ちゃんは聞く。

「みっちり働くことだね、ピンチヒッターぢゃ足りっこないよ、一人に永くにつくことだね、金を貯めなきゃね。」とこの間自分の事は一云も云はずせっせと針を運んでいる。縫っているのは洗いざらしのシーツの端切れらしい「私ねオムツをこさえてんだよ、もう六十だもんね、こんなお婆ちゃんの事見ていると自分の行き先を見るようでね、シーツの古いのなんか貰ってさ、自分のオムツを縫ってんだよ。」

お婆ちゃんは七十八才と名札に書いてある。

「私ねワンマンの亭主にはほとほと倦ちゃってね、別れてしまいたいと思うのよ、今朝も喧嘩しちゃった、だから老後の為にこうして働いて少しでも貯金して置きたいのよ。」
   
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