2012年05月31日
白き部屋の記録14
もう秋
昨年秋に仕事を始めて、再び秋がやって来ました。
コーロギの鳴く草むら、まだツクツクボーシも鳴いている。
白い木槿(ムクゲ)が方方の家の庭に咲いていていい気持ち、東京の田舎に引越しをして来てよかったと思う。
バスで十分、歩き二十分の処にある病院。
私は軽いお勤めの気分になりながら道を急ぐ、もう夕方、秋晴れの空に雲が流れている。
病院近くの空き地で美事に白く咲いた木槿を見上げて暫し立止る。
「日本はよい天気ですな」と大きな声。
ハイ、ニッポンハヨイテンキデスと私。
精神科の患者さんである。日本はよい天気であるとは面白い、元軍人で復員して来て頭がおかしくなっている人だと云う。
精神科の付添は一週間が限度だと云う。
それ以上になると、付添の頭もおかしくなるからである。
夜トイレにシビンを持っていく途中、男子用のトイレの前で立派なおひげの御老体が立って居り、何とペニスに手をかけおいでおいでと手招いていたりするのである。
別に事故の起きた事はないとの事。
夜中になると、トットコトットコ廊下を突抜けて裸足で散歩に出かける人もある。
看護婦さんは追いかけて行く。
「岡山さん!!散歩はおひるにするものよ!!」
夜は駄目と連戻される。看護婦さんも大変だと思う。
昨年秋に仕事を始めて、再び秋がやって来ました。
コーロギの鳴く草むら、まだツクツクボーシも鳴いている。
白い木槿(ムクゲ)が方方の家の庭に咲いていていい気持ち、東京の田舎に引越しをして来てよかったと思う。
バスで十分、歩き二十分の処にある病院。
私は軽いお勤めの気分になりながら道を急ぐ、もう夕方、秋晴れの空に雲が流れている。
病院近くの空き地で美事に白く咲いた木槿を見上げて暫し立止る。
「日本はよい天気ですな」と大きな声。
ハイ、ニッポンハヨイテンキデスと私。
精神科の患者さんである。日本はよい天気であるとは面白い、元軍人で復員して来て頭がおかしくなっている人だと云う。
精神科の付添は一週間が限度だと云う。
それ以上になると、付添の頭もおかしくなるからである。
夜トイレにシビンを持っていく途中、男子用のトイレの前で立派なおひげの御老体が立って居り、何とペニスに手をかけおいでおいでと手招いていたりするのである。
別に事故の起きた事はないとの事。
夜中になると、トットコトットコ廊下を突抜けて裸足で散歩に出かける人もある。
看護婦さんは追いかけて行く。
「岡山さん!!散歩はおひるにするものよ!!」
夜は駄目と連戻される。看護婦さんも大変だと思う。