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白き部屋の記録24

眠れる美女

私はピンチヒッター、ずっと永い間付いている方がコマ劇場に島倉千代子を聞きに行くと云うのでその交替であると云う、個室である。

眠っているのは驚くほどの美女。

今まで老人ばかりに付いていた私は眼をこすって見直した。

私とって病人とは、お翁さんお婆さんと思い込んでいるふしがあったようです。

美女もまた病気をする。

ノックもなしに入って来たのは四十過ぎの紳士、御主人であるとの事。

ベッドに近づくと、顔を押し当てて「ルリ子ルリ子」、と美女は目を開けた、だが何の表情もない。

電話あり、水道あり、バス、ソファー、トイレ、一寸したホテルのような部屋である。

窓外には緑の葉、陽が当たってキラキラと光る、今朝交替の方は云いました。

「御主人はやさしくて財産家で、お子さんはありません、あんな綺麗な人が何の因果かねえ、口もきけないし、麻痺した体で只生きているだけなんて。」

因果で病気をすることもないでしょうが、始め結核であったと云う事です、そして菌は脳を犯したのだと。

御主人は帰宅されました、その夜私は大喘ぎに驚かされましたまるで男の喘ぎです。

そしてピンポン玉のようなチョコレート色の糞、思いもかけない事があるものです。

それにしても何たる美女、これほどの美女を妻に持つ男の幸せ、魅入られているようなご主人の態度がまだ目に残るのも当然、惚れ抜いている男の姿とはあのことではないのか。

恐らく妻であると共に恋人であり、愛人でもあるのであろう。

男冥利につきると云うものか。

その妻が病気とは何と云う宿命。

次の夜何気なく部屋に入った私は見ました。

ルリ子さんはこのベッドで妻である姿を。

私はサッと外へ出たのです。
   
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